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[階段を転がるように駆け下りてきて、
最後の数段を転がり落ちた]
っつー 痛て。
誰だよ、寝てる間にこんなん置いていきやがったのは!
[握りしめた封書と中の紙ぺら。
訴えるべき自警団長は、すでにこの場にはいないようだ*]
[床に足をついて顔を顰める。
舌打ちすると、立つのは諦めて床の上で胡座をかいた]
ふぁ……?
[降ってくる声に顔を上げれば、チカノの輝く眼差し。
もだーんとやらにも疎い迷子は、暫くの無言ののち]
違うぞ、これは狼だ。
[帽子に付いている毛皮の掴んでそう言った]
これは人狼じゃなくて狼。別物。
それから俺も、そのあやかしじゃないからな、言っとくけど。
[遠慮のない手つきのチカノに、半目になったり帽子を奪い返したり]
俺は、バクだ。
ついでにそっちのはイマリ……あれ、便所か?
[マタギの祖父とともに村のはずれに住む迷い子は、よく道を失って村を彷徨っている。この宿にたどり着いて泊めて貰うのも、初めてではない*]
近場じゃなくても怒るだろー
ていうか俺が怒った方がいいのか? まさかゲッカさんが許したりは……
[チカノが黄色いテントの中へと消えると、呆気にとられた顔を引き締め直してぼやいた。
広間での葛藤はどれほどか。
ゲッカが姿を見せれば、ぴしりと姿勢を正し]
あ、はい。いや、ええと……
[「ご、ごめんなさい」口の中でもごりと、緊張した面持ちで、言う*]
[まず怒られなかった事に、安堵のため息をつく。
謝罪は若女将留守中のテントの惨事へのつもりだったが]
……俺、煮っ転がしのが好きだし、いっか。
[立ち上がると片足で跳ねながら、廊下へと]
あ、御茶屋の。
[救急箱でもないものかとうろうろすれば、宿屋をぶらりとするゼンジの姿]
あんたも呼ばれたのか。
夕飯、煮っ転がしだけど、大丈夫?
[真っ直ぐに見上げた*]
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