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――舞台設定――
時代は蒸気機関車が大きな街に走り始めたころ。
蒸気機関がやってくる街から馬車で半日はなれたところにある小さな田舎町が舞台です。
新緑がまぶしい季節なのに、珍しく大嵐がありました。
そのせいで街と田舎町をつなぐ唯一の道が土砂崩れで通れなくなりました。
その前から、この周辺地域で人狼の噂が出ていました。
どこそこの村が人狼に襲われて壊滅したとか、
どこそこの村では退治したらしいとか、どれが本当かもわからない噂ですが。
蒸気機関が走るようになったとはいえ、いまだ迷信深い田舎町。
人狼を信じている人たちもいてどうしたものかと町に唯一ある宿兼集会所で話し合ったりもしていました。
そんな中での嵐による土砂崩れ。
人々の不安は知らぬ間に高まって行き――。
そして、ドロテアが人狼を見た、と騒ぎ始めました。
土砂崩れがおこって閉じ込められてから三日後のことでした。
ドロテアは本当に人狼を見たのでしょうか。
信じる人、信じない人、入り乱れながらも――新緑の季節の人狼騒動が、始まるのでした。
投票・吊り襲撃について:
投票はPC視点PL視点どちらでも、物語が面白くなると思うほうへ投票してください。
決まらない場合はランダムを使用してもかまいませんが、PCにとって矛盾がないようにがんばってください。
吊り…人狼だと思う人を村人が殺害する。又は自警団に突き出して殺害してもらう。
襲撃…人狼に襲われた人は死亡する。
【※残酷描写については一応R指定をつけますが、無理せずほどほどでもかまいません。】
人数・役職について:
人数はダ込み9〜13名を予定していますが、少人数開始もありえます。
人狼・2名…そのまんま。人間の振りしてずっと田舎町で生活していても良いし、旅人としてやってきたのでもよい。
食事は普通の人間と同じように食べていて問題ないけれど、何年かに一度どうしても人間を食べたくなる時期があって、それがちょうど今、ということにしてください。
占い師・霊能者…これまたそのまま。それぞれの血筋でもいいですし、たまたま道具らしきものを手にしたということでも、なった方が適当に決めてください。
守護者…10人こえたらいれようかと思います。占い師や霊能者と同じく適当に。
村人…説明不要ですね。人狼を信じていても信じていなくても、騒ぎに巻き込まれた人々。
※共鳴は13名になったらいれようかなとも思います。能力の説明は血のつながりとか、適当に。
C狂は13名になったらいれようとは思っています。能力は適当に説明してください。
発言領域について:
白ログ…完全RP領域。PL発言は禁止です。
独り言…PL領域。RPも可能ですが、白ログには反映されませんし、独り言で出した設定は他人には見えないので矛盾されても問題がない場合のみ可。
墓…RPもPL発言もご自由にどうぞ。楽しんでください。ちなみ墓にいる人は全員は死んでるので、幽霊として村をうろついている設定です。
メモについて:
一言メモ…出現予定時間やON・OFFの表記に利用してください。
通常メモ…使用してもかまいませんが、村たてからメモのテンプレは出しません。
縁故…ログ優先で、縁故が結ばれてから確認用にメモに載せてください。のせなくてもかまいません。※基本的に小さな村なので、村人全員顔見知りです。
土砂崩れで閉じ込められた田舎町。
全員顔見知りの小さな町でいったいどんな騒ぎが巻き起こるのか――
新緑の人狼騒動が今始まります。
―宿兼集会所―
土砂崩れがおこってからすでに三日目。
道の確認にいった者たちからは、とてもじゃないけど町の住人だけではあの土砂はうごかせないという話をしていました。
運悪く閉じ込められてしまった田舎町としては少ない人数でどうしたものかと、今日も宿の一階で顔をつき合わせています。
そんな中一人の少女がぽつりと、「人狼を見た」と言い出しました。
大人たちはドロテアのその発言を信じるもの、信じないものそれぞれで――
今は集会で、子供は発言するものじゃないと、少女は追い出されてしまいました。
追い出されたドロテアは、集会に参加していなかったものたちにも「人狼を見た」と訴え始めます。
そしてその話が密やかに広まるころ――
あなた達は、不安に思ってか、なんとなくか――それとも誰かに呼ばれたりなどして徐々に宿へと集まってくるのでした。
―― 宿の近くの木陰 ――
[集会に呼ばれていたけれど、顔も出さずに木陰でのんびりとしていた。
そこに誰かが近づいてくる気配を感じて]
んー? なんだ、ドロテアかあ。
はぁ? 人狼を見た? えー?
[本当に見たと主張するドロテアに猜疑心いっぱいの視線を向ける。
全然信用してないとわかる態度で欠伸をした。]
それってさあ、最近言われてた噂だろー?
土砂崩れが怒ってただでさえぴりぴりしてる奴多いんだから、そんなデタラメ吹聴してたら、そのうち誰かに怒られるぞー。
[まじめに忠告してみるけれど、ドロテアは納得しないどころかどうして信じないと反対に怒る始末。
どうしたものかと肩をすくめれば、もういい、とドロテアがその場を立ち去っていった。]
[立ち去っていったドロテアを見送り、ぼさぼさの髪をぐしゃぐしゃと掻く]
あの調子で言いふらさなきゃいいけどなあ。
そもそも人狼を見たっていうけど、人影を見間違っただけ、とかいうオチも有りそうだしねー。
[独り言を呟きながら、どうするかなあと首をかしげる。
いつのまにやら集会は終わったらしく、宿から幾人かの人が出て行くのが見える。
戻って何か食べるか寝るか、それとも誰かのところに遊びに行くかと迷うように、ぼんやりと新緑がみずみずしい木々を眺めた。]
―― 土砂崩れの現場 ――
[――ペッカは、岩を抱え上げる。
泥まみれの其れは滑りやすいが、落とさぬように。
力を籠めると、肩から首周りがぐっと太く膨らむ。
浮いた汗が、濡れた肌へ泥混じりの流れを作った。]
ふっ、 …
[息を詰めるちいさな音にすこし遅れ――
どうん、と投げ捨てた岩が地響きを立てる。
ペッカはひとり、黙々と岩を抱え、運び、捨てる。
道を埋めた崩落の幅は広く…向こう側は見えない。]
[嵐の過ぎた森。萌えだしの新緑が日差しに映える。
せせらぎの音に喉は渇くが、土砂の合間を縫って
流れる水は濁っている。ペッカはひひとわらう。]
漕がにゃ進まん、凪もあらぁな。
[集会へ向かう姉夫婦に向けたのと同じ台詞を呟く。
水夫のペッカが乗る船が次に出航するのは半月後。
急がぬ男は、然し僅かずつ海へ向かう日々を送る。]
[いつのまにか木陰に座り込んで転た寝をしていた。
この時期の穏やかな日差しは眠たくなるから危険だと欠伸をしながら思う。]
んー、とりあえず、もどるかぁ。
[こきり、と首を鳴らしながらゆっくりと宿へと戻る。]
――宿の一階――
[集会所と兼用になっている宿の扉は大きい。
その扉をゆっくりと押し開いて、中へと足を進める。]
ただいまぁ。
[集会に参加していた人たちはほとんど帰ったけれど、残っていた――というより残って当然の宿の主人には渋い顔をしてで迎えらてしまった。]
いいじゃん、俺が聞かなくても問題ないし。
[のんきに呟きながら、グラスに水を注いで喉を潤す。]
[宿の主人は、息子たるベルンハードの
呑気な台詞に、さらに渋い顔をつくる。
カウンターの傍へ腰掛けていたペッカは言う。]
… ソレ、さっき俺も言った。
[喉を潤す幼馴染みを見やって、卓へ突っ伏す。
川の水を被ってきたものの、まだ泥に塗れた姿。
宿の主人は、呆れた態でペッカが帰り際の一杯と
称して注文したエールを用意して運ぶところらしく]
[渋い顔をする父親にはへらっとした笑みを向けておいた。
カウンターに突っ伏す幼馴染にはちいさく笑う。]
ペッカも参加しなかったんだ。やっぱ間違ってないよな、うん。
……って、ほらしっかりした大人がいるから大丈夫だと思ってさ。
[ペッカにエールを渡した宿の主人が怒ったような顔を向けるのを見れば、あわててぱたぱたと手を振って弁解した。]
それに俺だって何もしなかったわけじゃないぞ。
ドロテアが人狼がどうとか言ってたの、広めないようにってちゃんと注意しといたから。
[ほら、仕事してる、といわんばかりに胸を張ってみた]
[宿の主人からエールの杯を引ったくりながら
ペッカは幼馴染みへ腫れぼったい目を向ける。]
おう、むしろ居ねえほうがいいだろってな。
何かドロテアが追い出されたとか聞いたぜ?
俺らじゃ、追ん出すにも苦労すンだろうよ。
[ほとんど胃へ落とし込む勢いで杯を傾けると、
日に焼けた腕の太い手首で口元を荒く拭う。]
親父さんからちらっと聞いたけどなァ…人狼?
海の上じゃ、眉唾話も侮れねえもンだが…ふうん。
[エールを飲む幼馴染の言葉にそのとおりと頷き。]
なんか、噂できいた人狼を見たって煩かったんだよなあ。
いくら季節外れの嵐で驚いたからって、そんな思い違いをするかなあ。
[腹をたたくペッカにそこは違う、とつっこみながら首をひねり。
息子とその友達に呆れた宿の主人はとっとと厨房に引っ込んだ様子。]
まあ、ドロテアだって、皆に否定されりゃそのうち勘違いに気づくよな、きっと。
[がっしりした幼馴染と対照的にぽっちゃりした腕で頬杖をつきながらカウンターの上にあった莓の籠をそーっと引き寄せて、春の恵みを食べ始めた。]
…木の芽時、ってヤツか? らしかねえやな。
[普段のドロテアを思い起こしながら鼻を鳴らす。
早々に宿の主人が引っ込めば、次杯を頼み損ねて]
あ、なんでぇ本当に一杯だけかよ…。
[文句を言いながら視線を戻して、ペッカはふと
真顔になる。苺を食べる幼馴染みをしげしげと見]
そりゃ間違いだって言われ続けたらお前ェ、
本当だって勘違いと思っちまうんじゃねえの。
[籠の苺を、ひとつ摘んで齧り]
なァ。
勘違いじゃなかったら…
誰か気づいてやれっと思うか?
[――――他愛無く口にする。]
あはは、あんまり出てくるのが遅いようなら俺がいれようか。
[エールのお代わりがもらえないのが不満そうな様子に笑う。
らしくない、というドロテアの様子を思い返せば、真剣に訴えてきてたことを思い出して。]
うーん……まあ、否定され続けたらそう思うかもしれないけど。
[もぐもぐと口を動かしながら小さく応え。
他愛なく口にされた、幼馴染の言葉にぽかんと口を開く。]
勘違いじゃなかったらって――ペッカは本当にいると思ってるわけ?
[首をかしげたところで、苺のへたを口の中へと放り込まれた。]
うぇ、ちょっ、ペッカ、なにするんだよ!
[ぺっぺっと、へたを吐き出しながら日に焼けた男を睨めば、厨房から父親がでてきて、うるさい、と怒られるのだった。]
… どうだかなァ
[返答の代わりに投げ入れた苺のへたに慌てる
ベルンハードの様子に、ペッカはひひとわらう。
幼馴染みの父親に一緒に叱られるのは楽しげで、
船が寄稿する合間の休暇においては常の光景。
降った怒声で有耶無耶になった話題は続かずに、
ほら仕事仕事、とばかり相手へ酒杯を*預けた*。]
くそう、なんでペッカのせいで俺まで怒られなきゃならないんだ……
[笑うペッカを恨めしそうにじと目で睨む。
幼馴染が居るときの日常に、嵐や土砂崩れ、人狼の噂といった非日常が僅かに薄れる。
杯を手渡されてふかーいため息をついた。]
エールの代わりにミルクでもいれてやろうか……
[ぶちぶちと呟きながらも、酒杯を片手にカウンターの中へと入る。
そして樽からエールを注ぎ、ペッカの前へと置く。
その後はしばらく、カウンターごしに対面しながら、会話を続けるのだった。]
―― 町の広場 ――
さて、そのころのドロテアは街の広場にやってきていました。
宿の息子に否定されても、人狼を見たと言い張る少女は、広場にある花壇のところで少し休んでいます。
「ほんとうに、見たもの」
ぽつりと呟くドロテアは信じてくれる人が現れるまで、町の人々に声を掛けることをあきらめないようでした。
周囲に視線を向けて、目に付いた人物への側へと寄っては訴え続けるつもりのようです。
ほら、また一人――まだ声を掛けていない人物を見つけた少女はその人のところへと足を向けるでしょう。
─町の広場─
あーあ、全くもう。
こんなんじゃ、商売上がったりだねぇ。
……新しい糸を受け取りに行かなきゃならないってのに。
[ため息つく仕種にあわせ、帽子の長いリボンと大きな耳飾りがゆれる。
広場までやって来た女は、何気なく周囲を見回し]
……んん?
どうしたんだい、ドロテア?
……え? 人狼、見たって……。
あんた、なぁに、言ってんの。
[訴えかける少女に、女は僅かに眉を寄せる]
本当だ、って言われてもさぁ……ああ、確かにあんたは嘘つくようなコじゃないけど。
んー……いきなりそんな話されたって、ねぇ?
アタシも困るしさ。
とにかく、ちょっと落ち着きな……って。
[困り顔のまま、宥めるように肩を叩けば。
少女は、怒った様子で女の傍を離れて行く]
あーあ、もう……。
[他の住人に向けて訴えを繰り返す少女の様子に、零れるのはため息、一つ]
あんな調子で、イラついてる連中に当たられたりしなきゃいいんだけどねぇ……。
―― 街の広場 ――
ウルスラを見かけて訴えてみても、困ったように取り合ってくれない様子に少女は怒りました。
「私は落ち着いているわ。
見たのは間違いないもの、どうして誰も信じないのかしら」
困惑する女を置いて少女はぷりぷりと怒ったまま広場の反対側、雑貨屋があるほうへと足を進めます。
そうして日暮れまで、誰彼となく声を掛け続けるでしょう。
一度は声を掛けた人に話しかけられれば、また訴えることもあきらめません。
それほどに、*少女は自分の見たものを信じているのでした。*
―― 宿の一階 ――
[ペッカは、暫くベルンハードと話していた。
さして長くも遠くも無いありきたりな航海の話。
それでも、そこそこ珍しげに耳を傾けてくれる
宿の息子たる幼馴染みの日常を思い、ふと挟む。]
ビー。
お前ェ、このまま親父さんと宿屋やンのか。
[呼ぶのは、幼い頃のままの愛称。]
なんか他にやりたいことでもありゃよ、…
…こン災いで往来もしばらく途切れっだろうし。
ちっと他の商売も考えてみりゃいンじゃね?
…なン、思っただけだァね。
[答を待たず窓外へ目を遣るのは、急かさぬしるし。
濡れた口の周りを舐めながら、広場へ興味を移す。
道行く人びとへ何やら真剣に訴えるらしき
ドロテアの様子を見、ペッカは頬杖をつく。]
おーぉ、誰彼なく捕まえてンなァ。
ウルスラ姐も絡まれてんじゃねーか。
─町の広場 → 宿─
[雑貨屋の方へと向かう少女を見送った後、もう一度、やれやれ、と呟いて。
ゆっくりと、足を向けるのは宿屋の方]
……おんや?
親父さんは、お出かけかい?
[扉を開け、中を見回して。
最初に投げたのは、そんな問い]
親父さンなら、奥に引っ込ンじまったぜ。
[来訪者の声を受け、カウンターの端から応じる。
無造作に腕を上げると、乾きかけの泥が落ちて]
若ェのとは、話が合わねンだとさ。
[斜に腰掛けた侭、ペッカは柄悪くひひとわらう。
ウルスラの用件は、ベルンハードが尋ねると憶え]
ウルスラ姐も、辛気臭せェ面しに来たクチかぃ?
おや、そうかい。
ま、アタシも急ぐ用件じゃないけどねぇ。
[奥に引っ込んだ、との言葉にちら、とそちらへ視線を流す]
ま、あんたらがいつもの調子で駄弁ってたんなら、話は合わないだろうけどさ。
[笑うペッカに冗談めかした言葉を返し。
空いている椅子一つ、かたりと引いて腰を下ろす]
辛気臭くしたくはないんだけどさぁ。
仕事に気が乗ってた矢先にこんな状況じゃ、さすがにアタシも憂鬱になるさ。
ンなら、座ってきなぃ。
…俺ラん店じゃねえけどよ?
[カウンターの内側から振り向いて奥へ声をかける
ベルンハードに代わってうながし、軽口を叩く。]
おう、つきっきりで説教も互いに飽きたってナ。
あンだけの嵐で、人死にが出なンだこったし
村ン衆も、もちっと喜んでもいい気はすらぁ。
[ウルスラの憂鬱の種を耳にしてふうんと唸り――
ペッカは、ごとと身動いで椅子の向きを変える。]
気の乗る仕事? そういやうちの姉ちゃんが、
ウルスラ姐がうらやましいとか言ってたっけか。
確かに、あんたらの店じゃあないね。
でも、お言葉には甘えさせてもらうよ。
[くすくすと、笑う仕種にあわせて耳飾りの輪がゆれる。
奥に呼びかけるベルンハードには、急かさなくてもいいさ、と声をかけ]
……飽きるほど説教されてるのも、どうなんだかね。
[さらり、こんな事を言ってから、軽く肩を竦める]
外と繋がり断たれちまったら、仕事に差し障るって連中も少なくないからね。
人死にないのはめでたいけど、生活かかってるんじゃ、ぴりぴりもするさ。
アタシも、そのおかげで仕事が止まっちまったんだしね……良い図案ができてるのに、ちょうどいい色の糸が手に入らないんだから。
ってー、うらやましい? あんたんとこの姉さんが?
―― 宿の一階 ――
[ありきたりな航海の話でも、小さな田舎町からほとんど外に出ないベルンハードにとっては珍しいもの。
興味深く耳を傾けながら相槌を打ち。
ふと愛称を呼ばれて軽く瞬いた]
んー、まあこう、やりたいーって思うこともあんまりないしなあ。
[他の商売、といわれてうーんと悩む。
せかさぬ様子の幼馴染に、有難いような悩むような複雑な笑みを一瞬浮かべて]
ん? ああ、ドロテアかあ……
そのうち迷信深いじいさん連中と話があってよけいに騒ぎ立てるようにならなきゃいいけどなあ。
[町にいる該当する人の顔を脳裏に浮かべて、そんなことにならないようにと祈ってみる。]
親父なら厨房だよ。
まあ簡単な飲み物ぐらいなら俺が聞くけど。
[けら、と笑いながら奥に引っ込んだという幼馴染の言葉を裏付ける。
ウルスラの仕事の話は小耳に挟んだことがあるから、ペッカとの会話は邪魔しないまま、ウルスラの望みが食事なら父親に声を掛けるのだった。]
どうなんだかねェ。
[ペッカは、ウルスラの語尾を真似て空とぼける。
頬杖をついたまま首をきたんと真横へ傾けたのは
揺れた耳飾りの輪、その向こうを覗く仕草に似て]
んー。
寄合じゃまだどうすっか纏まンねェらしいが…
そのうち、無理な山越えする者ンも出ンのかね。
…ふうん、糸なァ。
ひひ、姉ちゃんはもうじきガキ産むからよ?
ウルスラ姐みてェに凝った意匠の、
日数のかかる仕事は請けらンねンだと。
ん、ああ。
親父さんへの用事は、仕事絡みの話だから、後でもいいんだよ。
でも、折角来たんだし、何か飲んで行こうか。
何か、お勧めあるかい?
[ベルンハードに軽く問いを投げ。
空とぼけるペッカに、あんたねぇ、とやや、呆れた声を上げた]
山越えも危ないだろ、崩れるくらいなんだから。
……どっちにしろ、しばらくは様子見だろうね。
あー、そうかそうか。
赤ん坊みながら針仕事は難しいって、零してたっけ。
山越えかあ。
俺はやろうとは思わないけど……閉じ込められたことに我慢できなくなった奴が居たら、やるかもしれないなあ。
[ペッカたちの話を聞きながら、ぽつりと呟き。
ウルスラにお勧めを聞かれて、がさごそとカウンターの下をさぐる。]
えーっと、たしか……あったあった。
冬につけた林檎酒がちょうど飲み頃になってるから、これでいいかい?
[しっかり者の宿の主人の趣味は酒造り。
その息子は手伝うだけで自分から作るわけじゃないけれど、できたものを勝手に飲むから怒られるのはいつものことだった。]
赤ん坊が増えるのは嬉しいことだけど、ペッカの姉さんにしたらしたい仕事もできないつらさもあるってことかあ。
まあそのうちまたいいもの作ってくれるのをのんびり待つしかないねえ。
いつまでたってもガキ扱いしてェならよ、
好きなだけさせてやらァってナ?
[呆れ声のウルスラへ一端を漏らし、素知らぬ態。
『しばらくは様子見』――
日々ひとり崩れた岩を除けるペッカは、言葉へ
頷きはせずも村の総意に異を唱えることはしない。]
おう。
そんで、たまには遊びに来てやってくんな。
女同士で喋くりゃ、ちっと気晴らしになンだろ。
[ものを頼むと程遠い物言いは、遠慮なさからで]
実際に動くヤツが出る前に、道が通ればいんだけどねぇ。
[そう簡単にいかないからこそ、皆頭を痛めているのはわかっているから、口調はどこかぼやくよう]
ん、ああ、それでいいよ。
[宿の主人の手作り酒を飲むのは、女にとってささやかな楽しみのひとつだから、自然、口の端には笑みが浮かんでいた]
[姉の同僚たるウルスラと話しながら、ペッカは
ベルンハードをカウンター越しにちらと見遣る。
最前の会話には思うところあれど、呑み込んで]
…そう言や、ウルスラ姐もさっき
ドロテアに捕まってたンだっけか。
何にしても、腰落ち着けて話聴いてやらにゃ
収まンねェだろ、あんな様子じゃ――
[ドロテアの父ちゃんはどこ行ってンだかなァ。
そんな呟きには、素っ気なくも僅か案じる響き。]
[ガキ扱い、という言葉とその後の様子に、もう一度軽く肩を竦め。
続けられた頼みには、ああ、と一つ頷いた]
気晴らしは、アタシにも必要そうだしね。
その内、お茶菓子持って寄らせてもらうさ。
……ん、ドロテア?
ああ、さっきそこでね。
いきなり何言うのかと思ったんだけど、やたらと真剣だったし……。
ほんとかどうかはともかく、ちゃんと聞いてやった方がいいかもねぇ。
あァ、其れ。
いーい琥珀色してンのに、やたら甘ぇんだよナ。
[宿の息子が勝手に飲む折は、悪友めく幼馴染みも
無論相伴に預かっているわけで…慣れた口を利く。]
あ?
お前ェはいつだってのんびりしてンじゃねえかよ。
[ウルスラのぼやきに、だなあ、と同意を返しながらグラスに林檎酒を注ぐ。
それを女の前に置いて、自分のエールを一口飲んだ。
ペッカの視線に首を傾げてみるが、口にされない言葉を問うことはせず]
なんかさあ、そのうちまたドロテアに話しかけられた人がやってきそうな気もするよね。
住人全員に声を掛けるつもりだったりするのかなあ……
そうなる前にちょっとドロテアを呼んだほうがいいんだろか。
[カウンターの向かいに座る二人がドロテアを案じるのを聞けば、
かんがえるように腕を組む。]
集会から追い出されたから、ドロテアは当分宿には近づかない気がするしねえ。
そりゃあ、どっちかってーと、女子供向けだからなあ。
俺は甘いのも好きだけど。
[ペッカの言葉にけらけらと笑いながら、
そんなにのんびりしてないという反論は、むなしく響くのだった。
しばらく二人と言葉をかわした後、ゆっくりと立ち上がり。]
ま、とりあえず、ちょっとドロテアに声を掛けてみるよ。
[そう断って、宿の外へと出て行くの*だった*]
―― 宿の外 ――
[どこにいくとも決めずに外に出て、ぐるりと周囲を見やる。
ドロテアは見える範囲には居なくて、軽く肩をすくめて歩き出した。]
んー、でもなあ、話を聞くとしても……
どこまで信じるかだよなあ。
[やっぱり人狼がいるとは思えないベルンハードにとっては、ああいってでてきたものの、ドロテアに声を掛けるのは面倒だなとも思い。
なかばふらふらと散歩するような態度で道を歩く。]
[宿に残るペッカは、扉を出る幼馴染みを見送る。
エールを飲み干して既に空の杯は手にしたまま。]
呑気もンの癖に、気ィ回しやがる。
[同席するウルスラへ憚らずも、
半ば独り言めいてぽつと呟いた。
林檎酒を愉しむ彼女と目が合うと、
何でもないとばかりに僅か口を尖らせる。]
しかし人狼つーのが居たとして、
居たとして…どうすンだ?
[話題を戻す態で、ペッカは空の杯の縁を舐める。
行儀の悪さを咎める者は、この場にはなく――]
他所の土地へ追い遣っちまうか。
昔話みたく、叩き殺しちまうか。
捕まえて見世もンにでもするか。
―― 町外れの花壇 ――
いろんな人に声を掛けていたドロテアは、いつのまにやら町外れへとやってきていました。
中には話を聞いてくれた人もいたけれど、ほかの人にも、と思ううちに歩きすぎていたようです。
しばし花壇の近くにあるベンチに座って休憩をしていました。
「こんなに信じてくれないなんて……
どうしてなのかしら」
不思議そうに呟いた少女は、深いため息を落とします。
それからゆっくりと周囲を見渡して、誰か居ないかと探すのでした。
ああ、そうだね。
誰か、聞いてやれば落ち着くかもしれないしさ。
[林檎酒を味わいながら、頼んだよ、とベルンハードを送り出し。
ペッカの呟きには、僅か、笑むような仕種。それは、グラスの陰に隠れてしまうけれど]
……実際にいたとして、かぁ……。
どうなるんだろうねぇ。
[人狼がいる、という事に対する現実味を持たない女は、どこか他人事のように言って、琥珀色をゆらす]
ま、持て余すのは確か……なんだろうけど。
[そんな事を呟きながら、ゆっくりグラスを*傾けた*]
―― 町外れの花壇 ――
人影を探してみたけれど見当たりません。
ドロテアは、僅かに息をついて立ち上がりました。
「あと一人か二人に声を掛けたら帰ろうかしら」
それでもあきらめては居ない呟きをこぼしながら、人が居るだろう町の中心部へと*もどってくるのでした*
―― 町の広場 ――
[のんびりと歩いていれば、道なりに広場に到着するのは当たり前だった。
どうしたものかなあとぼんやりと周囲を眺め。
そのままドロテアの姿が見えるか、はたまた他の人に声を掛けられるかするまでぼんやりとしている**]
……困りましたね。
[土砂崩れの現場、折れた木に腰掛けながら、ため息をつく少年が一人。
こんなことをしていても何も解決しないのはわかっているけれど、日に一度、こうやって通れぬ道を眺めるのは、既に習慣となっている。]
街の祭りには間に合わないし、重要な道具は全て師匠のところ。練習だってできやしない。
[心底困ってはいる物の、さほど慌ててもいないような口調でつぶやいて。]
さぁさ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、皆様お目にかけまするは、摩訶不思議なる消失劇、種も仕掛けもございませぬ……
[やおら立ち上がり、滔々と口上の練習を始める。
土砂崩れの前その声は、気味悪さすら感じさせるほど場違いに響いていた。]
/*
皆様参加してくださってありがとうございます。
本日午後22時ごろ開始を考えていますが、不都合などはございませんでしょうか。
編成は狼村村村にしようかと思います。
後お一方、いらっしゃれば占い師をいれようと思います。
問題なければ何も反応なさらなくて結構です。
ご要望があれば、メモでお知らせください。
それでは開幕まで後しばらく、お付き合いくださいませ。
*/
[ぼんやりと広場のベンチに腰を下ろしている。
そうしているうちに町外れのほうからドロテアがやってくるのが見え]
あー、ドロテア。
[ひらひらと手を振りながら呼べば、こちらに気づいた少女が不機嫌そうに近づいてきた。]
なにも聞かずに否定したのは謝るからそんなに怒るなよ。
――人狼をみたって、どこでどんな風に?
[ほら、ここに座れ、と隣を叩きながらたずねれば、不機嫌そうな少女はそれでもぽつぽつと話し始める。]
[きちんとした姿を見たわけじゃないこと。
森の奥、木の陰だったけれど、大きな狼が見えたこと。
血の匂いとかがあったわけじゃないけど、アレが人狼だとぴんときたと――]
ふーん……つまり、根拠はないただの勘だってことか……
ドロテアが見た狼が人狼かどうかはともかく、大きな狼が居る、っていうことだよなあ。
[ふーむ、とかんがえるように腕を組む。
人狼かどうかはともかく、という言葉に少女は「やっぱり信じてないじゃない!」と怒ってまた歩き出してしまった。]
あー……またやってしまった……
[怒って立ち去ったドロテアを見送りながら、深い吐息をこぼしてがしがしと髪をかき乱す。]
やっぱり俺にはこういうのはむいてないんだよなぁ……
―― 大木の木陰 ――
怒った少女は広場を離れたその足で大木の元へと向かいました。
そこにいたアイノを見つけてそばにより、今までにあったことをつらつらと、時に怒りながら言葉にします。
「ほんとうに見たのよ。
とっても大きな狼だったのよ。
あんなの普通の狼じゃないわ。
人狼に違いないのに、みんな見間違いだとか勘違いだとか言うのよ」
ひどいでしょう、と憤るドロテアはお菓子を食べながらの相槌であろうと、アイノが頷いて聞いてくれることが嬉しいようでした。
信じてくれるよね、と言わんばかりに同じ年頃のアイノを見つめて、あれこれと話し続けるのでした。
うん。
[何の肯定かは定かにせずに、最後の一枚のビスケットをドロテアの口元へ運ぶ。
咥える仕草に微笑んで、『そうだね』と言った。]
集会場、ドリーも行く?
[指先についた欠片を叩き落として、アイノは道を歩み出す。]
─宿の一階─
[グラスの琥珀色が空になる頃、奥から宿の主人が顔を出す]
ああ、親父さん。
こないだ頼まれた仕事の事なんだけどー。
[ひら、と手を振り、訪れた用件を切り出すが]
……ん、まあ、わかるわよねぇ。
糸が揃わないから、手、つけられそうにないのよ。
道が開いて、糸の都合がついたら、すぐに取り掛かるわ。
[言うより先に、わかっている、と返されて、零れるのは苦笑]
やってらんないわ、ホント。
いい図案ができてた矢先に、コレだもんねぇ……。
[肩を竦める仕種。
それにあわせて耳飾の輪がゆれた]
―― 広場から宿へ ――
[はあ、とため息をひとつついて、ゆっくりと歩き出す。]
まあ、しょうがない、か……
[いつまでもくよくよしてても仕方無いから気にしないようにして。
ゆっくりとした歩みで宿へと戻っていった。]
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