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[若葉の問いに、瞬いて彼女を見る]
……別れは、辛いよ。誰だって。
生まれ変わりを信じていたって、何年先の誰なのかなんてわからないんだから。
[若葉の半歩後ろで、前髪に顔を隠すようにして俯いた]
僕も、母さんが死んだ時は、……悲しかった。
…、ん。
家族が…いなくなる時は、ひと際だよね。
私も、母さんいないから…
[じゃり、と熱い地面に転がる小石を踏み、熱を持つ地面の上を足を運びながら]
ダンちゃんは知らないんだ。
ううん、私しか知らないんだ。
双葉のパパが、ダンちゃんだって…
…… 変だね、清治くんにこんな話してもどうしようもないのに。
[白い白衣は太陽の光を反射して背の清治を照らすよう]
ただ、ずっと 誰かに 知ってほしかったんだとは思うんだ。
…あ
[やがて村長の家が見えれば足早になりつつも顔だけ斜め後ろ上へと向けて]
でもさ、清治くん。
清治くんのお母さんの生まれ変わりが
この村にいるって考えてみたら嬉しい事だよー。
そうは …思えない?
[前髪で隠れた顔を小さな背ならば覗けるかなと視線を向けた。**]
そっか。若葉さんのお母さんは――
[儀式の生贄として、祭壇で死んでいった彼女の事を思い出す。
と、双葉の父親の話に目を円くして]
え、ダンケさんが?
……そっか。そうだったんだね。
[口元だけに笑みを浮かべる]
家族、か……。
村の外では、「お父さん」も、家で一緒に暮らすんだってね。
[白衣の照り返しに目を細めながら、若葉の背中を見て、問い掛ける]
若葉さんは……ダンケさんの子供を生めて、良かった?
[清治の母親が死亡したのは、十数年前の事。
転倒時の打ち所が悪かったため死亡、というのが、当時の医者による診断であった**]
いえ。
[マシロには小さく首を傾けて微笑み返し]
ええ、勿論。行ってらっしゃい。
気を付けて下さいね。
[集会所を出ていく姿を見送った]
ホズミさん。
無実なら……そんな事を言ってはいけません。
[ホズミが呟いた内容を繰り返して聞かせていたなら、そう言っただろう]
今は……犯人を捜さないと。
[内容を知れていなかったとしても、それだけは口にして。いつの間にかすっかり冷めた茶を飲み干すと、ゆっくりと立ち上がり]
少し、外に出てきます。
また後程お会いしましょう。
[そのように言い残すと、男も集会所を後にした。何かを考えるようにしながら、道を歩いていく。時々すれ違う村人は、複雑そうな視線を男に向けてきた。言を憚っているのだろう、話しかけられる事はなく]
確か、あの話の終焉は……
[断続的に独りごちながら。あてつけているかのようによく晴れた空の下を、*進む*]
うん。
二年前の儀式の時に…
[あれから2年。双葉もすっかり大きく成長したのだと思い起こす。
背を向けたままだと清治の笑むのは気配と口調でしか解らないままだが]
村の外だと、ちゃんとお父さんが解る人が多いのかな。
…一緒に暮らすなんて、考えたこともなかったよ。
[長い白衣の裾がぱさぱさと揺れる。
容疑者として集められた6人に村の周囲の人の目は痛く感じられた。]
―――― うん。すごく、良かったよ。
また出来れば嬉しいくらい。
[問いの返事は背が語るを見ても嬉しそうで
自然と下腹部近くに手をあてる。]
きっと、ダンちゃんの子は村にまだいるんだろうけどその内の1人が私から生まれたなんて、 …幸せだよ。
……せーじ くん?
[彼が立ち止まれば距離が開いて
顔だけではなく身体も彼へ向ける。]
清治くんは、この村が 嫌…
――――― え?
[殺された。
その言葉に、驚きが全身を襲い足を止めた。]
はわわっ。
あ、ああっ!せーじくんっ!!
[足を動かすきっかけは彼の眦に見えたもののおかげて、遠くへ行かないよう手を伸ばしながら掛ける。]
せーじくんっ!!!
ま、まままっ、待って。
…まtt
―村外れ―
はあ、はあ……。
[闇雲に走り続ける。
足は無意識に人気の多い方向を避けて、気が付けば村の外れにまで到達していた。
周囲には村と外との境界を示すように、疎らに木が生えていた]
…………。
逃げちゃった、なあ。
[足を止めると、幾分か冷静になって状況を振り返る事が出来た。
犯人と確定した訳ではないが、十分に怪しまれる要素にはなっただろう]
……なんで、
[広げた両手をじっと眺め、呟く。
しかし理由は明白で、自嘲気味に笑う事しか出来なかった]
ははは、……あーあ、馬鹿だなあ。
[騒々しい蝉の大合唱に、か細い呟きは飲み込まれていった]
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