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[側に座り込むデンゴには変わらずにこにこと。]
ん。どしたの?
…なぁに、むすっとして。
[むすっとした様子に笑ったまま、
指先で、彼の鼻先を突こうと指を伸ばすだろう。]
デンゴくんに、お姉ちゃんから質問。
[しかし、その後は真面目な顔になる。
彼の目をしっかりと見つめ]
そう…。
[アンに会ったと云えば、少し考え込む様にし]
……それ以外に何か、云われた?
[彼に、他に何か告げてはいないかと小首傾げ]
他に、誰か人と会ってない、かな?
[他の人が、この世界に未だ居はしないかと。
望みを捨てきれない瞳は小さな彼へ問う。]
[ぽつぽつと紡がれる彼の声を必死で追う。
彼を見つめる瞳は縋る様な色だったろう。
が、一通りの彼の返答を聞けば]
…そっ、か
[俯く彼の後を追う様に。
理由は違えど、笑いを讃えたまま俯いた。]
……会ってない、かぁ
[ぼそりと口から零れる一言]
[問われれば、彼を見つめたまま]
見てないよ。
誰か居ないかと思って…
ウチの側の家とか、さ。
ピンポン鳴らしたり、勝手に扉あけたりして。
人を探したんだけど…ね。
何処の家も、居なかった。
[ジュンタから電話の来る前。
アンと会う、其の前に起きた出来事の切れ端を話す。]
ケータイ…
[デンゴが触れる話題に、自分の其れを取り出し。
アンの言っていた事を思い出している。]
[覗き込むデンゴに見せるようにして]
メールを送れって云ってたけど
[こち、こち、と操作し]
…あて先設定しちゃダメって言ってた。
[顔をあげ、なんとなく、二人を見つめる]
…あて先設定しないで、おくれたっけ?
[問いかける顔は、何処か情けなく。
眉毛がへにゃりとあがり、泣き笑いの様。]
……送れなかったらどうなるんだろう
[ぽつり呟く]
あ…ズイハラさん。
調子、少しよくなりました?
[ズイハラの声に視線を其方にやり、問う]
空へ…還すとか云ってましたけど…
[答えながらも視線を携帯に戻し]
うーん…
件名に……確か、名前で…
本文は…
[デンゴの声を追う様に、ぽちぽち操作]
[件名に自分の名前を書いた]
…うえはら、いまり、と
[本文は]
本文はなんだっけ…
星に願いを?
[うん?と小首傾げ。
ぽちぽち、とその文章を記述して。]
おくる、のかな
[ぴぴ、と送信してしまう]
[同様にして送信できたらしいズイハラを見て]
おっ、送れたんですか!
[送れちゃったんだ!と声を大きくする]
…こっちも
[画面を覗き込めば……何故か返信がある]
…なんか、すぐさま返信きてるんですけど
[苦笑い]
[メールを開き、その内容を見て絶句]
……ケンメイエラー、ホンブンエラー。
[文面は全てカタカナのみで埋まっている]
…なに、これ
[携帯には人の名前と思しき、其れが]
ズイハラシゲユキ、ササキデンゴ、
クニモトジュンタ、イノウエマシロ、
アサクラミナツ、ウエハライマリ。
[6つ。無機質に並んでいる]
[ゆきに――、ねがいを。]
ああ、そう、それかも!
[デンゴの声に、ああ、と相槌。
それだ、と頷き、本文に入力しようとするものの]
……本文エラーはわかるけど。
件名エラーってことは、さ。
件名も間違ってたって事かな。
……自分の名前、間違える訳ないとは思うけど
[メールを見返しながら呟く]
[見返しながらも、多少は楽に、というズイハラを見て]
良かった…お大事にして下さい。
[あわせて、微笑み]
ズイハラさんに、も?
[同じものがきたのか、
と携帯を持ち上げる仕草で問う。]
あ、こら、デンゴっ!
[たったと駆け出していくデンゴに手を伸ばすも、
それは掴むには間に合わず、見送るだけ。]
…んもー
[むぅ、と頬を膨らませるも。
ズイハラの声に、其方を向き]
……、そういう事、かもしれないです
[小さな声で返答。
ズイハラから、携帯の画面に視線を落とし。
並ぶ、自分以外の無機質な5つの名を眺める。]
―――。
[それから暫くは。
話しかけられない限りは黙って画面を見つめ。
デンゴが戻った時に寂しくならない様に、と。
その場に座り込み、*待つだろう*]
-コンビニ-
[携帯に浮かぶ名と、再び地に積もり始めた白を。
時折、隣の彼と言葉を交わしながら見つめた。
ふいに、彼が"パフェ"などと言い出し]
………。
[其方を見つめて、暫し停止]
――、
[そして彼の笑みから遅れる事、数秒]
-コンビニ-
[あれからどれくらいの時間が経ったのか。
ぼんやりとした頭を振って、顔を上げる。
…どうやら、少し眠っていたらしい。
睡眠、という形になるのはこうなってから初めてで。
体も疲れていたのか、全く自覚しない眠りだった。]
…ぅ
[ほんの少し、鈍い痛みがこめかみに走る。
ゆるゆると手で、こめかみを優しく押して。]
夢じゃないんだ、ね
[ぼんやりと店外に降り注ぐ雪を見遣り。
ズイハラを見遣り、呟いた。]
[体育座りの姿勢で、顔を膝の間に埋めた。
足はぴたりと胸元まで引き寄せているので、
いつもよりもずうっと小さく見えたかもしれない。]
――、寒い
[こうすると、寒さが強く、身に染みて行く様で。
小さく震え、ぽつりと呟いた。]
あとどれくらい、こんななんだろ…
[それは不意に零れた弱音]
ありが、とう…
[少し掠れた声で、ズイハラに礼を言う]
―――。
[問い掛けにはかなりの時間を要したかと思う]
わからない。
[それでも答えられる物はそれだけ。]
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