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さてに……。
[食事が終われば、そのまま、窓際で暮れて暗くなる空を眺めている。
閉店の音楽は昨日と変わりはない。]
ん?
[ふと、袖が揺れた気がして扇子を取り出す。
見れば、
『七番を見かける』
そうあったので、つい、とみやった。
だが、考えてみれば七番がどういう人なのかもわからない。]
[ふと、また、振動を感じ、扇子を広げる。
『二番と七番をみかける』
表記が変わっていたので、瞬いた。
でも、二番の子ならわかる。
なので、そのままフードコートの端に座っている。]
今、フードコートにいます。
日記には、二番七番をみかける、と出たのですが、七番さんの顔を覚えてはいませんね。
カノウさんとデンゴくんも、どこにいますか?
あっちか…。
[そのままいると、二番が現れたのが見えた。
気配を隠していると、向かう先は、カフェバーのようだ。
薄暗いそちら、入っていくのを遠く見る。]
――……やる気か?
[そう、感じたのは、二番の足が全く迷いがないように見えたからだ。
そして、席か立つと、カフェバーの入口が見える場所にかけなおす。]
頼みごとですか。
私はグリタさんから頼みごとは受けていないですね。
[その話をきけば、多少落胆を覚える。
グリタにとっては己はそんなに重要な者ではないのかもしれない。]
[カノウの希望、については静聴している。
彼が助けたいと思う三番、八番、十一番。
そのひとりひとりを思う。]
――……さきほどのグリタさんと、十一番、ソラさんの屋上での戦闘をみました。
彼らは、片方は、消えねばならないでしょう。
グリタさんからの頼みの件ですが、
私は受けていないので、なんとも…。
受けていないということは、
グリタさんは少なくとも、その守りたい方の世界を私に背負ってほしいとは思っていないということですから。
あと、
私は、背負うという表現は好きではありません。
ここに来た方々はそれぞれの世界の鏡です。
それぞれの世界をそれぞれの方が映し出している。
神は、その鏡を割れば、もう、その世界に光はなくなると言いたいのでしょう。
だから、割れた世界にはもう光はありません。
背負うものなどもないと思います。
なくなるのですから。
しかし、グリタさんが
己の世界以外のために、貴方や三番…に頭を下げているというのははじめて知りました。
そうですか。
[それは文字だけでは伝わらないだろうが、やや失望している。]
彼は、彼の世界を愛して、生き残る人だと思ったのですが…。
どうやら見込み違いのようです。
――……わたしは、グリタさんとソラさん、
どちらかの世界を選ばなくてはならないと思っていました。
ならば、グリタさんはいらないですね。
[扇子を広げ、口はし、あげる。]
彼は、強いことは変わりません。
残せば、脅威。
カノウさん、
貴方も、ご無理はなさらず…。
[少し思いつめたようにも聞こえたので、そう返しながら]
デンゴくん、
鏡の表現はわかりやすかったですか?
[そう続けて]
― 5F・カフェバー近く ―
[彼女らが入っていって、時間が経つが、何やら異変はない。
何かが起こるかと思ってみていたが。]
気のせいだったでしょうか?
[そして、静かに袖から音楽端末を出して、
そして、イヤホンがなかったのを思いだし、またしまう。]
[だが、カフェバーに乗り込むようなことはしない。
また窓をみて、すっかり日は暮れ、空を見た。]
星は、ない、ですね。
[それは男には見えないだけなのか、それとも本当にないのか。
ともかく漆黒の空に星はない。
だから、また電気が落ち、非常灯だけになった。
カフェバーの中も薄闇だ。]
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