――「次は 紳士服とギフトのフロア、6Fでございます」
ぽーん。柔い電子音と共に開くエレベーター。
アンは扉を押さえながら半歩を踏み出す。
「上へまいります」
告げる声は涼やか。何もない空間へ、笑みを投げる。
――ここは、この国でただひとつの
エレベーターガール養成専門学校。
実習用のエレベーターは、各階に止まる。
扉が開けば、そこは壁も床も
打ちっぱなしのコンクリート。
やがて就く華やいだ職場をまなうらに描いて、
――お客さまへフロアのご案内をしましょう。
さあ つぎは、あなたの番。
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舞台はずっとエレベーターの中です。
プロローグ:実習中。1F〜最上階へ。
1日目〜最終日:恐怖と混乱のなか。
最上階から1階ずつ下へ。
(2d以降、照明がちらつく)
エレベーターは強制的に各階で止まる
扉は電子音と共に開き、すぐに閉まる
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吊り:ひとりを無理矢理エレベーターから追い出す
襲撃:エレベーターの扉が開くときれいな生首状態でそこにいる
どうしてそうなったのか本人にもわからない 痛みはない
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人狼:何かに憑かれたひと
システム勝利→怪異に憑かれたまま、ひとり地下階へ――
行方不明になります。
システム敗北→怪異から解放されロビーで意識を取り戻します。
村人:怪異に巻き込まれたひと
占い師:同上。且つ、勘のいいひと
システム勝利→1Fロビーで意識を取り戻します。
―――あれ、結局なんだったのよ。
システム敗北→1Fロビーで意識を取り戻します。
―――あれ、ひとりたりませんよ。
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エピローグ:エレベーターが1Fへ到着します。
生首になったひとの体は元に戻っています。
システム的な陣営勝利/敗北RPをどうぞ。
不条理ホラーです。真相を明らかにする必要はありません。
PL発言/ご歓談はエピ入り24h後に解禁です。
RPとの区別をつけるため灰ログでお願い致します。**
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ぶぃー。ぶぃー。
[少女がエレベータに乗った途端、過積載のブザーが鳴り始めた。
か細い胴体に、これ見よがしなオモリが幾重にも巻き付いている。]
体重を見て降りろだなんて、差別じゃないだろうか。
ああ。それはそうと、おも……じゃない。暑い。暑いのだが。
[そう言ってオペレータ役の実習生に詰め寄る。汗だくだ。
クレーマー役を買って出たのだろうか。それともモグリの変質者か。
私は、後者のような気がした。**]
『足が痛い。きっと慣れないヒールのせい』
[集中力を奪う危険だけを孕む、膚を刺す痛みに気を取られていると、突如鳴った不快を与えるブザー音に、私は意識を眼の前に引きずり戻された。]
……。
[今、私に与えられた役は、小さな移動式の箱に閉じ込められ、不快さをかみ殺す小心者の客という役柄。
このデパートにはさして期待を持つわけでもなく、ただ単に足を運び、乗り合わせたというだけの、役柄。]
『倦怠期の妻、もしくは彼女に無理やり買い物をつき合わされた男の役、というべきか』。
[頭の中で設定を少しだけ濃厚に色付け、重量オーバーについて言い詰め寄られているボタン操作係の彼女を見つめた。
文句を言う客の対応に、マニュアルはあるが的確な答えはない。
だからこそ、彼女の対応もまた、明日の糧となるのだと思い。]
上へまいりまーす。
[営業スマイルで研修の担当区間をこなそうとする矢先、響くブザーと汗だくで詰め寄る少女に、肩眉がぴくりと動く]
……安全のために"合計重量"を設定してやがりますので
こうして鳴ってしまうこともままあります。
[お客様のせいというわけではありません、と声は軽やか。
暑い、と言われれば、そうですね――と思案して]
申し訳ありません。
各フロアは快適に過ごせる空間となってやがりますので
目的階到着までしばしのご辛抱を……。
[所々口悪く対応する少女の目は笑っていない。
また、こうして扉が開いている間こそこのように饒舌なれ、閉まるとだんまりになる所はまだまだ*修正が必要で*]
『最善の答えかも』。
[私は表情はあくまでも、不運に乗り合わされた男の表情を浮かべ、ワカバの対応を見、声を出さず呟いた。
「お客様の」安全の為は、雇い主やメーカーには嘘になる。あくまで彼らが護りたいのは「お客様」ではなく、「自分たちの足許」なのだから。]
*********?
[チカノの制服に食い込む重石の圧力を眦に、一連のやり取りの隙を見て、私はワカバへと小さく声をかけた。
それは彼女にとってネガティブな意味として取られただろうか。
問いかけられた彼女が無視を選択、もしくはチカノの演技が続行なら、会話自体もそこに存在なくなるものだろうが。]
…。
[小声で何かをつぶやいたマシロを横目でねめつける。]
…わかった。
じゃあ、こうしよう。
合計されなければ良いのだろう?宙に浮いてれば……
[少女はそう言いながら背負っていた黄色い荷物を両腕に抱え直すと、やおら宙に放り投げた。むろん、浮き続けるはずもない。恐ろしく重そうな衝撃音と共に、エレベータが軋みながら大きく揺れる。]
…合計されない。
[そして、何故かブザーは鳴り止む。
こいつはやばい。と私はこのとき、思う。**]
[転がる錘、鳴らないブザー。
バインダーに挟んだレポート用紙へ
何かを書き綴っている手を止める。]
ええと
――こわれてるのかしら。
それとも、
[凹んだ床を見遣りながら、
だれにともなく尋ねる。]
…いま、こわれたのかしら
[もちろん返答は記録されますとばかりに、
空色のボールベンは*構えられたままで*]
重力の法則を無視してるね。
[けたたましく響く金属音と衝撃に、私は軽く片目を瞑りながらチカノを見つめた。
彼女から見たら、どこか呆れたような姿かもしれないし、与えられた役割を、まだ演じているように見えたかもしれない。
そして、私は狭い箱の中で振り返り]
さぁ? もしかしたら「壊れたふりをした」だけかもよ?
[どこか愉しげに口許を緩めて再び片目を瞑った。
故障したのなら照明や、危険行為に対する警告か何かが反応するだろう。
しかしそれらの訴えもなく、私たちが居る箱は、ただそこにあるのだ。
音もせず、操作の指示に従ったまま。]
[手元のレポート用紙に綴りかけの文面。]
『重量オーバー事例
オペレーター:ワカバ
お客さま役:チカノ マシロ アン ……
記録係: サヨ
概要:
定員-1ないし-2で乗客の招き入れを
停止するところをご案内が後手に回るケース。』
『経過:
重量超過警告ブザーが鳴り、軽クレーム発生。
お客さまがエレベーター内でとび跳ねる事態。
(ex.他に予想される要求→「お前が降りろや」)
オペレーター初動対応:
言葉遣い△(正確には 言葉遣い×言葉選び◎)
笑顔◯(目は笑ってない ある意味適切) ……』
[下書きながら、内容はそこそこ*真面目*。]
[しぱ、しぱ。
振り返る友人を見返して瞬きを二度。]
… そうかも。
[ 「誰が」?とは聞き返さなかった。
たかいヒールの靴は履きこなせても、
マシロのようなウインクはできない。]
[ともあれ、ブザー音が止んだからには
エレベーターは運行遅延なく動き出す。
重量オーバー事例の続きも
書けなくなってしまった。
――上へ、上へ、上へ*まいります*。]
待って待って、あたしがまだ乗ってないわー!
[ぱたぱたと走り込む娘が一人。]
えっと、何の演習だったかしら?
[自分の役どころを把握していないらしい。**]
[深く考えない方が良いと言わんばかりに、サヨヘもう一度微笑みかける。
エレベーターと呼ばれる箱は、衝撃を受けながらも何事もなかったかのように、再び動き出そうとした。]
――待って!
[思わず声を上げると同時に、飛び乗る人影。
走るヒールの音は、箱内に敷き詰められたカーペットのお陰か響き渡らない。]
さぁ? 忘れちゃったわ。
[ナオの問いかけには、吐き出すような声色で答えて。
エレベーターは上へ、うえへと*動き出す*]