[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
匂いに誘われてアンちゃん来ないかな。
アンちゃーん、カキ氷だよー。
[と言いながら既に皿の中にはほとんど氷片はなくなっている。
仕事に向かおうとするセイジには]
行ってらっしゃい。
先生方にどうぞよろしく。
[自然に足は森の方へ向かっていた。こどもたちに教える地蔵のさらに先、一層植物が生い茂り昼間でも暗闇のようなそこに実はもう一つ地蔵がある。その先は許されたものしか行くことはできない]
……ばーちゃん…。
[歩く足取りは重い。本気で走り回れば半日で一人の行方を調べることなどできるほどの小さな村である]
動物じゃないんですから。
[アンを呼ぶホズミを呆れた視線で見詰める]
はい。行ってきます。
[空になった器を片付けると、一旦自宅に寄ってから、学校に向かった]
― 回想・2年前 ―
[あの日も今日みたいに雲一つない晴天。
家に帰宅すると母は笑顔で私と双葉を迎えて抱きしめてくれた。
その日の夕食は一際豪華だったけれど 肉 のない料理だった。]
" 若葉、双葉。
今度の儀式でね 母さんが――― "
[話を聞いた時の自分の表情だけは未だに思い出せない。それから儀式が恙無く行われ 久しぶりに双葉と一緒に 肉 を食べた。]
―学校―
こんにちはー。
あれ、万代さんは?
[教室に入るなり口に出す。
彼女は音楽の授業の時はいつも参加しているので、姿がない事を疑問に思ったのだ]
『マシロ先生、今日は来てないよー』
『セイジ先生、朝まで一緒に居たんじゃないの?』
……それは誤解だ。
[ませた子供の質問をばっさり否定しつつも、この事態を放置していいものかと思案顔になる。
ここでいきなり自習にするのも、与えられた役割の放棄と見做されそうだ]
困ったな。
[結局この授業は否応なしに自習となるのだが、それはもう少し後の出来事である]
頂きます。
[盛って貰ったかき氷には砂糖水をかけ、みぞれにして食べた。ごちそうさまでした、と改めて手を合わせる。去っていくセイジを見送って]
……今日は、蝉が特によく鳴いていますね。
[木の上を仰ぎ見て、ぽつりと呟いた。ホズミに挨拶をしてから、男もその場を去り]
[がた、がたたん!
激しい音と共に若葉は椅子からバランスを崩して落ちた。]
いててて…
どうしたんですかー?
[飛び込んできた教諭が告げたのは、1人の人間の死体報告。それは遺体の解剖、解体依頼でもあった。]
アンちゃんが?
――――…すぐ向かいます。
[ともに長く過ごしてきた家族故の虫の知らせのようなものがあった。最初は小さなものだったが、時間が経てば経つほど強い確信に支配されていく]
ねえ、お地蔵さま。
うちのばーちゃん、見てない…?
[村の端、二つ目の地蔵まで辿り着き誰の前でも見せたことのないような弱々しい呟きをこぼす。
ふと、地蔵の裏側の草が倒れているのに気付く]
……?
―小料理屋―
おはよう。ポルテさん。
[若葉が学校へ向かったすぐ後、小料理屋に着くと、水の入った木桶を台所に置いて]
水ここに置いておくから飲んでね。また後で野菜も持って来るよ。
[若葉が来た事や病状を聞いたりした後、残りの木桶を手に畑へと向かう。]
お地蔵さま、ちょっと失礼します。
[地蔵に手をかけ、奥を覗き込む。ごく最近、ヒトが踏み荒らした跡があった]
ばーちゃん?
……いや、一人の足跡じゃない。複数…。
[少しの逡巡を見せ]
ちょっとだけ。ちょっと。
[誰にともなく許しを請うと、さらに奥 ―禁忌の場所― へ進む]
― 村長の家 ―
はぁ、…はぁ、…っく。
お待たせ……しました。
[小さな肩を上下させながら村長の家に運ばれたアンの姿を見る。
最初の発見者がマシロで、アンが森の奥で見つけたことも聞かされた。
他の村にいる医師もその席にはいたが数は多くない。その後、死因を解明するのと同時に腑分けも始められる。
それにより、彼女の死が 自然死とは明らかに異なり、人の手によるものだと解れば村長は人を集会場へ集まるように村中に連絡が走るのだろう。]
[何処を目指すでもなく、道を歩いていく。ふと、草履の爪先に何かが触れて足を止めた。見下ろせば、仰向いた蝉の死骸が落ちていて]
……、
[見慣れた光景ながら、瞑目して手を合わせた。右手で左の袖の先に触れるのが、男の「手を合わせる」仕草だった。実際に掌二つを重ねる事はできなかったが]
……死。
[そう、呟いて]
[男を含めた村人達が集会所に集められたのは、それから幾らか経ってからの事だった]
――道端――
[仕事道具を取りに自宅へ戻るかと思った矢先、村長からの使い人に呼び止められた]
え、アンちゃんが?
獣にやられたのかしら。
[戴きに向かおうとするホズミの耳に入ったのは、それが殺人と思しきこと、そして、集会場へ来るようにとの言葉だった]
―学校―
[明らかに学生ではない若者が、こちらへ駆けて来るのが見えた。
昇降口から教室まで回って来ると、清治を名指しして集会所へ来るようにと告げる]
え、今からですか?
その、一体何が……
[事情を訊いたが答えははっきりせず、ここでは言い難い事らしいと察せられた]
わかりました。今すぐ向かいます。
授業はとりあえず自習な。縦笛の練習しておいて。
[生徒たちに手短に指示すると、学校を出て集会所へ]
―――足だ。
[そう思ったのまでは覚えている]
……ここは…診療所…?
[独特の薬品の匂いがした。
しばらくして、ワカバから自分が森の奥でアンの死体を発見したことを告げられるだろう]
[死体を発見した自分がアンの流れ出る血を見て啜り、体中に血を浴びて民家の辺りまでふらふらと歩いていたところを保護されたこと、
アンの死因から、自分が容疑者として疑われていることを知るのは、もう少し後になる]
[腑分けの際に切り肉片の欠片も洗浄した腸に血と共に詰めた。こうしておくとある程度保存がきくものとなる。それが村長の好物らしい事も、繰り返す作業の内に知る事となった。]
はふ、…
[両手も白衣も赤に染まり、暫くは血の匂いが抜けないのだろうなと思う。]
……え? アンさんが……?
[瞬き、当惑したような声を零した。歩いていたところを話しかけられ、アンが死んだという事を告げられた。連絡を伝えた者は緊張したような顔で頷き、潜めた声で言葉を継いだ。
アンは人間によって殺されたものらしいと。そして、すぐに集会所に向かうように、と]
誰かに、殺された……なんて。
……、わかりました。今から行きます。
[返事をすると、まだやるべき事が残っているからか、連絡者は何処かへと歩いていった。汗が一筋伝う程度の間、思案するように佇んでいてから、男も歩き出し]
――集会場――
冷めないですね。
暑いですもんね。
[手持ち無沙汰にお茶を淹れた。
湯飲みを並べたちゃぶ台の横に正座して、そわそわと、落ち着かない様子]
あの、ところで、アンちゃんはどういう……?
この村に、罪人が いるんだね。
[確認するように呟いてから、アンの死体状況を細かく書いた手帳を鞄にしまう。]
見つけなきゃね。**
―集会所―
[学校を離れた所で、漸く明かされる。
村で起こった、一つの『殺人事件』。
生贄ではない娘が、人間の手で殺されたのだと]
それは、……え、アンさん?
そうだったんですね……。
[詳しい状況を訊く内、集会所に辿り着く。
戸を開ければ、そこには自分以外にも容疑者の顔があった]
―道端―
[ほずみの家に向かう途中、村長の使いの者に声を掛けられると立ち止まって]
ああ、こんにちは。野菜ですか?今、ほずみさんの家に届ける所だから、これを届けてから…って違う?
アンちゃんが…?
そういえば、最近あまり姿を見なかったけど…
集会場へ?はい。分かりました。
[この村では先天性の疾患や異常で、若くして死ぬ村人も少なくはない。しかし、普段とは違う様子の使いに困惑した表情を浮かべつつも、集会場へ向かい、アンが殺された事を知った。]
……今日は。
[程無くして集会所に辿り着くと、既に集まっている幾つかの姿に挨拶をした。詳細や対応の如何は村長から話されるとの事だったが、まだその姿は見えないようで]
大変な事になりましたね。
アンさんが……
[呟くように言って、少し俯いた]
どうも、こんにちは。
[呼ばれて来たらしい人々に、そのたびに会釈をした]
よかったら、どうぞ。
あまり冷めてませんけど。
[そう言って、自分で湯飲みをひとつ手にしてすする]
こんにちは。
[栂村に挨拶を返して]
そうですね。
少し前から、様子がおかしいとは聞いていたけれど……まさか、こんな事になるなんて。
[儀式から外れた殺人。
未だ信じられないという表情で、集められた面々を見回す]
ンガムラさん、探してましたよね、アンちゃんのこと。
会えなかった、んですよね、結局。
[ほとんど中身の減っていない湯飲みをちゃぶ台へ戻して、両手は膝の上に。
やがて、現れた医師を見つめて、問いをひとつ*]
ワカバ先生、アンちゃんに何があったの?
こんにちは。本当に、大変な事になりましたね…
[栂村に挨拶を返しつつ、集会場に集められた面子を見回す。ほずみからお茶を渡されると、ありがたく受け取って]
ありがとうございます。ほずみさん。
ああ、丁度野菜を届ける所だったんで、この集会が終わってから持って行ってください。
[と、足元に置いてあった木桶を掲げて見せた]
有難う御座います。
[卓袱台の近くに座り、茶が入った湯呑みを一つ取り上げた。茶の表面が揺れるのを見つめて]
そうですね、あれきりになってしまいました。
様子がおかしかった、……
……もしかすると……アンさんは、何かを察していたのかもしれませんね。
[ホズミやセイジの言葉にそう返す。一口茶を飲み下すと、長い瞬きをして、息を吐き]
[血塗れの服から借りた服に着替え、村長から話があるというので集会所へ]
……。
[飛び交う言葉に俯き一人唇を噛みしめる]
[ホズミから熱い茶を受け取って、一口だけ啜る]
何かを、察していた……。
[首を傾げているうちに、村長が集会所へ現れた。
湯呑みを置いて姿勢を正す]
[事実と推測が入り交じり時にあからさまに疑いの目が向けられながらも、見知った顔を見つけると駆け寄って]
私が発見したみたいなんです。
森に行ったんです。そこで。
でも、私、覚えてなくて…。
まさか、アンが…殺されるなんて…。
[思い出されるのは、笑顔ばかり**]
疑わしきを……殺す……?
それって、つまり……。
[ここに集められた6人。
容疑者。疑わしき者。
それを殺していいと、村長は言った]
そんな……。
罪人が裁かれるのは当たり前だけれど、これじゃ……。
[無実の人すら殺される可能性があるのでは? と。
口に出すのはすんでの所で留まったが、不安は確実に胸の奥に存在していた]
[若葉によるアンの死体状況の報告。それに続く村長の言葉を聞きながら]
どう言う事ですか。この中に犯人が居るって…そんなはずは…
[あるはずがない。そう続けようとしたが村長に逆らえるはずも無く、困惑した表情で集められた人たちを見つめる]
[眉や湯呑みを持つ指先を時折僅かに揺らしつつ、神妙な表情で村長の話を聞いていた。話が終わると、ゆっくりと一呼吸してから]
……私達の中に、犯人が。
[呟くようにその内容を繰り返した]
そして、疑わしきを殺す事は、神が赦し望まれる行為だろうと……お告げ、が。
……、
[湯呑みを強く握り締め、また、暫く黙っていて]
……。わかりました。
色々と……考えなければ、いけませんね。
話し合わなければ……
[やがて落ち着きのある、しかし何処となく沈んだ声で言った。村長から開放の旨を伝えられた後も、集会所の片隅に座ったまま、周囲の様子を眺め、話を聞いていただろう。話しかけられたなら、返答も*しながら*]
[ホズミから茶を受け取り、質問が飛べばアンは他殺死体であった事を伝える。
獣の手ではなく 人間の手で ―――。]
あ、…
村長。
[集められた人数は少ない。
告げられた二つの事は彼女の内では予想できていた事。
大きめの瞳を数度瞬くだけで周囲の人の顔を探るに似る。]
[マシロの身体からはまだアンの血の匂いがしていた。自分と同じ匂いだ。
彼女から身を離し、それからダンケへ視線だけ移動させてから]
昨日の夜から今朝まで…
みんなが何をしていたのか。
それを言いあってみようか?
疑わしい人は捌かれるだけだけど
その人を探さなきゃね。
相手の意識がない状態なら女性でも可能だったと思うよ。
そうじゃなきゃ容疑者の半分が女の人なわけないよー。
[割り込んでくる清治の方へ今度は歩み寄って、じぃぃ、と彼を見るも背は低いため顔は彼の胸元辺り。
身を僅かに屈めれば彼の手元も近く
すん、と一度鼻を吸った。]
[自分の手元に視線を落としていたから、ワカバとセイジの動きは見えていなかった]
アンちゃんを、見間違うわけないじゃない。
……そりゃ、遠かったけど。
[ぎゅ、と組んだ手を握り締めた]
仮に、仮に、この中に犯人が居たとして。
アンちゃんが殺された、理由は?
禁忌を犯す、どんな理由があったっていうの?
私には浮かばない。
そうですか……。
[集会所を見れば確かに女性が半数を占め、片腕のない栂村も呼ばれている。
力の有無は余り関係がないようだ]
……ん?
[手元で息を吸う若葉を見る]
匂いでわかるんですか?
私も解らないよ。
アンちゃん、まだ若かったのに…
[肩を落として、清治から半歩引いて身体の向きを僅かに変えて半身だけを清治に向ける。]
あとでみんなでちゃんと食べてあげなきゃね。
それがアンちゃんのためだよ。
昨日の夜は、家にいました。
日が沈んでからは誰にも会っていません。
[皆に昨夜の行動を尋ねるワカバに、そう答えた。己以外が答える言葉は静かに聞き]
……私のような者もいますから、ね。
[セイジの疑問とそれに対するワカバの返答には呟いて頷いた。周囲を一望し、目を伏せる。誰もが等しく容疑者であるのだと、再確認したように。
ホズミの言葉を聞けば]
禁忌を犯した理由、なんて……
本人に聞かなければ、わからない事でしょうね。
……尤も、その本人が誰かというのが、問題なわけですけれど。
[若葉の片目で見詰められて、ゆっくりと瞬く]
……はあ、お好きにどうぞ。
[じっとりと見詰める視線に両手を挙げ]
可能性ですよ、可能性。
複数の犯人が口裏合わせてるのを真実だと思ったら、犯人にいいようにされるかもしれないでしょう?
ポルテさんが寝込んでるのが残念だね。
[アンの弔いを想い、そっと呟いてから]
んー…
アンちゃんの死体の状況を見て
複数犯かどうかまでは解らないけど
単独の可能性は高いって
他のお医者さんが言ってたよ。
さてと、…
はいはーい、清治くん一緒にお散歩しよー。
[泣きそうな万代を見て、ぽんと一度肩に手を置く。
それ以上は何も言わず]
はいはい、お散歩ですね。
[若葉に答えて立ち上がる]
[つぶやくように]
そうですね、ちゃんと食べてあげないと。
……でも、よかった。
[腐る前に発見できて、と口に出すことはしなかった]
この中に犯人やその協力者が複数いる、という可能性は……あまり考えたくないですね。
六人の中で一人いるらしいというだけでも、多く感じるくらいですから。
[セイジが口にした「可能性」の話には、否定するわけでもなく、希望のように零した。アンを喰らわねばという声にはただ頷き]
可能性といえば……
……アンさんだけで済むとも、限らないのですよね。
むしろ、……
[小さく呟いて、首を横に振った]
― 集会場の外 ―
[外は天気が良くて、太陽を見れずに目を細める。儀式も近いのもあり2年前の事も自然と思い出される。]
……いい天気だね、清治くん。
えへへ、ごめんねー。
連れ出しちゃって。
―集会所の外―
はあ……暑……。
[肌を刺すような直射日光に思わず呟く。
しかし風通しの良くない集会所と比べればどっこいどっこいか]
そうですね。
……わざわざ外に出たのは、理由でも?
[口調だけは暢気な様子の若葉に訊ねる]
[立ち上がって、マシロの頭をくしゃくしゃと撫でる]
うちのお母さんに聞いてみるよ。
よろしくね。
[集会場にまだいる人にそう言って、靴を履く]
― 集会場の外 ―
[裏口の辺りの近くには日影があり、こっちこっちと清治を手招く。先に辿り着けば小さな背のまま伸びをひとつした。]
んっ! 〜〜…ぷは。
もう一回、確認したくって。
清治くん。手…貸して?
複数犯…というのは考えたくないですね。
[清治の言葉に苦笑いを浮かべて]
それにしても、本当に困りましたね。
アンちゃんはまだ若かったのに…
[唯でさえ閉じた村の中、貴重な若者が居なくなるのは辛い。]
ここに居る人も比較的若い人ばかりだし、早く犯人を見つけないと大変な事になりそうだ。
[今回集められた面々を思うと、思わずため息が漏れた]
――集会場→――
[ワカバとセイジの姿は見て取れたが、声までは聞こえない。
そのまま道を進み、自宅へ]
あっつい、あっつい。
ん……?
[玄関の前でしゃがみこんだ]
あはは。
[扉の前に置かれていたのは、仕事道具が入った鞄と、いくらかの服が入った鞄の二つ。
蹲った姿勢で、独りごちる]
帰ってくるなってこと?
[手を差し出されれば、その手、爪も眺め その大きさを確かめるように見た。
彼の手へ視線を落としたまま顔を上げずのまま]
………、双葉がね
清治先生は優しくて大好きだって言ってたよ。
昨日も「さくら」を練習してて
家にいても 縦笛をよく持ってるの。
……、清治くん。
アンちゃんの手の爪に誰かの皮膚がついてたんだ。
きっと必死で抵抗したんじゃないかな。
…清治くん。
[髪を撫でられて、少しだけ目元が柔らかくなる。頭を下げて]
ありがとうございます、ホズミさん。
お願いします。
[出て行くホズミを見送りながら、外の日差しを見て]
この気温では、あまり持ちそうにない…。
急がないと。
[独りごちた]
[ワカバとセイジが連れ立って去っていくのを見送った。続けてホズミが去るのも見送り]
本当に……若かったのに。
ええ、集められた方も、皆さん若くて……
私くらいならまだ、仕方ないですけれど。
[ダンケが漏らすのに同意した。男自身も三十を越えて程無いまだ若い範疇ではあったが、容疑者の中では最年長であったために]
――→集会場――
[しばらくしてのち鞄2つを手に集会場へと戻り、マシロへと会釈するように頭を下げた]
ごめん、お母さん出かけてたわ。
途中で会った人にも聞いてみたけど、知らないって。
でも、探してくれるって、言ってたから。
[たたきに立ったまま、室内を眺める。
泳いだ視線を自分の足元に落とし、*呟き声を零した*]
私がやりましたって村長さんに言ったら、それで終わるかなぁ?
双葉さんが?
……そう。楽しんでくれてたなら、良かった。
[ぽつりと呟く声に、感情は籠もらない]
…………。
[若葉の指摘に、差し出した手がぴくりと僅かに動く]
そうですか。
それを理由に、僕を犯人だと告発すると?
[怒る風でもなく、若葉の顔をじっと見て問うた]
[ンガムラの言葉を耳に挟み]
アンは若いから殺された…?
じゃ、栂村さんよりずっと年取ってるばーちゃんは無事かな…。
ねえ、栂村さんは村で人が殺される話は知ってる?
こういうときって、犯人って誰なのかな。
[昔、いくつも話をせがんだ時のように、軽い調子で声を掛けた]
ははは、栂村だって。まだ十分若いですよ。
[集会場を出て行く人たちを見送りつつ、栂村に声を掛ける。]
お帰りなさい。ほずみさん。
ん?ほずみさん。何か言いました?
[かえって来たほずみに声を掛けつつも、何か呟いたのは分かったが、上手く聞こえずに聞いてみる**]
[上からの視線を感じ、手は握ったまま見上げる。]
告発してるなら、さっきとっくにしてるよ。
[清治の目を、まっすぐに見上げて言葉を返す。
ぼさぼさの髪が顔の横で風に揺れる。]
アンちゃんの手、まだ村長さんの家にあるよ。
そこは残しておいてって 言ってあるから…
[ぎゅうと清治の手を握る手に力が籠る。]
犯人じゃないって言うなら
一緒に来て…、確かめさせて。
[帰ってきたホズミに微笑むと]
ありがとうございます。
本当に、助かります。
[零れた言葉が一部耳に届き、首をかしげた]
………。
若いから。……
そういう理由だという可能性も、なくはないでしょうね。
無事である事を祈りましょう。
出来るなら、これ以上被害を出さないように。
[マシロに柔らかい声色で返す。全く普段通りではなかっただろうが、出来る限りそうなるように。ダンケには、ほんの微かに笑ってみせて]
ええ、知っていますよ。
村で人が死に、その犯人捜しが始まるという話は、たくさんあります。
有名なものでは、人に化ける人狼という怪物の話がありますね。遠い何処かに伝わる話で。人狼は架空の存在でしょうけれど……状況は、良く似ています。
そういう時は、大抵、怪しくない人間程容疑者であるものですけれど……
この状況では、誰が怪しいとも言い難いですからね。
……そういえば、この村にも、そういった話が残っていました。確か……
[まっすぐにこちらを見上げる視線]
……ありがとうございます、と言うべきなのかな。
[思わず目を逸らしながら呟いた]
わかった。一緒に行きます。
[手首の少し上に、真新しい傷痕があった。
改めて見れば、爪痕とも見えるそれをちらと見遣りながら、若葉に頷いた]
[そこで一旦言葉を止め、三和土の方を見やった]
ホズミさん。お帰りなさい。
……どうかしましたか?
[呟きはよく聞き取れなかったが、その様子に首を傾げた。また同じような言葉が聞こえたならば、困惑したように眉を下げただろう]
じゃあ、どういたしまして かな?
[目を逸らす清治を見上げればほにゃりといつもの笑みを向けて、握る手の上にうっすらと見える赤を視界に入れつつ]
ねぇ、清治くん。
私が死ぬ時がきたら
…ダンちゃん悲しんでくれるかな。
…それとも、喜ぶのかな。
[日影をなるべく通るようにしながら村長の家へと歩みを進める。地面に並ぶ影は短い。]
私はどんな形であれ、人が死ぬ事は
悲しくて ここが締め付けられるんだ。
[座り込んで顔を覆って]
…わたし、もうだめだと思ってた。
だから腐る前に探し出して食べなきゃって。早くしなきゃって。
ずっと、そんなことばかり考えてた。
…そっか、そうだよね。無事かもしれない…。
[顔をあげて、ンガムラとダンケの目を見て微笑んだ]
栂村さん…ダンケさんも、ありがとう。
[ンガムラの話を真剣に聞いていたが、ホズミが帰ってきて話が途切れると]
じゃ、また続きを聞かせてくださいね。
…私、ちょっと探しに行ってみます。
[集会所を出て行った**]
[若葉の問いに、瞬いて彼女を見る]
……別れは、辛いよ。誰だって。
生まれ変わりを信じていたって、何年先の誰なのかなんてわからないんだから。
[若葉の半歩後ろで、前髪に顔を隠すようにして俯いた]
僕も、母さんが死んだ時は、……悲しかった。
…、ん。
家族が…いなくなる時は、ひと際だよね。
私も、母さんいないから…
[じゃり、と熱い地面に転がる小石を踏み、熱を持つ地面の上を足を運びながら]
ダンちゃんは知らないんだ。
ううん、私しか知らないんだ。
双葉のパパが、ダンちゃんだって…
…… 変だね、清治くんにこんな話してもどうしようもないのに。
[白い白衣は太陽の光を反射して背の清治を照らすよう]
ただ、ずっと 誰かに 知ってほしかったんだとは思うんだ。
…あ
[やがて村長の家が見えれば足早になりつつも顔だけ斜め後ろ上へと向けて]
でもさ、清治くん。
清治くんのお母さんの生まれ変わりが
この村にいるって考えてみたら嬉しい事だよー。
そうは …思えない?
[前髪で隠れた顔を小さな背ならば覗けるかなと視線を向けた。**]
そっか。若葉さんのお母さんは――
[儀式の生贄として、祭壇で死んでいった彼女の事を思い出す。
と、双葉の父親の話に目を円くして]
え、ダンケさんが?
……そっか。そうだったんだね。
[口元だけに笑みを浮かべる]
家族、か……。
村の外では、「お父さん」も、家で一緒に暮らすんだってね。
[白衣の照り返しに目を細めながら、若葉の背中を見て、問い掛ける]
若葉さんは……ダンケさんの子供を生めて、良かった?
[清治の母親が死亡したのは、十数年前の事。
転倒時の打ち所が悪かったため死亡、というのが、当時の医者による診断であった**]
いえ。
[マシロには小さく首を傾けて微笑み返し]
ええ、勿論。行ってらっしゃい。
気を付けて下さいね。
[集会所を出ていく姿を見送った]
ホズミさん。
無実なら……そんな事を言ってはいけません。
[ホズミが呟いた内容を繰り返して聞かせていたなら、そう言っただろう]
今は……犯人を捜さないと。
[内容を知れていなかったとしても、それだけは口にして。いつの間にかすっかり冷めた茶を飲み干すと、ゆっくりと立ち上がり]
少し、外に出てきます。
また後程お会いしましょう。
[そのように言い残すと、男も集会所を後にした。何かを考えるようにしながら、道を歩いていく。時々すれ違う村人は、複雑そうな視線を男に向けてきた。言を憚っているのだろう、話しかけられる事はなく]
確か、あの話の終焉は……
[断続的に独りごちながら。あてつけているかのようによく晴れた空の下を、*進む*]
うん。
二年前の儀式の時に…
[あれから2年。双葉もすっかり大きく成長したのだと思い起こす。
背を向けたままだと清治の笑むのは気配と口調でしか解らないままだが]
村の外だと、ちゃんとお父さんが解る人が多いのかな。
…一緒に暮らすなんて、考えたこともなかったよ。
[長い白衣の裾がぱさぱさと揺れる。
容疑者として集められた6人に村の周囲の人の目は痛く感じられた。]
―――― うん。すごく、良かったよ。
また出来れば嬉しいくらい。
[問いの返事は背が語るを見ても嬉しそうで
自然と下腹部近くに手をあてる。]
きっと、ダンちゃんの子は村にまだいるんだろうけどその内の1人が私から生まれたなんて、 …幸せだよ。
……せーじ くん?
[彼が立ち止まれば距離が開いて
顔だけではなく身体も彼へ向ける。]
清治くんは、この村が 嫌…
――――― え?
[殺された。
その言葉に、驚きが全身を襲い足を止めた。]
はわわっ。
あ、ああっ!せーじくんっ!!
[足を動かすきっかけは彼の眦に見えたもののおかげて、遠くへ行かないよう手を伸ばしながら掛ける。]
せーじくんっ!!!
ま、まままっ、待って。
…まtt
―村外れ―
はあ、はあ……。
[闇雲に走り続ける。
足は無意識に人気の多い方向を避けて、気が付けば村の外れにまで到達していた。
周囲には村と外との境界を示すように、疎らに木が生えていた]
…………。
逃げちゃった、なあ。
[足を止めると、幾分か冷静になって状況を振り返る事が出来た。
犯人と確定した訳ではないが、十分に怪しまれる要素にはなっただろう]
……なんで、
[広げた両手をじっと眺め、呟く。
しかし理由は明白で、自嘲気味に笑う事しか出来なかった]
ははは、……あーあ、馬鹿だなあ。
[騒々しい蝉の大合唱に、か細い呟きは飲み込まれていった]
私はやっていませんと言っても信じてもらえないのと同じように、
私がやったんですと村長さんに言っても、信じてくれない気がする。
[手にしていた鞄をたたきの隅に置き、代わりにダンケが持ってきた木桶を手にした。
向かうのは集会場のすぐ近く、死者を料理する為の斎場]
――斎場――
[容疑者は、遠巻きにされる。
まな板の上に湯剥きしたトマトを置いて、包丁の背で叩き割った。
同じくまな板に鎮座する、かつてアンであった肉片に赤い汁が飛ぶ]
誰のことを食べたい?
[洞窟でセイジに向けた質問が思い出され、口の中で呟いた。
トマト、にんじん、玉ねぎ、そして肉。
すべてを鍋に入れて、ひたひたと水を注ぐ]
え?うーん。まあ、確かにあんまり信用されないかもねぇ。
この状況で犯人が自白する理由が無いし。
[ほずみの言葉に考え込みながら、斎場へ向かうほずみを見送る。暫くはそのまま集会場に残っていたが、手持ち無沙汰になり]
あの、畑に戻ってもいいですか?世話が終わったら戻って着ますから。
[村長に許可を得て、一度畑へと戻る。]
[
じゃりっ。]
[土を掴む音がした。
周囲の村人はまるで態度を変えて助ける手すら伸ばしてはくれなかった。]
っ…
確かめなきゃ。
清治くんのお母さんのこと。
[突っ伏したまま小さく小さく呟いた。**」]
[狭い村だからだろう、どこかで炊かれる鍋の匂いが漂って来た。
一番色濃い匂いは、肉。
刻まれた娘の肉体は、鍋の中で単なる食材に変わってゆくのだろう]
肉……肉……全部、ただの肉。
[呟いて、ふらりとまた、何処かに向かって歩き出す]
[擦りむいた膝の治療のふりをして診療所へ戻る。母から受け継いだカルテを開いて清治の母の名を探す。]
…ない。
母さんが死体を確認したわけじゃないんだ。
でも殺されたって ――― 本当に?
ンガムラさんなら知ってるかな…?
―畑付近―
[定まらない足取りで歩いている所に、声を掛けられる]
あ、……ダンケさん。
集会所の方は解散になったんですか?
[つい普段よりまじまじと見てしまったのは、若葉の話を聞いていたせいだろうか]
いやー、解散になったわけじゃないみたいだけど、なんか。皆出て行っちゃったから、僕も畑を見に来たんだ。
なんだか、大変なことになっちゃったねぇ。
[言葉とは裏腹にいつも通りののんびりとした口調で。]
…?僕の顔に何か着いてる?
[清治の視線に首を傾げる]
そっか。あんな所に居たって、息が詰まるだけだしね。
[ダンケの言葉に頷く]
……そうだね、
[曖昧に頷きつつも、相手に首を傾げられると]
いや、ちょっとね。
変な話だけどさ……
[相手の顔をじっと見て、迷いながらも、ついには口に出す]
父親って、なんだと思う?
[村の片隅。木陰の下の岩に腰掛け、周囲を見るともなく眺めていた。人通りが少ない道。時たま通りがかる村人は、此方を一瞥するだけで、やはり避けるように歩いていく。村は何処か静まり返ったようだった]
……
[男自身もまた、黙って]
まあ、確かに。あそこに居てもあまり進展は無さそうだったし
[そう言って苦笑いを浮かべつつも、清治からの父親の事を聞かれれば]
チチオヤ…?うーんそうだねぇ…
[暫く考え込み]
よく分からないなぁ。今まで考えた事もないし…
[少し困ったような表情で頭を掻く]
それにしても、なんでまた父親なんて?
[逆に清治に聞く]
[白衣についた土を払いながら村の中を歩くも空気が重い気がした。
きゅ、と唇を引き締めて堪える面持ち。
照りつける太陽の熱さに自然と木陰を探せば]
…ンガムラさん、…
……そっか。そうだよね。
[ダンケの答えに頷く]
自分が父親になってるかどうかさえ、そうそうわからないしね。
[質問を返す声には曖昧に笑って]
いや……ただ、父親の気持ちってものがわかる人がいるのかな、と思っただけだよ。
僕は誰かの父親じゃないし、多分もう父親になる事はないから。
[探し人を呼びながら歩いている]
どこ、行ったのかな。
[一人でいると、どんどん思考が考えたくない方へ向かってしまう。
小さい頃から見栄っ張りで、人前では強気だが誰もいないと何もできないんだねぇと困った顔をしていた探し人を思い出す]
おいていかないで…。
帰ってきて…。
――ワカバさん。……大丈夫ですか?
[現れた姿を見て、その名を呼ぶ。少し間を置いてから続けて問いかけた。土で汚れて見える白衣と、沈んだような様子に向けて。尋ねる男の声もけして明るくはないものだっただろうが]
[ぐつぐつと音を立てる赤い煮汁を、お玉でかき混ぜ続けていた。
スカートが引っ張られる感覚に、腰の辺りを見る]
どうしたデンゴ。
怒られちゃうよ。
[そう言った途端、涙があふれた]
えへへ、そんなに。
[へにゃりと眉を下げて情けない面持ち。]
でも、良かった。
ンガムラさんを探してたの。
清治くんとさっきまでお話していたんだけど
…清治くんのお母さんって 殺されたの?
その時、私はまだ小さかったけど…
そんな記憶があんまりなくって。
[泣き落としというよりも、駄々っ子の様相で、お玉をデンゴに押し付けた]
絶対絶対、焦がしちゃ駄目だからね!
あと、勝手に食べたらあとでもっと丸坊主にしてやるからね!
[両手の甲で涙を拭って、斎場を離れる]
うん。そうだね。
僕だって気付いていないだけで、誰かの父親になっているのかもしれないし。
[双葉の父親である事には気付かぬまま]
どうだろ?多分居ないんじゃないかな…
なに言ってるのさ。まだまだ若いんだし、清治君には頑張ってもらわないと
[曖昧に笑う清治を茶化すように言う]
[うつろな目で、民家の軒下にある漬け物壺を覗き込んでばーちゃーんと呟いている]
……?
[はたと村人たちから向けられる奇異なものを見る視線に気付き]
あ、ああ、そうか。アンを殺した犯人を捜してるんだった。
……ばーちゃーん、犯人さーん。
[考え込んだ末に、呼びかけが一つ加わった]
そうだよね。
[多分いない、という答えに頷くが、続く言葉に]
それは、――出来ない。
[茶化す言葉に視線を逸らす]
母さんを死なせた奴と、同じ事なんて出来ないよ。
それに――
[顔を俯ける。前髪に表情を隠すように]
罪人の子供なんて、きっと誰も産みたくない。
産まれるべきじゃないんだ。
大丈夫なら、良いのですけれど。
……こんな状況で、平気かどうかなんていうのも、妙な話でしょうけれどね。
[眉を下げて僅かばかり笑み]
私を?
……セイジさんの、お母さんが。
[続けられた問いかけには、瞬き、驚いたような顔をした後、困惑したような表情になった。じっと、思案するように沈黙していた後]
……本当のところは、知りません。
実際に何があったのかは。
ですが……
[何かしら躊躇うように、呟くように零した]
[歩いていたら斎場まで辿り着いたらしい。掛けられた声に振り返り、誰か確認すると駆け寄り]
ホズミさん…!
……?
[そっと目元に手を伸ばし触れようとして躊躇い、問いかけるだけにとどめた]
…何かあったんですか。
何を…言ってるんだい?
[突然の清治の言葉に思わず聞き返す。しかし、罪人の子供と聞くと驚いた表情を見せて]
まさか…清治君が…?
[それしか言葉にできぬまま、清治の返事を待つ]
不慮の転倒による死亡。
……それだけにしては、奇妙なところがある事故だったという事は、覚えています。
当時は私も若かったですし……あまり真剣には考えませんでしたが。
……
もしかしたら、あれは……
「事故」では、なかったのかもしれない。
[曖昧な言葉は、しかし神妙に]
[ダンケの言葉に、無言のまま懐を探る。
白い布に包まれた棒状の物。
布を解けば、中から鈍色に光る刃が現れた]
……ダンケさん。
大人しく殺されてくれたら、君の子供とその母親は助けてあげるよ。
最期に、父親らしい所、見せてくれないかな?
[肉切り包丁を握り締め、ダンケに向けて構えた]
[打ち明けられた涙の理由に気まずい顔をするが、すぐに浮かんだ疑問を口にするまいか悩んでいるうちに手を取られる]
犯人、ですか。
この村にいるんですよね…。
[みんなの顔を思い浮かべてみる]
…ホズミさんは?
事故じゃなかった…
誰かによって、事故に?
[その理由は思い浮かぶほど材料はなく、彼の言う奇妙の内容は彼女は知らない。]
――――でも、それが理由なら
清治くんがしたことは…
[下がった眉の隙間に皺が寄る。]
禁忌じゃないって事になるのかな。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ