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[――どさり。]
[長柄の斧を担ぐ人影が、薪束を置いていく。]
[舟小屋の軒下に、どさり]
[廃教会の入口に、どさり]
["家"とも呼べないねぐらの其処此処に。]
[頼まれもせぬだけ手つきはぞんざいに。]
[檻の石女が寝起きしていた場所は… 通り過ぎた。]
[苔むす墓守小屋に、どさり]
[かつての漁村に程近い森は、船材を得るために
野放図に伐採されたまま、荒果て放置されていて。
掘り起こした古い切り株を断ち割った薪は
節が多く、ところどころ泥を噛んでいる。]
[…招く船足の絶えて久しい灯台にも、どさり。]
…
マミ
塗れることが、修行なのかね?
[ひとり言つるような僧の声が耳に入ってか、尋ねる。
上体を起こす男のフェルト帽の房が重たげに*揺れた*。]
鳥か。
…そんな弔いもあるのだね。
[樹皮のように固く乾いた手が、木くずを払う。]
見せしめのための其れよりは、
使命とするに きっとまっとうに違いない。
[つめたい風に紛れて、壮年の男の耳が拾う呟きは端々。
薄い眉を動かさず――――枯れ枝の如き僧を見詰める。]
… 死肉を貪った鳥どもも、
似たような思いをしていたのかもしれんよ。
[僧衣の下で何かまさぐるらしき気配は、
聞くばかりに留めて…男が首を動かす。]
ふむ…
[僧が禊する井戸、鳥が居た天、赤黒い衣。
視線につれて担ぐ斧の頭がすこし揺れる。]
そうだな。
…順当に逝けるといい
[己が彼より年嵩たろうと踏んでの返答。
順当に。そんな穏当さはとうにないこの土地で。]
… 有難う?
[送りを為す。そのことは僧自らを救う禊であれど、
薪置く男は澄んだ瞳の彼へ感謝を告げ背を向けた*]
[桟橋の先で行われる非道。
止め立てする者はいないか、あるいは間に合わない。
其れを詰る生贄の声が響くのはしばらく先のことだが、
…日ごとに薪を配る男は、恥じる様子もなく村を歩く。]
罪は穢れ、なのかね…
[今は領主の代わった西の街、かつてただひとり
公開処刑の折に 覆面をしない死刑執行人がいた。
目開きの覆面は、今も逆さに折り返された*ままで*]
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