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[桟橋を引き摺る金属に壊しながら、
赤い川に浮く指の一本を拾い上げポケットに入れた。既に僧によって胴とは分かたれた女の脚の一本に、ツバのみを引っ掛ける。
――そして血の匂う獣臭い毛皮とを引っつかんで男は機嫌よく一度塒へ戻った]
研究者にとって、
資料というのは大事で貴重なものだからね。
[広さだけはある朽ちた作業場、船の墓場のようなその場所の一角に飾られたいくつもの“資料”に囲まれ眠るのが男の常のこと。満足げに資料を飾れば、指の一本にふと眉根を寄せる]
ああ、しかし、そうか。
これの持ち主は―――、生きている。
それは、いけない。
[浜辺に至れば、水に浮く赤毛の男の亡骸。
沈む鎖ごと引き摺って、浜にその躯を転がした]
おや、君、魔物に引き摺られたのかね。
……取り込むは、後悔すると言っていたか。
しかし、わたしは好奇心が旺盛でね。
[手にある錆びついた鑿は、屍より肉を抉る。ひとつは己のポケットに運び、ひとつは己の口に運ぶ。屍より抉る血肉の味は]
……やはり、甘くはないものだ。
[ポケットの中、長い指はそぎ落としたばかりの耳朶の曲線をゆっくりとなぞりあげる]
――その人ならざるもの、も、
喰らえば力を己が身に取り込めるかね?
ああ、……興味があるな。
[振り返る、霧のように細やかに飛沫く赤。
細められた男の目に滲む熱は欲の色]
[倒れる男、事切れようとする命。
ぞくりと背筋を走るものと湧き上がる焦燥。
一瞬の後、我に返る]
そういえば、何故、殺しているのかね。
よもやここでまで、職務に忠実であるというわけでもあるまい。
[ずず、と引き摺る重石に手を触れた。はらりと白い甲殻類が剥がれ落ちその下、
錆びた金属の色を覗かせる]
[笑いかけてくる気狂いに、
よくも笑うと学者は薄く眉根を寄せる。
じくりと残る痛みと、もうひとつ。
問うに根拠は何もない]
アレを呼んだのは――、君か?
[呪わしき水底の、絶望。
絶たれるべき望みなどここには何もないのに*]
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