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― 遊戯室 ―
[聞けても聞けなくても、遊戯室に辿り着くのは程なく。
寝かされたアイノの傍に足を進めて]
ねぇ、アイノ。
…死んだら夢は覚めたかな。
ごめんね、僕が――人狼、なんだ。
[小さく落とす嘘を一つ]
[座って何かを呟こうとしているようなクレストの様子も気になった。
だけれど、そちらには向かう事をしない。
ヴァルテリの答え、ウルスラへと視線は向かう。
彼女はナイフを振り上げて。
慌てて、その手に、手を伸ばした。
捕まえようと。
でも、できなくても、きっとこの程度なら避けられるようにも思えて]
[割り込むつもりだったけれど、周りを認識すればできなかった。
自分がやる事は、一つだ]
――アイノは人狼だったよ。
[それが意味する事は、つまり]
[彼女の手を掴む、クレストが彼女に飛び掛る。
そして自分の声に振り向いた、体勢を崩した彼女の手を、彼は、離した。
ナイフは握ったままだろうけれど、それに気にした様子もない]
――君はアイノが人間だったというの。
なら、僕の、敵だね。
[直接的なことばを、投げる。笑って。
自分が、判別されているとは知らぬまま]
ウルスラさんの方こそおかしなことを言うね。
僕が見た彼女は、人狼だったけど。
――嘘、ついてるんじゃないの?
[張り上げられた声に、口元が少し、笑った]
そんなもの持って、物騒だよ。
それとも、殺すつもりかな。
今、ヴァルテリさんも殺せなかったのに。
僕が殺せるわけないじゃない。ここが心臓だよ。無理でしょう?
[ニルスの静止の声を聞くけれど、止まる気などさらさらない彼は、
ウルスラに、さあどうぞ、とばかり、自分の心臓の位置を指差して]
だって、ヴァルテリさんが殺されるのはごめんだし。
君達に投票がむかないようにするには、
コレが一番良いと思うよ。
ねぇ、言っただろ。死なせないって。
――僕は、君を、何があっても、護るよ。
[そっと声を伝える。笑う]
死ぬまでは。
僕が人狼かって?
違うよ、でもそうだね。
僕から見て君が嘘をついているように、
君から見て僕が嘘をついているんだろうね。
――君か僕のどちらかが、人狼、っていうことじゃない?
[違う?と首を傾げて問いかけて]
だから、君が人狼なんじゃないかって思うんだけどね。
――君の気持ちは嬉しいけど、だめだよ。
ねぇ、イェンニ。
僕は君に生きてほしいんだ。僕の希望を叶えてくれないの?
[声は優しく。
彼女をなだめるように。
しかし、血ときけば眉を潜めた]
血……?
ああ、もしかして、クレストさんだったりする?
[先程もみあっていたとき。
くらいしか思い当たらない。]
理由なんて、知らないよ。
今、彼女に触って、そう感じたんだ。
[遊戯室で、と、視線をそちらへとくれて]
――殺したくないのに、
自分は死にたくないとは、たいそうなご身分だね。
[泣くウルスラに、彼は笑う]
ねぇ、人狼さん
ドロテアさんと、マティアスさんは、おいしかった?
[ウルスラが違うという。
そして、クレストにすがる。
目を細めて]
怪我してるでしょう、クレストさん。
手当てしないと。
一度、離したら。
[ウルスラに向ける視線も声も、冷たい]
大丈夫だよ、ねえイェンニ。
そんなに心配しないでよ。
[困ったような、でも笑いを含んだ声]
――生きる気はあるから、大丈夫だよ。
一人ずつ、壊していけばいい。
君達が人を食う、殺すなら。
僕は、皆を壊していくよ。
無理っぽい人はどうしようもないけど、
少しずつ壊すのは、楽しいじゃないか。
殺したのは、君でしょう。
[淡々とした言葉を、音にする。
口調の違いも、本人はまったく気にしていなかった。
自覚はあっても]
――君の中では、犯人は僕になるだろうね。
まだるっこしい投票なんてしなくてもいいんじゃない。
僕かウルスラのどちらかを殺せばいいんだ。
手を汚したのは、ヴァルテリさんだけど。
そういうことじゃないよ。
[その言葉だけを付け加える]
僕は彼女を好ましいと思ってた。嫌いじゃなかった、助けてあげたいと思った。
人狼だったけどね。
そう思ってた人が冷静なんておかしいと思ってるのかもしれないけど。
取り乱してどうなるっていうの。
誰に恨みをぶつけることもできないんだから、
冷静でいて、何が悪いって。
そこにアイノは人間だっていう人が居たなら、
その人が人狼でしょ。
――だったら、追い詰めなきゃ。
死んでもらわなくちゃね。
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