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[いざ書こうと思うと、何を書いていいかわからなくて。短い手紙を書いて、ビンの中に入れました。
ビンを抱いたまま、小さなため息をつきました]
…どうして、突然居なくなっちゃったんだろう…
急にママが居なくなって…
パパに聞いたら、凄く難しい顔をして…何も教えてくれなかった…
何でだろう…
[つぶやいて、目を伏せました]
[夜、みんなでご飯を食べたりして待ってましたが、パパも来ませんし、ジロウおにいさんもマチコおねえさんも帰ってきません。
どうしたんだろうと思いながら、お部屋に帰りました。
ビンを置いた窓際は、月明かりが差し込んでいて綺麗でした。近寄って、窓の外を見てみます。
お空には、まあるいお月様が浮かんでました]
ママにお手紙、届くといいなあ。
[ビンをそっとなで、空をみあげます。まあるい、まあるい、おつきさま]
なんかおなかすいたなあ。お団子食べたくなってきちゃった。
『うーさぎ、うさぎ。何見てはねるー♪』
[小さく歌いながら、部屋の中に戻って行ったのでした]
―深夜―
[おなかがすいて、目を覚ましました。
窓の外からは、月の光が明るく差し込んできています]
のど…かわいた…おなか…すいた…
[ふらりと窓の側にちかよります。そして空を見上げました]
おつきさま…
[月の光に吸い込まれるように、頭の中が真っ白になっていきます。
何も考えられなくなっていきます。そして、頭の中は白から紅に染まっていって]
おなかすいた…ごはん…たべにいこう…
[月の色のような瞳を輝かせ、ふらり、夢遊病のように、部屋の外に出ていきました]
[ふらりふらりと歩いていくと、誰かにどうしたの?と声をかけられました。そっちを見ると、アンおねえちゃんがいました]
おなか…すいたの…
[そういうと、アンおねえちゃんはくすりと笑いました。何か食べる?と言うので、るりは笑顔で答えました]
うん。いただきます。
[にっこりわらって、おねえちゃんの腕を握りました。そのまま、驚くおねえちゃんを引き寄せて]
……
…………
………………
……………………
美味しかった…のども潤った…
[満足げな笑みを浮かべ、部屋へと戻っていったのでした]
―朝―
…っ。
[布団から飛び上がるように、目を覚ましました]
夢?怖い夢だったなあ…
[目が覚めたとき、るりは何も覚えてませんでした。
いや、夢をみたんだと思ってました。
お腹はいっぱいでしたが、服を着替え、部屋から出て行きます]
―朝―
おはようございますー
[今日も元気よくあいさつをして、食堂に行きました。
しかしテーブルの上には、なにもありません。]
あれ?アンおねえちゃんまだご飯作ってるの?
今日もお手伝いしたほうがいいのかな?
[台所をのぞいてみました。しかし、誰もいません]
おかしいなー?
[首をかしげてみたものの。どうしようもなく]
おなかもすいてないことだし、もう少しアンおねえちゃん待とうかな?
[そのままちょこんと、椅子の上に*座りました*]
[台所でおとなしくしてると、ゼンジおにいちゃんがやってきました。
外に出るなと言われ、どうしてだろうと思いながら、おとなしくしていました。
入れ替わりのように、ボタンおばあちゃんもやってきました。
外から車の音がします。ボタンおばあちゃんと一緒に外に出ました。
セイジおにいちゃんもいました。ゼンジおにいちゃんの様子がおかしいです。いきなりセイジおにいちゃんを叩いたり。そして]
アンおねえちゃんとザクロおねえちゃんが、何かに襲われた?
[言葉の意味が飲み込めずに、きょとんとして]
[ボタンおばあちゃんが、家の中に入ろうと言ってるので]
お外、危ないの?それなら、みんなで戻った方がいいよ。
[どこかでカラスのカーという鳴き声がします]
…何か怖いね。
[ぶるっと身体が震えます。自分の手で肩を抱きしめるように、ぶるぶるしてました]
襲われた…
夢じゃない…
るりが…アンおねえちゃんを…
るり…おかしくなっちゃった…
[自分が変わっていく恐怖に、身体を震わせる]
[ゼンジおにいちゃんに頭を、ボタンおばあちゃんに背中をそっとなでられました。手があたたかくて、少し気持ちが楽になりました。
ほっと小さく息をついて、ボタンおばあちゃんに話しかけます]
お部屋で寝てるんだ…よかった。
うん。ジロウおにいちゃんたちもまだ街にいるのかもしれないし、パパもまだお仕事忙しいんだと思う。
おばあちゃん、一緒に中に入ろ?
[ボタンおばあちゃんの手を引いて、ペンションの方へ視線を向けました]
うん。おばあちゃんと一緒にいるようにするね。
[どこかに行こうとするゼンジおにいちゃんに返事を返して、見送りました]
[笑うおばあちゃんに]
えへ。まだ子守と言われても仕方ない年だもんね。
うん、中で一緒にお菓子たべよう。
[暗い顔をしてると、みんなも心配するかもしれません。そう思って、なんとか笑うようにしました。
何事もなければ、おばあちゃんと一緒に食堂に向かうのでしょう]
[食堂では、おばあちゃんがたくさんのお菓子を出してきました]
わあー、すごいー。あまりみたことないお菓子が多いけど、おいしそうー。
あ、そうだ。お茶入れるねー。お茶っ葉どこかなあ?
[あたりをごそごそ。急須とお茶を探し出し、食器棚から湯飲みを取り出してきます。まず4つ取り出して、少し悩んで、あと2つ追加しました]
あとで、おにいちゃんたちにも分けてあげようねー。それに、寝てるザクロおねえちゃんたちにも。
[できるだけ、昨日とかわらないように、話をつづけます]
[そうしていると、おばあちゃんがお人形を出してきました]
お守りのお人形?怖いことが起こらないの?[差し出された人形にきょとんとして]
いいの?るりがもらっちゃって…おばあちゃんの大事なものなんでしょう?
[受け取っていいのか、思案顔]
大事なものだから…
[にっこり笑うおばあちゃんの顔を見て、とてもうれしくなりました]
ほんとうにいいの?おばあちゃん、ありがとう。
[おばあちゃんの人形を受け取りました。じっとお人形の顔をみて]
このお人形、なんか優しくて暖かい感じがするね。ママみたい…
…これで、怖いことが何にも起こらないよね…
もう、大丈夫だよね…
大丈夫、だよね…
[何かを抑えるように、ちいさな人形をぎゅっと抱きしめました]
[おばあちゃんに背中をなでられると、どこかほっとします]
だいじょうぶ…だよね…
[しばらくの間、小さな小さな声で繰り返しつぶやいてました]
[ゼンジおにいちゃんの声がします]
あ、おかえりなさいー。
[お婆ちゃんから離れ、お菓子を手に取ります]
あのね、お菓子あるから、一緒に食べよう!
[できるだけいつものように、話しかけます]
えっとね。どれもおいしいのー。
みんな食べてみるといいと思うよ。
あ、おばあちゃん、お茶ありがとう。
[お茶をのみつつ、鈴カステラをぱくり]
[ゼンジおにいちゃんもボタンおばあちゃんも、準備をして出ていってます]
うん。るりもお部屋から荷物とってきます。
準備ができたら玄関ね。はい。わかりました。
[さっきもらったお人形をぎゅっと抱きしめて、*食堂を出て行った*]
[荷物を取りまとめていると、窓際に置いておいたビンに気がつきました。
窓のそばにいって、外を見ます。
まだ、昼なのに。
月の光に照らされてるような錯覚に襲われて、身体をぴくりと震わせました]
い…や…
身体が熱い。熱い。
おなか、すいた。のどが、かわいた。
[手に持った人形が、ぽとり、*床に落ちました*]
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