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[もう一度背広のポケットを確かめるが、やはり携帯電話は出てこない。
溜息混じりに額を押さえて、ベンチの下とかを覗き込む。]
…ここじゃないなら、何処だ?全く…
[落し物を探す事に気を取られ、下ばかり見て歩いていた為、おしゃべりしている女子高生には気が付かず。]
…うわっ!?
[はたと気が付いた時には、ショートカットの少女と接触寸前。
車同士だったら確実に交通事故に違いない。]
…あ、あぁ、ごめん。失礼。
急いでるんで。
[口先だけの謝罪を少女に返して、足早に立ち去ろう…として、くるりと振り向く。]
あぁ、君ら。
ケータイ、見なかった?
ダークグレーのストレート型で、シルバーダガーのストラップの付いた奴。
…そうか、ありがとう。
あぁ、邪魔してすまなかったな。
[二人の答えを聞くと落胆した様子で背を向け。
また丸めた背中で道端を探している。]
[背後からかけられた声に、びくっと振り向いて。
お団子…というかパイナップル団子の少女の言葉に瞬いた。]
いや、だが…君ら学生だろう?
早く帰れとは言わないが…こんな時間に付き合わせる訳には…。
まぁ、手伝ってもらえるのはありがたいんだけど…。
[早速探し始めた少女に、微妙そうな表情を浮かべつつ、自分も植え込みを掻き分けたりして辺りを探し始める。]
家に帰っても、か。
そういや、そんな頃もあったっけなぁ。
[自分も彼女ら位の年頃には相当無茶もしたわけで。
大人目線で強く言えないのは、そんな理由。]
…お?
[少女が見つけてきた携帯を確認し、表情がぱっと明るくなる。]
あぁ!これだ、これ!間違いないよ!
いやぁ、ありがとう。助かっ…
[少女の手からケータイを受け取り、画面を覗き込んで…]
…ぁー……。
[画面にはある意味お洒落なストライプ模様以外何も映っていなかったり。]
液晶、割れてんな…。
[再度、落胆。]
…前のは折りたたみの継ぎ目から壊れたから、
わざわざ探しまくってストレートに機種変したんだけどなぁ…。
[しょんぼり。
小さく噴きだした少女を咎めることも出来ず、
ただ情けなく笑うしかない。]
…あれ、お友達は?
[もう一人の少女が居ないことにようやく気づいて。]
悪い事しちゃったな…呆れて先に帰っちゃったのかもしれない。
けどまぁ、見つかった事は見つかったし…
ありがとうな。
…えぇと、
[制服で、何処の高校の生徒かはわかったけれど、名前は知らなかった訳で。]
あぁ、僕は「ミズハラ」じゃなくて「ズイハラ」。
今度お礼にパフェくらいは奢るよ。
[名刺を一枚、少女に差し出す。
その時に一言添えるのは、いつも読み間違えられるが故の習慣。]
…ま、携帯修理してからだけど、さ。
あぁ、君も気をつけて。
[呆気に取られたまま、少女を見送る。]
…新規、って訳にもなぁ…。
[液晶の画面を撫でる。
ストライプは変なグラデーションで明滅。]
─オフィス─
あぁ、お疲れさん。
…俺? コレ片付けたら上がるとこ。
ヤスさんも行くって?
[モニターから目を逸らさぬまま、既に帰り支度を整えた同僚に答える。
テンキーの上をカタカタと踊る指。]
ぁー、タクはダメだろ。新婚なんだし。
嫁さんに悪ィって。
…それにしても、なんであんなヤツにあんなキレイな嫁さんが来るんだろうなぁ。
[溜息は良いタイミングでハモる。]
[デスクの上、短く震える液晶の割れたケータイ。]
…あ、メール……
[ぺかぺか光る極彩色のストライプに、文字が浮かぶ事は無い。
それを取り上げて、笑い転げる同僚。]
なー、酷ぇだろー?
完全に逝ってんだって。一応電話は出来るけどさー。
…抜ける暇無かったんだって、昼休み。
流石にもうやってねぇしさ。
明日出すさ、明日。
[ぱたりとノートパソコンを閉じ、書類をそろえる。]
─駅前広場─
何言ってんすか、モリさん〜。
もう随分前に分かれましたって。ホント。今はフリー。
…あぁ、おでんっスか?
だいぶ寒くなってきましたしねぇ…。
[千鳥足の上司と共に、帰り道を歩き、]
…あ。
[目に留まったのは、昨日の少女。]
いやいやいや、そんなんじゃないっすよ!
…確かに、ちょっと可愛かったけど。
若けりゃ良いってもんでもないですって!
[視線を上司に勘付かれたのか、慌てて否定。
更に誤解を生んだりしたり。]
─駅前広場─
…結局、今日も出せなかったか。
人気有り過ぎだっての、あの白犬っ!
[昼休みは結局、順番待ちで潰れてしまい、なんだかんだで既に夜。
駅へ向かう人の流れに歩をあわせつつ、耳が捉えたのはギターの音色。]
へぇ、こんなトコで演ってる奴…まだ居たのか。
[懐かしげに足を止め、遠巻きにそれを聞いている。]
あぁ携帯ねぇ…。
[胸ポケットから覗く、例のシルバーダガーのストラップ]
忙しくてまだ修理出せてないんだよなぁ。
明日の得意先廻りのついでに出してこようかと思ってるけど。
電話さえ出来りゃ良いかと思ってたが、使えないとそれはそれで不便さね。
[はふ、と溜息はすぐに表情に出るタイプ。]
俺らが学生の頃には、携帯なんか無かったんだけどなぁ。
ポケベル持ってる奴はいたが。
いつの間にかもう、生活から切り離せなくなっちゃってるね。
[胸ポケットをトントンと叩いて。]
で、その子は彼氏さん?
こりゃ、邪魔しちゃったかな?
そーかそーか、トモダチってとこか。
[二人の様子を微笑ましげに眺め、肩を揺らす。]
ぁ、えぇと…
そういや、キミの名前…聞いてなかったね。
あ、あぁ、うん。よろしく。
[少年に勝手に手を取られて、訳もわからずぶんぶんされたりとかして。]
気をつけてなー。
[手を振って見送った。]
へぇ、イマリ…。
良い名前だね。
個性的で一度聞いたら忘れられなさそうな辺りが、キミにぴったりだ。
そ。幸せが重なると書いて、重幸ね。
[ジュウサチと呼ばれたのは多分はじめてだろう。]
まぁ…どっちかというと、ちっちゃな不幸が重なりまくりだけどなぁ。
[たはは、と情けない笑みを浮かべて、胸ポケットをチョン。]
大きいのがひとつドカンと来るよりマシさ。
[笑う姿に多少不満げに。]
人間万事塞翁が馬、って奴かね。
…良いこと、そろそろあってもいいもんだけどなぁ。
[頭の後ろに手を組み、のんびりと歩き出す。]
じゃ。
…たまにはちゃんと家へ帰れよ?
[ひらりと手を振って、帰路へ。*]
─屋台─
[歳の近い同僚と二人、赤提灯の屋台で肩を並べている。]
…だーかーら、笑うなってぇの!
お前なぁ…ひとごとだと思って…。
[ケラケラ笑う同僚が指差すのは、小熊のキャラクターがデカデカとプリントされた、ピンク色の可愛い携帯電話。]
…代換機、コレしかないんだってよ。
だからって、コレぁ無いよなぁ…。
[笑いながら肩を叩く同僚に憮然とした顔を返し、チューハイをぐびり。]
…ん?
[サッカーボールと戯れる子供の姿に気が付く。]
へぇ…なかなかやるもんだなぁ。
[学生時代にやってたのを思い出したりとか。]
[転がってきたボールをひょいと蹴り上げる。
スーツに革靴。
しかもほろ酔い…とそんな状態の割りに、ボールはすんなりと動作に従う。]
…よっと。
[とんとん、と膝で蹴り上げたり。]
いやー、つい懐かしくなってな。
コレでも昔はインターハイまで行ったんだ。
[や、と片手を軽く挙げて挨拶。]
…試合前の練習中にコケて捻挫して、結局出れなかったけどな…。
[残念属性は若い頃からだったらしいですよ。]
…笑い事じゃないっての。
[ちょっぴり憮然としつつ。]
それにしても…最近良く出くわすなぁイマリちゃん。
偶然にしても出来すぎだ。
[今まで気づいてなかっただけの事かもしれないけれど、それにしたって会いすぎだ。]
…いや、ないない、全然無い。
女子高生とか、射程外。
[ストーカー疑惑は真顔でさくっと否定。]
うん、俺と良い仲になろうとか10年早いから。
[お菓子を渡しあう様を怪訝そうに見つめていたら、後輩らしき少女に飴を差し出されて、やんわり断る。]
…あー…甘いのはあんまり。
ごめんね。
キミも…イマリちゃんのお友達?
[随分友達が多いんだなぁとしみじみ。]
…おぉ、さんきゅ。
[少年が差し出すスナック菓子に手を伸ばして、ちょっぴりつまむ。]
じゃぁ、そうだな…大人の味をほんのちょっと分けてやろっか。
[銀色のケースに入ったミントタブレットを、少年の手のひらにぱらりと二粒。
清涼感のある良い香りと共にかなりの刺激が来るタイプ。]
子供、なぁ…。
[パックの飲料を一口。
去る少女に手を振り。]
あのくらいの子供、居てもおかしく無いのか。
マミんとこの子はもう小二だっけ…。
[寒空を見上げて、帰路へ*]
─オフィス─
…ぁ゙〜!!!
[がっくりとデスクに突っ伏す。]
ちっくしょ…フリズった。
…後もう少しで完了だったのに…。
なんでこんなときに限って中間で保存してないかなぁ…。
[やり直す気力も無く、ぐったり。]
…ジュンタお前ぃ、こんなトコで何やってんさ…。
こないだは折角テンパってた緑一色を…
[えぇ、堅実に打つけどリーチ後になかなかツモれずフリコむタイプ…。]
…ったく、ツイてる奴ぁツイてるよなぁ。
金と時間に加えて、カワイ子ちゃんまで手にいれてやがる。
[くしゃくしゃと髪を掻きつつ溜息。]
こっちぁ当分忙しいし、星周り悪いっぽいんでな。
借りぃ返してもらうのは当分先んなるさね。
…あぁ、どうも。
[ものすごく複雑そうな顔で少女に会釈。]
キミは…あぁ、先日のイマリちゃんの後輩だっけ。
悪い事ぁ言わない、ケーキだけにしとけ?
おにゃのこは色々安売りしちゃあかんよ。
男は狼だ。特に若い男ぁナ?
[一応やんわりと釘さしてみたり。]
少年ってぇのは得てして餓えてるもんさ。
[あんたも10代の頃はそうだったのか?そうなのか?]
[突然唐突に、「でんわでちゅよー★」とか能天気ファンシーな着ボイス。]
…はい、ズイハラですが…。
[大真面目に出ても、ピンクの小熊ケータイ。]
…ツイてないのは、普段から。
[うんざりと通話を切ってもピンクマ携帯。]
卓囲むのはアレだ。脳みそを使ったスポーツって奴さね。
…たまにゃぁ勝ちたいけどな。
[ピンクマじぃ…]
[溜息ひとつ。]
あぁ、お前らあんまり遅くなるんじゃないぞ?
[それじゃ、と片手を挙げて*足早に立ち去った。*]
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