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[この歳でボケたか。
そう考えると笑えてしまう。
きっと疲れがたまっているのだろう。
結局、そんな答えに辿り着く。]
珈琲でも飲もうか
[独り言のように呟き、カップを手に取ろうとしてはたと思い立つ。
いや、今回は缶珈琲にしよう。
毎日毎日珈琲で、胃はあれるわ飽きるわ。
たまには、変化が欲しい。
といっても、結局珈琲なのだけれど。]
[自動販売機まで、廊下を歩く。
たまにすれ違う患者さんに、軽く会釈をする。
こんばんわ、先生。
お疲れ様、先生。
白衣をきれば、医者なのかもしれない。
けれど、先生と言うのはどうなのだろう。
先に生きると書いて、先生。
こんな若輩者が、先生と呼ばれる事。
そんな事に、小さな疑問をいつも抱く。
けれど疑問には思っても、先生と呼ばれる理由を調べようとまでは思わない。
何故なら、面倒臭いから。
若者は、そういう人間である。]
[自販機の前に辿り着くと、財布を取り出してコインを投入する。
選ぶのは、いつも微糖。
甘党の珈琲党なのだが、カフェオレを人前で買うのは何故か恥ずかしく感じる。
といって、格好を付けてブラックを飲むほど自分の舌を誤魔化せない。
結局、プライドと味覚、双方の折り合いを付けた所が微糖なのである。
ガラン、と下の方から音がする。
少しかがんで、珈琲を取りだす。]
あちっ
[指先が冷えていたのか、少し熱かった。]
[珈琲を空けて、口をつける。
啜ると、やはり熱い。
少し冷まそうと、自販機の傍にある長椅子に腰かけた。]
ふぅーっ…―――
[息を吹きかけてみるが、缶珈琲はそれでは冷めない。
諦めて暫く待つしかないか。
けれど、こういう待ち時間って何を考えればいいのだろう。
何かしてないと、とても無駄な時間な気がする。
うーむ、何を考えよう。
そんな事を考えていれば、珈琲が冷めるに違いない。]
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