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―朝―
[気が付けば朝だ。外から歌が聞こえてきた気がした。
一人の部屋は寂しい。無菌室という場所だから、仕方がないのだけど。]
誰かお見舞いとか来てくれるといいんだけどなあ
[窓の外の海を見ながら、そう呟いた。5階の窓から見える景色はなかなか綺麗なのだけど。]
[お婆さんが手を振ってくれたので、満足してベッドに戻る。
まさかあのお婆さんがこちらまで来るとは思っていない。]
今日のご飯はなんだろーなー
[隔離された病室なので一人だけご飯は別物なのだ。
食堂に行きたいと思っても行けないし、
外なんてもってのほかだ。
誰かが来る時は恥ずかしいのでニットの帽子を被っている。
これなら今の悲惨な頭を隠せる。
ご飯が来たので、手を合わせて、食べる事にする。]
『鎌田さーん、お見舞いにきたいって方が来られてますけどー?』
あっ、はーい。分かりましたー
[帽子だけ被って準備万端。無菌室の前に紫外線を当てて殺菌をする部屋があるので、
そこに決められた時間いてからようやく部屋に入れるようになっている。
さらには時間が無いけどお見舞いがしたいと言う人向けに、窓から中を覗くことも出来るようになっているのだ。]
うーん、誰だろう?
学校は授業中だし…親戚の人かな?
[わくわくしながら待っていると、窓の方から声がする。
良く見ると、さっき手を振ったお婆さんだった。]
あれ?さっきのおばあちゃんだ。
こんにちは。えーっと、初めましてですよね?
わたし、鎌田小春って言います。おばあちゃんは?
[久々のお見舞いで凄く嬉しい。こういうのも病気を治すためのモチベーションとなるのだ。]
そのお人形可愛いですね。
お孫さんのですか?
あ、田中さんですね…うん、じゃあおばあちゃんって呼びます。
はい、高校生です。バレーボールやってるんですよ。
[優しそうなおばあちゃんがお見舞いに来てくれて本当に嬉しい。
…少し陰りが見えた気がするけど、気のせいに違いない。
独りだったからきっとネガティブ思考が占めているんだ。]
へえ、そうなんですか。
おばあちゃんの大事なお人形なんですね。
[おばあちゃんは、入院が怖くてお人形を持ってきたようだ。
私も寂しいし、家族にクマのぬいぐるみでも持ってきてもらおうか。]
バレーボール…うーん、なるほど。
[確かに置いてみるのは良いかもしれない。色々と励みになるかも。]
そうですね、出来たらやってみたいですね。
頑張って、この部屋から出たら、リハビリで…うん。
[希望がわいてきたと思う。歌い手さんと言うのは今日聞こえた気がするアレの事だろうか。]
そっかあ、中庭あるんですね。
知らなかった。即入院、って感じだったので。
[これも、元気になるモチベーションだろうか。
おばあちゃんの話は聞いてて楽しい。
色々と話したと思うけど、しばらくした後に検査とか何やらで面会が終わりと言う事になってしまった。]
気が向いたら、また来てください。大変かもしれないですけど。
[寂しそうに笑って、見送った。**]
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