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―― 学び舎 ――
[小高い位置にある校庭から、村を見下ろす。
どこからか細い煙が立ち上っていた]
たーまやー?
[言ってから、ふと警官の『視界』を探したがそれらしきものは見つからない。
ん、と首を傾げて、それから歩き出した]
―― 地下の屍人の視界 ――
[蝋燭の明かりに揺れる人影は、ひとつ、ふたつ、みっつ。
祀られた一角には、ひとりの眠り姫。
唇に引かれる紅は、透き通るような白い肌を際立たせる]
[金属バッドでてこの原理 + 半屍人のバカ力 = 金次郎像は鈍い音を立てて動く]
か弱い乙女にこれは重労働だわ。
[縦穴にはさび付いて今にも崩れ落ちそうな梯子が見える。
しばしその縁に腰掛けて、暗闇の先の世界を*探った*]
[―――…‥ぃ‥――ぁ――は…‥‥られ‥――…し、‥――の…‥仔‥……―――]
[赤い海から還って来る者は永遠の命を捥いで還って来る。半端な半屍人から人間から完全に変貌を遂げた屍人へと。くるくる廻る幾らも廻る。何度も何度も何度も何度もやり直してやり直してやり直してやり直して誰も憶えてなんか居ない。]
ああ、…‥…だな…。
[時間も空間も捩れて攀じれて。壊れ果ててはいない。唯、大いなる何かに支配されているだけ。]
[赤い海によって断絶された内側の異界は何度も何度も何度も何度も繰り返す。罪が償われるまで。罪が贖われるまで。地球儀のように廻り廻り続ける。]
……さっさと逃げた方がいいのに。
でないと、死にますよ?
[庇い立てしてくれている男性の背中を見ながら淡々と告げる。
死ぬ以外の道筋もあるにはある。奴らと同じ、屍人になるという。
しかしそのためには“赤い水”とやらが要るという。逆に言えば、屍人に襲われた者は屍人にならない――らしい]
赤い水の流れる川――なるほどね。
[先程視えた光景を思い出し、ひそやかに納得する]
[赤い川を渡る橋の上に、ラジオが落ちていた]
……。
[流れっぱなしのラジオ。ノイズがひどいが聞けないこともない。放送をだだ漏らしながら御湯治場を探す]
>tuning... DJ botann.
暗い放送室台本らしきものが机に広げられマイクがひとつ目線はラジオから流れる言葉と同じ文字を追っている傷を負った神は地に堕ちその血は赤き川となり人の仔らは神に与えるための体を作ろうと女にページをめくる指が神の名を隠している四つの辻の中心に
>tuning... end.
[驚きで、視界が戻ってしまう。だってそこに、自分の会社の名前が見えたから]
[女性が教えたのは教誨所の位置。
それ以上の情報は期待できそうにない、と肩をすくめた]
信仰になど興味はありませんよ、それより―― え?
どうして友達の名前を?
[表情にも声音にもわずかに動揺が広がる。
一歩前に出て、警棒を手にした男性の表情を窺うように見やる]
[そしてすぐにまた一歩下がり、男性が落ち着いた頃]
……話は後です。
私は教誨所に行きます。
[急くように進む。
目的を果たさぬままここで朽ちるわけにはいかないと、全身で示すかのように**]
籠目 籠女
籠の中の 鳥は
[黙々とか細く空へと昇る煙を眺めては、
見つけた日記の途中に見つけた、
走る文字を振り返る。]
いーつー いーつー 出遭う
夜明けの 晩に
[――不朽体。
独自の宗教で崇めている者が存在するのか]
あそこ信仰の要というほどかな。姫の聖遺物とかならあるけど。ん?
[男への浸食を察し笑み。
こちらをかわしながらも何かを知ってると思しきオトハの真意を、探るように一瞬鋭く見やり]
信仰に興味ないのに教誨所行くんだ。
…暴くのは止せ。どうせ無駄だ。お前も、お前も。もう逃げられない。
まーまずは、赤い水の所へ行こ? そのあとなら何でも自由ー!
[一歩踏み出す]
[そして。ふっと、瞳の色が緩んだ]
あんた。なんでそんなに、必死かなー
鶴と亀が滑った
[護る。
綴られた文字と途切れた意思――]
うしろのしょうめん
[もし、不朽体の存在自体を壊してしまったのなら。]
だあれ?
[この村へ抱く謎は、すこしは晴れるだろうか?]
逃げられるものなら、そうしているさ。
……友達、か。
いや……今、君の視界が見えて。
言葉が幾つか、頭に浮かんだんだ。
さっきもそうだった。
サイレンが鳴る前に出会っていた少年の視界が見えて……言葉が浮かんで。
……君の姿が見えていた。おねえちゃんというのは、君の事なんだろう。彼は今?
[踏み出してきた彼女に返答する。最後は不意に前方の姿に向けて、尋ねかけ]
教誨所。……君は何の目的で……
[歩き出す彼女に向けた疑問は、しかし疑問の形には成り切らず。心配と、信仰への興味から、共に行こう、と思う、その意思が言動に浮かぶのも、遅れて。
ただ、前方を牽制するように構える。教誨所を目指す彼女は、足早に遠ざかっていったか]
……ふ。
[牽制するように構える来伝をせせら笑い]
あいつのこと? さあね。鬼になったか、かくれたのか。…あんた、そんなこと聞いてどうすんの。
[笑みを深めた]
―ジャック・弟の視界―
[どこで調達したものか、弟は弾薬装填済みの拳銃を手にしている。屍人ではあり得ない冷静さを伺わせる手つきで銃を扱い、やがて廃集落へ至り、来伝と、遠目にオトハを発見した。物陰へ潜み、銃口だけを人間の方へと向け――]
ああ! 肝心な所が!
[ラジオを両手でつかんで振り回す。音が遠くなるだけだ]
ぐぬぬ。こんな宗教じみた放送、じっと聞いてたらかぶれちまう。
[それでもラジオは捨てずに。
ちらりと教誨所を振り返る]
あの『手』の持ち主……いったい何をしようとしてたんだ。
[赤い川をさかのぼる。
遠目で下る向きに進むヘイケの姿が見えた]
[銃声。バレッタが地面へ]
[銃口の前へ立ち塞がっていた女は、弟が涙を流しているか否か、見ず。弾丸を受けた身を折る]
酔狂なんてもんじゃない
ま。この一度だけ、ね
[軽く別れ告げるよに手を振り、背を丸めた*]
……無事かどうかくらいは、気になる。
[頭が重く痛むのを感じながら、男も教誨所の方向へ歩き出そうとして――息を呑んだ。前方の相手が、撃たれ、身を丸める姿を見る]
……――
[撃った姿を確認しようとはせず。男は先に行った彼女を追い、走り出し――]
[道を、あがる。
鉱山の跡地は封鎖された跡はあれど]
通り放題だな。
おーい、ノギさーん!
[朽ちたバリケードを踏みつけて、とりあえず、叫ぶ。何のために叫ぶのか気づかぬままに。
かすかな銃声が耳に届いた。振り返った視界にノイズが走る**]
>tuning... ... ...
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