[昼休みのちょっとした時間の訪れとは違って、放課後はどこでもさみしい。
教室に残ったって同じだけれど、図書館はもっとさみしい感じがする。
でも、それが好きで図書館にはよく行くのだ。
日が暮れていくのを見ながら、ページをめくる小さな音をさせるのが好きなのだ。]
[放課後にやってきたなら、することはいつも決まっている。
その日に出た宿題を真っ先に片付けて、それから好きな本を読む。
小説を読むことが一番多かったけれど、今日はあまり頭が働かない。写真ばかりの、文字の少ない本をぺらぺらとめくる。星空が延々と続く、そんな本だった。
読みかけたミステリーの本は科学のノートの隣。出そうになったあくびを手で隠して、辺りを見た。
いつも見かける、本の虫に――もう一人はあまり見ないような気がした。]
[さてと。
ちょっとばかり気分が乗ってきたし、新しい本でも読んでみようか。
金色の、金属でできた四つ葉のクローバーのしおりは確か誰かからお土産でもらったもので、その繊細なデザインが気に入ってはいたけれど使い勝手はそういいわけでもない。それを写真集の間に挟む。席を立つと椅子が動く重たい音がして、おっとと周りを見回した。寝ている誰かを起こしてしまいそうだ、と思ってのこと。]
[もみあげの方から髪の毛が垂れてきて、手でちょいと直す。体育の時間には短くていいけれど、これから暑くなると日焼け止めを注意して塗らなくてはいけない。それに体育の後、制汗剤の匂いが充満するようになる。
そんな小さな憂鬱を思いながら、本棚の間へ。外国語の本が並んでいるけれど、読めるはずがない。これを読める生徒がどのくらいいるのだろう?]
[ほんの刹那、見えた姿。
その人に見覚えはあっただろうか。
何となく、図書館に来るような様子ではないなと思った。とはいえ、捕まえてどうしたのか聞くほどのことでもない。本棚と本棚の合間に紛れるように、また本を求めた。**]