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探検っていうか、実験。
[酔いは回りやすく醒めやすい。
酩酊感や呂律の危うさはもう無いが、かわりに興奮に酔いそうだ。
つとめて、素を保つ。]
煙草は吸わないから、いらない。
けど……他のものが欲しいかな。
[こっち、と細い裏路地に入っていく。]
そうだっけか。
[眼鏡(実は名前を聞き逃していた)が煙草をやるかどうかは、知らない。記憶にない。「いつも目にしていたはずなのに」。
俯き気味に歩きながらマッチを擦り、くわえた煙草に火を点けた。独特の燻る臭いがする。]
……で、なんだって?
[マッチを後ろに放り投げて、ウルフは顔を上げた。]
そうだよ。
[煙草をやるのやらないのを彼が覚えていないことを、不思議には思わない。
自分だって、彼の名前すら覚えちゃいないんだから。]
ねえウルフ。
ウルフはさ、誕生日を覚えてないって言ったよね。
だからさ、だから、今日を忘れられない日にしようよ。
[路地を、ゆっくり行きながら。
ぽつぽつ言葉を落としていたら、袋小路の、どんづまりまで来てしまった。
行き止まりだとは思っていなかったけど、好都合。]
ボクにとっても、キミにとってもだ。
輪廻は信じる?
[後ろに放られたマッチ。小さく燻って消える。]
それから、警察は好き?
ボクは、あまり好きじゃないけど。
ほら、誰も咎めないって言うからさ。
今日をキミの、誕生日にしよう。
[叶うなら、足でも引っ掛けてこの路地に彼を押し倒す。
上に乗れば、細腕にしてはそれなりの力が、ウルフを抑えつけるはずだ。]
[立て続けに放たれた言葉にたじろいで、一歩後ずさる。]
警察…。まあ、普段碌なことしてねえし…。
ま、殺しはやってねえな、辛うじて。
[人を殺したことはない。
そういう願望は持っていない…はずだ。多分。
とはいえ、血の気は多いほうだ。
わけもなく苛立つような時、誰かをぶち殺してやるのを夢想したりする。それでも、想像の中で頭を打ち付ける感覚を、首を絞める感覚をリアルに感じたりはしないし、大体そののっぺらぼうの『誰か』に、知った顔を貼り付けようとすれば、安っぽい殺意なんかたちどころに吹き飛んでしまう。カウコだったりウルフだったりする彼は、そういう小物だった。]
……え?
[目の前の景色が、ひっくり返った。
何が起こったのか、よくわからない。]
…なんだ、って?
[眼鏡の奥の瞳が、すぐ傍に見えた。
こいつは今なんて言った?
輪廻?誕生日?]
おい、どいてくれ
[起き上がろうと頭を持ち上げた瞬間、思いも寄らぬ方向から力が加えられた。つまり、ウルフは地面に押さえつけられた。]
てめ、何しやが
殺しはしたことないって言ったね。
ボクもだ。だけど、ここには、警察が嫌いな二人しかいなくて、なんだかわからない路地の隅。
そして、やったことないことは、何だってやってみたいのがボクなんだ。
[女の元から連れてきた、銀のナイフを右手に握る。
光のささない薄暗さ。刃は光を弾かない。]
ボクは、キミを殺してみたい。
[右手を振り上げる。このまま降ろしてしまえば、女とは反対側から、首を貫くことになりそうだ。]
[眼鏡が腕を振り上げた。ゆっくりと。そこには細く鈍い光沢が見てとれた。血濡れた銀色のそれが最高位に達した時、ほんのわずかな時間だけ静止して、しかしそれは気の遠くなるほどの長い時間で。それからゆっくりと先端が近づいてくる。いや、こない?まだ、届かない。ゆっくりと、それはまるで映画の演出の如きスローモーションで、ゆっくり、ゆっくり。このままの軌跡では、当たる?刺さる?どこに?あの女のように?開かれた白い喉が目に浮かぶ。目を閉じたい、のに、瞬きもできない。乾いた目が震える。視界が揺れる。おかしい。変だろ、動けよ俺の身体]
[やめろ、を聞けるなら、こんなことはじめからしない。]
よかったね。
ボクが殺したみたいで、間違いなくなるよ。
[さあ、そのひくつく喉元に。]
おそろい。
[皮と肉を裂く手応え。赤いものが溢れる。心地よくて、自然と笑っていた。
首後ろにナイフを刺されたあの女。知らない女のような気がしたけれど、勝手に死ぬなんてそれこそ勝手な真似をしてくれたと思っていた。
これで、おそろいだ。]
ねえ、痛い? 喋れないかな、駄目かな、どう?
[嬉々とした声が、語りかける。]
[路地裏の世界は永遠に見えて、きっとひたすら閉じている。
角を曲がれば、さっき背中を向けたあの道に出る。あの道?いいや、もうこの道だ]
ねえ
[傍には、声の届く場所に誰かいるだろうか。
見ていない。気にしていない]
みぃんないなくなったら
……元に、戻れるかしらぁ?
[ゆったりとした口調。
聞こえないはずの羽音が、耳の傍を通り過ぎた気がした]
[首に刺さったナイフから手を離して、満足気に唇を舐めた。
これは、いい。誰かが自分の手で壊れていく。興奮しすぎて、思わず欲情しそうだ。]
こっちも、使っちゃおう、かな。
人のナイフって、なんだかやっぱり、自分が殺した感じ、しないし。
[ストールの下、いつもずっと持っている、大切な。
刃渡りの長い、大鋏。]
ナイフ持ってるとさ、怒られるけど。
ハサミ持ってる分には怒られないの、変だよね。刃物には違いないのにさ。
だからボクはいつか誰かを殺すときにはこれにしようって決めてたんだ。
ハサミだって人は殺せるって、ちゃんと証明できるでしょ。
[大きく開いて、胸元へ振り下ろす。
抵抗されれば、位置はずれるだろう、けど。]
[なんだよ、なんだよこれ。
熱い。いや、冷たい?わからない。自分の置かれた状況がだ理解できないまま、しかし身体は動かないし、喋ろうとしても声帯が震えないし、目の前はなんだか暗いし、胸元が濡れて、バケツをひっくり返したような、ああ、そうだこれは雨か?雨だ。]
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