情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[端末に踊る電子文字は変わらず、持ち主の気持ちなど構わず交差する。]
今日は…あの物静かな男の人か。
[連れ去られた人物の名を確認して。]
集めてどうするんだろうね?
[困ったような曖昧な微笑みを浮かべた。]
うん、少し昔の父さんに似てたね。物静かそうな所が。
[言葉は交わす事はなかったけれど。居住まいが昔の記憶と重なった。]
[まだ、アンドロイドが今日のように普及していなかった頃。
セイジとハツネの父は、腕の良い人形師だった。
アンドロイドも、人形と同じく人の喜びに添い、悲しみを和らげる存在で有って欲しいと、新たな誕生を喜んでいた。
後のドリ系の走りとなる、一部の心無い信仰者に母を、家族を傷つけられるまでは。]
――だからといって、倫理委員会の全てが許される事でもないけれどね?
でも、僕等が中に入ることによって……
なんて、夢物語かな?
ねぇ? ハツネ。
[感傷的に記憶を辿るも、喫茶店の前に立つとまた普段の顔。]
――え?
彼が出入り禁止に?
だけど調査は続けろと。
[手のひらの端末に、新たな情報に驚くもまた一瞬の内。]
言うんだよね?
[冷たい視線を投げかけ、ドアを開ける*]
こんにちは。
こんにちは。
[変わらず扉を開けると、まず目に入ったのは崩れ落ちるトランプタワーと、慌てるレンと何かを拾おうとする、ナオの姿。]
だ、大丈夫?!
崩れたら、また組み立てると良いんじゃないかな?
[組み立てるトランプでは無くなったカードを拾い]
また組み立てたいと思えば、譬え形が違うものでも。同じだと思うからね?
[レンに差し出した*]
うん、組み立ててみると良いよ。僕も完成した形、みたいし。
[レンのズレるサングラスの奥。まあるい瞳を見つめて微笑んだ。]
あれ? 今日はまた、ひとが少ないけど…、
[辺りを見渡して首を傾げる。
いつもの喫茶店に集まるメンバー。しかし明らかにひとが少ない。]
まだ、来てないだけだよ、ね…?
[ネギヤに続き、ふたりも減った空間。誰に問いかかる訳でもなく。
しかし呟く独り言は、不安色が漂う。]
あ、マスター、コーヒーとイチゴババロアを頼んでも良いですか?
[ポルテの姿を見かけ、少し躊躇いがちに注文する。
甘い物ばかり頼むのは、来られないハツネの為に。]
? 好きなら何故思い詰めたような…?
あぁ、姉は今日も来られないんですよ。仕事が忙しいみたいで。
[「演奏家なんですよ。駆け出しですが」。
モミジへの返答に付け加えて]
だ、大丈夫?
[咽せる姿を心配そうに見詰め、]
体重? 気にするほどの体型では無い気がするのだけど…そんなものかも知れないね。
[おんな心は解らない。]
実は僕も音痴なんだよね。双子なのに其処だけは似てないんだよ。
[肩を竦め見せ]
でもあなたは、異国の言葉を訳すことができる。センスが必要な仕事ですよね?
じゃあ、あなたは同じ物だけが欲しい?
[戸惑うナオの声に静かに返して]
崩れた物を組み立てて、同じ物を組み立てたって同じ物にはならないよ。
だけどね、だからこそ、組み立て直す楽しみや何かが、あるんじゃないかな?
僕達はそう思って居るんだけど…
[紡ぐ心の想い。押しつけないように、柔く語って。]
[手のひらで光る電子文字。
彼を置き去りにして問う、次の対象者と飛び交う候補者の名前。]
変わったら。変わらなかった時に戻れる?
そっちにひとを送ったら。父さんは昔に戻る?
[子ども染みた問いは、誰にも聞こえず。
静かに爆るだけ]
[耳に挟む、様々な話に]
倫理委員会は敗北だって。
だったら壊滅的に追い込まれたら良いのにね?
[悪戯に笑み、コーヒーを啜る。
アンドロギュロスの話は、どこ吹く風で聞き流し。]
[ちらりと時計を見る。
そろそろ喫茶店の閉店時間が迫る。]
また誰かを連れ去る気、なんだよね?
でも一体何のために?
[応えない端末機に、尋ねた]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了