情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[あれからまた数日がたち。
山場を越えて疲れた編集者がゆっくりと路地を行く。
結局どちらともつかずふらふらといったりきたりしている男は、芸人や探偵の噂を耳にして首をかしげた]
……漉し餡にカエル?
[首をかしげて呟き]
思い出屋にあえたんだろうか。
[仕事で向かったテレビ局で見かけた芸人は、路地で見るときとは違った顔を見せているから、よくわからなかった。
だが、今日此処で会わないのなら、きっと会えたのだろうと、そう思った]
[病院のベッドに横たわる相棒。
枕元にはよくドラマで見る心電図が
ピーッ、ピーッと長い間を取って
音を鳴らしている。
レンがそこに駆け込んでくると、
それまで閉じていた病人の目が薄く開いた。
そこで、レンに向かって囁くような声で]
……大丈夫、だったか?
こんにちは。
それともこんばんは、かしら?
[社から出て横丁の路地。
ひとり路地で子どもらしい遊びをしているプレーチェへ声をかけた。]
思い出は、買えた?
それとも――売れた、かしら?
ああ、もうバッチリだったよ!
そんなことより、まずお前が病気直さないと
何にもならないだろうが!
[自分の命よりも番組オーディションの方が
大事だと言わんばかりの態度でいる相棒に
怒鳴りつける。
落ち付いてください、という
医者の注意で我に返って]
[怒鳴りつけられても
相棒は意に介することなく。
いや――既に喋る気力すらない状態だった。
会話ができるのも奇跡的と言えるような]
……よかった。
もう少しだけ待ってくれたら俺も……
いくから。
せっかく、だから……
やろうぜ、新ネタ。
……あのかえるのTシャツ、
捨ててないよな?
[力なく微笑んだ次の瞬間。
心電図の音が変化する。
かける言葉が見つからないレンに
相棒は続けて話す]
……ありがとう。
お前のような相方がいて、俺は、
幸せ『だった』よ。
[それだけ言って目を伏せる。
最後だった。
心電図は一定の音を立てたまま。
体のどこもピクリとも動かず。
そのうち温もりも消えてしまうだろう]
……なんなんだよ。
そっちから誘っておいて。
ネタもろくに書けない癖に。
ひとりじゃ何もできない癖に。
ひとりで勝手に行くんじゃねえよ!!
[罵ろうと怒鳴ろうと、行った彼は戻らない]
[そこで目が覚めた。
何年前のことだったろうかは思い出せないが
確かにそれは――]
これが……?
俺の探してた「思い出」?
[それを受け入れてる自分が不思議だった。
対価の有無を確認するより先に
まずマネージャーに電話をかけた]
[電話に出た女性マネージャーは
コンビ時代からの付き合いだ。
聞けば教えてくれるはずで。
電話に出たマネージャーはいつもの調子で]
「おはよう。
って今日は確か完全オフでしょ?何?」
[一呼吸置いて、昔の相棒の話を切り出す]
……生きてないんだよね?
[マネージャーはその言葉を聞いて
ふ、と息をつく]
「……ようやく受け入れてくれるんだ。
そう、病気でね。
アンタがずっと『あいつはお笑いやめて
実家に帰ったんだ』って真面目な顔して
言ってるのが痛々しくてさ……
あたしは何も言えなかった」
「あたしだって信じたくなかったけど……
現実は変えようがないしね。
せめて墓参りぐらいはしてやんなよ。
寂しがってるよ、きっと。
好物のチロルチョコぐらい持ってさ」
[マネージャーの語る話を
レンは時折相槌を入れながら聞いていた]
……分かった。ありがとう。
「明日からはちゃんとしてよ。
間違っても泣きはらした顔で来ないように!
それじゃね」
[マネージャーはきっちり釘をさして
電話を切った。
そして彼は、まず横丁へと向かう]
[モミジに声をかけられて、
立ち上がって、彼女を見た]
心は、決まった?
[モミジの問いには答えず、グリタに目線を移し二人ともに、そんなことを言う]
―― 廃屋の映画館 ――
[――破れた銀幕に映る心電図が、
水平のラインを引き続けている。
背後でカラカラと回る映写機の音。
老婆を載せた車椅子のハンドルに
手を添えて、背広姿が佇んでいる。
無声にて流される映像は、病室の一幕。]
[駄菓子屋にあるチロルチョコは
コンビニと比べれば種類も少なくて
ふーむと唸る]
あいつがよく食べてたのなんだっけ……。
違うパッケージのしかないな。
[1] [2] [3] [4] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了