[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
普段と同じ村。普段と同じ平和。
全てが普段と同じように見える世界。
だが「何か」は確実に芽生え、育ちつつあった。
「……信じられない」
若い娘であるアンだけがそれを察し、しかし誰かに話す事もなく、一人密かに探っていく。
その「何か」も、やはり、密かに――**
―診療所付近―
[集会所からの脱出に成功し、村の中を歩いている。
と、誰かを探しているかのような人物と擦れ違った]
あれ、万代さん。どうかしたの?
[同僚ともいうべき娘に声を掛けた]
久しぶりに生ワカバ先生と話してしまった。相変わらずちまこくてかわいい生き物だ。
さーて、それにしてもうちのばーさまはどこまで行ったんかな。
……お腹減ったー。
森…は、だるいなぁ。
[診察に戻れば、そこまで専門的な知識はなくともなんとか診察をこなしていく。]
『先生、これうちで作った奴だから
双葉ちゃんと一緒に食うてくれ。』
わ。
いいんですか?
[陶器の入れ物には、この村ならではの伝統料理が入れられていた。それを受け取れば、笑みを向けながら感謝を伝えた。**]
[名を呼ばれて振り返る]
ん?
あ、せーじくん。
…ん、んん?
[くんくんと匂いを嗅ぐ]
もしかして、さっきまで集会所に居た?
―少し前・自宅―
[集会所を離れた直後――真っ先に向かったのは自分の家だった]
…………
うッ……!
[口元を押さえて蹲る。
人食への拒否感。
それは、他の村人には決して見せられぬ姿だった]
[しかし、それだけではない。
青年の、もはや彼だけしか住まぬ家の中には――]
『……信じられない』
[娘の声が聞こえる。はっと振り向くが、既にその姿はなく。
ただ、閉め忘れた戸の隙間から、家の中を覗かれたのだろうと推測する]
…………。
[姿は見えずとも、聞こえた声の主を違える事はない]
……儀式。もうすぐ、だっけ。
[家の奥を虚ろに見詰めながら、ぽつり、と呟いた]
え? うん、そうだけど……
[少し驚いたように目を見開く。
それは、少し前の居場所を当てられたからというよりは]
匂いでわかるの?
[思わず自分も袖の匂いを嗅いだ]
[適当に言ってみただけとは言わず、にやりと笑う]
うん、わかるの。
…あ、ってことは、今日はもうごはん食べた?
[……裏切り者だな…と、聞こえるか聞こえないかわからないくらいの声で呟くと]
また家にも食べにおいでよ。
明日なら、いちじくがあるかも。
じゃ、またね。
[手を振って*自宅へ*]
―診療所付近―
[診療所へと向かって歩いていくと、清治たちの姿を見つけて]
おや、清治君。万代ちゃん。こんにちは。
[二人に声を掛けた。]
そ、そうなんだ。
[万代の不敵な笑みに、気圧されたように頷く]
うん。集会所でおにぎりが配られたからね。
……まだ残ってるかどうかわからないけど。
[呟かれた内容まではわからなかったが、なんとなく非難されたような気がした]
うん。じゃあ、また明日。
いちじく楽しみにしているよ。
[万代に手を振った所で、ダンケが現れる]
あ、ダンケさんこんにちは。
畑仕事はもう終わり?
[桶に詰められた野菜に目をやった]
――民家→――
またね。
[髪を結ってあげた少女が照れくさそうに玄関から手を振り見送ってくれていた。
商売道具が詰まった鞄を抱えて、下り坂を進んで行く]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ