私と、ツキハナと、アンちゃんと、
[一人ずつ指差しては食器を示してゆく。
最後の一つで指を止めて]
私のことを嫌いな、あの子の分。
[空に浮かぶ朧月は、昨日のそれよりも*大きい*]
宿屋の若女将 江夏 ゲッカは、ここまで読んだ。[栞]
お姉ちゃまと、わたしと、アンちゃんと
[ひとりずつ、ひとつずつ。
刻まれる数。
だけと、最後のひとつだけは、欠けたまま。問いかけは幼い眼差しを向けたままに]
お姉ちゃまをきらいな…?
[姉を庇おうとした自らの言葉は、自警団には届かず。
ねむり薬を打たれた姉を、成す術もなく見送った後、半ば奪うように村医者から奪い取った注射器を手に、部屋へと閉じこもった。]
まやかしを…見抜く術よ、教えて?
もう、これ以上犠牲者が出るのはたくさん…
[自らが持つ力を世の中の言語に当てはめるのなら。
占術、それが一番近しいだろう。
江夏の女にはその力がある。
少なくても、自分と祖母はそうだった。]
[しかし新たな結果を得られる前に、
命を落としたらしい。
今は大切な紅が懐から零れ落ちそうになるのも止められず]
――っ…ンガムラさっ…
ほん…とうは、もっと…早くにっ、
[温かみのない涙を止める術もなく]
ううん、ずっと、ずっとンガムラさんのこと……
[施される死化粧をただ見つめながら。
初恋とも呼べぬ淡い好意も、唇から爆ぜることもなく、やがて総てが消えるだろう。]
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墓下が素敵ホラー。
ツキハナちゃんちょうかわいい。
おれも墓下に行きたい。
いや、似非方言の無理がそろそろ……合言葉:ふぁんたじーでがんばる。
元々は胡散臭い枠のつもりだったはずが。
屍体に化粧とかなにこのひと頭おかしい処刑、とかしてくれてええのよ……!
あー、RP下手だなーと思う。
RP村っていつ以来?
あれ、去年のかみかくし村の狼ゼンジから記憶ないよ?
あの時ご一緒いただいたグリタ@狼さんに心配されてた。主に突然死的なことで。
しかし劣化は認めざるを得ない。
[白粉を塗り、そっと親指で娘の頬を撫でた。]
……なんで、ツキハナちゃんが。
おれ、ゲッカ姉にツキハナちゃんのお嫁入りの話聞いて、……へんな話、ほっとしたんよ。
[寂しさがなかったといえば、嘘だ。
けれども、真っ当な男と添い遂げて、真っ当に幸せになることが、彼女にとっての幸せなのだと思っていた。]
ツキハナちゃんには、幸せになってほしかった。
おれが村に居た頃、無邪気な笑顔であとをついてきてくれる小さな女の子の存在に、どれだけ救われていたか。……きっと、知らんかったよな?
[指先に触れる滑らかな肌は、湿っていた気がした。]