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― 回想・2年前 ―
[あの日も今日みたいに雲一つない晴天。
家に帰宅すると母は笑顔で私と双葉を迎えて抱きしめてくれた。
その日の夕食は一際豪華だったけれど 肉 のない料理だった。]
" 若葉、双葉。
今度の儀式でね 母さんが――― "
[話を聞いた時の自分の表情だけは未だに思い出せない。それから儀式が恙無く行われ 久しぶりに双葉と一緒に 肉 を食べた。]
[がた、がたたん!
激しい音と共に若葉は椅子からバランスを崩して落ちた。]
いててて…
どうしたんですかー?
[飛び込んできた教諭が告げたのは、1人の人間の死体報告。それは遺体の解剖、解体依頼でもあった。]
アンちゃんが?
――――…すぐ向かいます。
― 村長の家 ―
はぁ、…はぁ、…っく。
お待たせ……しました。
[小さな肩を上下させながら村長の家に運ばれたアンの姿を見る。
最初の発見者がマシロで、アンが森の奥で見つけたことも聞かされた。
他の村にいる医師もその席にはいたが数は多くない。その後、死因を解明するのと同時に腑分けも始められる。
それにより、彼女の死が 自然死とは明らかに異なり、人の手によるものだと解れば村長は人を集会場へ集まるように村中に連絡が走るのだろう。]
[腑分けの際に切り肉片の欠片も洗浄した腸に血と共に詰めた。こうしておくとある程度保存がきくものとなる。それが村長の好物らしい事も、繰り返す作業の内に知る事となった。]
はふ、…
[両手も白衣も赤に染まり、暫くは血の匂いが抜けないのだろうなと思う。]
この村に、罪人が いるんだね。
[確認するように呟いてから、アンの死体状況を細かく書いた手帳を鞄にしまう。]
見つけなきゃね。**
[ホズミから茶を受け取り、質問が飛べばアンは他殺死体であった事を伝える。
獣の手ではなく 人間の手で ―――。]
あ、…
村長。
[集められた人数は少ない。
告げられた二つの事は彼女の内では予想できていた事。
大きめの瞳を数度瞬くだけで周囲の人の顔を探るに似る。]
[マシロの身体からはまだアンの血の匂いがしていた。自分と同じ匂いだ。
彼女から身を離し、それからダンケへ視線だけ移動させてから]
昨日の夜から今朝まで…
みんなが何をしていたのか。
それを言いあってみようか?
疑わしい人は捌かれるだけだけど
その人を探さなきゃね。
相手の意識がない状態なら女性でも可能だったと思うよ。
そうじゃなきゃ容疑者の半分が女の人なわけないよー。
[割り込んでくる清治の方へ今度は歩み寄って、じぃぃ、と彼を見るも背は低いため顔は彼の胸元辺り。
身を僅かに屈めれば彼の手元も近く
すん、と一度鼻を吸った。]
私も解らないよ。
アンちゃん、まだ若かったのに…
[肩を落として、清治から半歩引いて身体の向きを僅かに変えて半身だけを清治に向ける。]
あとでみんなでちゃんと食べてあげなきゃね。
それがアンちゃんのためだよ。
ポルテさんが寝込んでるのが残念だね。
[アンの弔いを想い、そっと呟いてから]
んー…
アンちゃんの死体の状況を見て
複数犯かどうかまでは解らないけど
単独の可能性は高いって
他のお医者さんが言ってたよ。
さてと、…
はいはーい、清治くん一緒にお散歩しよー。
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