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[居間に戻ると同時に聞こえてきた、イェンニの言葉(>>4:68)が刺さる]
[“誰も殺していない者が、2人”……と言っていたが、違う。
ただ、直接手を下していないだけで]
[アイノは、自分が殺したも同然だから]
[レイヨだって、本当ならば――]
[だから、自分は――]
―――ッ!
[声にならない声を上げ、イェンニに飛び掛る。その喉に、ナイフの刃を突き立てる為に]
[ウルスラと同じように、喉を切り裂く為に]
[イェンニの喉から吹き出す、生暖かい赤を浴びながら]
[むせ返るような、さびた鉄の匂いを嗅ぎながら]
…………。
[掌に残る、ナイフの刃がずぶずぶと沈んでいく鈍い感触に、今更ながら、身体が震える]
[生かされる為に一度喉を裂かれた自分が、他人の喉を裂いて死に至らしめたという皮肉には――気づきもせず]**
[ウルスラ家へこしらえものをとりに行くようになったのは
彼女が出掛けていた時に杖を折って困って居るのを
助けたことが切欠だったように覚えている]
[出来て居れば受け取って
出来ていなければ軽く雑談でもして――]
[海の近くのレベッカの雑貨屋に持って行って]
[漁の帰りのマティアスと会えば余った魚を貰う事も]
[教会に持って帰るとドロテアが喜んで
彼の元にお礼を言いにいったこともあった]
[アイノが村に来た時はゲルダに挨拶もした覚え]
[――――日常。]
[この村に着いた時イェンニはまだ小さかった。
だから自分が産まれた時、
背に桔梗色の鬣があったなんて知ることはない。
ただ危険だと捨てられて。
この村の神父に拾われて。
その後にドロテアが拾われてきて――
おだやかな毎日を過ごしてきた。]
[神父が亡くなってからは姉妹で暮らして来た。
ドロテアは村の機織りの手伝いに毎日でかけ。
自分は教会をまもり過ごして行く
そんな日々に罅が入る音は 微かでも良く響いた]
[ニルスがイェンニに投票するというのは聞いていた。
居間へと降りればイェンニがそこにいて。
しばらくあとにニルスやユノラフ、クレストもやってくる。
投票をはじめる様子に小さな吐息を零し。
選んだ名前を書いて、箱にいれた。
イェンニとニルスのやり取りに口を挟む事はなく]
[人数を口に出すイェンニに、わずかに眉を寄せる。
それでも、その言葉を止めることはなく。
ユノラフへとちらりと視線を向ける]
……
[狼だと判断した男はいつもの陽気さはないように見えた。
居間から少し姿を消していたクレストが戻ってきたとき。
その手にある銀色に瞳を眇め]
[止める暇もなく、イェンニへとナイフを突き立てるクレストに、
ただ、ため息を零した]
……かわいそうに、の。
[どちらへ向けてともつかぬまま、呟きを一つ。
クレストを止めるためにか、それとも、手を下すのをかわるためにか、立ち上がっていた二人の男を見る]
[ユノラフの背後へといつの間にか移動して]
おまえさんも、向こうへいっておいで。
[そんな声をかけて。
ユノラフがこちらを振り向いた時に。
狼に変じて、その咽喉笛をくいちぎった。
居間が赤く染まる。
イェンニの血と、ユノラフの咽喉から吹き上げる血で。
彼がかざしかけた首飾りが、血溜りへと、おちた]
[灰色の毛並みにかかった赤い血を軽く舐めとり。
狼は、ニルスとクレストへと、瞳を向ける]
さてさて。
食い殺せるかの……
[いいわけも説明も、なにもしないままに。
朝になってから狼に変じる辛さも感じさせないままに。
油断なく二人を見つめた*]
[ひとを、ころした]
[イェンニは、人間では無くなってしまったのかもしれないけれど。それでも、彼にとっては、人だった]
[絶命し、足元に崩れ落ちたイェンニのガラス球のような双眸が、自分を見つめている]
………っ。
[後悔は、していない。いや、してはいけないと、ぐらつきかけた気持ちを立て直し、イェンニを見つめ返す]
[掌に残る、鈍い感触を]
[胸に広がる、にごった感覚を]
―――ッ。
[振り切るように奥歯を噛み締め、血まみれのナイフを指から剥がすように、ゆっくりと、ゆっくりと、手を開いていく]
[彼の手から滑り落ちたナイフが、床に落ちて。甲高い金属音が、居間に響く]
[緊張が解けたのか、一気に体中の力が抜け、イェンニの血だまりに膝から落ちた]
[途端]
………!
[ざわり]
[全身が総毛立つ、感覚に、背中が跳ねた]
[ざわり]
[毛穴という毛穴から、冷たい汗が噴出す]
[未だ、じくじくと痛む脇腹の傷が無ければ、発狂していたかもしれない]
[――得体の知れない恐怖が何なのか]
“おまえさんも、向こうへいっておいで”
[その声と共に、知る]
―――――!!
[狼に変貌したヴァルテリが、ユノラフの喉笛を食いちぎる様を目前にして]
[――この、圧倒的な恐怖に晒されて、マティアスもウルスラも、死んでいったのだろうか]
[仇を目前にしながら、身体が動かない]
[ニルスに目をやると、信じられない、といった様子で小さく首を振るのが見えた]
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