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「モミジちゃん!」
[あの日からまた数日後。
引き寄せられるようにして足を踏み入れた横丁のお社の前で]
あれ? ゼンジさん? こんにちは。
[彼女は再び奇妙な出遭いをする]
[交わした言葉は他愛のないものが大半だっただろうか。
それでも彼女は、ふとひとつの疑問にかち当たる]
ねぇ、ゼンジさん。
思い出屋さんってどこで思い出を仕入れているのかしら?
それと…
[その後古き知り合いと分かれた彼女は]
あ、焼き鳥屋のおじさんこんにちは。
え? 新しい噂?
お饅頭屋さんのこし餡が?
でもそれは…
はい? Tシャツに蛙って…
それはある意味思い出屋のお仕事っぽい感じが、しないこともないわよね…。
[新たな噂話を耳にする。
こし餡を抱えた夕日色のジャンパーらしき男。
そして懐かしいアニメのような悲劇に遭った、マフラー男らしき姿。
それはある意味思い出屋の仕業にも思えた。
懐かしい、という意味で**]
こんにちは。
それともこんばんは、かしら?
[社から出て横丁の路地。
ひとり路地で子どもらしい遊びをしているプレーチェへ声をかけた。]
思い出は、買えた?
それとも――売れた、かしら?
[二人の会話を静かに判別する。
居なくなった犬を探す子ども。
一瞬目を伏せて真実にたどり着いた大人。
ひとは何故、いろんな物を無くし、
いろんな物を見つけるのだろう。
そして――]
心なんてはじめから決まっているわ。
はじめまして、想い出屋さん。
[優雅に一礼する姿に微笑を返し]
わたしの欲しいものはきっと――
[ちらりと、眼鏡姿の大人を一瞥し]
貴方には売れないものだわ。
[だってもう、対価は持っていないから。]
つよい? そんなことはないわ。
私はいつも声を上げてなく、子どもよ。
でも、この横丁に来て。
貴方の噂で出逢えたひと達が居たから。
私はつよくなれたの。
想い出屋さん、貴方のおかげだわ。
ありがとう。
[「好い旅を」
交わす微笑みは、互いの幸せを願って――]
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