[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
ばーちゃーん。
ばーーちゃーーーん。
[呼びかけながら立ち上がると、数学の問題が目に入ったので、ぱたりと閉じる。
台所や厠など祖母が居そうな場所を探してみるが、見つからず]
…こりゃ、またワカバ先生のところにでも行ったかな。
[祖母は診療所に集まる皆と世間話をするのが楽しいらしい。その場に居合わせると何かと言われるので苦手だったが]
…しかたない。散歩ついでに寄ってみるか。
今日はダンちゃんも来るから
一緒にご飯食べようね。
[こくんと頷いてから奥の部屋へと向かう双葉を見送った。
診療所の待合室は日課のようにお年寄りでにぎわう声が聞こえてきていた。]
[塩味と梅干の握り飯を一つずつ頂いた所に、若いのだからとおまけでもう一つ。
若者は、この小さな村では貴重であった]
『セイジくんは、そろそろ子供の一人や二人こさえたかね?』
[そんな無遠慮な、といってもこの村ではさして恥ずかしがる事でもない質問も飛んで来る]
え、いや、僕は……
[口籠もっていると、老人らから大声で笑われた]
『最近の若い子らは奥手じゃのう!』
『ワシらの若い頃は……』
[そんな昔話が始まって]
……まだ何も言ってないのに。
[つい、目を逸らして小声でぼやいた]
―清治自宅付近―
ごちそうさまでした。
僕はもうちょっと回ってポルテさんの事を皆に知らせてきます。
[村人に会釈を返して、その場を離れると、その後もしばらくはポルテの容態を知らせて村の中を回る]
さて、この大体の場所は回ったかな。野菜を届ける用事もあるし、一度畑に戻ろうかな。
[一通り、村の中を回れば、一度畑に戻る]
[サンダルをつっかけて診療所へ。出会う人に祖母を見かけたかどうか尋ねながら]
― 診療所の外 ―
[中に居る人に見つからないように、そっと覗き込む]
……あれ、いない?
[裏側にまわって、ドアをトントン]
…ワカバせんせー。
ん…、あれ?
はーーい。
[ぱたぱたと音のする方へと向かい裏の戸を開く。]
マシロちゃん。
…どうかした?
[年頃の女性の訪問は色々と気を使う部分がありやや真顔のまま彼女を見上げた。]
[ワカバの表情に気付かず]
あ、ワカバ先生。
今日うちのばーちゃん見ませんでした?
てっきりこっちにいると思ったんですけど…。
森の方に何か採りに行ったのかな…。
[マシロの言葉に瞳を瞬いてから]
…今日はまだ来てないみたいだね。
診察室は相変わらずの様子だけど、…
あ。
急ぎの用なら来た時に伝えておこうか?
[老人たちの昔話は、こちらを放りっぱなしのまま続いている]
……僕は一旦抜けますね。
それじゃ。おにぎり、ご馳走様でした。
[差し入れへの礼を言うと、話の邪魔をしないようにこっそりとその場を抜け出した]
……はあ。
[小さく溜息をつくと、次の仕事を探して歩き始める]
[村の片隅。木陰にある岩に腰掛け、疎らな人通りを眺めていた。話しかけられれば挨拶を返し、時には世間話をしつつ、時を過ごす。平時、男の仕事は少ない。欠損を持つが故にだろう、子供を望まれる事も、同年代の者と比べれば多くない]
……
[ただ静かに、流れる雲を仰いでいて]
[お腹が減ったから探しているとは言えず、目を泳がせて]
いや、急ぎの用ってわけじゃなくて…うん…。
ま、そのうち帰ってくると思います。
それじゃ、失礼しますね。
――少年宅――
はい、出来上がり。
さっぱりしたね。
[坊主頭になった少年の上半身を覆っていた布をバサリと取り去って、起立を促す]
はい、次は誰だ?
[挙手した子供を呼び寄せ、鏡台の前に座らせる。
シャキン、という音と共に、髪の毛がはらはらと落ちた]
ありゃ、そうなの?
わざわざ探しに来たのに…
ん、うん。
それじゃ、おばあちゃんに宜しくね。
[ほにゃっとした笑みを向けた。]
はい、またよろしくお願いします。
[合わせてほにゃっと笑ってみたつもりだが、ワカバのようにはいかずぎこちない笑みを浮かべた]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ