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[逃げだそうと、騒ぐタイミングすら見失った。]
……。
[つまらなそうないつもの顔に、苛立ちと不安を交えて。つま先で落ち着きなく地面を蹴っている。]
あーもう……、今日は俺が独りにならなかったらいいんだろ?
じゃあアイノの言うとおり、みんなと一緒に居るさ。
[はぁ、と疲れたようなため息をつく。
それでも、疑わしい相手には死をと騒ぐ人も居る。]
だからってなあ、行き成り言われてはいそうですかって自分の命さす出す莫迦がどこにいるってんだよ!
[どれだけ騒いだって、疑心暗鬼におち入った人間には届くものも届かない。
誰かは必ず死ぬことになるような空気が町をおおって居る今、この場の誰かは、明日の朝日を見ることはないのだった。]
[アイノの訴えと、それに対するベルンハードの答えやその後の怒声を聞きつつ、空を見上げる]
……ほんっとに、もう。
ツイてない、ね。
[大げさに嘆息する、その仕種にあわせるよに。
耳飾の輪が*ゆれた*]
ほんとーになあ……
[ウルスラ>>57にしみじみとうなずく。
苛立ちと不安をにじませたラウリ>>55に視線を向け。]
――どっちにしろ、ここで話しててもどうしようもないし……
町の連中だって判断つかないだろうし、いったん宿に戻ろう?
[ウルスラやペッカ、左腕にくっついてるアイノ、それにラウリへと順番に視線を向けて問いかける。]
手品師さん。
来てくれますか?
[ラウリへ問い掛ける最中も、手はベルンハードの腕をしっかり掴んでいる。]
ウルスラさんも、ペッカも。
うーん……まあ、一晩ぐらいなら……
側に誰か居ても我慢できるけどなあ……
[逃げ出す、とまで言い出した少女をどうしようかと眺める。
もともとドロテアを食べたのだから、またしばらくの間は誰も食べなくても大丈夫なのだけれど。
はあ、と誰にも聞こえない声で、ただ、ため息をつくのだった。]
まあ……町の人たちの頭が冷えるまで、逃げるしかないかなあ……
[僅かにため息をつきながら同意する。
詳しいことは宿で話そうと、皆を促して。]
ドロテアが死んじゃったから……そう簡単に頭が冷えるとは思えないけど……
[小さく、口の中でだけ、呟いた**]
(……誰かを殺して。人狼だと言って突き出せば?)
[ポケットの中のナイフを握りしめる。奇術用の刃の潰れたものだけれど、寝込みを襲うか何かすれば、行けるかもしれない。]
(いや……僕が突きだしたところで、信頼されるのか……?)
[舌打ちする。昨日帽子の女に言われたことを思いだした。]
……愛想が必要……。このこと、知っていたんじゃないですかね……。
[近くの誰かに聞こえるように、呟いてみた。]
―― 宿一階 ――
護身用。
何かあったら割って武器にする。
[空いたワイン瓶を胸に抱え込んで、椅子に腰掛けた。
それは、パンケーキを食した窓辺の席だ。]
人狼は、真夜中に姿を変えるんですって。
だから――。
[瞳はまずペッカの姿を捉える。
順番に全員の顔を見ていくアイノの唇は、弧を描いていた。*]
……昨日言われたんですよ。帽子の女の人に。
愛想を振りまいておけ、ってね。
[人の記憶は曖昧で、それは彼女の発言とはずれていたけれど。]
……確かに彼女は正しかったですよ。僕は愛想のない旅人と言うだけでこんなに疑われている。
折角ご親切に忠告してくれたんだから、もう少し素直で可愛らしい子供でも演じていれば良かったですね!
[皮肉気に吐き捨てる。]
……なんでこのタイミングで、そんな忠告をくれたんでしょうねぇ。
──宿一階──
[集められた五人はそれぞれに、離れた席に座って過ごしている。その視線はお互いを見張るように。]
……僕は部屋にいますよ。いいでしょう、別に逃げられるはずもないんだから。
[そう言って、誰が何を言おうとも聞かず、部屋に戻る。
……自分の行動をきっかけに、皆がばらけてくれればいいと思いながら。]
(睡眠薬でもあればよかったんだけど。無理か。僕の手が触れたものをあの人達が食べるとも思えない。)
[眠るつもりなどもちろんない。ナイフを握りしめながら、外の様子をうかがい、時に床に耳をぴったりつけて一階の様子をうかがって。
自分が助かるための方法を考えながら、少年は落ち着きなく過ごしている。**]
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