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[カラン]
[小さな音をたてて扉を開け、冷たい空気と共にカフェへ舞い込む]
マスター、ココアちょうだい
[暖かく整えられた空気、ふわりと香る珈琲の匂い、フッとこちらを見て小さく会釈するマスター…
いつも通りの大好きな入店の瞬間を満喫して、満足そうにマフラーをとる
それから窓際の小さなテーブルに腰かけた]
マスター、いつものぉ。
あ、今日は牛乳多めでよろしく。
[カランとなるとびらを開けながら、マスターに声をかける。
ダッフルコートを脱いで隣の椅子に置くと、
ウェイトレスが黙って持ってきた水をごくりと飲んだ]
今日のケーキ、と ええと……
[何にしよう、と多くないメニューを睨み付ける。
耳あてのついた帽子は膝上に。ふわふわのコートは羽織ったまま、寒さに染まった頬を擦りながら]
冬のブレンド、かな
[メニューを閉じて、ふぅ、と一息。
少しずつ、身体に熱が戻っていく]
[イヤフォンを外した耳にドアベルがやわらかく届く。
カウンターの奥に向かって、ごく小さく首を竦めた。会釈のつもりだ。
店内を一瞥し、空いたテーブル席に腰を下ろす。
今日はいつものカウンター席の気分ではなかった。]
アイスコーヒー。
[冬場でもこればかり頼んでいる。
にこりともせず踵を返したウェイトレスの背中を眺めながら、無意識に指先で軽くテーブルを叩いていた。]
ああもう、飲まなきゃやってらんない!
マスター、マンデリン頂戴。うんと濃くしてね。
[お酒じゃないんだから、と苦笑いする店主と、素知らぬ顔でカップを用意するウェイトレスに、ほんの少しほっとした。ああ、ここはいつも通りだ。]
うちって、お姉ちゃん達が失敗してるじゃない。
だから私、やってけるのかなあ、って。
[冬香は呟いて、左手を見やった。
こんな輪っかと紙切れ一枚で、こうまで人生が変わってしまうとは。]
[ため息をひとつ。
外では真っ白になる息も、ここでは見えない。
だから、ため息をついても、わからないはずだったのだが]
……ん、
たいしたことじゃぁ……、
[顔をこちらに向けたマスターの気配に、ぽつり。
客の一人もいない状態なら、ききとれてもおかしくないか]
……あるかもね。
[すくなくとも、自分にとってはたいしたことかな、と天井を見上げた]
えー、なんて銘柄だったかな……。
[ぶつぶつと呟きながら、店に入ってゆく。
隅の席について。]
あー、……その、紅茶を。ダー何とかって、いい香りの奴を。
[覚えられないのが申し訳なさげに、ウエイトレスに声をかけた。**]
[いらっしゃいませ。
寒さで白くなっていた爪を見下ろしていると、かたい声がふってきた。
髪を耳にかけながら、目の前に置かれたカップに頬を緩める]
ありがとーございま……す
[顔をあげた時にはウェイトレスはもういなかった。
いつものこと、と気にせずに、コーヒーカップをそっと両手で包み込む]
[一口目。ほんの少し口に含んで、こくりと喉を鳴らした。透明な舌触りと、飲み込んだ時のほのかな苦味]
雪
[みたいな、味。
同じく雪みたいに砂糖が降りかかったショコラケーキにさくり、フォークを滑り込ませた]
[指先でリズムを刻むのは、おれが何か悩み事を抱えているときの癖であるらしかった。付き合いの長い知り合いに指摘されたことがある。
何の曲なの、それ。尋ねられても、判然としない。
知っているメロディなのは間違いないが、思い出せないのだ。
ともあれ、その密やかな演奏が3回と半分終わった頃、季節はずれのアイスコーヒーは運ばれてきた。]
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