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― 集会場 ―
アンちゃん、早いなあ。
[少女の姿を見つけるとそう溢し、懐から読み損ねた茶封筒を取り出し、読み始めようとした。**]
……!
[すぐに、立ち止まる事になった。前方から蠢く気配を感じた。咄嗟に廃屋の影に隠れ、様子を窺う。緩慢な足音が聞こえた。そっと覗くと、人影が見えた。それが此方を振り向いたのに、どきりと身を引っ込めて]
……な、……何、なんだ。
何なんだよ……
[心臓が強く脈打つ。息が上がる。一瞬見えた人影は、人ではなかった。異様な肌。白目を剥いたような目。流れる赤い涙。封じる板が頭を過ぎる。あれは、もしかしたら。この村は――?
惑乱の中、*身を潜め*]
―集会場―
ねー、カズキ、従兄くんは…?
[弟のカズキから明確な答えはない。
アンの隣へ腰を下ろすとジャム煎餅をくわえる。
そのまま、小首を傾げ、]
アンちゃんって、腕細いよねー。
ね、これ使う?
[カズキの持つ金属バットを取り上げ、それをアンへ差し出した。
バットには大きな凹みがあり、何かが変色したらしき染みも所々に付着している。
咀嚼音を立てて、少女へ密かにウインク。
開いた側の片目が紅色を一筋流す*]
―村役場―
[轟いたサイレンの余韻が去りゆく頃――耳を
押さえうずくまっていた少年が漸う我に返る。
能面のような表情はそのままに、額へ薄い汗。]
ぁ…
隠れないと、また
[ふらりおぼつかぬ足取りで歩き出そうとする。]
美津保おねえちゃんが …こわくなる
[耳の奥へ、短く連続したノイズ音]
[―ざ―] [―ざ―] [―ざ―]
[切り替わる視界の幾つめか、端に
少年が―自分が―映る其れがある。
オトハ女史を見遣る相棒の、視線。]
.
…トカイの人
おばさんじゃ なかったんだ
[都会でなくトカイ(@ハンガリー)の発音で
オトハ女史へそう言いながら振り返る。]
ごめんね
あんまりよく 見えてないんだ
[甘酸っぱい匂いと周囲から澱んだ匂いがした。]
アンちゃん…?
[唐突に腕を握られるが後ろは振り向かず。]
気分が悪いなら一度外に出るかい?
―――…っ…、
[ジ..ザ....視界に混入し分割した視界の中に見えるのは、アンの視界。]
は…?
[一瞬、思考停止する。ホズミの片目から血のような液体が流れ出している。その意味らしきものが、脳に染み渡る、次の瞬間。ノギは、アンの手を握り引き寄せようとしながら]
ホズミちゃん、あんた…。
[自然、距離が置いた。**]
じゃ 俺、行くよ
[少年は、外へうろつき出す異相の村人たちに
見咎められぬよう身を低くして…役場を出る。
オトハ女史らへ告げる別れはみじかくも重い。]
…隠れる前に 忘れ物を取りに行かなきゃ
[道行きは、村の宗教施設―教誨所―の裏手を
抜けて、旧家たる少年の生家を目指し、辿る。
赤い涙を流す美津保嬢が、再度彼女の弟へ
ギンスイ―彼らの従弟―の行方を訊ねたなら、
戸籍を持たないあの少年が、幽閉されていた
土蔵から逃げ出したままだと聞ける*だろう*]
―― →路地裏 ――
やっぱり、怖いよ……
[使った跡のある金属バッドを抱えて、路地裏に入り込む。
乾いた笑いを一つ。それから息を*潜めた*]
[ザ
ザ――――
その視界の位置は、村役場を遠くに収めるように。
やがて、隣に立つ 誰か を見た。
両の眼から紅い涙を流す、土くれのような色の肌をした人影を]
[ノギはアンとミズホの顔を視界に収めていた。手に獲物持つ村民がいればそれも。アンと共に路地裏へ。]
アンちゃん…。
[アンの双肩に手を置く。]
(“屍人”がいる)
[長雨を思わせるノイズ音の合間に、声が拾えないかと耳を済ませるが、何も聞こえなかった]
(この村は、もう手遅れかもしれない。
それでも私は――――)
[やがてノイズ音は引いていき――――]
テキトーに振り回せば何とかなるよ
ね、いいこのアンちゃん、それでさ、部外者の乃木さんを、村の
[距離をそのままに置くうち、二人の姿は外へ。集っていた村人達―いつしか異相混じり―が笑声奇声をあげ、うち幾人かは二人を追い始めた]
[集会場外の広場で、誰かの悲鳴が空気を裂く。
古びた排水溝へ流れゆくは赤を増した水。それは排水溝から川へ、川から海へと]
…いいこ、か。ま、一番のいいこは、ギンスイだけどね。
………何か言った?
[無機質な声音で訊きながら、相棒と少年の顔を交互に見やる]
「トカイの料理は美味かったって教えた。」
[確かに昨年二人で欧州方面に旅に出たけど。何故ここでトカイの話が?
首を傾げる視線の先、相棒の表情はどこか陰のあるものだった]
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