─ どこかの海辺 ─
[ざああ、ざあああ、と波の音が響く]
『……ねぇ、シオマネキ……って、ホント、なんでシオマネキいるし』
[波音の合間を縫って上がる声。
呼びかけられた蟹はんなもん知らんよ、の態でさかさか歩いて行く]
『だから、シカトしないでよー、話聞いてよー』
[さかさか さかさか。
てんてん てんてん。
夏の海辺で蟹はのんびり横歩き、兎は忙しなく跳ねていく]
『ねぇ、シオマネキ、ここ、色々とヤバいよね』
『……』
『『時計』の主の姿が見えないんだ』
『……』
『どこかに沈んじゃってるみたいなんだよ』
『……』
『……沈むと、全部沈んで『時計』も壊れちゃうんだよねぇ』
『……』
『どーすればー、いーと思うー?』
[矢継ぎ早、紡がれる兎の問いかけに。
蟹は終始、無言だった。*]
☆舞台設定
・プロ、エピ
日常空間。
時代設定は現代、場所指定は特にありません。
全員が同じ町にいる必要もありません。
・1d以降進行中
PCたち以外は誰もいない、海辺の街。
駅などの施設はひと昔前、と言った風で、どこか懐かしさを感じさせる。
街のあちこちに色とりどりの朝顔の花が咲いており、時折、どこからともなく歌声のようなものが聞こえてくる。
※街に何があるかは言ったもん勝ちです。
※歌声は、聴く人によって様々に変化します。
☆PC設定
ごく普通に生活している、(一応)一般人。
もしかしたら不思議な力を持っているかもしれないし、なんにもないかもしれない。
全員、『夏の海』や『朝顔の花』に何かしらの強い『想い』を抱えている。
その『想い』が特に強く海に沈んだ『何か』と共鳴した所が、『鍵』と『螺子』の依代となった。
☆時計兎
直立二足歩行する、謎の兎。懐中時計を手に持ち、てんてんと跳ね回る。
性格はマイペースというかゴーイングマイウェイ。
自分の話は一方的にするが、人の話は絶対聞かない。
『想い』が形を成して時を刻む『時計』の管理者らしいが、その仕事ぶりには疑問がつきまとう。
※状況説明が必要な時に、村建て発言で現れるNPCです。
※多重遍在してどこにでも現れるので、兎の話を聞くために集まる、という事はしなくても大丈夫です。
※質問事項があった場合は、こちらでお答えします。
☆狼側設定
・鬼(人狼)
海に沈んだ『何か』の『想い』と強く感応したもの。『時計』の『鍵』。
見つけてほしい、けれど、捜さないでほしい、という矛盾を抱えた『何か』の願いに共鳴(もしくは乗っ取られ)して、空間からの他者の排除を試みる。
が、時計兎の干渉のため、力は明後日の方向に跳んでいく。
※襲撃はランダムセットしてください。
※6人時にのみ編成される囁き狂人も、襲撃に関よ出来ないだけで基本設定は同じです。
☆村側設定
・占い師
抱いている『想い』の影響から、『何か』と共鳴した者を感知できるようになった。
が、『何か』の拒否反応のためか、力は明後日に跳んでいく。
※占いはランダムセットしてください。初回呪殺避けのダミー占いはありです。
・霊能者
抱えた『想い』から、『何か』と共鳴した者を感知できるようになった。
が、その力が発揮されるのは、対象が狭間の空間に落ちてからとなる。
狭間の空間を覗き見る事はできるが、直接の触れ合う事はできない。
会話は一応できるが、傍目には独り言にしか見えない。
・村人
『夏の海』や『朝顔の花』に『想い』を抱くが、幸い?おかしな力は持たずにすんだもの。
☆妖側設定
・狐
海に沈んだ『何か』の『想い』と強く感応したもの。『時計』の『螺子』。
宿した力が強いため、当人の意思に関わりなく向けられた力を弾いたり、或いは、向けられた力から何が何でも逃げようとしてしまう。
☆吊り・襲撃
吊り・襲撃共にランダムセット。
吊り・襲撃・呪殺、いずれの場合も対象者は霞のようなものに包まれて消えてしまいます。
・吊り:空間の綻びに囚われる事による、狭間落ち。
・襲撃:『何か』の拒絶の念による、空間からの弾きだし。
☆墓下
幻影の海辺と現実の狭間の空間。
海辺の街ではあるのだが、現実にも近い位置にあるため、そちらに干渉する事はできないし、特殊な力を持ってしまったもの(=霊能者)以外からは姿も見えない。
☆進行関係
【この企画は人数によって、進行方法が変わります!】
・人数がダミー抜き5人以下だった場合
編成:鬼狐霊村村
1dと2dを48時間にして進行。低確率で3dに突入しますが、その場合は24で進行してエピ入りします。
・人数がダミー抜き6人以上だった場合
編成:6人:鬼囁狐霊村村
7人:鬼鬼狐占霊村村
8人:鬼鬼狐占霊村村村
1dのみ48時間、以降24時間で進行します。
☆プロローグ
何事もない日常の、一幕。
が、時折視界の隅を時計を持った兎が駆け抜けたり、真夏の海辺が見えたり、と異変の欠片めいたものが発生している。
※入村後、簡単なプロフィールをメモに貼っておいてください。
全員が同じ町にいなくても構いません。
☆1日目
突然、柱時計のものらしき鐘の音が響く。
その後、風景は一変。海辺の街へ移動する。
時計を持った兎が各自の前に現れ、事情を簡単に説明。
『鍵』と『螺子』を見つけて、と一方的に依頼してくる。
※時計兎は、開始後に天声で簡単に描写。時計兎は多重偏在するので、この話を聞くために一箇所に集まる必要はありません。
※1日目開始の直後の天声の隅っ子でダイスを振ります。出目が偶数だったら鬼が、奇数だったら狐が『何か』の正体を決めてください。
☆2日目
引き込まれていた一人、アンが姿を消す。
時計兎曰く、「あ、空間から零れ落ちちゃったみたい☆(てへ」との事。
どうやら、『時計』の修復を望まぬものがいるらしい事と、空間自体が不安定なので強引に弾きだされる事があるらしい、とだけ説明して、兎はどこかに消える。
☆3日目以降
また数人が姿を消す。
『何か』の正体は何なのか、『鍵』と『螺子』はどんな道を選ぶのか──それは、それぞれの『想い』次第。
☆エピローグ
『鍵』と『螺子』は見つかるか、そしてその後の選択は──。
※『何か』にどう働きかけるかは、勝利陣営が決定できます。
※生存者の簡単な〆の後は、灰でフリートークに。その後ロールや補完は自由に展開してOK。
[ざああ、ざああああ、と波音響く。
音に紛れて、響く歌。
歌にあわせて揺れる色とりどりの朝顔は。
どこかしょんぼり、沈んだ態で。
吹き抜ける風に揺れていた、けれど]