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……んー。
ま、こんなモン、か。
[呟いて、かたり、と置くのは古風なデザインの万年筆。
その横には濃いブルーのインクで綴られた、一見すると暗号のような構想メモ]
大体まとまってきた、し。
……気晴らしに、散歩にでも行くかあ。
[呑気な口調で言いながら、独り暮らしのアパートを出て。
ふらり、宛てなく歩き出す**]
[かん、かん、と乾いた音を立ててアパートの階段を降りる。
下まで降りると、羽織っていたジャケットのポケットから紅い小箱を出して、更に中から白い煙草を一本取り出し。
鈍い銀色の、愛用のライターで火を点けた]
……ん……あ、大家さん、どーも。
[紫煙をひとつ、吐き出したところで大家の視線に気がついた。
に、と笑って、ひら、と軽く手を振る]
え、やだなあ、夜逃げじゃあないですよ?
次の締め切りまでは、まだ余裕ありますし。
……落としたりしませんよ、そんな何回も。
[また書けなくて編集さんから逃げるのかい、という大家の問いに。
頭を掻いて浮かべるのは、苦笑い**]
[風が運ぶ幾つかの音に、ふい、と視線を移ろわせ。
ポケットから出した携帯灰皿に、ととん、と灰を落とし込む]
……さて、んじゃ俺、煙草買いに行ってきますわ。
[呑気な口調でさらりと言って、歩き出す。
どこかで鳴っていた電話の音は、例え気づいていても、きっと素知らぬ振りのまま**]
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