情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
―コテージへの道行き―
[ふらりとした覚束ない足取りでコテージへと向かう道すがら。それほど遠くもなく、でも離れた所で痛む頭に程よく響く大歓声。その時だ。はらり、ひらり。夏至祭が行われるこの時季には似つかわしくない、白い雪が降る。ニルスがそれに気付いたのは少し後だった]
ん……?
[被っている帽子のつばよりちょっとだけ出た鼻先に、ひんやりとした白い雪が落ちる。雨かと思ったニルスは訝しげに空を見上げる]
ゆ、き……。
[頭痛でぼんやりとし始めた思考で何とかそれが雪とは理解したが、何故それがこの時季にとまでは考えが至らなかった。空を見上げた顔を戻せば、重い足取りでコテージへと歩を進める。そのまま目的地に着けば、何にも目をくれず部屋に入りベッドで休むだろう]
―コテージの一室―
[どれほど眠っていただろうか。まるで倒れるようにベッドで寝て深くも浅くもない曖昧な睡眠をとっている間、何か懐かしい夢でも見た気がする。未だ重たい瞼を上げれば、自室とは違う天井がぼやけた視界に入り段々と覚醒していく]
…っ、まだマシな痛みか…。
[ゆっくりと上体を起こせば、ずきんと大きな痛みが頭に響く、が。それ以上は何もなかった。寝た事で乱れた伸びきった前髪を掻き上げ、溜め息を一つ吐く。見た夢は思い出せないが酷く心地良かったことだけは分かる。
それから暫く耽るようにぼうっとしていたが、部屋の外から数人の声が聞こえてきたので何事だと思いサイドテーブルに置いた眼鏡をかけ、乱れた髪とジャケットを羽織らないラフな服装のまま声のする方へと*出て行った*]
―少し前―
[何が起きているのか、外に出て確認をしようと部屋を出た瞬間。少し下から聞こえてきた声に、近くに感じる人の存在。誰だと思い下に目をやれば]
イェンニか…。
[村にありニルスも時折り利用する雑貨屋の女店主。まるで確認するかのように名前を呟けば、相手から返ってきたのは謝罪と労りの言葉>>84>>88]
…良くはなったよ。
[無愛想に、手短に。季節外れの雪と聞けば、はっとしてコテージに来る前の景色を思い出す。長話をするつもりはなかったがせめて近況だけでも聞こうとする。だがその時には彼女はもう場を離れており、去り際に何か呟いたがニルスには聴こえておらず]
…まあいい。
それよりも頭痛のことを話したのはダグか…?余計なことを…。
[ちっと小さく舌打ちをする。あまり多くを語らない養蜂家は、時にニルスにとってお節介な存在となるのだ。軽く頭を掻けば、状況を把握しようとコテージに入った時に通り過ぎた大部屋へ向かった]
―大部屋―
[大部屋に入ればそこには既に何人かの人が居る。皆見知った顔だが、それよりも]
どうしてこの時季に雪が降ってるんだ…。
[外の景色が存分に見える窓に近寄れば、ガラスに手をつけ外の様子を見つめる。確かにコテージに来る前、雪が降っているのを認識した。しかしそれも夢の一部だと思っていたのだが…どうしたというのだろうか。この国の生まれなのだから土地のことは熟知していたはず。いつもは仏頂面のニルスの顔も、この時ばかりは僅かに驚いたような表情をしていた]
これでは…蝶が…。
[…その次に考える事は愛してやまない存在のことではあったが]
>>141
[背後から声をかけられ、おもむろに振り向けばそこには盲目の男マティアスが居た]
君か…。僕は一足先に来ていたんだ。
それで部屋で休んでいたら煩い声が聞こえてね。
[顔だけではなく体ごと彼に向けてそう言えば、辺りに居る人達にちらりと視線を向ける]
それからここに来て外の様子を見ればこの有様だ。
…確か君はここに来る前までは酒を飲んでいたんじゃないのか?
雪の中で飲む酒もまた格別では?
[こんな大雪の中で酒でも飲んでいたら凍死する事ぐらい馬鹿でも分かる。これは冗談ではなくて、酒好きなマティアスに対する皮肉だ]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了