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ぶっ。
…まあ、すずきったって、りぃんりぃんなる鈴の木とは
限りませんでしょうしねえ。
[エビコからも何か渡される様子を見ると]
なんだ、先生、貸し作りすぎですよ。
ライドウさんがかけてくれるなら、笑いますよ?
[まだ少し怒った顔のまま、鼻眼鏡を横目に見た。
言ったあと、あ、と口を押さえる。]
ライデンさん……。
メガネの上にメガネは無理だよライデン君。
[それはそれで笑いが取れるのだが。
少し怒った様子のエビコに困ったような顔をした]
ああ、何ででしょうね。
俺は死んでいる気がするんですよ。
だから、消えたはずの人の姿も見えるんじゃないかと。
[人影の数を確認するように、辺りを見渡した]
同じ場所に帰るんだから自分で出せば良いのに。
先生は、私と同じところへ帰るつもりなんかなかったんでしょう?
[そう言った一瞬、睨むように相手を見つめると、また篝火に視線を戻した。]
配達役はお断りします。
あなたが笑うなら、かけてみますかねえ。
[しゃれたつもりで言ったものの、
どうにも決心つきかねるように
鼻眼鏡をいじっているのではしまらない]
[名前を訂正されるとにっと笑い]
そう、そう。思い出して何より。
同じ所に帰れたなら、自分で出しますけど。
[鱸疑惑の少年の頭を撫でようとしたが、手は空を切る]
つもりというか、何でしょうね。
保険かな。
了解です。死んだら妖怪ポストでも探します。
[手紙を折りたたみ、胸ポケットに押し込んだ]
先生、都会のほうでは眼鏡の上から
サングラスをかけると聞きました。
[真顔]
[死んでいるんじゃないか、というのを聞けば]
やっぱりこれ、先生がつけなさいよ。
絶対つけたまま消えられなくなるから。
消える鼻眼鏡とか。どんなギャグだと。
猫だから、お魚好きかもね。
[きっと、猫少年の苗字は鱸だったのだろうと]
ほらほら、弄ってないでかけてみてよ
[そういえば自分はライデンが鼻眼鏡をかけた姿を
見ていなかったなぁとけしかけた]
嫌だ。
そういうのは若者の仕事だろう。
さぁ、遠慮せずかけたまえ!
明日から村のヒーローになれるぞ。
[鼻メガネを受け取るもんかと、腕を組んだ]
妖怪ポストって、あの世にあるんでしたっけ……?
[手紙が胸ポケットにしまわれると、ほっと息をはく。]
同じところに帰るつもりでいてください。
少なくとも私はそのつもりです。
[そのまま、ついと視線を動かすと、鼻眼鏡をいじる薬屋にくすくすと笑った。
そして、また、あ!と声をあげる。]
かける前に笑ってしまいました……。
ああ、そうか魚。
[しゃがみ込んで、砂浜に魚の絵を描く。
やけに写実的]
妖怪ポストはあの世とこの世の間にあるのかと思っていました。
[帰るつもりでという話には、反応を示さなかった]
あ。
[対岸に火が炊かれているのを見て声を上げた]
あっちはまだお祭り続いてるんじゃない
そうよね、だってここから火を持って帰るんだもの。
それで、みんな家の前に松明置いて、火を灯して…
[ぽつりぽつりと記憶を語る]
いやいやいや先生もまだまだお若いでしょう。
ヒーローは日曜の7時半から仕事すんだそうです。
あたしゃ夜型でしてね、そんなん嫌ですよ。
[むりやりかけたろか、と腕を組んで
子供みたいに固辞するグンジを見て思う]
おめえも余計なこというんじゃねえって
[ホズミにけしかけられると少し危機感を覚える]
死者が死者になるのは、生者がそれを認識したときで
死者が生きていた過去は、死者を知る生者が存在している間にのみ存在する。
[鱸とシーラカンスの絵を描き終えて、枝を放り投げる]
生と死は、意味などなくただそこに在る。
[無意識に胸ポケットに行っていた手に苦笑]
ライデン君、煙草は燃やしちゃいけない。
バチが当たるよ。
私達も火、持って帰らなきゃね。
[対岸をぼんやり見つめて、足下の篝火に視線を戻す。
対岸で燃えているのはネギヤが汗をかきながら灯していた火だろうか。]
[くすくす笑うエビコを見て何か安心する]
[鼻眼鏡をかける動機が表向き
なくなったというのもまあ、ある]
[しゃがみこまれると無理やりかけさせづらいのに
逃げられたと勘違いし、
ちぇっと子供のように舌打ちし]
絵ぇ、うめえですな。
あ、先生が先生っぽいことを言ってる。
珍しい……。
[砂に描かれていく絵を覗き込みながら、感心した声をあげた。]
広報のお悔やみ欄、四人分の空欄はありませんでした。
だから、誰かはきっと生きてると思います。
その誰かが、この島で生きていた人のことを覚えているなら、ここに皆が生きてたことは現実だったってこと……ですよね?
[言葉の解釈に首を傾げながら、出来上がった絵を一歩下がって見る。]
うん。
そうだね。
迎え、来るかな。
[村と島を隔てる海の青を眺めた。
…さむぃ…つめたぃ…あおぃの…
ふと、猫少年の言葉が脳裏に浮かび
いやいやをするように*頭を振った*]
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