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[路地裏は、どれ程続けて歩こうとも、変化する事はなかった。改めて、面倒な事だ、と思う。流石にいつまでもこうしているわけにはいかない。此処を「脱け出す」事に努めねばならない。
それには、どうしたらいいか]
……、
[ふと。
血の臭いを感じたような、気がした。
バーにてのそれではない、ものを。――殺してみたい。――殺したい。――あるいは、死体は増えているのかもしれないと、遠く*考えて*]
[足音が、聞こえた。
雨の日にするそれに似た足音が。
一たび立ち止まり、辺りへ目を向ける。そしてまた、歩き出した。やがて男が見た姿は、生きたものだったか、死したものだったか**]
[幾らか歩き進んだ後。濡れたそれとは別の足音が耳に入ってきた。止まった足音に、僅か思案しつつも男は其方を目指して歩き続けた。其処には、一つの姿が待ち伏せていた。
己の組織に属する者――エリッキという名の人物。あちらからかけられた声に、頷き]
ああ。
迷惑なら……かけられた方の覚えしかないな。
こんな事態に巻き込まれるとは。
全く、面倒な事だ。
[ふう、と些かわざとらしい溜息を吐きつつ答える。相手の姿を窺うように見やりながら、また潜め持つ鉄を意識しながらも、静かに]
……そうだな。
あえて誘おうと思う程には、私も若くない。
あの小僧のような、赤に魅入られた狂乱でもない。
[続く言葉にも頷いて、揺れる背を見据え]
全く以て。
ただ人死にばかりなら、些事だが。
常ならぬ異変が混じっているのではな。
[そう最後に呟き返し、そのまま消える背を見送った。ふ、と短く笑いを零し]
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