[……訪れた少しの浮遊感に身を抱くように俯いて。
視界の明滅に、ひ、と小さく声をあげ照明を見上げる。]
やだ、これも故障……?
[夏向きの……なんてものが頭をよぎり、俯きがちな顔からは色など消えている。
目の前の不安に、誰を追い出すか、なんて考えられぬまま]
[友人の指摘する通り、
仮に「避難誘導実習」だったとして。
大切なお客様を「追い出す」だなんて
表現をする指導員は…知る限りいない。]
[得られぬ応えにナオへ笑む友人が
疑問符を羅列しだすと、目許を擦って]
…マシロは。
いつでもなんでも、
自分がわかってればそれでいいんだわ。
[ワカバと同じく口調の一致をみる
指導員がいないと至る思考を黙し悪態をついた*]
――そういえば。
追い出してって、いつまでに、追い出すんだろ。
[この短い時間に2度もアナウンスがあった。
次の階でということなら今にも扉は開くだろう。
当然まだ決めてない。というより*考えられてないのだが*]
あ、…
[明滅。灯りが頼りなくなる。
狭い空間にある友人たちの存在さえも。
隣にいるワカバの蒼白な面にはっとして]
ナ、ナオ。
開いたら、ドアロックおねがい。
[オベレーターの位置についているナオへ
震え声をかけながら、漸く立ち上がろうと。]