[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[――自室。
薄汚れた小瓶から、変色した手紙を取り出した]
素敵です。
僕もそう思った。
[昨日の会話を思い出しながら呟き、紙片を灰皿の上に置く。
横にあったマッチをすって、そっと火をつけた]
[それとは別の、窓辺に置いてある真新しい小瓶。
懐かしげにそれを撫で、静かに告げる]
また、いずれ。
遠い昔に会いましょう。
[儚く笑んで、上着を羽織り、外へ出た。
灰皿の上、古い手紙が燃え尽きた]
[食堂へ向かう途中、入り口でゼンジの後姿を見かけた。
呼び止める暇もない。足を止めてそれを見送る]
どこへ?
[呟いてから、何かに気づいたように、あらぬ方向を見た。
虚空を見つめる猫の視線に似ている]
おはようございます。ボタンさん。
僕は少し、ああ、どうでしょう。
[連れられたルリを見て、あからさまに逡巡して]
僕はこれからちょっとへぶ!
[ゼンジに右頬を叩かれる]
そんな確かめ方ー!?
[ゼンジに抗議。
更に言う前に耳打ちされて、誰もいない場所を見た]
……ああ。そう、ですか。
[辛うじてそれだけ呟いて、睫毛を少し震わせた]
[くすぐったそうに、少しだけ笑む。
迷うように一度黙った後、小声で“彼女”に囁いた]
――。
[ほとんど唇の動きだけで伝えるような、かすかな声。
“てがみを”と。手をそのままで]
[幸せ顔で頷いて、差し出した手を大事そうに閉じた。
掌を再び開き、やはりそこには何もない。
でも、届きます、と。
いつか言ったのと同じように、そう呟いた]
[直視するに耐えない死体を見て、重く息を吐く。]
……すぐに警察が来ないなら、外に出したままは嫌です。
どこか安らげる場所に置きたい。
春ですし、血の匂いも強すぎるから。
[跪き、いたわるように遺体を撫でる]
ゼンジさんの言葉が本当なら、おかしくない場所を探すのが難しいくらいですね。正直、どうしたらいいかわからない。
[苦しそうに答えた、言うべきか迷ったあと]
……野犬も熊も、普通は人は食べません。
そうですね。本当はログハウスの中が良いんでしょうけど。
あまり連れていきたくないのも本音です。
ルリちゃんがいるので。
だから、そうですね。
薪小屋とか倉庫みたいなところがあればいいんですが。
[最悪、洞窟でしょうか。と付け足す]
[何が?との問いに頭を振って]
わかりません。ごめんなさい。
人に恨みを持っているのか、何かでおかしくなったのか、それとも単に想像する以上に大きいのか。
でも、電話や車の話を考えても、ただ犬や熊に気をつければ良いという気はあまりしません。
[問いかけにこくり頷いて、アンを抱き上げる]
大丈夫そうです。
室内に篭る。……そうですね。それしかない。
ついでに猟銃でも探しましょう。
ぼくはこんなに女の子と密着したのはじめてです。
[毒づくのを聞いて]
ジロウさんたちです? 心配ですよね。
ゼンジさんと同じような感じで、戻ってこれないとかでしょうか。
……まるきり怪談ですね。
[そこまで言って、なんとなく、扱いやすいサイズのノミをベルトに挟んでおいてみた]
一生懸命、空気を緩和しようとしたのに。
[心外そうに言った]
明日か、一息ついたらか、また車出してもらえますか?
明るい時にみんな乗せて、それも何度でも試しましょう。
[ずっと待ってるわけにもいきません、と後をついて歩きながら]
ハンドル握った途端オカマになったら、ぼく、どうしよう。
[呟きつつゼンジの後ろから顔を覗かせて、どうも、と挨拶した。
ふっと思う。自分の手紙の消印はいつの日付なのか]
とりあえず。今日留まるしかないようなら戸締りに気をつけましょう。
バリケードとか作るのも一興かもしれませんね。
[立ちあがり、ゆるゆると歩き出す。
自分の部屋へ行く前に、奇妙なオブジェが合った場所を見る。]
ひとおおかみ。かいぶつ。
[物憂げに呟き、一人言をはじめる]
ひとが考えるかいぶつは、いつもひとだ。
と、ぼくは思う。
常に怪物にならないように気をつけなければならない。
深淵を覗き込むものは、深淵にも覗き込まれているから。
[言って、思いなおしたようにノミを適当な場所にそっと置く]
というか、間違えて自分に突き刺しそうだ。
[くすりと笑った]
似合わないことをせずに、とんちで何とかしてみよう。
――ね。お姉さんたち。
駄目だったらゆっくり歌でも聞かせてよ。
[自分が死ぬのは悪くない。と思わなくもないしね。
とか言って、部屋へ向かった。
準備ができたら、すぐに玄関に行くだろう*]
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ