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[帽子とマフラーはまだ傍らに置き。男はベッドの足元近くに位置している、昨日描いた絵に顔を向けた。パステルカラー。聞こえた響きに誘われた、柔らかな色彩。
その響きの主が、シルエットの元ともなった女が、もう亡き者となっているという事など、男は知る由もなく]
……
[程無くして、朝食の時間が訪れた。
慣れた病院食を、美味いとも不味いとも言わず、美味そうでも不味そうでもなく食す。食事が終わってから、男はベッドの上で暫しぼんやりと*していて*]
ごちそうさま、でした。
[一人で過ごす日は、一日中病室にいるか、談話室にいるかのどちらかだ。体調の良い日は、大抵談話室で過ごしている。
食器をまとめてから薬を飲み、布のバッグに数冊の教科書とノートを詰めて、再び談話室に向かうことにした。赤いオーバーを着て、タータンチェックのひざ掛けもバッグに詰め。
荷物が多かったので、縫いぐるみは置いていくことにした。]
ちょっと、お勉強してくるね。
[バッグは肩に掛け、食器のトレイを手に、千夏乃は再び部屋の外へ。]
[今朝のメニューはパンが2つにソーセージ、スクランブルエッグ。そして何故か……味噌汁。メニューはある程度、人によって違うはずだ。しかしこの組み合わせはよく見るものだった]
んむー
[少しずつ、よく噛んで食べる。パジャマでご飯なんて休日みたいだ、とか。最初は思ったものだった]
午後まで暇、か
[結城にはああ言ったけれど、部屋に戻ったら少し寝よう。寝癖の直った頭は度々揺らぎ、如何にも眠そうに見えるだろう]
朝・3階
まだおはようございます、ですよう。先生。
[声を掛けられて、振り返る。
昨日中庭で会った、結城医師だった。
子供らしい笑顔を浮かべて、千夏乃は答え]
誕生日にもらったんです。両親から。
わたしの、一番のともだち…あっ、弟がいるから、二番目、かな。
[千夏乃はどちらかというとおとなしい、目立たないタイプだったから、学校ではそんなに友達の多い方ではない。休み時間も一人で静かに本を読んでいるような、そんな子供だ。]
ああ、そうだったそうだった。
えーと、おはようございます。
[視線が重なったのは丁度、沢渡の病室の前だっただろう。
ちらり、沢渡千夏乃、という病室の名札を確認する。物静かそうな、けれど屈託のない笑顔につられて、こちらも頬を綻ばせた。]
そうか、弟と仲が良いんだね。
……今から、勉強? 先生も少しお邪魔しようかな。
[彼女の肩にかかるバッグを指し示し、首を傾げた。]
食堂
…今、この清き食を終わりて。
心豊かに。
力身に満つ。ご馳走様でした。
[小さい頃こういうように教わっていたので、今でも食べ終わったときはそういってしまう。
…が来た時には、今までに数回は会った、いや恐らく話したことのあるであろう同年代くらいの少女が>>53いたが、どうも考え事をしているようなので自分から話をすることはやめておいた。
…は入院しているが殆ど検査も無いので、今日も暇だ。]
…談話室とか、行くか。
[少なくとも誰か知った顔は居るのではないだろうか、なんて考える。
勿論、…の場合は勉強に使うこともしばしばあるが。そんな気分ではあまり無い。]
[しっかり数え上げた後、もう一度窓の向こうの人影に手を振った。
老婆はまた、足を少しく引きずる歩行を再開する。
建物内に入り、まっすぐエレベーターへ――けれど鈍い速度で向かった彼女を引きとめたのは看護婦の声だった。]
「あら、田中さん。
朝ごはん食べましたか? 今日はスクランブルエッグですよ。」
ああ、はァい、はい。
まだ食べてなかったですよォ
老いぼれちまうとヤですねえ、ご飯のことも忘れっちまって。
……ン、ン――……まァねえ
さっきの窓の子も、朝ごはん食べに来てるかも、知れないしねェ
[それでも視線はちらりと上に向かい、ため息を吐いた。]
そんでもォ、先に五階行っちまっても……
バレないかねぇ
はい。自習しておかないと、学校に戻った時についていけなくなっちゃうから。
[千夏乃はバッグの中から、数学の教科書を取り出して見せた。]
一人で勉強してると、やらなきゃいけないプリントもないし、好きなだけかさが増えていくお風呂が想像できるから、わたし、けっこう好きなんです。
教室に戻っても、授業中にあふれるお風呂で溺れちゃいそう。
[章末の文章題を思い出して、くすくすと笑った。お風呂、というのはy=ax+b、というあれのことだ。
文章を読んで、あるいは音楽を聴いて、そこからイメージを起こすのは好きだ。一人遊びの好きな子供らしい、ある種の特技のようなもの、なのだろう。]
あらァやだ。
あんたにまでそう言われるたァ思ってなかったよ
なんだい、ハクジョウめ。
一食抜いたぐらいでオッチヌ婆さんじゃねェってのさ。
[眉間に皺を寄せ、一人で騒がしくしながらも、
それでも彼女は食堂へ向かい始める]
三階廊下
[取り敢えずじゃあなんか取りに行くか、と思い自室に戻っている最中に、何回か自分も見てもらったことがある記憶のある…確か結城先生と、もう一人。
前に居た時は見なかった顔で、きちんと話したことは無かった少女の姿を捉えた。]
おはようございます。あと…初めまして。
[前半は結城先生に、後半は彼女に向けて。]
食堂
[足を引きずり、持ち上げては引きずり、老婆の歩みは遅い。
その場についた時には食べ終えた面々が食堂を離れていく頃合だった。
小さな眼を左右に動かし、窓の向こうで動いた色彩と、似ているものはないかと探す。
その途中知った影があれば皺を深くして微笑みかけることだろう。]
こちら、失礼しますよォ
[老婆の娘と近い年齢――のようにも、老婆には思えたが、彼女は長いこと娘にも孫にもあっていなかった。いくつほどであったかも、遠い記憶の中、笑い声のこだまする家族風景で途切れてしまっているから、彼女の中には何一つ娘の現在を想像できるものは無く。幾度か声を交わしたことのある相手の、蓮向かいに腰を下ろす。]
ああやっと着いた。
一日、一日、なんだか食堂が遠くなっていく気がしますよ
[皺に紛れてしまうように眼を細くさせて、朝の挨拶を向けた**]
おはようございます。…もしかして、中学生ですか?
よかった。近くの部屋、ちっちゃい子ばっかりで。中学生になっても小児科に通ってるのってわたしだけなのかな、って思ってた。
[通りがかった少年に、ぱっと顔をほころばせ。]
[廊下で立ち話をしていた矢先、横切る少年へと意識が映る。
小さな頃から幾度か見たことのある顔だ。軽く手を上げ挨拶を送る。]
おはよう、後藤君。
……ああ、『初めまして』なんだね。
[…と、そこで沢渡の様子を見守る。
嬉しそうな様子に気づいて双方を見つめた。]
立ち話もなんだし、談話室に行こうか。
何か飲むかい、二人とも。
あ、わたし、白湯のみます。
お茶も持ってたりするんですけど、お茶よりお水のほうが、好きです。
[バッグの中には、ちゃんとお気に入りのマグカップも入っている。
談話室ではいつも、給湯器の湯をさまして飲んでいた。紅茶は渋いし、緑茶は苦いし、まして、コーヒーなど。
ココアやジュースのような甘いもの嫌いではないのだが、そこはまあ、思春期の少女のことだ。いろいろと気になる年頃なのである。]
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