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[きっと、ほとんどの人がいなくなった
それは頭のどこかで認めていて。
しかしそれを受け入れられない何かも、あって]
イマリは、見てねーのか?
ほんとに、オレたちだけになっちまったのか?
ちがうよな、誰か、いるんだよな?
おっさんも他に誰か見てるんだろ?
[イマリと、ズイハラをぐいっと見上げる目は
真っ直ぐで]
ケータイのメールでなんかしろって言ってたんだ
アイツ。
[そうすればみんな帰ってくるのか、と]
[しばらくそうして泣いていた彼から聞こえてきた言葉にはふるふると頭を振って]
ううん。気にしなくてよいよ?
………。
ジュンタも一緒に消えちゃうかと思った。
[最後の一言はぽつりと本当に小さい声で。
大丈夫と微笑まれれば、自分も微笑んでポケットからハンカチを出し、彼が流した涙の痕をそっと拭った。]
俺が消えたら、さみしぃー?
[あはは、と無理矢理笑みを作って]
なぁ、美夏ちゃん。俺、泣いてたよな?
[涙の後を拭われながら、俺は聞いた。彼女が死んだと知った時、凍ってしまった俺の心。だから、彼女の葬式の時だって泣けなかったのに。いつの間にか、俺の心は溶けていて。]
[問われれば、彼を見つめたまま]
見てないよ。
誰か居ないかと思って…
ウチの側の家とか、さ。
ピンポン鳴らしたり、勝手に扉あけたりして。
人を探したんだけど…ね。
何処の家も、居なかった。
[ジュンタから電話の来る前。
アンと会う、其の前に起きた出来事の切れ端を話す。]
ケータイ…
[デンゴが触れる話題に、自分の其れを取り出し。
アンの言っていた事を思い出している。]
[こくりとゆっくり頷いて]
うん…。寂しいし、消えたらいやだ…。
[ぽつり本音を漏らし、無理に笑う彼がそれでも泣いているように見えて]
うん。泣いてた。
いーっぱい泣けばいいと思うよ。
涙と一緒に悲しい事も流しちゃえばいいと思う。
[そんな事で彼の心が晴れるとも思えないけど明るく言ってにこりと笑う。その笑顔はぎこちなかったかもしれないけれど。]
だれも、みてねーのか。
[イマリの返答には不服そうに口を尖らせて。
でも街の中に人の気配がないのは自分も見ていて]
それで、どーにかなんのか?
[イマリの手元のケータイを見た]
[覗き込むデンゴに見せるようにして]
メールを送れって云ってたけど
[こち、こち、と操作し]
…あて先設定しちゃダメって言ってた。
[顔をあげ、なんとなく、二人を見つめる]
…あて先設定しないで、おくれたっけ?
[問いかける顔は、何処か情けなく。
眉毛がへにゃりとあがり、泣き笑いの様。]
……送れなかったらどうなるんだろう
[ぽつり呟く]
あはは……消えねぇよ。俺は消えねぇ。
美夏ちゃんを置いて、消えるなんてできねーよ。
俺が消えなかったのって、多分美夏ちゃんのおかげだし。
[ぽふり、彼女の頭に手をのせようとしてみて。]
そっかぁ………俺泣けてたかぁ………
じゃぁもう、本当に吹っ切れたのかもな。
サヨナラを、やっと認められたみたいだ。
[にこり、笑って]
[ぽふりと頭に乗せられた手に安心して]
うん。消えないよね。
ん…?私のおかげ?
[首を傾げ、吹っ切れたと笑う彼にはただにこりと笑い返した。]
そういえばまた新しい11月1日が始まったんだね。
雪もまた降り始めてるし。
[そう言って携帯の時計表示を確認する。]
[イマリの操作する様をじいいと見て
くびをひねる]
あて先って、入れねーと送れねーんじゃねーのか
[違ったっけ?とイマリとズイハラを見る]
あて先は入れないとして…後は…
送るんだからなんか書くん、だろ?
[あて先なし、件名、文面なし…では、
さすがに意味はないだろうと]
あ…ズイハラさん。
調子、少しよくなりました?
[ズイハラの声に視線を其方にやり、問う]
空へ…還すとか云ってましたけど…
[答えながらも視線を携帯に戻し]
うーん…
件名に……確か、名前で…
本文は…
[デンゴの声を追う様に、ぽちぽち操作]
そ、美夏ちゃんのおかげ。
………あいつが俺の前に出てきた時。
美夏ちゃんの顔が浮かんだ。
あんなに好きで、会いたかったアンに会えたのに。
他には何もいらないって思ってたのに。
美夏ちゃんの事が、頭よぎっちゃって。
案外俺、美夏ちゃんに惚れてたりしてー?
[あはは、と冗談のように言ってみる。]
あぁ、新しい1日が始まったな。
雪も普通に降ってるし。
[件名に自分の名前を書いた]
…うえはら、いまり、と
[本文は]
本文はなんだっけ…
星に願いを?
[うん?と小首傾げ。
ぽちぽち、とその文章を記述して。]
おくる、のかな
[ぴぴ、と送信してしまう]
[同様にして送信できたらしいズイハラを見て]
おっ、送れたんですか!
[送れちゃったんだ!と声を大きくする]
…こっちも
[画面を覗き込めば……何故か返信がある]
…なんか、すぐさま返信きてるんですけど
[苦笑い]
他には何もいらないかぁ…。
そこまで想われてたアンちゃんは幸せだったろうね。
あはは。私に惚れたー?
[冗談のように言われた言葉には冗談のように返し]
うん。でも本当に消えなくて良かった…。
[最後に言った言葉は本心からで。]
そういえば、アンちゃん、ジュンタにお願いしてたよね?
死者の想いを還すとかこの世界は永遠じゃないとか。
[こてり首を傾げ、アンが言っていた言葉を思い出そうと頭を捻る。]
[二人がケータイを操作するのを見て
驚いたように口をあけて]
何であて先なしで送れんだ?
すげーなー。
[それがどこへ届くのかなどとは考えもせず。
イマリが星に願いをと入れて送信するのを見ていた]
なんか、違う気がする。
[あの時アンが言っていたのはなんだっけ?
…に願いを。なにに?星?空?…雪?]
ゆきに、ねがいを。
[たしか、そうだった]
[メールを開き、その内容を見て絶句]
……ケンメイエラー、ホンブンエラー。
[文面は全てカタカナのみで埋まっている]
…なに、これ
[携帯には人の名前と思しき、其れが]
ズイハラシゲユキ、ササキデンゴ、
クニモトジュンタ、イノウエマシロ、
アサクラミナツ、ウエハライマリ。
[6つ。無機質に並んでいる]
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