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その笑いが嘘っぽーい。
[照れたように彼と同じようにあははと笑って]
そうだよね。神秘的だよね。
[そう言いながら、隣で携帯を操作してこの景色を残そうとしている彼の姿を見つめ]
あー。そっか。
画像とっておけば皆に信じてもらえるかなー?
[そのままてくてくと彼の手をぎゅっと掴む。]
[側に座り込むデンゴには変わらずにこにこと。]
ん。どしたの?
…なぁに、むすっとして。
[むすっとした様子に笑ったまま、
指先で、彼の鼻先を突こうと指を伸ばすだろう。]
デンゴくんに、お姉ちゃんから質問。
[しかし、その後は真面目な顔になる。
彼の目をしっかりと見つめ]
―とある交差点―
[美夏と二人で歩いていると、車の走らない交差点に立ちすくむ一人の女性をみとめた。黒く美しい髪が、昇る雪と共に揺れていた。]
……アン…………?
なんでこんなとこに………
[声を発する前に、彼女はこちらを振り向いた。彼女は、言葉を紡ぐ。その声は直接頭に響くようであり、そこにいた俺達以外にも聞こえたかもしれない。]
「ジュンタ…よく聞いて。この世界は、永遠の世界じゃない。いずれ、一人ずつ消えていく。忘れないで。死者の想いを、天に帰して。雪が消えてしまう、その前に。雪に願いを。」
あん……?いや、俺はお前に聞きたい事……!
いやちがう!言いたい事があって……!
[むにゅ。
イマリに鼻先を突かれてむずむずと顔を動かして
なに、すんだっ…よー。
[文句ありげにイマリを見るが
真面目な表情に目をぱちくりして]
イマリ、と、おっさんと、他に?
ええと…。
[あとは黒髪の、学生]
なんか、髪の長い、変な奴。
みんな居なくなった…みてーなこと、言ってた
[秘密基地の前に立っていた姿を思い出して
膝をぎゅうううと抱えた]
[交差点に差し掛かれば、昨日見た女の子の姿。]
あ…あれ…。
アンちゃん?
[こてり首を傾げてジュンタの顔を見上げる。彼女が彼に向けて紡ぐ言葉が自分にも聞こえてくる。]
永遠の世界じゃない…。
死者の想いを天に帰す…。
[何のことかと首を傾げながら彼女の言葉を口の中で繰り返す。
その時、見たことない表情で隣にいる彼が彼女に叫びに近い声で何かを言おうとしている。]
(あぁ…。やっぱりそうなんだ。)
[何も言えなくて、彼に行ってもらいたくなくてぎゅっと手を少し強く握ったかもしれない。]
[俺が駆け寄ろうとしたその時に、繋いだ手を思い出して。離さないと誓ったばかりのその手が、離れなくて。]
あん……アン………!
俺は、俺は、お前が………!
[俺の言葉を遮るように、もう一度声が響く。]
「ジュンタ………あの日、貴方に誘ってもらえて。凄く幸せだった。ジュンタ、私は貴方に伝えたかった。あの日、言おうと決めていたのに。言えなかった。だから、聞いて?私、貴方がずっと好きだった。これだけ、伝えたかったの。もう行かなくちゃ。」
[俺は、繋いだ手の事など忘れて駆け寄った。]
俺も………俺も………!あん!
「サヨナラ、ジュンタ」
[俺の手が彼女に触れた時、彼女の体はふわりと消えた。まるで、粉雪のように。触れたら消える、雪の結晶のように。辺りに白い妖精達を残して、パラパラと。]
[まただ、また俺は間に合わなかった。伝えたかった。俺も、ずっと好きだったと、言いたかった。まただ、まただまただまただ。あいつはまた、消えちまいやがった。またサヨナラだけ言って、いなくなりやがったんだ。]
………あん……あん……あん………
………大好きだった………俺も、大好きだった………
ごめん、ごめん、ごめん………間に合わなくて………
間に合わなくてごめん………独りにしてごめん………
[ふと顔をあげたなら、正面にあったビルの明かりが消えて。窓の明かりで、一瞬だけ、文字ができたような気がしたんだ。]
「 サ ヨ ナ ラ 」
あぁ……サヨナラ、アン……
………貴女に会えて、幸せでした………
[俺の目に、一筋の涙が流れた]
[彼が彼女の元へと駆け寄ろうとした時、行って欲しくはなかったけれどそのまま引きとめる事もできず、力を緩めたかもしれない。
一度躊躇した彼が彼女が紡いだ言葉を聞き、手を離し駆け寄っていくのが見えた。]
あ…。
[離された左手を見て、彼の姿を目で追う。
最後にサヨナラと言って、彼の手が届いたと思った時に目の前からふわりと消える彼女の姿。]
きえ……た……?
[彼女が消えたと同時に天に戻っていた雪がまた天からふわりと舞い始める。
彼女が消えた事への驚きよりもジュンタがその場にちゃんと居る事にほっとしている自分がいて。
最後に伝えたかった言葉を伝えられなかった彼の気持ちを思うと自然と涙が零れ始めた。]
[彼の言葉が心に刺さる。
自分は何がしてあげられるんだろう?そんな事を思いながら、零れる涙を拭って彼へと駆け寄り、言葉をかける事もできないまま、そっと彼の背中を優しく撫でた。]
[束の間の、微睡み。
こぼれ落ちる雪のように、崩れていく世界。]
[窓の外、降り始めた雪。
ピンクマ携帯のスケジューラは、【明日は大切な日】のマーク。]
そう…。
[アンに会ったと云えば、少し考え込む様にし]
……それ以外に何か、云われた?
[彼に、他に何か告げてはいないかと小首傾げ]
他に、誰か人と会ってない、かな?
[他の人が、この世界に未だ居はしないかと。
望みを捨てきれない瞳は小さな彼へ問う。]
[背中を撫でられて、俺は力なく振り向いて。そこにいたのは、離すまいと誓った彼女。失うまいと思った人。俺は結局、彼女への誓いすらも守れなかった。それでも、誰かにすがらずにはいられなくて。きっと、そこにいたのが誰であっても、俺は同じ事をしたと思うけれど。母親を求める子供のように、ふらふらと立ち上がって手を伸ばす。彼女が拒否しないなら、そのまま抱きついてみて。]
………ごめん、今は顔………みないで………
[と、声を殺して泣いたと思う。]
[伸ばされた手を拒否する事なんてできるわけもなく、そのまま抱きつかれ無理に声を殺して泣く彼の背中を先程と同じようにゆっくりと撫で]
きっとジュンタの気持ちもアンちゃんに伝わってるよ。
最後にジュンタに会えて、アンちゃん幸せだったと思う。
[そう伝えた後はただただ黙って、背中を撫で続けるだろう。]
他にぃ?
[首をひねる。とはいえあの時は…
いきなり立っていて驚いたのが半分で。
それでもぽつぽつと言っていた事を思い出す]
死んだ奴の、思いを還せ、って
この街はもう、いつもの街じゃないから…って。
あとは。メールで何とか…
[そこでぶんぶんと頭を振って]
意味わかんねーよ。
なに言ってたんだか。
他には、会ってねー。
おっさんと、イマリだけだ。
[望みの込められた瞳を避けるように俯いた]
[ぽつぽつと紡がれる彼の声を必死で追う。
彼を見つめる瞳は縋る様な色だったろう。
が、一通りの彼の返答を聞けば]
…そっ、か
[俯く彼の後を追う様に。
理由は違えど、笑いを讃えたまま俯いた。]
……会ってない、かぁ
[ぼそりと口から零れる一言]
[ひとしきり泣いて。泣いて。泣いて。それでも、彼女の撫でてくれた背中は、なんだか暖かかったから。涙が枯れてしまったなら、俺は大きく深呼吸した。]
……ごめん、美夏ちゃん。
手、離さないって言ったのにね。俺、嘘ついちゃった。
許して………?
[ふっと体を離そうとして。美夏に微笑んだと思う。]
もう、大丈夫だから。
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