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襲われる前に、俺は器を出る。
器には悪いが、俺と同じ思いをしてもらうかの。
こやつは科学部だ、理科室で死ねるなら本望ではないか?
[くつくつと嗤う]
今日行かないと、人が残り2人になっちゃう
そうしたら、もう終わっちゃうものね
[仁が、自分が行くと言うから
それならそれでよいと、頷いて]
寂しく、ない?
[器の肩越しに、仁を見る]
そう、出るんだ?
向こう側には、行かないんだね
[ならば、この辺りを漂うのだろうか
それもまた、寂しい気がするけれど]
寂しいのは…お前じゃないのか?
[ニヤリと笑う]
俺は別に、寂しくはない。
[人のぬくもりを求めて中に入ったわけではないから]
うん、私は寂しいよ
寂しいから、人に憑き
寂しいから、人を誘うの
闇の中は、孤独でいっぱい
だから、つかの間の温もりを欲するの
[真顔で、恥ずかしげもなく答えつつ]
…あぁ…
[...も相好を崩す]
短い間だったが…
―――…楽しかった………ぞ。
[普通の笑顔になっている。その顔は少し照れている]
…―――
顔、崩れてる
[照れている顔を、指差してみて
くすくす、笑う]
私も、楽しかったよ
お別れ、って話じゃないしね
私達は魂、存在は永劫に近い闇
だから、いつでも会えるし
[理科室に入ろうとする、仁の器
それを見届けて、ふわりと舞い上がり
仁の隣に、浮かんでいる]
[器を出て、ドアのところに貼り付く]
さぁ、愚かな人間。
俺と同じ恐怖を味わうがいいぞ
[高笑いするでもなく、哀れむ様子もなく、ただ、淡々と告げた]
照れてる時は、可愛いのに
無表情な仁は、台詞が怖い
[ドアを塞いでいる、仁を見つつ
霊もくすぐったいのだろうかと、脇腹をつつく
つんつん、つんつん]
だって、笑ってる時のほうが、可愛いもの
[真顔で、そう言うのだけれど
呆れたように笑う様子に]
ほら、そっちのが可愛い
[くすぐったかったのかと、勘違いをした]
その手の感覚があるわけなかろう?
[試しに紅の脇をこちょこちょする]
…な?
[人間たちの焦りを思うと申し訳ないような和やかな一瞬だった]
可愛い…?
[愕然とした顔で紅を見る。その顔はすこし赤くなっていた]
な、ななな、何を言うか。
[ドアを押さえる力はそのままだが、
明らかに動揺している]
ん…―――
感覚、ないね
やっぱり、器を借りないとだめなのかな
[少し、寂しかった
女の器に入っていれば、少し違ったろうけれど]
波長の合う子、いないかなぁ
[ゆらり、周りを見てみるけれど
憑依できそうな体はなくて]
残念
仁を抱っこしてあげようかと思ったのに
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