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その笑いが嘘っぽーい。
[照れたように彼と同じようにあははと笑って]
そうだよね。神秘的だよね。
[そう言いながら、隣で携帯を操作してこの景色を残そうとしている彼の姿を見つめ]
あー。そっか。
画像とっておけば皆に信じてもらえるかなー?
[そのままてくてくと彼の手をぎゅっと掴む。]
[側に座り込むデンゴには変わらずにこにこと。]
ん。どしたの?
…なぁに、むすっとして。
[むすっとした様子に笑ったまま、
指先で、彼の鼻先を突こうと指を伸ばすだろう。]
デンゴくんに、お姉ちゃんから質問。
[しかし、その後は真面目な顔になる。
彼の目をしっかりと見つめ]
―とある交差点―
[美夏と二人で歩いていると、車の走らない交差点に立ちすくむ一人の女性をみとめた。黒く美しい髪が、昇る雪と共に揺れていた。]
……アン…………?
なんでこんなとこに………
[声を発する前に、彼女はこちらを振り向いた。彼女は、言葉を紡ぐ。その声は直接頭に響くようであり、そこにいた俺達以外にも聞こえたかもしれない。]
「ジュンタ…よく聞いて。この世界は、永遠の世界じゃない。いずれ、一人ずつ消えていく。忘れないで。死者の想いを、天に帰して。雪が消えてしまう、その前に。雪に願いを。」
あん……?いや、俺はお前に聞きたい事……!
いやちがう!言いたい事があって……!
[むにゅ。
イマリに鼻先を突かれてむずむずと顔を動かして
なに、すんだっ…よー。
[文句ありげにイマリを見るが
真面目な表情に目をぱちくりして]
イマリ、と、おっさんと、他に?
ええと…。
[あとは黒髪の、学生]
なんか、髪の長い、変な奴。
みんな居なくなった…みてーなこと、言ってた
[秘密基地の前に立っていた姿を思い出して
膝をぎゅうううと抱えた]
[交差点に差し掛かれば、昨日見た女の子の姿。]
あ…あれ…。
アンちゃん?
[こてり首を傾げてジュンタの顔を見上げる。彼女が彼に向けて紡ぐ言葉が自分にも聞こえてくる。]
永遠の世界じゃない…。
死者の想いを天に帰す…。
[何のことかと首を傾げながら彼女の言葉を口の中で繰り返す。
その時、見たことない表情で隣にいる彼が彼女に叫びに近い声で何かを言おうとしている。]
(あぁ…。やっぱりそうなんだ。)
[何も言えなくて、彼に行ってもらいたくなくてぎゅっと手を少し強く握ったかもしれない。]
[俺が駆け寄ろうとしたその時に、繋いだ手を思い出して。離さないと誓ったばかりのその手が、離れなくて。]
あん……アン………!
俺は、俺は、お前が………!
[俺の言葉を遮るように、もう一度声が響く。]
「ジュンタ………あの日、貴方に誘ってもらえて。凄く幸せだった。ジュンタ、私は貴方に伝えたかった。あの日、言おうと決めていたのに。言えなかった。だから、聞いて?私、貴方がずっと好きだった。これだけ、伝えたかったの。もう行かなくちゃ。」
[俺は、繋いだ手の事など忘れて駆け寄った。]
俺も………俺も………!あん!
「サヨナラ、ジュンタ」
[俺の手が彼女に触れた時、彼女の体はふわりと消えた。まるで、粉雪のように。触れたら消える、雪の結晶のように。辺りに白い妖精達を残して、パラパラと。]
[まただ、また俺は間に合わなかった。伝えたかった。俺も、ずっと好きだったと、言いたかった。まただ、まただまただまただ。あいつはまた、消えちまいやがった。またサヨナラだけ言って、いなくなりやがったんだ。]
………あん……あん……あん………
………大好きだった………俺も、大好きだった………
ごめん、ごめん、ごめん………間に合わなくて………
間に合わなくてごめん………独りにしてごめん………
[ふと顔をあげたなら、正面にあったビルの明かりが消えて。窓の明かりで、一瞬だけ、文字ができたような気がしたんだ。]
「 サ ヨ ナ ラ 」
あぁ……サヨナラ、アン……
………貴女に会えて、幸せでした………
[俺の目に、一筋の涙が流れた]
[彼が彼女の元へと駆け寄ろうとした時、行って欲しくはなかったけれどそのまま引きとめる事もできず、力を緩めたかもしれない。
一度躊躇した彼が彼女が紡いだ言葉を聞き、手を離し駆け寄っていくのが見えた。]
あ…。
[離された左手を見て、彼の姿を目で追う。
最後にサヨナラと言って、彼の手が届いたと思った時に目の前からふわりと消える彼女の姿。]
きえ……た……?
[彼女が消えたと同時に天に戻っていた雪がまた天からふわりと舞い始める。
彼女が消えた事への驚きよりもジュンタがその場にちゃんと居る事にほっとしている自分がいて。
最後に伝えたかった言葉を伝えられなかった彼の気持ちを思うと自然と涙が零れ始めた。]
[彼の言葉が心に刺さる。
自分は何がしてあげられるんだろう?そんな事を思いながら、零れる涙を拭って彼へと駆け寄り、言葉をかける事もできないまま、そっと彼の背中を優しく撫でた。]
[束の間の、微睡み。
こぼれ落ちる雪のように、崩れていく世界。]
[窓の外、降り始めた雪。
ピンクマ携帯のスケジューラは、【明日は大切な日】のマーク。]
そう…。
[アンに会ったと云えば、少し考え込む様にし]
……それ以外に何か、云われた?
[彼に、他に何か告げてはいないかと小首傾げ]
他に、誰か人と会ってない、かな?
[他の人が、この世界に未だ居はしないかと。
望みを捨てきれない瞳は小さな彼へ問う。]
[背中を撫でられて、俺は力なく振り向いて。そこにいたのは、離すまいと誓った彼女。失うまいと思った人。俺は結局、彼女への誓いすらも守れなかった。それでも、誰かにすがらずにはいられなくて。きっと、そこにいたのが誰であっても、俺は同じ事をしたと思うけれど。母親を求める子供のように、ふらふらと立ち上がって手を伸ばす。彼女が拒否しないなら、そのまま抱きついてみて。]
………ごめん、今は顔………みないで………
[と、声を殺して泣いたと思う。]
[伸ばされた手を拒否する事なんてできるわけもなく、そのまま抱きつかれ無理に声を殺して泣く彼の背中を先程と同じようにゆっくりと撫で]
きっとジュンタの気持ちもアンちゃんに伝わってるよ。
最後にジュンタに会えて、アンちゃん幸せだったと思う。
[そう伝えた後はただただ黙って、背中を撫で続けるだろう。]
他にぃ?
[首をひねる。とはいえあの時は…
いきなり立っていて驚いたのが半分で。
それでもぽつぽつと言っていた事を思い出す]
死んだ奴の、思いを還せ、って
この街はもう、いつもの街じゃないから…って。
あとは。メールで何とか…
[そこでぶんぶんと頭を振って]
意味わかんねーよ。
なに言ってたんだか。
他には、会ってねー。
おっさんと、イマリだけだ。
[望みの込められた瞳を避けるように俯いた]
[ぽつぽつと紡がれる彼の声を必死で追う。
彼を見つめる瞳は縋る様な色だったろう。
が、一通りの彼の返答を聞けば]
…そっ、か
[俯く彼の後を追う様に。
理由は違えど、笑いを讃えたまま俯いた。]
……会ってない、かぁ
[ぼそりと口から零れる一言]
[ひとしきり泣いて。泣いて。泣いて。それでも、彼女の撫でてくれた背中は、なんだか暖かかったから。涙が枯れてしまったなら、俺は大きく深呼吸した。]
……ごめん、美夏ちゃん。
手、離さないって言ったのにね。俺、嘘ついちゃった。
許して………?
[ふっと体を離そうとして。美夏に微笑んだと思う。]
もう、大丈夫だから。
[きっと、ほとんどの人がいなくなった
それは頭のどこかで認めていて。
しかしそれを受け入れられない何かも、あって]
イマリは、見てねーのか?
ほんとに、オレたちだけになっちまったのか?
ちがうよな、誰か、いるんだよな?
おっさんも他に誰か見てるんだろ?
[イマリと、ズイハラをぐいっと見上げる目は
真っ直ぐで]
ケータイのメールでなんかしろって言ってたんだ
アイツ。
[そうすればみんな帰ってくるのか、と]
[しばらくそうして泣いていた彼から聞こえてきた言葉にはふるふると頭を振って]
ううん。気にしなくてよいよ?
………。
ジュンタも一緒に消えちゃうかと思った。
[最後の一言はぽつりと本当に小さい声で。
大丈夫と微笑まれれば、自分も微笑んでポケットからハンカチを出し、彼が流した涙の痕をそっと拭った。]
俺が消えたら、さみしぃー?
[あはは、と無理矢理笑みを作って]
なぁ、美夏ちゃん。俺、泣いてたよな?
[涙の後を拭われながら、俺は聞いた。彼女が死んだと知った時、凍ってしまった俺の心。だから、彼女の葬式の時だって泣けなかったのに。いつの間にか、俺の心は溶けていて。]
[問われれば、彼を見つめたまま]
見てないよ。
誰か居ないかと思って…
ウチの側の家とか、さ。
ピンポン鳴らしたり、勝手に扉あけたりして。
人を探したんだけど…ね。
何処の家も、居なかった。
[ジュンタから電話の来る前。
アンと会う、其の前に起きた出来事の切れ端を話す。]
ケータイ…
[デンゴが触れる話題に、自分の其れを取り出し。
アンの言っていた事を思い出している。]
[こくりとゆっくり頷いて]
うん…。寂しいし、消えたらいやだ…。
[ぽつり本音を漏らし、無理に笑う彼がそれでも泣いているように見えて]
うん。泣いてた。
いーっぱい泣けばいいと思うよ。
涙と一緒に悲しい事も流しちゃえばいいと思う。
[そんな事で彼の心が晴れるとも思えないけど明るく言ってにこりと笑う。その笑顔はぎこちなかったかもしれないけれど。]
だれも、みてねーのか。
[イマリの返答には不服そうに口を尖らせて。
でも街の中に人の気配がないのは自分も見ていて]
それで、どーにかなんのか?
[イマリの手元のケータイを見た]
[覗き込むデンゴに見せるようにして]
メールを送れって云ってたけど
[こち、こち、と操作し]
…あて先設定しちゃダメって言ってた。
[顔をあげ、なんとなく、二人を見つめる]
…あて先設定しないで、おくれたっけ?
[問いかける顔は、何処か情けなく。
眉毛がへにゃりとあがり、泣き笑いの様。]
……送れなかったらどうなるんだろう
[ぽつり呟く]
あはは……消えねぇよ。俺は消えねぇ。
美夏ちゃんを置いて、消えるなんてできねーよ。
俺が消えなかったのって、多分美夏ちゃんのおかげだし。
[ぽふり、彼女の頭に手をのせようとしてみて。]
そっかぁ………俺泣けてたかぁ………
じゃぁもう、本当に吹っ切れたのかもな。
サヨナラを、やっと認められたみたいだ。
[にこり、笑って]
[ぽふりと頭に乗せられた手に安心して]
うん。消えないよね。
ん…?私のおかげ?
[首を傾げ、吹っ切れたと笑う彼にはただにこりと笑い返した。]
そういえばまた新しい11月1日が始まったんだね。
雪もまた降り始めてるし。
[そう言って携帯の時計表示を確認する。]
[イマリの操作する様をじいいと見て
くびをひねる]
あて先って、入れねーと送れねーんじゃねーのか
[違ったっけ?とイマリとズイハラを見る]
あて先は入れないとして…後は…
送るんだからなんか書くん、だろ?
[あて先なし、件名、文面なし…では、
さすがに意味はないだろうと]
あ…ズイハラさん。
調子、少しよくなりました?
[ズイハラの声に視線を其方にやり、問う]
空へ…還すとか云ってましたけど…
[答えながらも視線を携帯に戻し]
うーん…
件名に……確か、名前で…
本文は…
[デンゴの声を追う様に、ぽちぽち操作]
そ、美夏ちゃんのおかげ。
………あいつが俺の前に出てきた時。
美夏ちゃんの顔が浮かんだ。
あんなに好きで、会いたかったアンに会えたのに。
他には何もいらないって思ってたのに。
美夏ちゃんの事が、頭よぎっちゃって。
案外俺、美夏ちゃんに惚れてたりしてー?
[あはは、と冗談のように言ってみる。]
あぁ、新しい1日が始まったな。
雪も普通に降ってるし。
[件名に自分の名前を書いた]
…うえはら、いまり、と
[本文は]
本文はなんだっけ…
星に願いを?
[うん?と小首傾げ。
ぽちぽち、とその文章を記述して。]
おくる、のかな
[ぴぴ、と送信してしまう]
[同様にして送信できたらしいズイハラを見て]
おっ、送れたんですか!
[送れちゃったんだ!と声を大きくする]
…こっちも
[画面を覗き込めば……何故か返信がある]
…なんか、すぐさま返信きてるんですけど
[苦笑い]
他には何もいらないかぁ…。
そこまで想われてたアンちゃんは幸せだったろうね。
あはは。私に惚れたー?
[冗談のように言われた言葉には冗談のように返し]
うん。でも本当に消えなくて良かった…。
[最後に言った言葉は本心からで。]
そういえば、アンちゃん、ジュンタにお願いしてたよね?
死者の想いを還すとかこの世界は永遠じゃないとか。
[こてり首を傾げ、アンが言っていた言葉を思い出そうと頭を捻る。]
[二人がケータイを操作するのを見て
驚いたように口をあけて]
何であて先なしで送れんだ?
すげーなー。
[それがどこへ届くのかなどとは考えもせず。
イマリが星に願いをと入れて送信するのを見ていた]
なんか、違う気がする。
[あの時アンが言っていたのはなんだっけ?
…に願いを。なにに?星?空?…雪?]
ゆきに、ねがいを。
[たしか、そうだった]
[メールを開き、その内容を見て絶句]
……ケンメイエラー、ホンブンエラー。
[文面は全てカタカナのみで埋まっている]
…なに、これ
[携帯には人の名前と思しき、其れが]
ズイハラシゲユキ、ササキデンゴ、
クニモトジュンタ、イノウエマシロ、
アサクラミナツ、ウエハライマリ。
[6つ。無機質に並んでいる]
あぁ、幸せだったら………いいな。
もしさー、俺が美夏ちゃんに惚れてたらどーするよー?
[ニコニコしながら、かなり際どい質問をしてみる。]
………うん、消えたくないもん。
[ぽつり、美夏に本気で答えて。]
多分、メールの事だと思う。
宛先無し、件名に死者の名前、本文に………
あいつが言ってた。雪に願いを。
これだけ入れて、送るんだ。
[ゆきに――、ねがいを。]
ああ、そう、それかも!
[デンゴの声に、ああ、と相槌。
それだ、と頷き、本文に入力しようとするものの]
……本文エラーはわかるけど。
件名エラーってことは、さ。
件名も間違ってたって事かな。
……自分の名前、間違える訳ないとは思うけど
[メールを見返しながら呟く]
やっぱケータイ、必要なんか?
でもオレ持ってねーしなぁ。
[二人を見ながら腕を組んで考える。
しかしすぐにそうだ!と勢いよく立ち上がった]
オレ、かーちゃんの、持ってくる!
[バタバタとコンビニを出る。
さっきまで空へ上っていた雪が、
再び空から落ちてきていた]
また、ふってやがんの。
変な、天気。
[街全体が変になったとは考えたくなかった。
降る雪を顔に受けながら自宅まで*駆けていく*]
[見返しながらも、多少は楽に、というズイハラを見て]
良かった…お大事にして下さい。
[あわせて、微笑み]
ズイハラさんに、も?
[同じものがきたのか、
と携帯を持ち上げる仕草で問う。]
うん。きっと幸せ。
あー。うん。惚れてたらー?
ジュンタならいいかなー。勝ったらおごりだしね!
[照れながらも冗談ぽく返し、消えたくないとの言葉にはこくりと頷く。]
メール…そいえば言ってたね。そんなこと。
でも…死者の名前なんてそんなの分かんないよね?
誰が残ってるのかも分かんないし。
宛先なしでメールなんて送れるのかな?
[美夏の言葉には、真面目な顔で振り返り]
なぁ、奢れなくなっても。
それでも、俺ならいいって言ってくれる?
[メールの話には]
死者は探すしかねぇんじゃねぇかな?
誰か、いる奴の名簿とか持ってねぇかなぁ。
宛先はさ、この世界なんでもありだしぃ?
あ、こら、デンゴっ!
[たったと駆け出していくデンゴに手を伸ばすも、
それは掴むには間に合わず、見送るだけ。]
…んもー
[むぅ、と頬を膨らませるも。
ズイハラの声に、其方を向き]
……、そういう事、かもしれないです
[小さな声で返答。
ズイハラから、携帯の画面に視線を落とし。
並ぶ、自分以外の無機質な5つの名を眺める。]
[ふいに真面目な顔で聞くジュンタに]
ん?奢れなくてもジュンタはジュンタでしょ?
ジュンタが変わらなければ私も変わらないよ?
それに誰にでもほいほいついてくような軽い女じゃないですよーだ!
[核心には触れないまま最後は照れ隠しのようにおどけて言う。]
死者を探すかぁ。
でも、今まで逢った人でそんな感じの人いなさそうだったけどなぁ…。
名簿…誰か持ってるかなぁ?
[顎に手を当てうーんと悩みながら、これからどうしようか?という目でジュンタを見た。**]
―――。
[それから暫くは。
話しかけられない限りは黙って画面を見つめ。
デンゴが戻った時に寂しくならない様に、と。
その場に座り込み、*待つだろう*]
そか。わかった。ありがと。
[にこり、美夏に微笑んで。]
そうだなぁ、それでも探さなきゃ。
俺達が消えてしまう前に……ね。
[ふぅっと、辛そうに目を伏せたけれど。それでも]
とりあえず、散歩を続けないか?
人探しの旅。今度こそ、手を離さないから。
[そう言って、彼女に手を差し出して。彼女が手をとっても、とらなくても、まっすぐに歩き出した。]
―藍住中央公園―
[雪が昇華し、またその想いを降らせていく。
携帯電話の時計は11月1日の午前を回っている。
さすがに1日外にいたせいで身体が悲鳴をあげていた。]
……誰か…来るかとおもったけど、無理ね。
[携帯電話のボタンを操作しメール画面を開く。]
確か…メールがどうとか…。
死者の名前と…雪に願い…を。
[そう言って空を見上げる。
風が吹けば2つのビー玉が揺れた。]
[不安に思ったのか。
ストラップのビー玉をぎゅっと握った。]
一度……家に戻ろう。
誰かが帰っているかもしれない。
[家に戻る途中。
透明なビー玉を覗き込む。
その向こうから、走ってくる少年の姿。
小さな姿は近付くとビー玉の中で逆さまとなる。
けれど、はっきりとその姿を映していた。]
………………。
[ビー玉を覗くのをやめ、走っていく少年に直接視線を送る。
そのまま走っていった少年をそのまま見送った。]
[にこり微笑まれれば自分も微笑み返して]
この世界は永遠じゃないって言ってたもんね。
見つけられなかったら私達も消えちゃうって…。
知ってる人の中にいるのか、それともまだ会った事ない人なのか…どっちなんだろ…。
[辛そうにするジュンタの頬に手を伸ばし触れて]
大丈夫?きっとなんとかなるよ。
[何の根拠もないけれど明るくそう言う。]
そうだね。誰かいるならまず会わないとね。
[にこりと笑い、ほっとしたように彼が差し出してくれた手に自分の手を重ね、誰かの想いをのせた雪がふわりと舞い散る中、彼と歩き始めた。**]
―コンビニ―
気ぃつけてな。
[家へ戻るデンゴを見送り、残ったイマリといくつか言葉を交わして、]
あぁ、そういえば。
パフェ奢る約束、してたよな?
必ず行こう、元に戻ったら。
-コンビニ-
[携帯に浮かぶ名と、再び地に積もり始めた白を。
時折、隣の彼と言葉を交わしながら見つめた。
ふいに、彼が"パフェ"などと言い出し]
………。
[其方を見つめて、暫し停止]
――、
[そして彼の笑みから遅れる事、数秒]
―自宅前―
[はあはあと白い息を吐きながら団地の前で立ち止まって
自分の家のベランダを見上げた。
そこに、ゆらゆらと陽炎のように何かが揺れた気がして]
――!!
[あがる息をこらえて階段を駆け上る]
かーちゃん!!
[急いで家に駆け込むも家の中には誰の気配もなく。
ただ、冷え切った空気が出迎えるのみだった]
…はは。
[乾いた笑いを一つ上げて、そのあとはこらえて。
食卓の上の携帯電話を手に取って開いた]
[画面に表示されている日付は11月1日]
あ、れ?
[首をひねる。それは確か昨日の日付。
壊れているのかと他の日付機能付きの時計を見るが
どれも全て11月1日を示していた]
なんだそれ…。
[この街の何かが、狂ってしまった。
なのに何をしていいかわからず携帯電話を握り締めて。
そうだ、とイマリとズイハラがやっていたように宛て先未定のメールを
たどたどしい手つきで送ってみた]
送れた…。どーなってんだ。
[すぐさまエラーメールが返って来て。
そこに自分の名前も載っているのを見て唖然]
わっけわかんねーぞ!!
[小さな脳みそはいっぱいいっぱいで
携帯電話を握り締めて家を飛び出した]
くっそー、ぜってー…ぜってー元に戻してやる!
[歯を食いしばって全速力で向かうのは、さっきのコンビニ。
前を開けたままのダウンジャケットがばたばたと揺れて]
…ん?
[走る視界をすっと掠めたのは学生服を着た、女の子。
急に止まれずに一度は通り過ぎたものの、慌てて引き返した]
…オ、オマエ、消えてない奴だな!
[はあはあと息を吐きながら、ビー玉を手にしたその人物の前に立って
じいいいと*見上げた*]
-コンビニ-
[あれからどれくらいの時間が経ったのか。
ぼんやりとした頭を振って、顔を上げる。
…どうやら、少し眠っていたらしい。
睡眠、という形になるのはこうなってから初めてで。
体も疲れていたのか、全く自覚しない眠りだった。]
…ぅ
[ほんの少し、鈍い痛みがこめかみに走る。
ゆるゆると手で、こめかみを優しく押して。]
夢じゃないんだ、ね
[ぼんやりと店外に降り注ぐ雪を見遣り。
ズイハラを見遣り、呟いた。]
[二人で歩いた、輝く雪の日。普段ならきっとロマンチックな1日なのに、俺の気分は不思議だった。自分の気持ちが理解できなかったりする。それでも、俺は誰かが好きなんだと思う。アンの事があって、それは明確になったんだ。だから、俺は考える。俺を変えたのはなんなのか。誰なのか。]
美夏ちゃん?寒くない?どっか入る?
………って、入っても誰もいねぇか。
ズイハラさん達のいたコンビニとかいく?
それとも公園とか行ってみる?
[体育座りの姿勢で、顔を膝の間に埋めた。
足はぴたりと胸元まで引き寄せているので、
いつもよりもずうっと小さく見えたかもしれない。]
――、寒い
[こうすると、寒さが強く、身に染みて行く様で。
小さく震え、ぽつりと呟いた。]
あとどれくらい、こんななんだろ…
[それは不意に零れた弱音]
そういや、イマリはどこにいるのかねぇ?
優等生も、心配だな。あいつ、プライドたけぇし。
人に頼るって言葉知ってそうにねぇし。
[はぁ……とため息をついて、どうしようか迷っている]
―回想・帰り道―
[少年とすれ違った後、そのまま家に帰ろうと歩き出す。
]
何……?
[いきなり呼び止められ、振り返る。]
消えてないやつの意味が分からないけど。
まぁ、いいわ。
お子様が何の用?
[溜め息混じりに問いをかけた。]
[寒くない?と尋ねられれば]
うん。ちょっと寒いかも…。
ズイハラさん達なんか知ってるかなー?
一回、残ってる人と会ってみるのもいいかもね?
[イマリやマシロはどうしてるかと悩むジュンタに]
ジュンタ、イマリ先輩の連絡先知ってるんだよね?連絡してみたら?
マシロさんもメルアド教えてくれたしメールしてみようか?
[溜息をつく彼にそう提案してみた。]
案外夢…かもな。
[イマリがぽつりと呟く言葉に、小さく返して。]
…夢だったら良い?それとも、夢なんかにしたくない?
[何かを考え込むように。
寒さに震える様子をみて、]
着とけ。
[ばさりと背広のジャケットをかける。]
…いつか、終わるよ。
そうだな、俺はイマリに電話してみるよ。
美夏ちゃんは、マシロに連絡してみて?
[手を繋いだまま、俺はイマリに電話をかけてみた。]
寒いなら………くっつく?
[照れながら、美夏の肩くらい抱こうとするかもしれない]
[オコサマ、に一瞬ムッとした顔をして]
なぁ、オマエ、誰だ?
オレはデンゴ。
街のみんなが、どっかいっちまったんだ。
オマエなんか知ってるか?
[3人目の消えていない人物に問い掛ける。
手には携帯電話をぎゅううと握りしめたまま]
うん。マシロさんにメール送ってみるね。
[隣でイマリへと電話をする彼の横顔を見ながら携帯をポケットから取り出す。ふと掛けられた言葉に顔を真赤にしながら]
え…?
[肩を抱かれても拒みはしないだろう。]
[美夏の肩を抱いたら、出来るだけ顔を見ないようにしていて。だって、顔が赤くなっているはずだから。それでも]
………あったかい?
[と、聞いてみたり。]
うん…。あったかいよ…。
[こくりと頷き、恥ずかしさで彼の顔は見れないまま視線はマシロへどんなメールを送ればいいのかと携帯の画面へと。]
[顔を真っ赤にしながらイマリに電話をしている。]
………でねぇなぁあいつ………
なんかに巻き込まれて………ねぇよな?
[少しだけ、心配で]
宛先 マシロさん
件名 美夏です。
内容
突然メールしてごめんなさい。
マシロさん、あれから他に残ってる人に会いましたか?
もし、今も1人なら一度会いませんか?
[簡単に文面を作成して送信。イマリが出ないと心配する彼に]
イマリ先輩…誰かと一緒にいるのかな?
それで出られないとか?
[こてり首を傾げ心配そうに顔をしかめる。]
町の皆のことなんて知らない。
[空を見上げれば。
降る雪は全てを隠してしまいたい、そんな風に見えて。
まぁ、間違っているわけではないだろうけど。]
でも…あの黒髪の女が言っていたよう、死者を空に還せばいいんじゃないかしら。
そうすれば、あんたのお父さんもお母さんも戻ってくるわ。
[携帯電話を握りしめたまま呟く。]
誰かって誰よ?
電話に出られないくらい、その人となんかしてんのかな?
彼氏とか?イマリちゃん最大のぴんち?
[適当な事を美夏にいいつつも、やはり心配なのだが。状況が状況だけに、手放しで忘れるわけにもいかず。]
まぁ、後から連絡あるかな?
[と思う事にした]
うーん…。誰だろ…。
わかんない…。
それとも携帯が手元にないとか…。
[どんな状況が考えられるのかと悩めばその後に続く言葉に]
うん…。たぶん、連絡ある…と思う…。
マシロさんにもメール送ってみたから気付けばそのうち返信あるかな?
[そう言って彼の顔を見上げた。]
[街の人々に無関心な様子に唸って]
オマエ、冷たい奴だな。
街のみんなはいい奴なのに。
[ぐっと手を握ってその顔から視線をはずした
内心ではムカンシン女だ、などと思いながら。
黒髪の女が妙なことを言っていたアンだと気付き
また懸命に小難しい顔をする]
オレのとーちゃんとかーちゃん?
[なんだか見透かされたように感じたのか]
オマエ、知った風な口聞くんじゃねー!
オレのとーちゃんなんか帰って来るもんか!!
[ぐぐっと手を握り締めて睨みあげる。
父親の顔なんて、生まれてから一度も見ていない]
そうだね、連絡あるよね。
[そんなの、何処にも保証がないんだけど。それでも、俺の手はそんなに長くないから。俺が守れるものなんて、何一つないんだから。今腕の中にある人さえも、守れるかわからない。それでも俺は、助けたいと思うから。美夏も、イマリも、マシロも、ズイハラさんだって。もう一人いた子供の事は、よく見えなかったからわからないけど。それでも、偶然に同じ世界に取り残されるなんてありえないから。きっと何処かで関係があるんだろうなと。]
俺達、何してよっか?
うん。きっとあるよ!
[アンが消えてからずっと何かを考えている風なジュンタの様子を心配しながらも、明るく答え]
うーん…。何しようか?
メールって…また新しく11月1日が始まるまでに送らないとダメなのかな?
もし、その送ったメールに書いた名前が死者じゃなかったらその人はどうなっちゃうんだろ?
[こてり首を傾げながら、いつの間にか再び降り積もった雪が天へと戻って行くのを指さす。]
さぁ、どうなんだろう?
でも、やっぱり1日一人なんだろうなぁ。
危ないかもだし、軽率に送るのはやめとこうな?
[そう言って、少し考える。]
美夏ちゃん、あのさ。
異常な状況下で芽生えた愛は長続きしないって知ってる?
[少しだけ悲しそうに]
冷たいね…。
心配して町の皆が帰ってくるわけないじゃない。
[少年の様子に呆れたように溜め息をついた。
そうしているうちに、手の中の携帯電話が震えた。
その送信主を確認したあと、そのまま携帯を閉じる。]
…………………で?
[気付けば目の前の少年が激昂している。
言わんとしていることは分かるが。]
あんたはどうしたいの、これから。
[淡々と尋ねる。]
1日1人かぁ…。
[手の中にある携帯を見つめ]
うん。試しに送ってみようとかそんなこと考えるのやめとく。
[こくこくと頷き]
……………?
異常な状況下…。
[悲しそうに言う彼の言葉にちくりと胸が痛む。]
うーん…。でも好きって気持ちはどんな時でも一緒だよね?
長続きしない…か…。
でも、その人の事が本当に好きならどんな状況でも変わらないと思うし、変わったとしたらそれほど好きじゃなかったってことなのかな?って思うよ?
ほら、映画とかでよくあるじゃん?
すげー事に巻き込まれて。
二人で頑張ってるうちに、恋してるって奴。
あれってさ、種としての生存本能って奴なんだって。
だから、日常に戻ったら、冷めちゃうんだってさー。
[彼女の肩を抱く手に、少し力がこもったかも知れない。]
………そんなんだったら、戻りたくないなぁ。
ずっと好きでいたいしさぁ。
そんなこと、わかってるさ
[心配したところで帰ってくるわけじゃないのは
わかっていた。けれど、それでもそんなふうに
冷静にはなれなくて]
オレは。
[ずっと消えない不安で揺らいでいた気持ちが
もう限界だと悲鳴を上げる]
オレはあっちのコンビニに行く。
イマリも…おっさんもいるし。
[一人よりも二人、二人よりも三人…の方がいい。
それはいつも仲間といて実感していたから。
それに、走ったおかげで喉がカラカラだった]
ありが、とう…
[少し掠れた声で、ズイハラに礼を言う]
―――。
[問い掛けにはかなりの時間を要したかと思う]
わからない。
[それでも答えられる物はそれだけ。]
…ジュンタはね、あいつの好きだった人と会えた。
[ぽつりぽつり]
…ズイハラさん、さ。もしも、ね。
この世界が大切な人と会えるんだとしたら。
…ズイハラさんも、会いたい人、いるでしょ?
[それは何処か縋るような問い掛け。
返答もろくにできないのに、問い掛ける、瞳]
あー…。うん。確かに映画でよくあるね。
日常に戻ったら冷めちゃうんだ。
なんかそれって寂しいね?
[彼の自分の肩を抱く手に力がこもったのにはっと顔をあげ、続く言葉には恥ずかしさからすぐに顔を伏せ、言葉の意味を考える。]
…………。
ジュンタは元に戻ったら、好きじゃなくなっちゃうかもしれないんだ?
私はそんなことないよ?
[彼の顔を見上げ、ぷぅっと頬を膨らませた。]
[マナーモードにしていたせいか。
ジュンタからのコールには気付けずに。
ただぐるぐると頭の中、回る思いに捉われては、
ズイハラに問い掛けた言葉が己に還る。]
もしも、ここで会いたい人にあえて、
それがその人にとって幸せなら、ね?
…アタシたちに、それを止める権利ってあるのかな。
…その人が大切な人と一緒にいたいって、
望むような世界だったなら、さ。
…アタシたちが、帰りたいって思うのと、
気持ちはそう、違わないんじゃないの?
[何処か、責める様な口調で紡ぐ、も]
……ごめんなさい
[それに気付けば、小さく謝罪し、視線を逸らす]
あぁ、冷めちゃうの。寂しいよねぇ。
[顔を伏せた彼女から紡がれた言葉は、少し恥ずかしくて。]
あ………いや、今の気持ちに自信がないんだ………
俺、美夏ちゃんの事………好きだけど。
この好きが、壊れちゃうかもしれないの、怖いし。
もしも時が止まるなら、今のまま………
[言いかけて、自分の言葉に赤面する]
[ふぅと、小さく息を吐く。]
あっそ………。
何をすべきか。
優先させるべきことは何か考えなさい。
あんた、父親のかわりにお母さん守らなきゃダメでしょ。
[雪が再び昇り始める。]
………気を付けて行きなさい。
そうそう。
私はあんたが死人じゃないことは知ってるわ。
だから頑張りなさい。
[空を見上げたまま。]
ふーん?
自信ないんだー?
[抱かれていた腕から逃げるように数歩前に駆け、くるりと彼の方を向いて]
元の世界に戻ったら壊れちゃうの?
ずっと傍にいるっていったくせに…。
私は変わらない。元に戻っても変わらないよ。
ジュンタが傍にいてくれれば変わらない。
[赤い顔で、でもまっすぐに彼の顔を見てそう告げ、いーっだという顔をした。]
言われなくても…っ
[手をにぎにぎして俯いて積もる雪を睨みつければ
また、雪が空へ還って行く。
視線は自然と雪を追うように空へ]
何をすべきかって、なんだ?
死人を探すってことか?
オレが死人じゃないことを知ってるって、
何でそんなこと言えんだ?
[悪戯を仕掛けても一番面白くない類のオトナ。
それだけはよくわかっていたが]
それで、かーちゃんが帰ってくんなら
探してやるよ、死んでる奴を。
[頑張りなさい、って言葉に素に返って頷いて。
じゃあな、と言ってコンビニへ向かってかけだした]
[口走り、視線を逸らしては。
何を言っていいかわからなくなってしまった。
半ば、泣き出しそうな瞳で、外を見つめる。
雪は再び、静かに空へと還って行く。
それに何かを重ねるように]
――。
[ぼんやり見つめては、黙り込む]
[するり、腕を抜けた彼女。彼女から紡がれた言葉は嬉しかったけれど。いや、嬉しかったんだろうな。単純に。]
ずっと一緒にいるよ………許されるならずっと。
俺、やっぱり美夏ちゃん好きだし。
壊れないって、この気持ちは本物だって、思えるし。
………うん。
[ふぅ、と一度深呼吸。真面目な顔で一度だけ]
好きだよ。多分、アンよりもずっと。
[言い終えたら、照れ隠しに顔を反らして]
―コンビニまでの道―
[還る雪が気になるのか、走るスピードは遅い。
空を見上げては首をひねって、
時折ゆらゆらと見える何かを見ては首をひねり]
今度見たらぜってー追っかけてやる!
[ぼっそり呟いたところで商店街へ向かう道の方に
ゆらゆらとしたものを見つけて]
いた!だーっしゅ!!
[そのゆらゆらに向かって走り出す]
[彼の口から紡がれる言葉に赤い顔がますます赤くなって、その顔を見られないように少し俯いて彼の言葉を聞く。
間が空いて告げられた言葉には顔をはっとあげ、にこりと微笑み]
うん。私も好きよ。
ありがとう。
[そう伝えれば、彼の顔を自分も見ることができず、うつむいた。]
…………あの…サイトに書いてることが本当なら…。
[携帯を開いてメールを確認する。]
――――――
to ×××@××.ne.jp
from +++@+++ne.jp
――――――
返事遅くなった。
気が向いたら行く。
――――――
[ミナツと名乗った少女からのメールに返事を打つ。]
………さて、どうすべきかしら…。
[見上げる空。
雪、*還る。*]
[沈黙という時間には、二種類あると思う。辛い沈黙と、嬉しい沈黙。今の沈黙は、一体どっちなんだろう。後者だと、自分では思っている。それでも、このままじゃいけないと思って。]
……ね、行こっか?
ろくにデートも出来ないけどさ?
[つとめて、平静を装ったつもりだ。それでも顔は赤いけど。]
どっかいく?
それとも、一回飯食いに俺ん家帰る?
[帰ると言われたら、恥ずかしくて爆発しそうだけど。それでも、無言で手を差し出してみる]
[アンが云っていた事。
そして、アンについてジュンタが云っていた、こと。
自分が帰りたいと思う、気持ち。
巡り、積もった筈の雪が、還る。]
……。
[偉そうに偽善を紡いでも。
――、本当は、帰りたいという思いが。
胸の内、雪とは正反対に、降り積もる。]
[しばらくそうしてただただ黙ったまま時が流れて、ふいに彼が言った言葉に]
うん。そうしよっか?
空に雪が戻っていく中でデートなんて素敵だよ?
絶対に普通じゃできないもん。
[同じく顔は赤かっただろうけど明るくそう言って、にこりと笑う。]
どうしようか?
お腹空いた?
お腹空いたなら戻ろうか?
[胸がいっぱいで自分は食べられそうにないけれど、彼にそう尋ねる。無言で差し出された手にはそっと自分の手を重ねた。]
[追いかけたゆらゆらは近づくと消えていく]
かーっ、ちきしょーっ!
[ゆらゆらがあった辺りの地面を踏んづけて
ひとしきりげしげしとやったあとに顔を上げた]
だれだ?ヒト?
[顔を上げた道の向こうにゆらゆらとしていない
人影を二つ見つけてくびをひねる]
まだ、消えてない奴がいる!
[驚いた拍子に雪が鼻に入った]
へ、へくしっ!
[抑える間もなく盛大なくしゃみが出て。
ずず、っと鼻をすすり上げた]
[彼と手を繋ぎ歩いていれば、ふいに携帯が鳴る。立ち止まり慌ててポケットからそれを出し、中身を確認すればマシロからで。]
マシロさんから返事きた…。
気が向いたら来るって。
[携帯のメール画面をジュンタへと向けた。]
そうだね、素敵なデートだと思うよ。
戻ったら、自慢しよーねー?
[ぴこん、と携帯のムービーを撮影する。誰もいない街。真っ白に降り積もった雪が天に帰る。その中を歩く二人。これを幻想的だと言わずに、何を言うのだろう。]
今帰ったら、俺緊張して飯食えないかもだけど。
それでも、結構冷えたしさぁ。
風呂くらい、入りたいし?
[なんだか、自分でどんどん恥ずかしい方へ走ってる気がする]
[美夏から見せられたマシロのメールを確認する。]
……best of マイペースだなあいつ……
まぁ、無事ならいいか。
[何処からかくしゃみが聞こえて、俺は振りかえる。]
そうだね!皆に自慢できるよね!
[ムービーを撮るジュンタの様子を隣で見て]
私もご飯食べれそうにないな…。胸がいっぱいで。
[照れたようにそう言い]
あー。うん。ずっと外にいるから体冷えたね。
一回、家に戻って温まった方がいいかな?このままだと風邪ひいちゃう?
[こてり首を傾げる。
そうしてマシロのメールを見せた彼が呟く言葉にくすりと笑う。
くしゃみが聞こえ、ジュンタが振り向いた方へと自分も振り返る。]
あ…!公園でリフティングしてた子!
君も残ってたんだ?
あはは……胸いっぱいとか言われたら、照れるべ。
[困ったように笑って]
そーだねー、暖まりてぇー。
でも、風呂ってわくのかな?
[素朴な疑問。振りかえった先にいた少年には見覚えがあり]
……あ、ズイハラさんの隠し子……
[不用意に近づいても…とさっき教訓を得たのか
様子をうかがうように人影にそっと近づいていたが]
あ!飴くれたねーちゃん!
[人影の片方がこの前公園で飴をくれた人物だと
わかればそちらへ駆け出した]
ねーちゃんも消えてなかったんだな!
[へへへーと少しだけ笑みを見せて]
これでえっと…
[指を折って数え、もう一人の人物を振り返って
また一本指を折った]
6人だ。消えてない奴!
[そう言って、見知った女の子の方を見上げた]
[にこにこと笑いながら近づいてくる少年に]
君も消えてなかったんだ。
ずっと1人でいたの?
[指を折って数える少年の発した6人という言葉に]
君と私達の他に3人の人に会ったんだ?
どんな人達だった?
[少年にそう尋ね、頭をそっと撫でる。]
あ…そう言えば名前聞いてなかったよね?私はミナツよ。君は?
[頭を撫でられながら恥ずかしそうに俯いて
折った指を見ながら]
えっと…あと、イマリとおっさんと…
変な奴。髪が短い、ムカンシン女。
[そう言って見上げれば名前を聞いて]
オレ…デンゴ。
[短く名乗ってもう一人に視線を遣って]
あれ、ミナツねーちゃんの彼氏か?
[もう一人をじいいいと]
おっさん…。
[しばし考えて、コンビニで一緒にいた社会人の彼を思い出し]
ズイハラさんの事かな?
[無関心女で髪が短い…。思い当たるのは1人しかいなくて]
マシロさんかな?
[そうジュンタの方を見てこてり首を傾げる。]
デンゴ君か。よろしくね。デンゴ君。
[その後に続く言葉には顔を赤くして]
………。そうだよね…?
[それでいいのかと顔を赤くしてこてり首を傾げ、ジュンタの方を見る。]
彼氏………?
[しばらく考えてみる。考えてみる。考えてみる。]
俺、彼氏………?
[美夏の方を見て、聞いてみた。]
俺はジュンタだ、少年。よろしくな。
[じぃっと見られているので名乗ってみた]
[二人をかわるがわる見ていたが
何となくはっきりしない様子なのはわかった]
お、おれはデンゴ、だ。
[不意にジュンタに名乗られて
びっくりして名乗り返す]
カレシじゃねーの?
[それを認めるということはどういうことなのか、
さっぱりわかっていない]
なんかはっきりしねー奴ー
もてねーぞ?
[へっへへーと笑う]
[彼氏?と聞き返されて]
考えないとわかんないの?
彼氏だよね?
[ぷぅっと頬を膨らませる。目の前にいるデンゴには]
そだそだ。イマリ先輩とかそのおじさんとか髪の短いお姉ちゃん、何か言ってなかった?
[目線を少年の高さに合わせるように屈み、そう尋ねた。**]
おう、俺はもてねーぞ?
[何故かデンゴに胸をはってみた。]
難しい話をするとだな、彼氏ってのはどこから彼氏なんだ?
好き同士なら恋人か?
手を繋いだら恋人か?
恋人になってくださいなんて、大人は言わねぇんだよ。
いずれわかるさ、少年。
[ぽふり、頭をなでようとしてみた]
[彼氏だよね?と美夏に言われたから]
……うん、彼氏だと思う。
[何をもってそう呼ぶのか、俺にはわからないけど。自分達は結ばれるのか、この世界には問題が多すぎて]
へ?なんか言ってたか?
[ジュンタにぐりぐりと撫でられたところへ
ミナツに問われて首をひねる。
いろいろ聞いた話はあるが、話す順番がわからない]
えっと…イマリやおっさんはメール送ってた。
宛先入れねーで送るらしい。
オレもやってみたんだ。
そしたらこんなんが返って来た。
[自分でも試したところ、返って来た名簿付きメール。
見せようと思って文面を出したとき、
載っていた名前が6人分だと気付いて凍りつく]
ろくにん…ってこのろくにんか、まさか。
[ミナツとジュンタに見えるように
携帯電話の画面を向けた]
[メールの文面には6人の名前。
ズイハラシゲユキ、ササキデンゴ、
クニモトジュンタ、イノウエマシロ、
アサクラミナツ、ウエハライマリ。
そこから選べといわんばかりに]
死んでる奴を見つけて、そいつの名前を…
えっと、件名に入れて…えっと。
メールに書くのは、雪に願いを。
[だったかなぁ、と首をまたひねる]
ムカンシン女はオレのこと死んでる奴じゃないって。
よくわかんねーんだけど。
[自分でもまだ混乱しているのか、
話す順番はぐちゃぐちゃで]
お………名簿か。お手柄だな少年。
[だとしたら、既に全員会った事になる。この中に死者がいる。確実に、一人は。辛い。身を切るように辛い。]
少年、腹へってないか?
この姉ちゃんが、うまい飯作ってくれるぞ?
食いに来るか?
[考える事を、やめてしまいたい。元の世界に戻ったら。一人、確実に、いなくなるのだ。俺の世界から。]
めし?
[聞き返した途端にぐう、と腹の虫が鳴いた。
照れ隠しにへへへへ、と笑って
ミナツとジュンタの顔を交互に見て]
オレ、邪魔じゃねーの?
[その辺の感覚は割とマセているようで。
それでも空腹には逆らえない。
構わないと言われればついて行くだろうし、
邪魔そうならばコンビニで*菓子を漁るつもり*]
構わねぇよ。一緒に食おうぜ。
[いいよな?と美夏に聞いてみて。二人きりだと、どうもまともにいられそうもないし。第一………]
美夏ちゃんが、死者じゃない保証なんて何処にもない………
[俺は、怖いんだと思う。大切な人が、また一人いなくなる。マシロもデンゴも、俺は大切だと思っているし。美夏はもちろん。ズイハラさんだって大切な友人だ。イマリだって……大切な人には違いない。嫌なんだ。いなくなるのは。]
………あぁ、この世界が永遠なら………
死者などいなくて、全てが元に戻るなら………俺は………
[イマリからの電話はいまだない。]
―コンビニ―
[財布から五千札をとりだしてレジに置き、ホットケースから缶コーヒーを二本。
カフェオレの方をイマリに渡して、ブラックの缶をあける。]
そうだな…
大切な人に逢いたい…か。
会えたら終わってしまうなら、会える前の楽しみな気持ちがずっと続く方が個人的にゃ好きかな。
あれだよ、遠足の前の日とか好きだったさ。
…変な状況下だけど、こんな日でも…
案外悪くは無いかな…なんて。
[だと思う。と答えたジュンタの答えを黙って聞く。
少年が首を捻りながらひとつづつ教えてくれるのに耳を傾け]
宛先なしでほんとにメール送れるんだ。
[思い出しながら話していた少年が突然携帯の画面を見て固まる。こてりと首を傾げながらも見せられた画面を見れば]
6人・・・。皆、知ってる名前ばっかり・・・。
[そこには自分の名前も記されていて]
そのメールが送られてきたってことはきっと6人しか残ってないってことなんだ・・・。
[この中の誰かが死者。それが誰かはやっぱりわからなくて。
メールを送らなくてはならないという内容は自分が知っているのと変わらない内容で頷きながら聞き]
マシロさんがデンゴ君は死んでる人じゃないって言ってたんだ?
マシロさん・・・霊感でもあるのかな?
[こてり首を傾げ、彼女が何故その情報を知るに至ったのかを考える。]
マシロさんが言ってる事がほんとなら、デンゴ君は死者じゃないんだね。
残りの人から死者を探せばいいってことか・・・。。
[果たして誰が死者なのか。さっぱり見当もつかなくて。でも隣にいる彼はそうではないと信じたい。繋いだ手もあんなに暖かかったのだから。]
死者は・・・想いを天に還してしまったら消えちゃうってことなのかな・・・?
[このうちの誰かが消えてしまう。そう思えばゆるりと頭を振る。]
[はっと思い出したように先程、気が向いたらとメールが来ていた彼女へとメールを送ろうと携帯を開き文章を作成する。]
宛先 マシロさん
件名 Re:Re:美夏です。
内容
今、デンゴ君から教えてもらったのですが、この世界に残っているのは私たちを含め6人みたいです。
残っている人たちの名前は
ズイハラシゲユキ ササキデンゴ
クニモトジュンタ イノウエマシロ
アサクラミナツ ウエハライマリ
宛先を入れなくてもメールが送れるのは本当みたいです。
今、ジュンタとデンゴ君と3人でいるので気が向いたらいつでも連絡くださいね。
P.S. マシロさんって霊感あるんですか?
[最後にどうしても気になっていた一番聞きたい事を添え、ぽちりと送信ボタンを押す。
ふいにデンゴへお腹が減ってないか?と問い掛けるジュンタに]
色々教えてくれてありがとうね。
デンゴ君のお母さんが作るみたいには上手に作れないかもしれないけど、お腹空いてるなら一緒にご飯たべよ?
[目の前にいる少年の頭をぽんぽんと撫でる。ぐぅっと鳴ったお腹にはくすりと笑みをこぼす。]
じゃ・・・邪魔なんかじゃないよ!
おいでおいで。一緒にいこ?
[顔を赤くしてそう答える。その時ぽつりと漏らしたジュンタの言葉が耳に入る。]
あー。うん。ジュンタから見れば私も死者かもしれない1人だもんね。
でも、私はジュンタが死者じゃないって信じてるよ。
[複雑な面持ちでそう答え、目線を合わせていた少年の手を取り、]
さ!いこっか?
ずっとここでこうしてても冷えちゃう。
ほらっ!ジュンタもいこ!
[先程目の前で消えたアンのようにきっと誰も消えて欲しくないと思い、考えを巡らせているだろう彼にそう明るく声をかけ、デンゴには]
イマリ先輩やそのおじさんは元気だった?
[そんな他愛のない事を尋ねながら家への道を3人で歩いた。**]
[信じている。これほど曖昧で、しかも強烈な言葉があるのだろうか。死者ではないと信じている。さて、死者だと何か問題があるのかな?死者にもし罪があるとするならば、それはこの世界を作った事ではないと思う。その人の罪は、死んだ事。サヨナラを先伸ばしにした事。なんて言いつつ、俺はサヨナラまで一年もかかったのだけれど。]
よしよし、行こう行こう。
腹も減ったし、寒くて風邪ひきそうだ。
[つとめて明るく声を発した俺の頭に、ずきりと頭痛が走る。あぁ、迫っている。また新しい、誰かが消える。止められない、止まらない運命が、俺には重く、辛いんだ。]
―外→俺の家―
[いいのかー?と二人へ問いかけて、
構わないという返事をもらって照れたように笑う]
[ミナツに手を引かれながら雪の還る道を歩いて]
オレんちのかーちゃんロールキャベツが得意なんだぜ!
[そんな他愛のない、思い出が口をついて出る。
イマリやズイハラのことを聞かれ、空を見たままうーと唸って]
イマリは元気そうだった。
けど、おっさんは…具合悪そーだった。
[だいじょうぶかな、とミナツを見上げたとき、
ジュンタの足が止まった。
どうやら、目的地に着いたようだった]
そっかー。デンゴ君のお母さんはロールキャベツ得意なんだ?
お母さんの作ったのとは違うけどロールキャベツにしようか?
[隣で自分と手をつないでいる少年にそう語りかける。]
おじさん、具合悪そうだったんだ…。
うーん。ちょっと疲れちゃったのかな?きっと元気になるよ。
[心配そうに見上げる少年へきっと大丈夫と言い聞かせる。]
さ。寒いからお家に入ろう?
[鍵を開けるジュンタの後に続き、デンゴに家の中へ入るように促すだろう。]
ロールキャベツ!!
[やった、と笑顔を見せてミナツを見上げ、
次いでジュンタの顔を見上げた。
なんとなく、考え込んでいるような雰囲気に首をひねって]
…ねーちゃんのロールキャベツ、まずいんか?
[こっそりジュンタに聞く]
お、じゃ、じゃ、ましまーす。
[鍵を開けるジュンタ。中へと促すミナツ。
初めての家なので踏み出す一歩はひっそりと。
まるで忍び込むような仕草で家へ入った]
へええ。ジュンタにーちゃんちかぁ
[きょろきょろと見回している]
―俺ん家―
リビングはこっちだぞ、デンゴ。
男しかいない家だから、好きにしていい。
テレビは映らないけどなー。
………ねぇちゃんの料理はな、女の子の味さ。
優しい味がするよ。
[思い悩むのはやめにした。とりあえず、今を精一杯生きる事。それが何より大切だと思うから。俺はそのまま、風呂を沸かしに行った。スイッチは入るし、ちゃんとお湯も出るようだ。]
お湯も巻き戻しで、水になるかと思ったぜ。
[軽く肩をすくめてみたり。]
[忍び込むように家の中へと入っていくデンゴの背中を見てくすりと笑う。]
ロールキャベツ…。
[頭の中でぐるぐると何が必要だったかと考える。冷蔵庫の中にはたして材料はあるんだろうかと思いながら。]
ジュンター、またお台所借りるねー。
[そう言って2人を残して台所へと。]
おー。
[リビングはこっちだというジュンタについてリビングへ。
ぺたんと座ってきょろきょろとして]
へー。やさしいあじ、かー。
[微妙な表現はよくわからない。
でもたぶんふんわりした感じだろうとか思った]
[リビングから出て行ったジュンタと、
台所へ行ったミナツを見送って
所在なさげにテレビのリモコンなんかをいじってみる]
やっぱりうつんねーや。
オレんちといっしょ。
[すたっと立ち上がって窓の外を見た。
まだ、雪は空へ還り続けていた]
[台所で1人料理を作りながら考える。]
うーん…。6人の中で誰かが死者。
デンゴ君によるとデンゴ君は死者じゃないとマシロさんが言ってた。
マシロさんは死者と生者の区別がつく人…なのかな?
[ぶつぶつと思った事を呟き頭の中を整理する。自分なりに上手く巻けたロールキャベツを満足げに見つめ煮込み始める。]
この2人以外の中に死者…。
[ポケットから携帯を出し液晶表示を見れば新しい11月1日が始まるまで残り1時間ちょっと。それまでにメールを送らなければどうなるのだろうか?]
[そうしてしばらくぼんやりと考えていれば鍋の中身が煮えたようで、食器棚から皿を出し。盛りつけていく。
それをお盆に載せ、リビングへと。]
デンゴ君、ジュンタ、おまたせー。
ちょっと時間かかっちゃってごめんね。
いびつだけど…食べれる味だとは思う…。
[自信なさげにロールキャベツが盛られたお皿をそれぞれの前へと。]
[お風呂の準備を終えてリビングへ。どうやら、料理もできたらしく。美夏が何やら運んできている。]
うー、腹減ったぁ〜!
めーしー、めーしー、めーしー!
[作ったハイテンション。作り物の笑み。]
[還る雪を吸い込まれたかのように見つめていて
気づけはミナツのできたと言う声が聞こえていた]
おーっ!
めしめしーっ!
[還る雪。還すべき人物はいったい誰。
見つけなければ、望む人物達は帰ってこない。
頑張りなさい。
ムカンシン女に言われた言葉を思い出していた]
食う食うー
[皿を目の前にして、箸を握って。
いただきますの瞬間まではお預けの気分]
[2人のはしゃぐ姿を見てくすりと笑う。
お箸を握りそのまま固まっているデンゴを見て]
ん…?
食べていいよ?美味しくなかったらごめんね?
いただきます。
[手を合わせ頭を少し前に傾げて目の前にある料理に手をつけ始めた。]
-コンビニ-
[ズイハラからカフェオレの缶を差し出されれば]
ありがとうございます
[にこりと笑って受け取り。
缶を両手で包み込む様にして持った。
開けないままで、飲み口をじぃっと見つめて、
ズイハラの言葉に耳を傾ける]
――。
[何も返しはせず、ただ黙って聞いて]
[最後、茶化す様な言葉を聞けば]
――。
[矢張り何も言わぬまま、視線をズイハラへ。
じぃ、と数秒見つめて、缶へ視線を戻し]
…っ
[缶のプルタブをゆっくりと引いた]
いっただっきまぁーす!
家族みたいで楽しいなぁー?
[あはは、と笑って。楽しそうに食べるんだけど。それでも現実は変わらないから。辛いんだと思う。]
[そして十分な間を取って、一口含み]
――。
[飲み下してから]
変な気を遣わせちゃって、ごめんなさい
[本当に小さな声で、一言呟いた]
[会話から逃げる様に意識は携帯を探る。
手はポケットへと伸び、指先にふれる其れ。]
もう、30分もない、ですね…
[アンが云っていた刻限まで、だ。
誰にともなく、ぼそりと呟き。携帯を開く。]
あ
[其処には着信を知らせるメッセージ。
発信者は"ジュンタ"と明記されている。]
…なんだろ
[気にはなる、ものの]
―――。
[掛けなおす事はせず、黙り込む]
お、おう!
いただきまーーーすっ!
[ミナツに食べていいよと言われたので
お預けは解除。一度手を合わせてから、
皿のロールキャベツにかぶりついた]
あちっ、ほっ、ほっ
んめ。んめー。
[はふはふとロールキャベツを頬張って
満面の笑み]
[ジュンタが無理に笑っているのがわかって胸が痛む。]
家族みたい?
あー。そう見えるかもね?
[くすくすと笑う。]
あはは。デンゴ君おいしい?
[少年の笑顔を見てほっとした顔をする。
それでもやはり気になるのかちらりと壁にかけられている時計へと視線を送る。
天へと戻る雪がまた天から降る時刻が刻々と近づいていた。]
[いつだかの夜中。
この世界に来てしまってからの、夜中。
ジュンタとの会話で随分と恐怖が和らいだ。
その時の彼の言葉を一つ、一つ。
ゆっくりと、思い出す。]
アンちゃん、か…
[彼女は何故この世界に居て、私達の前に現れ、
あんな事を言ったんだろう。
そして、何故"還す"事を望むのだろう。
…この世界は彼女にとっての理想郷、
では無いのだろうか。]
[彼女は確かに、"死者"だったのだ。
其れが、"死者"を還す事を望んでいた。
彼女もまた、彼女達の世界から消えた"死者"を。
私達が、元の世界を望むのと同じ様に…。
"還して"欲しい、と望んだのだろうか。]
――。
[全てはただの妄想で。
世界に理由や意味など無いのかもしれない。
人が生まれ、生き、やがて消える流れに、
意味などなにもわからない様に。
…いくら考えても、
其処には何も無い、かもしれない。]
[だけれど。其処に意味を。
気持ちを、探し、求めるのなら。]
――、
[件名に書く名は、一つしか浮かばない。]
――、っ、
[ゆっくりと、3のボタンを2回押し、]
……っ
[ぼやける視界の中、名を紡いで行く。
其の顔は、何処か苦痛めいた其れにも見えるか。]
うん、うめーっ!
[ミナツへそう返して、ジュンタの顔を見る]
家族?
[…とーちゃんがいたら、こんな感じなのかもな。
そう思ったが口にはせずに]
すっげわけーとーちゃんとかーちゃんだなぁ!
[あははははと笑う。
ミナツの視線を追って時計に目をやって
それからズボンのポケットに入れたままの携帯を
取り出した]
[食事が済めば空になった食器を持って台所へと。
かちゃかちゃと食器を洗っていればやはり時間が気になり、携帯を取り出す。]
…………。
[内容には「雪に願いを」]
件名…。
[先程、デンゴに見せられた名簿を思い出す。
何かを決めたように件名へと名前を綴る。
画面をじっと見つめ、送信ボタンに手をかける。]
ごめんなさい…。
[そう呟いてぎゅっと目をつむり送信ボタンを押した。]
家族にみえないかな?見えてたらいいのにー。
[明るく振る舞うのは大変だ。それでも、なんとか頑張って。誰を………という言葉しか、頭に浮かばなくて。この嫌な気持ちはなんなんだろう。美夏以外なら誰でも……と思えたならどれだけ楽なんだろう。なんで、そう思えないんだろう。]
イマリとズイハラさん………無事かな………
[ズイハラの声が聞こえ、追う様に外を見る。
雪は静かに、天へと還って行く。
もしも意味が、あるのなら。
もしも願いが、あるのなら。]
――。
[雪に良く似た、脆くて儚くて、大切な其れは。
誰かの心に綺麗に積もってくれるだろうか。]
……。
[そっと、目を閉じた。]
[かちり携帯を取り出せば、無機質な画面がやけに後ろめたく。誰の名もかけぬまま、雪に願いをとだけ打ち込み。]
………終わらなければ……いい………
[そう小さく呟いて、入れた名は誰の名か]
ごちそうさま。
[食器を下げるミナツに言って
手元は慣れない携帯を操作する]
…ゆきに、願いを。
[ようやく覚えた漢字に変換して、
送信ボタンを押した]
――。
[かーちゃん…]
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