久しぶりに生ワカバ先生と話してしまった。相変わらずちまこくてかわいい生き物だ。
さーて、それにしてもうちのばーさまはどこまで行ったんかな。
……お腹減ったー。
森…は、だるいなぁ。
[名を呼ばれて振り返る]
ん?
あ、せーじくん。
…ん、んん?
[くんくんと匂いを嗅ぐ]
もしかして、さっきまで集会所に居た?
[適当に言ってみただけとは言わず、にやりと笑う]
うん、わかるの。
…あ、ってことは、今日はもうごはん食べた?
[……裏切り者だな…と、聞こえるか聞こえないかわからないくらいの声で呟くと]
また家にも食べにおいでよ。
明日なら、いちじくがあるかも。
じゃ、またね。
[手を振って*自宅へ*]
― 回想 ―
[自宅へ帰る途中、集まって遊んでいたのだろうこどもたちが寄ってくる]
『あ、マシロだー!』
『ましろーなにしてるのー? かくれんぼしよー』
[先生というよりは、遊び相手として接してくる子らの頭を乱暴に撫でながら]
元気だなぁ。
今、せんせーお腹減ってるんだよねぇ。
…あ、みんな、うちのばーちゃん見なかった?
[あまり期待したつもりはなかったが、帰ってくる言葉に少しだけ落胆し]
そっか。
…ん、と、今日はかくれんぼすんの?
はは、私は家帰ってごはん食べないと。
はいはい、みんな仲良くね。特にデンゴとルリ!
…ふふ、よしよし。
あ、範囲は地蔵のところまでだよ。
その先はルール違反。わかった?
[元気な返事に笑顔を浮かべ]
良い子にしてたら次のときに新しい遊びを教えてあげるよ。
はい、またねー。
[戸が叩かれた音に立ち上がり慌てて駆け寄ったせいでたんすの角に小指をぶつける]
……っつぅ…。
[片足でぴょんぴょん跳ねながら、玄関までたどり着き戸を開ける]
ばーちゃん! どこ行っ……。
あ…れ…、せーじくん。
[気まずそうな顔のセイジにぷっと吹き出し]
くくっ…ごめんごめん!
誘ったのは私だもんね。
あ、入って入って。
…でも、せーじくんタイミング悪いなぁ。
ばーちゃんまだ帰ってなくてさ。たいしたものないんだよね…。
こんなに遅いと、森じゃなくてホズミさんのとこで世間話かなぁ。あ、森に寄ってホズミさん家? あー、うん、あるある。
[後半、独り言のようにぶつぶつ呟きながら、先程のように片足でぴょんぴょん歩く]
[突然振り返って]
あ、鍵開けといてー。
[またぴょんぴょん歩き出すと]
そ、なんか出かけちゃって居ないんだよね。
…ああ、うん。
そう、次に教えるやつ………ぷっ。くくっ。
[素直な反応が楽しいらしい。ひとしきりセイジをからかって楽しむと]
あーごめんごめん。
たんすの悪魔が悪さしたのよ。
[そんなことを言っているうちに台所に着く。食べられそうなものを物色しながら]
さーて、せーじくん、そうめんでもいい?
あとは…つけものが少し、かなぁ。
じゃがいもは生でかじれない…よね…?
…うむ、せーじくん、キミは思った以上に運がないっぽいよ。
[そうめんを茹でて、漬け物をいくつか出してふるまう。からかいながら一緒に食べ終わると、またおいで、と言って別れを告げるだろう**]
[座って、紙に何か書き付けている]
『 ばーちゃんへ
帰りが遅いのでその辺を探してきます。ばーちゃんはごはんでも作って待っててください。絶対外に出ないで待ってて。
あと、ほかほかの梅おにぎりがいいです。
万代 』
[ため息を一つ。そして何かを振り払うように頭を振ると、殊更ふざけた調子で]
…まったく、年を考えてよね…。
どこまで遊びに行ってるんだか…。