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―― オ知ラセシシシシ ――
[大音量のラジオが時報を繰り返す。
さっきから同じ時刻のような気さえした]
『繰り返してる』
[無意識の思いを見ないようにして歯を食いしばる。詔は導くことを己はよく知っている。撃たれた右腕、自分の体液でぬれた手を杭に添える。肌の焼ける様な音、熱]
いいから『そいつ』を寄こせ!
[有象無象の記憶たちを蹴散らすように叫び――
杭を中心に広がった光に突き飛ばされるように、地面を転がった]
[不浄を討つ――知らない。
杭の名前――知らない。
神の名?――知るもんか。
うるしにかぶれるだとか。
正しい時を刻むだとか。
神に捧げる体だとか。
ヴェールをかぶった眠り姫だとか!
“きょうかい”だとか!!]
……。
[地面をいくらか転がって]
―― 5時55分**秒をお知らせします ――
[その声を聞いた]
[サイレンの、音]
――っ!
[否、それは堕ちたる神の呼び声。
両手で耳を塞ぐことなど、まるで役に立たぬ大音量で脳に刺さる]
[絶叫、は――
警官の体を借りるように。ただその身を折って]
[はらり。手紙が地面に落ちる頃、ゆらりと身を起こした]
[訴えかけるような光の集まりに、右の手を伸ばす]
――。
[小さな、声で、つぶやいた。
光は指に絡み、腕に絡み、弾痕から体内にしみて]
……ノギ警官。
[けいれんする体。何か紡ごうとする唇。
どさりと膝をついて、杭をつかむ手に、己の右手を重ねる]
俺に、その「想い」をよこせ。
俺は「よそ者」だから。
[だから、また]
そんな、気がする。
[なんども、なんどでも]
……?
[『うしろのしょうめん だあれ?』]
[ふと舞い上がる記憶の声につられて、後ろを振り返った]
もしもし。
[コール音。ひどいノイズ]
ズイハラです。
四辻村に アンテナは いりません。
繰り返します。
四辻村に アンテナは いりません。
だから、もう誰も よこさないでください。
お願いします 絶対に。
もう誰も 犠牲を出したくないから。
[無表情に。電話口に。これでいいと、心で繰り返しながら]
[すぐ手に取れる場所にあるのは、堕ちたる神に挑んで、力尽きた記憶。
真に挑むべきは――誰だ]
今、何時だ。
[汗をぬぐい、鉱山から“きょうかい”へ、道を駆け下りる。
ラジオ、乃木警官と一緒に燃えてしまった]
時計、懐中時計があれば、正確に時間を計ることができるのに。
[脈拍で数えたらとっくに5分は過ぎている気がするが、まだ日は昇っていない]
[さまよう女は答えたか否か。
その問いは、『正しい問い』であったのか]
真に望む結末はなんだ、眠り姫。
[虚空へと、問いかける。
未だ光を宿す己の右腕を、“きょうかい”の床にたたき付けた**]
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