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[ミナツに気付かれたのか、視線がぶつかる。
直後、"出て来い!"とジュンタの声]
…えへへへ
[両手を御腹の下辺りで擦りながら]
ラーヴラヴ〜!
[ふざけた調子で二人の前に姿を現した]
ジュンタったらもう!
こっちまで恥ずかしくなる様な事ばっかり
云っちゃって、もう!
[あああ、と手を振り振り。
振った手をそのまま両頬に当て、もじもじ。]
……って、あれ?
[もじもじしていた所に一欠けらの雪。]
…ゆ、き?
[確かにここの所、寒めの日が続いてはいたが。]
…ゆきだ。
[まさか雪が降るとは思わず、掌を上向きにして]
――。
[すっ、と差し出し。雪を掌に感じている。]
雪が笑ってるから…。
ジュンタって結構ロマンチックなこと言うよね?
[ちょっと意外。と思いながらくすりと笑い]
イマリせんぱーい。
こっち来たらいいですよー。
[覗かれるのは嫌いだというジュンタの言葉に続いてイマリに声をかける。]
そうだよね。あんな美味しいケーキのお店知ってるのに甘い物嫌いなんてことあるわけないよね。
なにモジモジしてんだよ………ラブラブじゃねぇっての。
ラブラブになれるもんならなりたいぞ!
[ちょっとだけ力のこもった台詞だった。]
お前何してんだよこんなとこで。
休みなんだから、遊びにいかねーの?
ゆき………?
[イマリの声に、空を見上げたら。ちらりちらり、小さな白い妖精達の姿。ああ、そうなんだな。]
サヨナラ………ね。
楽しかったぜ、本当に。
[そう呟いて、ふと目を伏せた]
[ミナツの呼ぶ声が聞こえ、側へ]
ねぇねぇ、雪だよ、雪!
[掌は変わらず、天へ向けたまま]
まだ11月なのに。
…異常気象、なのかな?
[適当な事をぽつり]
わぁ
[雪はゆっくりゆっくり、と。
天から地へ向かい、少しずつ降り注ぎ始めている。]
[ジュンタの声に、真顔で]
今、十分ラヴラヴだったじゃん
[ジュンタの口許辺りを指差し]
アタシ?
…アタシは別に、今日は用事無いし。
家でだらだらしてよーかなって。
[手にしたビニール袋を持ち上げ]
雑誌買ってさ、家で読むの。
[うんうんと頷いた。]
昔、ある奴が言ってたんだよ。
[ロマンチックだと言われたら、ふるふる首を振って]
おう、甘い物好きじゃなきゃケーキなんか食うもんか。
[それだって、あいつがケーキ好きだったから]
[ラブラブーと言いながらおどけたように出てきたイマリに]
……っ!
先輩!何言ってるんですか!
[顔を赤くしてそう答えれば、ひらりと舞う白い何か。イマリの言葉に雪だと気付き]
え?雪?
ほんとに降った…。
[隣でぽつりとサヨナラと呟いて目を伏せるジュンタの様子をちらりと見る。]
[友達居ないの?なんて問われれば]
…そうなの。
……あた、し……友達全然いなくて…
[両手で顔を押さえ、俯き。しくしく泣いた振り]
恥ずかしい台詞聞いてくれる友達も居ない…
[しくしく、泣いた振りをするが
両手で押さえ隠す顔は、笑いを堪えている。]
[天からひらりと舞い落ちる雪を手の平で受け止める。すぐにすっと消えていくそれを。]
昔ある人が…かぁ。
[きっとその今はもういない彼の思い人のことなんだろうと思いながら。天からひらりひらりと零れてくる雪をただただ見つめる。]
[両手の隙からこっそりミナツを窺う。
そこには恥ずかしそうに顔を赤らめる姿を見るも。]
……?
[ジュンタの様子を窺うミナツに小首傾げ。
ミナツの視線を追う様に、ジュンタを見遣る。]
[友達がいないと言って泣いたふりをするイマリを見てくすくすと笑い]
恥ずかしい台詞…。
[イマリがいつから聞いていたのだろうと思いながら両手で顔を押さえ泣いたふりをしている彼女の肩が震えているのを見て]
イマリ先輩…。嘘泣きですよね?
[彼女の顔を下から覗きこむように聞く。]
[無理に笑うジュンタに]
うん。大丈夫なら良いよ?
[あまり触れられたくないだろうとそれ以上は何も言わず、聞かない方が良かったと思う。はぁっと吐く息は白くてマフラーをくるりと巻き直した。]
[お菓子を投げつけられれば]
わわっ!
[投げられたものが、びしっ、と体に当たり]
わっ、わっ
[地面に落ちようとするそれをなんとかキャッチ]
…なにこれ、くれるの?
って、これ…
[およそ、彼に似つかわしくない包みに笑いを堪える]
─駅前─
[雪が舞い散る交差点。
路面に放り出された、ピンクの小熊の携帯電話。
悲鳴はざわめきを呼び、人だかりを作る。
アスファルトを染めていく、赤い赤い水溜り。]
うん、ありがと。
[心配してくれた美夏ちゃんに、小さく微笑み。ロングコートを着ていたから、それを脱いで投げ渡し]
風邪ひくとまずいし。着てな?
[そして、爆笑するイマリに向き直る]
やる。やるから、笑うのをやめろ。はずいべ。
[急いで駆けつけた救急車は、スーツ姿の男をゆっくりと運んでいく。
残された野次馬達は一様に、諦めだけを抱いて去っていく。]
[ミナツに覗き込まれ、舌をぺろり]
ばればれ?
[あはは、と笑った]
[どっから聞いてたんだ、というジュンタの声には]
あれは、雪が笑ってるからさ。
生まれてこれて良かったって、笑ってんのさ。
だから暖かいんだ。
そう。俺が君に笑いかけるのもそんな理由さ。
だから君も今、とっても暖かいだろう?
[ジュンタのモノマネをしながらの言葉。]
[ジュンタからイマリへ投げつけられた物が自分の手の平にある物と同じだと気付いて]
イマリ先輩!それ美味しいですよー。
駅前のあの行列ができてるお店のクッキーですよ!
[包みを見て笑いをこらえているイマリに話しかける。]
[ジュンタに、やる、と言われれば]
ありがと!
ちょうど、本読みながら食べるもの出来てよかった!
[えへへーと笑った]
ジュンタってそんなヤツだったっけ?
[はずい、と言う彼に、にたにた。
小首傾げ、昔の彼のイメージと照らし合わせている]
─駅前─
[路上に転がったピンクマ携帯が、「めーるでふ〜★」と能天気な声。]
…あった、良かったー…。
代替機までやらかしたら、弁償だったもんなぁ。
[携帯を拾い上げつつ安堵の声。]
物真似してんじゃねぇ!
あぁ、俺のクールなイメージが壊れていく……
[頭をかかえつつ]
昔はな、こんな奴だった。
去年からだ、俺が黙ったのは。
美夏ちゃんといると、昔に戻るような感じだ。
嬉しいのか悲しいのか………
[ミナツの声に、包みをまじまじと見て]
だよね、だよね?
…ジュンタってばもう、健気!
[恐らくはミナツに渡すためにこんなものを、と
思考は一瞬で其処まで辿り着く。
というより、彼が自分で食べる為に、
こんな包みをする店へ行くという結論には
まぁ、普通、なかなか行き着きはしない。]
それじゃあ、私も愛情をおすそ分けされちゃいます。
[包みをあけ、真顔で一つ、ぱくり]
[ぽふりと渡されたコートに]
ん…?
え?でも、ジュンタが寒いよ?
[着てろと渡されてもどう見てもジュンタの方が寒そうに見えて、コートを返そうとするもきっと断られるだろうと思い、巻いていた白いマフラーをはずしてジュンタへ渡す。]
じゃあ、マフラー貸してあげる。
[渡されたコートをぽふりと肩にかけた。]
あはは。
ばればれですよー。先輩。
[イマリがジュンタの先程言っていた言葉を繰り返すのを聞き、後半の言葉はそれは違うと思い]
先輩!そんなこと言われてない!
[くすくすと笑いながら、先程の空気よりもイマリがいるおかげで軽くなった気がしてほっとする。]
健気じゃねぇっ!ちくしょー……
いつか復讐してやっからなぁ………
[イマリに恨み言を言っていたら、美夏ちゃんにマフラーをまかれた。それは、やっぱり暖かかったから。]
さんきゅ、借りとく。
[そう言って、にこりと笑った]
…雪、か。
[はらはらと舞い落ちる白い欠片を、指先で受け止めて。]
降りれるのかな、この天気で。
…空港、閉鎖にならなきゃ良いが。
[灰色の空を見上げ、その向こうから戻ってくるはずの妹に思いを馳せる。
携帯の着信メールを確かめる。
「もうすぐ飛ぶよ」と添えられた、海外の空港の風景と妹の笑顔の写真。]
[ぱくり、と食しながらも。
昔はこんなだった、というジュンタに]
ふぅん
[彼の顔を見つめながら小さく頷いた。
寡黙なイメージが強かった分、本当に意外だった様子。]
……。
[が、しかし。]
……、あたし、向こう向いてようか?
[二人の防寒具交換会に、にやにやにやにや]
やっと逢えるな、奈緒。
[一年間の留学を終え、妹が帰ってくる。
日付変更線を飛び越えて、この街に着くのは11月2日。
彼にはもう、永遠に訪れない明日。]
[昔はこんな奴だった。という彼の言葉に彼女がいた時の事だろうなと大体の想像はついて]
私といると昔に戻るみたい?
[最後に続いた言葉には複雑な思いでこてり首を傾げる。
ジュンタにマフラーを巻いていれば後ろを向いてようか?というイマリに]
なんで後ろ向くんですか!
わけのわからない気を使わないでください!
[びしっとイマリを指さして言った。]
[二人同時に、同じ旨の突っ込みを受け]
――。
[思わずびくっ、と止まり、見つめてしまうも]
……
[俯き、口を押さえ、ぶるぶると笑いを堪えた]
[いつもの帰り道。
足取りはいつもより軽い。
片手さげた紙箱には、妹の好物の駅前通りの和菓子屋のすあま。]
…お?
今日もここでたむろってんのか?
[通り道の公園。
最近良く見かける学生達に声をかける。]
なんだイマリ!そんなにおかしいか!
[つっこんでいると、ズイハラさんの声がして]
あれ、ズイハラさん………?
[キョロキョロ、あたりを見回して]
[笑いを堪えている所に声がかかり、振り向く]
あ、ズイハラさんだ!
[口を押さえていた手を挙げ、振り振り]
ズイハラさんこそ、こんな時間にー。
お仕事、忙しいんですか?
[なんとなく首傾げながら問いかけたりして。]
[ジュンタと同じ突っ込みをしたことがおかしくてくすりと笑い、イマリが笑いを堪えているのを見れば]
イマリ先輩…何、笑ってるんですか…。
[そこにここ最近良く見る顔がまた一人。]
あー。ズイハラさん、こんにちわー。
[手をひらひらと振り挨拶。]
[美夏ちゃんが微笑んでくれたから。俺は頭をかいて、笑ったと思う。なんだろう、自分でもよくわからない。不思議な感覚なんだ、この感じが。]
ごめん、いつか言う。
よ。
[口々に声をかけてくる学生達に笑って。]
まぁ、なんとか無理矢理明日の分も終わらせてきたとこさ。
明日は休暇取ったんでね。
妹帰ってくるからさ、空港まで迎えに行ってやらんと。
[その明日はもう二度と訪れない。
故に無意識に願うのは
…せめて明日を楽しみに待つ、今日という日が永遠に続く事。
降り積もる雪が消えていくように、この思いが消えてしまうまで。
今日が永遠に続きますように。]
[ごめんと謝るジュンタにそれ以上何も言わずただにこりと微笑む。]
ズイハラさんって妹いるんだー。
雪がひどくならないといいですね。
[空から落ちてふわりと舞う雪を見る。]
[ズイハラさんの声に小さく頷き]
それで、ですかー。
お仕事お疲れ様でした。
妹さん迎えにいってあげるんだ。
優しいお兄さんだなぁ。
私もおにいちゃん欲しいな!
なんでもいう事聞いてくれちゃう兄貴!
[軽く口にする、理想]
…大丈夫?って…何が?
[ずきりと頭が痛む。けれどもそれだけで。
未だ自覚できていないらしい。
自分の体が、どうなってしまったのかを。]
い、いや……なんでもないっす……
俺、疲れてんのかな?あはは………
[言葉にできるわけ、ないじゃないか。お前はもう死んでるんだなんて。言えるわけないじゃないか。]
ま、そういうこと。
あまり似てないって言われるけどな。
…ほら、これこれ。
[例のピンクマ携帯を開いて、妹からのメールを表示。
眼鏡をかけたミディアムボブの少女が、人差し指立てて映っている。]
[瑞原奈緒という名を聞いても自分にはわからなくて。まぁ、分からなくて当然なのだけど。
ズイハラが見せた写真を見て]
ほんとに似てない…。
[写真よりも彼が持っているピンクマ携帯が気になって仕方がなかった。]
[一個上、と言われ一思案。
多分、あの人かなー?という人は居るものの。
ジュンタがすぐに行き着いた辺り、
恐らくはその人でいいのだろうけれど]
ん?
[ズイハラさんのピンクマ携帯を見て]
ああ、やっぱり
[矢張り、その人と一致]
確かに似てないかも
[ほんのり笑った]
[明日も振り続けるのかというジュンタの声に]
どうかなぁ。
[空を見上げぼんやりと]
どうせ降るなら、少し積もるといいけど。
でも、積もると積もるで大変だよね。
[なんとなしに、苦笑い]
あんまし積もられてもなぁ…
[見上げる空は灰色。]
電車とか飛行機とか止まられちゃ困るさね。
雪自体は嫌いじゃないけどさ。
スノボとか出来るのも、そろそろだし。
ん?
[名を呼ばれて振り返った彼の顔を見る。]
あー。ご飯食べてない。
お腹空いたねー。
[そう聞かれて何も食べてなくてお腹が空き始めたのに気づき、お腹を押さえた。]
そうだな。少し、積もるといいな。
[イマリには、遠くを見ながらそう答えて。ひゅぅと吹き抜けた風は、俺の髪を撫でていって。靡く短めの髪が、少しだけくすぐったかった。]
お、じゃぁ飯一緒に行く?
[同意してくれた美夏ちゃんに、そう聞いてみて]
[ズイハラの声に合わせ]
ですよねぇ
[頷いた]
実際、そういう所考えると喜べなかったり。
でも、スノボは行きたい。
[現実と夢の間の小さな葛藤]
積もるかなー?
でもいつもだとすぐに溶けちゃうよね。
[こんなに雪が早く降るのも珍しいと思いながらぽつり呟く。]
うん。いくー。
おごり?
[こてり首を傾げてくすりと笑ってそう尋ねるもおごりじゃなくても一緒に行くつもりで。]
あぁ、勝ったからおごり。
[クスクス、美夏ちゃんに微笑んで。彼女とは、なんだか一緒にいたいんだ。なんだか、楽しいんだ。麻雀以外で楽しいのって、凄く久しぶりなんだ。]
何くいたい?好きなもんとかある?
ぉ、スノボやんの?
[イマリを誘いかけて、流石にちょっと踏みとどまり。]
いやいやいや、流石に泊りがけで連れまわすのは色々世間的にアレだしさ。
イマリちゃんと友達沢山と行ったら面白そうだが、流石に良い大人がアレじゃアレだろさ。
[楽しいのか困ったのか色々複雑げな表情。]
[食事に誘うジュンタをちらり見て。
邪魔しちゃ悪いかなーとか迷う。
とはいえ、邪魔しないように、とイマリちゃん連れて行くのも大人としてどうなんだ、とか葛藤中。]
[おごりという彼にえへへと笑いながら]
わーい。おごり!
そっか。今日も勝ったんだもんね!
好きなもの…うーん、オムライスかなー。
[好きな物を尋ねられて黄色いふわふわの卵を思い浮かべる。]
ええ、少しですけど。
[やるの?と問われ頷いた]
なんとか滑れる位で、トリックも出来ないし。
見よう見まねでオーリーしようとして、
酷い目にあっちゃう様なレベルなんですよ!
[あはは、と笑う]
じゃあ、イマリが大人達に交ざればいいんじゃ?
ズイハラさんと、ズイハラさんのお友達。
それとアタシ、とアタシのお友達数名。
…別にそれはそれで面白いような?
[複雑な表情に、にまにま笑い気にせず告げた]
ズイハラさん、何一人で悶えてんすか?
[葛藤する彼を眺めつつ]
オムライスかー!
黄色いふわふわの………ごほごほ。
[黄色で昨日の事を思い出したらしい]
[何か百面相をしているズイハラを見てこてり首を傾げ]
そうそう黄色いふわふわのー。
[繰り返せば咳ばらいをするジュンタを見て、昨日の出来事を思い出す。きっとジュンタも同じ事を思い出したのだろうとくすくすと笑った。]
あぁ、俺の友達とかも…
[ちょっと考えて。]
いやいや、いかんいかん…それだともう完全に女子高生と合コン状態だ。
妻帯者連中は誘いに乗らないことを考えると…イズミとカワノと…
ぁー、絶対ダメ。
狼の群れんなかに子羊放り込んじゃダメ。
[合コン、と口にし思案するズイハラを見てにこにこ]
どちらが子羊かなんてフタあけてみないと
わからないんじゃないですか?
[にこにこにこー]
…なぁんて、変な冗談言ってみたり。
[笑みを消し、]
まぁでも、いつかご一緒できると良いですね。
[小さく頷いた]
[顔を赤くするジュンタを見てくすくすと笑い]
美味しいお店…うーんと駅前にあるオムライスのお店のは美味しいよー。
オムライス食べよう!オムライス!
[ジュンタがその店で良いと言えばその場にいるズイハラとイマリも誘うだろうか。
雪がひらひらと舞う中、オムライスを求めてその店まで寒い寒いと言いながらのんびり歩くだろう。**]
さぁて、そろそろ帰ろうかな。
これから見たい番組があるんですよ。
[携帯を取り出し、ちらと時間を見る]
生放送のお笑い番組なんですけどね。
深夜に1時間だけやるんだって。
ちょっと楽しみ。
[新聞の謳い文句を思い出し、にやぁり]
それじゃ、アタシ此れで。
まったねー!
[その場の面々に手を振り歩き出すだろうか]
[皆と別れ、公園を突っ切って。
自宅までをてくてくと歩く。道は暗く雪がしんしんと降り。
家までの距離を、空を眺めたり。
掌に注ぐ雪を感じたりして、歩き続けた。]
――。
[やがて、家につけば鍵を使い、扉を開け]
ただいまー
[誰も居ない中へ声をかけ、入って行く]
-→自宅-
おう、またなイマリ。
[去っていくイマリに軽く右手をあげて挨拶。]
ズイハラさん?
俺ら今から飯行きますけど、ご一緒にどうっすか?
[一応誘ってみる]
-自宅・居間-
テレビ、テレビ、と
[いそいそとテレビの前へ行き、電源を入れる。
目的のチャンネルへと変えるも]
…あれ?
[番組が始まっている様子は無い。
ただ、コマーシャルが流れているままで。]
…まだ、始まってないのかな?
[椅子に座り、テレビを眺める]
[きっと恐らくは、テレビの前で座っている]
……
[しかしコマーシャルがあける様子は一向に無く。]
…なに、これ
[可笑しい、と思い始めるだろうか]
……
[ぴこぴこと他局に変えるも、放送終了、となっているかコマーシャルが流され続けているか。どちらかしかなかった。]
……え、なんで?
[一人ごち、首を傾げる]
[流石にこの時間に友達に電話をする訳にいかず。
…可笑しい、と思うも]
こういうことも…あるのかな?
[なんとなく、そう結論付けては]
…うーん。
[買ってきた雑誌に目を遣り]
本でも見て、寝ますか
[呟き、本を持ち自室へ]
[未だ彼女は、人が消えてしまった事実を*知らず*]
あぁ、行けるといいな。
[じゃ、と手を振ってイマリを送り出し。]
いやー、今日は帰るさぁ。
疲れてっからさっさと寝たいし。
[んーっと伸びをして、軽くこめかみをさする。
ま、うまくやれよ?とジュンタに小さく囁いてから、ひらりと手を振って立ち去った。]
…痛ぅ……
[不意に立ち止まり、頭を押さえる。]
ディスプレイ、見すぎたかな…。
[指先は目の周りを押さえ、首筋を揉みに移動。]
凝ってんなぁ…ゆっくり風呂はいろ…
[くたびれた背中は家路へと*]
う、うまくやれって………そんなんじゃないっすよ!
[去っていくズイハラさんを見ながら、美夏ちゃんに行こうかと声をかけた。時間も時間だから、人とすれ違わなかったのは気にもしなかったけれど。]
さみぃー。美夏ちゃん大丈夫?
[などと、たまに心配しながら歩いていく]
[店についても、人がいない事など気にせずに席について。メニューも特に見ることなく、厨房に向かって]
オムライス2つよろしくー。
[と声をかける。しばらくは、美夏ちゃんとの会話を楽しんだろうか。しばらくすると、一人の少女がオムライスを運んでやって来た。何故か高校の制服で、俺は不審に思い顔をあげた。]
………アン……ちゃん?
あれ………俺おかしくなったかな。
すんません、知り合いに似てたもんで。
[それにしても似ている。おかしい。ここはおかしい。音がしないんだ。厨房からも、外からも、音がしないんだ。]
[どうしたのかと、美夏ちゃんは聞いたろうか。俺は、なんでもないと答えるだろう。それでも、ここはおかしいと思ったから。オムライスを食べ終わったなら、勘定を少し多目にテーブルに置いて]
すいません、勘定ここに置きます。
美夏ちゃん、出よう。なんか変だ。
[そう言って、彼女を連れ出した。街を見た。車の一台も通らない。コンビニを覗いた。店員すらも見当たらない。おかしい、おかしい、おかしい。]
美夏ちゃん、おかしいよ。人がいないんだ。
一回、家に帰ってみて?親とかいるか、確認してよ。
なんかあったら、すぐメールして。
俺、ぶっ飛んで行くから。
[美夏ちゃんと別れて、俺は走っていた。あり得ないんだ。言い様のない胸騒ぎがするんだ。]
―自宅―
おとん!いるか!?
[ばんっとドアを開けた。しんと静まり返った家の中。どこを探しても、父親の姿はなかった。母親はいない。外に男を作って、俺が中学の頃出ていった。今日はたまたま帰らなかっただけなのか?それとも………]
……………
[俺は、しばらく美夏ちゃんからのメールを待っていた*]
―自宅―
うぇー腹減った。
[昨日こっぴどく怒られたのは、なんだったのか
それくらいのケロッとした顏で目を覚ます]
あっれぇ
かーちゃんいねーのか
[広くない団地の一室だから、
見て回るのにさして時間は要らない。
台所と寝室、風呂と洗面所、それに手洗い。
探す温もりはそこにはなくて]
まだ帰ってねーとか?
[首を捻る。店の客がどんなに管を巻いても、
朝には必ず帰ってきていたのに]
─駅─
[いつもなら通勤ラッシュでごった返すはずの構内は、がらんと静まり返っていて。]
…何だ、これ。
[今日は祝日だったろうか?そんなことは無いはずなのに。
定期を使って自動改札を抜ける。
人気の無いホームは、長く長く広い。]
『―ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ―』
[食卓の上で携帯が振動する音。
携帯は母親の物で、アラームが鳴っていただけだった]
かーちゃん、一回帰ってきたんだ。
[店がらみの電話がかかってくるから、
携帯はいつも肌身離さずだったはず]
かーちゃん…?
[ふと気付く孤独。寂しさ。
ベランダから外に出れば雪が降っていた]
雪だ!!
さみーっ!!
[一瞬ぱあっと嬉しそうに目を輝かせるが
ブルブルと身を震わせて急いで部屋に*引っ込んだ*]
…何を、言って……?
[少女の言葉に首をかしげる。
電車の気配のしない駅。
耳鳴りを伴う、頭痛。
遠く、雑踏のざわめきが聞こえた気がした。]
やっぱり、なんかあるんだ………
親父、生きてんのかなぁ………
美夏ちゃん、大丈夫かなぁ………
[頭に響く、不思議な声。それはきっと、あの人の]
………ズイハラさん………
[気がついたら、眠っていたらしい。着信メールを確認していると、俺はおかしなメールを見つけた。]
11/1 MON
差出人 アン
件名 わかるでしょ?
内容
もういないのよ。
誰も、いないのよ。
[意味がわからなくて、俺は外に出た。やはりそこには誰もいなくて。孤独、その為だけにあるような世界。そこに、俺は言い様のない不安と、小さな安心を感じていた。]
「誰もいないのよ。」
[不意に聞こえた声に振り返れば、そこには昨日の少女………アンが立っていて。美しいはずの黒髪は、何故かとても恐ろしくて。見慣れたはずの制服が、何故かとても異様に見えて。]
アン………お前、なんでここに………
[俺の質問には答えず、彼女はこの世界の事を語る。消えた人々、死者の思い、帰る方法。そして、自分はこの世界に長くいられないという事。一方的に俺にそれを伝えると、黒髪の少女はくるりと背を向けた。]
「サヨナラ、ジュンタ」
[何度も聞いたサヨナラは、何故か心に刺さった。]
待て、アン!もう少し話を!
[彼女は表情すら変えず、消え入るように去っていった。]
[日はまだ高い。俺は学校に行っていた。下駄箱に収まった上靴達に温もりはなく。職員室にも人影はない。いつも、休みだと言うのに青春してる野球部の叫びも。体育館からいつも聞こえるはずのバスケ部の声も。テニスコートで和気藹々としていたテニス部の黄色い声援も。そこにはない。]
なんなんだよ………なんなんだよここは!
[久しぶりに着た制服は、誰に見られるわけでもなく。珍しく履いた上靴は、誰もいない廊下に足音を響かせるだけで。]
「まだ信じられないの?」
[何処からか聞こえたその声に、俺は振り返る。すぐ横にあった理科室の中で、たたずむ一人の女生徒がいた。長い黒髪のその人は、何故かとても異様な雰囲気がした。]
「私のいう事、まだ信じられないの?ジュンタ。」
[雪は、ちらちらと降り積もる。冬に広がるその空は、灰色の雲に覆われていた。葉を失った木々が寒そうに、その枝を擦り会わせる音がした。]
アン………なんでお前はここにいる………?
―駅前のコンビニ―
[無機質に開くドア。
誰もいない店内。
賞味期限の切れたおにぎりが並ぶ。
店内に流れるノイズはその異常さを増長させた。]
……夢でも見てるのかしら。
[起きたその自宅に両親の姿はなかった。
ここに来る道のり、途中に誰とも会うことはなかった。
電車の通過する音も聞いていない。
おそらく電車が動いていないのであろう。]
塾サボれるなら、それでもいいのだけれど。
[誰もいないコンビニを出ようと振り返る。]
「私はいつも、ここにいる。貴方を見てる。」
嘘だ、お前は俺を見ていなかった!
「いいえ、見ていた。ずっと、見ていたよ?」
なら……ならなんで!どうして!
俺はこんな一年を送らなきゃいけなかったんだ?
俺は、俺は………!
[彼女の瞳は、とても悲しそうに見えて。ふいに、言葉を失ってしまうのだけど。それでも、俺は彼女に。久しぶりに会えた彼女に。伝えたくて、伝えられなかった言葉があり。]
アン……俺は………ずっと…………
[その言葉を紡ごうとした時、ふっと美夏の顔が頭をよぎり。]
−回想−
[ジュンタがオムライスを注文すれば、来るまでの間2人で会話を楽しむ。人が他にいないことには気も留めず。
運ばれてきたオムライスを前にスプーンを取ろうとすれば、ジュンタが運んで来た女の子を見て声をかけるのに気づく。]
知り合い…?
[似ていたとだけ答える彼にこてり首を傾げる。何か居心地が悪そうにしている彼にオムライスをお腹に収めながら]
どうしたの?
何かすっごい居心地悪そうな顔してる。
[食べ終わればジュンタが慌てたようにテーブルにお金を置き、何か変だと店を出ようとするジュンタの後を慌てて追う。]
あんまりオムライス美味しくなかった?
[ジュンタがおかしいと言っている意味が分からずとんちんかんなことを尋ねる。]
人がいない…?
あ…言われてみれば、誰もいないね。
親とかいるかって…。
[確かに回りを見渡せば先程と同じように雪はひらりと舞い続けているのに、人の気配は感じられない。
気にし始めれば、音のない世界に耳がキーンと痛くなる。ジュンタの言葉の意味がわかればこくりと頷いて]
うん。家に帰ってメールする。
[彼にそう告げて自宅へと慌てて駆けて行った。]
−回想:終−
[誰もいないと思っていたはずの場に。
黒髪の少女が立っていた。
自動ドアの無機質の音だけが響いている。
その背後には変わらず落ちる雪。]
……何か用?
[少女がとつとつと語る話。
同じ制服のところを見ると同じ学校の生徒だろう。
けれど、覚えているはずなんてなく。]
……馬鹿馬鹿しい。
[言うだけ言って、姿を町へと消していく。
その様子にただ一言そう呟いた。]
「なぁに?ジュンタ」
[不思議そうに俺を見る女生徒に、小さく舌打ちをして。信じられないのは、自分自身だ。知り合ってたった2日。そんな女の顔が、こんな時にまで頭をよぎるなんて。]
なんでも………ない。
[そう、俺はもう失ったんだ。今さら何が取り戻せる?]
「そう………サヨナラ、ジュンタ。」
[泣きたくなる。サヨナラの言葉を聞くたびに、俺の心は縛られていく。凍りついていくんだ。自分自身の足を、一度強く殴ってみて。痛みから我に帰り顔を上げれば、もうそこに彼女の姿はなかったと思う。]
―学校・理科室―
[誰もいない学校で、俺は女を探していた。一人は先ほどいなくなったアン。もう一人は………]
ち、昼過ぎじゃ、もういねぇかなぁ。
[一休み、と理科室の机に寝転んだ。]
[けれど町に人がいないことは事実であり。
このコンビニや町自体がおかしいことは否定できない。]
でも…おもしろいことなら大歓迎ね…。
死者だかなんだか知らないけれど。
これ、掲示板に書いたら面白いかも。
[鞄をガサゴソと漁り、携帯電話を取り出す。
携帯についている、水色と透明のビー玉のストラップ。
それが音を立てて揺れる。
いつもなら煩いぐらいに鳴る携帯電話が、今日はその様子を見せることもない。
それは、構わないことなのだけれど。
少し寂しいような心地もして。]
あれ……なんだろ…電波悪いのかな…。
おかしい…ちゃんと3本立ってるのに。
[いつもの掲示板にアクセスが上手くできずいる。]
もう暫く…時間を置いてみようかしら。
[店内に人がいないガランとした様子を携帯のカメラに収める。
それから普段は入れない、STAFFONLYとかかれた所も、人がいないかを確認するため入る。
案の定、誰もいない。]
………あの人の言う通り。
だけで、どうにも嘘くさいなぁ。
やっぱ夢でも見てるのかしら。
[そのまままた、店内に戻り。
適当にジュースとお菓子を袋に入れて、店を出ようとする。]
[入り口の辺り、はたと立ち止まる。
しばらく無言でその場で俯く。
何か考えるようにして、視線は床から自分の持っている袋へと。
そのまま袋をしばらく凝視する。
何かを決めたかのようもう1度店内へ。
レジのところで財布を取り出す。
自分の財布から1000円札を取り出し。
それからノートにを破いて、メモを書く。]
『商品もらいました。お代です。』
[1000円札とメモが飛ばないよう、レジにあったチョコの箱を重しにした。
ついでにそのチョコを3つほど頂戴する。]
…1000円ではないだろうけど。
ま、いいよね、誰もいないのが悪いし。
[今度こそ店を後にする。]
[昨晩家に戻り、ジュンタへ両親がいないという内容のメールを送った後に眠りについた。
目が覚め大きく伸びをして外を見れば降り続いている雪。そのまま階下へ降りていっても両親の姿は見えない。]
なんでいないの…。
[はっと隣の家へと走り、インターフォンを鳴らす。反応はない。ジュンタの言葉を思い出す。]
ほんとに誰もいないのかな。人も歩いてないし。変なの。
[家に戻る途中、目の前に黒髪の女の子が立っているのを見て少しほっとする。]
あ…昨日お店で…。
[唐突に目の前にいる少女がなぜ誰もいないのかについて話始める。口から紡がれる内容はとても信じられる物ではなくて]
な…に、言ってるの?そんな話嘘でしょ?
[語るだけ語ってどこかへ消えていく彼女の背中を呆然と見送り、はたと思いだし自宅へと戻る。
携帯を取り出し仲の良い友達数人とジュンタへとメールを送る。]
宛先 ジュンタ
題名 誰もいない…。
内容
朝になってもパパもママもいない。お隣のおばさんもいないみたい。
それにさっき黒い髪の女の子が誰もいない、消えたって…。
どうなっちゃってるんだろ。
[そうメールを送って返信を待つ間に出かける準備をし始めるだろう。]
[誰もいない理科室。冬の訪れは、全てを凍らせてしまうのだろうか。凍りついたように静かな、平日の学園。外に吹く木枯らしが、がんがんと窓を叩いている。鳥の声すらも聞こえなくて、望まずして訪れた静寂。まさにそうだ、世界は凍っているのだ。]
氷付けの世界………ね。
俺にはお似合いの世界なのかもしれねぇな。
[少し古い歌の着信音が鳴っている。美夏ちゃんからのメールが届いたようだ。内容を確認して、クラス中の人間と美夏ちゃんにメールを一斉送信した。]
11/1 SUN
宛先 美夏ちゃん 和志 イマリ 武志………
件名 緊急連絡
内容
誰がいる?いる奴は連絡してくれ。
会いに行きたい。
[制服を着るか着ないか迷って時間が昼過ぎなのに気付いて私服を着る。着信したメールを確認すればジュンタからのみで。]
チカコ達も消えちゃった…?
[ぶるっと身震いをして、まずはジュンタにメールを返す。]
宛先 ジュンタ
件名 Re:緊急連絡
内容
ミナツはいるよ。
他の友達にも連絡してみたけど誰からも返信がないの。
どうしちゃったんだろ。あの女の子の話って本当なのかな?
[ぽふっとベッドへ携帯を投げ、窓の外を誰か通ったりしないかとじーっと見つめる。]
[届かない気持ちがある。忘れられない想いがある。新しい心がある。返信があるまで、俺は何も考えず寝転んだまま。]
降り積もる白い雪は心模様………そっと………
滔々と白い雪は………無情なる人の世を………
全て許すように降り続いて行く………
[着信音を口ずさんでいた。]
宛先 美夏ちゃん
件名 多分本当だと思う
内容
俺今学校にいるんだけど、誰もいねぇんだわ。
イマリとズイハラさんは、昨日一緒だったよな?
だからあの二人はいると思うんだー。
他、誰かいないのかな?四人だけの世界?(笑)
[ぱちり、携帯を閉じれば思い出される昨日の事。]
アンが言うには、死者がいるって………
多分、ズイハラさんだよな?
………止まった時………でも、俺には関係ない。
どぉせ俺は氷なんだ。溶けない氷なんだから。
[そう思っているのに。暖かいなにかが、俺を溶かしていく。]
宛先 ジュンタ
件名 そっか…。
内容
うん。きっとその二人はいるよね?
4人だけって、他にも誰かいるのかな?
ジュンタ、学校にいるんだ。
じゃあ、私もそっち行く。寝坊して学校行きそびれちゃった。(笑)
宛先 美夏ちゃん
件名 寝坊助さんへ(笑)
内容
四人だけって事もないだろうけどね。
誰がいるかの見当はつかねぇ。
おぉ、学校にいるよ?
美夏ちゃんいるかなーと思って来てみた(笑)
待ってるから、おいでよー。一人の学校はこぇーよー
[学校へ向かう途中、自分と同じ制服を着た先程の黒髪の少女とは違う少女を見かけた。声をかけようかと悩んで、話かけたかもしれない。
話しかけることに成功していれば、学校に他にも人がいるからと伝え、マシロがいやがらなければ一緒に学校へと向かうだろう。]
宛先 ジュンタ
件名 どこにいる?
内容
学校についたよー。
ジュンタどこにいるの?
[メールを確認し、理科室へと。からりと扉を開ければ長い机の上で寝転がっているジュンタの姿。]
ほんとに誰もいないね。
皆どうしちゃったんだろ…。
[寝転がっている彼のつむじを前日と同じように人差し指でぐりっと押しながら声をかけた。]
[頭をぐいっと押されたら、ぴょこっと起き上がり]
さっきまではいたぜ。アンが。
[と、美夏ちゃんの方を見た。マシロがいたなら]
あれ?マシロもいたんだ?
[などと声をかけるだろう]
[アンという名前にこてり首を傾げ、マシロも一緒に来ていたなら]
うん。途中で会ったの。
ところでそのアンちゃんって子は?
せっかく学校に来たのに誰もいないなんて、がっかりだね。ジュンタ。
[知った顔に会って、少しほっとしたのかくすりと笑い冗談を言う。]
あぁ、残念だよ本当に。
これじゃ、単位もらえそうにないしな?
[肩をすくめてみて、アンの事を聞かれたら]
………消えた。
[と、ただそれだけ。]
[コンビニの袋をぶら下げて歩いていると、声をかけられた。
同じ制服を着ているところから同じ学校の生徒なんだろうということは推測する。]
へー…学校には人が…ねぇ…。
[つまらなさそうに溜息をつきながら。
学校に向かうその後にとりあえず付いていく。
前を歩く少女は携帯で連絡を取り合っているらしい。
そのまま理科室へと向かう。]
…………あんた誰よ。
[こちらの名前を知っているらしい。
同じ学年であろうが、学校に来ていないなら興味がないので覚えていない。]
あんた誰よって言われてもなぁ。
国本隼太、高3。
前回の期末テストの順位、お隣さんだったじゃん。
[まぁ、覚えてなくても構わないけれど。]
[会話の話題は黒髪の少女のことらしい。
"アン"と呼ばれているが。
己の記憶の中にそんなものはなかった。]
………………。
["セーラー服の少女が町を徘徊!"
なんて、都市伝説は聞いたことがない。
携帯の時計を見ると11月1日であることに初めて気が付いた。]
雪……関係あるんでしょうね…。
[あまりにも早すぎる雪。
窓の外にぼんやり眺めながら呟く。]
消えたって…どこかに行っちゃったってこと?
それとも雪みたく消えちゃった?
[こてり首を傾げてジュンタに尋ね]
ジュンタとマシロさん、同じ学年だもんね。
知ってるんだ。
そだ。私、1年の美夏です。よろしくです。
[にこりと笑い名前を告げた。]
[自分の名前を名乗る男。
窓の外を眺めるよりも前に眉をひそめる。]
…………あっそ。
[そういえばそんな名前もあったかもしれない。
もっとも、顔を見たのは今日が初めてな気がした。]
[一緒にいた少女も名前を名乗る。
その様子にどうするか考えてから。]
3年の井上稀白。
[よろしく、などは特に言わない。
こんなことが終われば、恐らく関わることもないだろう。
名乗った後に溜息を付く。
2人はもう既に知り合いらしく、居心地の悪さから携帯へと手を伸ばす。
日付に気付けば、窓の外に目をやり。
ぽつり、呟いた。]
ちょっと目離したら、いなくなってた。
聞きたいこととか、あったのに。
[彼女から紡がれたサヨナラが、未だに耳から離れなくて]
ちぇ、優等生は人との話し方を知らないと見える。
人の顔と名前くらい、一目で覚えろよな。
[はぁ、とマシロにはため息をついて。]
ふーん。じゃあ、まだ学校の中にいるのかな?
アンって、昨日お店で会った人と良く似た人?そういえばその人が皆消えちゃったって言ってた。
[聞きたい事の内容には触れずに、ジュンタがマシロを優等生というのを聞いて]
あ。マシロさんっていつも学年1位のあのマシロさんか。
[携帯に視線を落とす彼女をみてぽつり呟く。]
そうそう、昨日の店の奴に似てた女の子。
学校には………いるかな?今日二回、会ったけど。
学校と、家の前で。
[ふう、とため息をついて。]
……ま、なんにしろ。
他に人を探すほうが先決かしら。
別に誰もいないなら、それでもいいし。
[ノートを破いて、アドレスを書く。]
それ、私のサブアド。
何かあったらこれに連絡してくれて構わない。
捨てアドだから悪用しても意味ないし。
[机の上にとりあえず置いておく。]
人の顔も名前も覚える必要がないなら覚えないわ。
そのスペースで英文叩き込むほうが有意義だわ。
[クスクスと細く笑う。]
なんにしろ学校にいても仕方ないから。
一緒に行動する必要性も感じないし。
[そのまま鞄をもって、理科室を出ようとする。
何か文句のような。
というよりかは、呆れの言葉が聞こえたので振り返る。]
バカじゃないの?
そんなこと言ってる暇あるなら、その"アン"って人探せば?
[冷たい雪の降る校庭に出て。
空を見上げるも*灰色。*]
はいはい、サブアドねー。
優等生は携帯依存症なわけ?
[ぶつぶつ言いながら、携帯にアドレスを打ち込む。]
あぁん?人を覚える必要がないって?
お前、悲しい奴だな。
人間、人脈が一番の財産だぜ?
お前、いい女なのに勿体ない。
そんなんだからモテないんだ。
[ばっかじゃないの?と聞こえたから、きっと肩をすくめたに違いない。なんにせよ、マシロと別れた。]
−回想−
[待てども母親は帰らず、テレビ番組も始まらない。
襲う不安に耐えかねて外に飛び出した。
住宅街でも人に会わず、店にも人の気配はない。
母親の勤め先のある繁華街もただ雪が降るばかり]
オレ、異次元にでも来ちまったのか?
[ゲームでは主人公が異次元に飛ばされる話はあるが、
まさか自分に起こるなんて考えられなかった]
[再び不安に襲われ、秘密基地へ向かって駆け出す。
きっとそこなら、仲間がいる筈だから]
ケータ!ユースケ!!…アキヒト!!!!
[入り口のトタン板を勢いよく跳ね上げて駆け込む。
いつもは誰かがそこにいた。 …けれど]
いねー…
[だれも、いなかった。基地の中はいつもどおりなのに。
人だけが、仲間だけがそこにいなかった]
なんだ、誰も来てねーんだ。
[椅子に座り込む。
サッカーボールを抱えてしばらく呆けたようにそのまま。
しかし、何かの気配がして外へ出た。
そこにいたのは髪の長い、学生服を着た女の人]
え? …ねーちゃん、何言ってんだよ。
人が消えるわけねーじゃん!
かーちゃんも、みんなも、消えるわけねーじゃん!!
[アンと名乗った学生から聞いた言葉は信じることができず、
バッカじゃないのかと本気で思って言い返す。
しかし、他に説明できずに返す言葉はそれから続かず]
きえるわけねーじゃん。いなくなるわけ、ねーじゃん!
[同じ言葉を繰り返して、アンら逃げるように走り出した。
道の向こうに、何かが見えたような気がして立ち止まる]
きの、せいか。オレどーかしてんだ、きっと。
[ため息をついて再び歩き出す。
とぼとぼと、網に入れたサッカーボールを蹴りながら。
当てもなく…それでも誰かに会えるといいと思いながら]
…はあ。
[コンビニの前。明かりのあたるガードレールに座って。
どのくらい歩いただろう。疲れきっていた]
−回想・終−
[一緒にいる必要もないというマシロを見送り、メモに書かれたアドレスを登録して彼女へ自分とわかるようにメールを送る。]
アンちゃん、どうしてこうなったのか色々知ってそうだったよね。
あの人もジュンタと同級生?
マシロさんも会ったって言ってたし、皆に事情を話して回ってるのかな。でも、なんであの人知ってるんだろ。
[これからどうすればいいのかとはぁっとため息をついて、ジュンタが座っている机に自分も腰をおろした。]
[優等生が去った後、俺は美夏ちゃんと顔を見合わせた。]
これから、どうしよっか?
つか、美夏ちゃん。家に親とかいなかったんだろ?
飯とかどうすんの?
[外食しようにも、きっとレストランにも誰もいないんだ。]
俺料理なんてできねぇからさぁ、ピンチだぜー。
うん。家に誰もいなかった。
あの人が言っていたみたいに雪が溶けるみたいに消えちゃった…。
あー。ご飯…。
簡単な物なら私作れるよ?あんまり手の込んだ物とかは無理だけど。
[料理ができないというジュンタにくすりと笑う。こんな時でもお腹はすくものだよな。と。]
やっぱりかぁ………
誰もいない世界とはいえ、一人は不安だよなぁ。
いつもは誰かいる家に、一人きりって寂しくないか?
[美夏ちゃんを、少し心配してみて]
お、飯作れるんだ?食わせて食わせてー?
[藁にもすがる思い]
友達にもメールしてみたけど誰からも返ってこないし。ジュンタからメールが来て安心したよ。
[にこり微笑み]
味の保障はできないけどそれでもいいならいいよ?
[いたずらっぽく微笑みこくりと頷く。]
外には他にも誰かいるのかな?学校の中には誰もいなさそうだよね…?
俺だって、美夏ちゃんのおかげで助かったよ。
さっきアンに会った時なんか………
いや、これは関係ないの話かな。
[軽くふるふると首を振って]
味の保証?んなもんいらねーよー。
女の子の手料理は、味とか二の次。
作ってくれたって事実が大切なのさ?
[あはは、と笑って]
そうだな………食材調達がてら、外に行ってみる?
それとも、二人きりの学校をもちっと満喫してみる?
−コンビニ−
腹、減った…
[家で待っている間にありものを口にしてはいたが、
さすがに外を歩き回っていればおなかも減って。
物欲しげな顔で誰もいないコンビニの中を見る]
だれもいねーし…いいよな、ちょっとくらい
[忍び込むような姿勢で入り口の自動ドアをくぐり、
おにぎりなどを見るが期限切れのようで。
ううむ、と唸ってお菓子コーナーへ回り込んだ]
あ、ゴーライジャーチップス!
[目を輝かせてそれを2つばかり手にして。
ついでにスポーツドリンクもひとつ失敬して店を出ようと。
[雪の降る外に戻るのは嫌でカウンターに座ってスナックを開けた]
[関係ない話とふるふると首を振る彼を不思議そうに見て]
あはは。お腹壊さないといいねー。
二人きりの学校もいいけど、ジュンタお腹空いたんでしょ?
食材調達でもしにいこうか?誰かに会えるかもしれないし。
[そう言って、机からとんっと降りた。]
そだな、学校デートはまたの機会にしますか。
[ひょいっと机から飛び降りて。]
さぁ、仲間探しの冒険へ出発しますか?お姫様?
[くすり笑って、手を差し出した]
[おどけたように言葉を紡ぐ彼にくすりと笑い]
そうね。そうしましょうか。
[少しすまして答えて、差し出された手には少し考えてから自分の手を重ね彼と一緒に学校を後にするだろう。]
―外―
[降り積もる雪は世界を白銀に変えて。吐く息は白く、風は冷たく。白い雪のキャンバスには、二人の足跡のみが描かれていく。それでも繋いだ手は暖かかったから、俺は微笑んでいられたんだと思うんだ。]
さみぃー……息、白いぜー?
−外−
[彼に手をひかれ白い世界へと踏み出す。]
寒い…。ほんと息白いよねー。
こんな事が起こらなかったら、雪合戦とかかまくら作って遊べるのに。
[足跡がないのを見ればほんとに誰もいないんだと再認識して、ぎゅっと繋いでいる手に力がこもる。]
ジュンタは消えたりしないよね?
雪合戦かぁー。やる?二人しかいねーけど?
[ひょいっと積もった雪を拾って、片手で玉にする。握られた手に力がこもるのを感じたら、優しく握り返すんだ。]
消えないよ、俺は。消えたりしないさ。
まだまだ、美夏ちゃんと一緒にいたいからな?
[にこり、微笑んで]
[優しく握り返された手にほっとして、その後に続いた言葉には少し顔を赤くして]
うん。
消えたりしないよね。私も消えない。
[そう言うと彼が手に持っている雪玉をとってぽーんっと遠くに投げる。]
それにしてもほんっとに誰もいないね。
コンビニとかスーパーとかも商品持ち出し放題?
[くすりと笑い、まわりに誰かいないかときょろきょろあたりを見回したりする。]
そうそう、消えない消えない。
世界は二人の為にある……ってのは言い過ぎだけど。
少なくとも、数人の為だけの世界だってのは確かさ。
[美夏ちゃんが投げた雪玉を見つめて]
おー、万引きし放題だな?
アクセサリーとか服とかただじゃん?
[おどけてみせる]
また怪人だー
[チップスについているキャラクターカードを開けて
がっかりした様子で唸ったとき、見たことのある人が]
あ…っと、えと。
アルバイトなんて、そんなんじゃねーよ
[きまずそうに言って。
それでも久しぶりに見た動く人にほっとしたのか
カウンターから降りて近寄って]
おっちゃん、消えてなかったんだな。
[じいい、と見上げてそれだけぽつりと]
あはは。2人の世界か。
数人ってどれくらいいるんだろ。イマリ先輩はいるのかな?
違う世界に来ちゃったのかな?私達。
あー。そうだよねー。
私、可愛いネックレス欲しいなぁ。
[冗談っぽくそう言いながら、彼の手のぬくもりを感じながらやはり誰もいない街の中を歩いていく。]
そーかそーか。
[デンゴをくしゃくしゃなでて。]
お前も無事、と。
どうしたんだろな…この街。
避難とかなら、お知らせあるだろうに。
…他は…だれか居た?
イマリはいるだろうけど……
マシロとズイハラさんとアン。
いまんとこ、俺達以外にいたのはこれだけ?
二人きりにちけぇよなぁ。こんな広い街にこれだけじゃ。
違う世界………か。三途の川だったりして?
[怖そうに、お化けの真似をしてみて]
可愛いネックレスかぁー。
今度買いに行こうか?
クリスマスにプレゼントしてやるよー?
そうだよね。ほとんど2人に近いよね。
三途の川って…。
消えたのは他の皆だと思ってたけど、実は私達の方が消えてたってオチ?
[お化けのマネをする彼を見てくすくすと笑う。]
あー。来月クリスマスかー。
このまま誰もいないままクリスマスなのかなー?
買ってくれるの?それじゃあ、勝ってもらわなくちゃねー。
[冗談ぽくそんな話をしながら地面に目を落とせば、誰かの足跡。]
あれ?これって私達の足跡じゃないよね?誰かがここ歩いた?
[くしゃくしゃと撫でられればこそばゆそうにしながら
どこかうれしそうに笑って]
うん。オレはへーき。
でも…おれ今日は、変な人しかみてねーや。
アンとか言ってたけど。
みんないなくなるって、言ってた。
アイツが言ってたこと、ほんとなのかな。
だから、みんないなくなっちまったのかな。
[何か街に起きていたのなら、
母親が自分を放っておくわけはない筈。
だから可能性があるとすれば…
消えてしまった、としか思えなかった]
そそ、行方不明なのは俺達!
[あはは、と笑って]
さぁ、ちゃんとクリスマス来るのかな?
でも、来たら買ってやるよ。
博打で稼いだ金で悪いけどな?
[おどけてみせるが、足跡を見れば]
……行ってみる?
えー。クリスマスがこないなんてつまんない。
[口を尖らせてそう言うも、行ってみるかと問われれば]
うん。もし、その人が一人だったらきっと心細いよね?
それにこの先にコンビニあったはずだし。
[こくりと頷き、続く足跡をとんとんと追ってみることにした。]
―藍住中央公園―
[やはり人がいない。
雪がただしんしんと落ちていく。
この掌を広げると雪が溶けていった。]
寒い…。
というか本当に人がいない。
[携帯を取り出すとメールの受信があったようだ。
それの送り主を確認すると携帯をしまう。]
お腹すいた…。
[袋の中からお菓子を取り出し。
ベンチに座って食べることにした。]
あはは、来なかったら来なかったでいいじゃん。
ずっと遊べそうだぜ、この世界で。
………冗談はいいとして、コンビニに行くかぁ。
誰もいなくても、食材調達はできるだろうし。
[そう言って、歩き出してみる]
[携帯の時計を見れば。
時間の表示がおかしくなっていた。]
何これ…。
マイナス…ってなんで…?
[先ほどまで降っていた雪は少しずつ空へ還っていく。]
は……?
なんで……。
[空に昇っていく雪をただ見ることしかできず。]
うん。コンビニいけば何かはあるよねー。
ジュンタは何食べたい?
[そんなことを話していると、ふわりと天へと戻っていく雪。]
え?なんで雪が…。
11月1日がずっと繰り返しってこの事?
時間が戻ってるってことなのかな…?
[不安げに隣で同じ光景を見ている彼の顔を見上げる。]
[こっそりと3袋目のゴーライジャーカードを見て]
…ち。
[ううと唸った。
出てきたのはまた悪の軍団の雑魚カード。
もはや興味は菓子ではなく*カードに*]
あ、ああ………話しておいた方がいいかな………?
アンに会ったろう?
あいつ、もうすぐいなくなるって言ってた。
サヨナラだって言ってた。
俺が、サヨナラって言葉嫌いなの知ってて。
サヨナラって、言いやがったんだ。
[くすり、笑ってみせたつもりなんだけど。悲しそうな顔をしていたのかも知れなくて。]
もうすぐいなくなるって…他の人がいなくなったようにいなくなっちゃうってことなのかな?
もしかして、アンちゃんってジュンタが好きだった彼女だったりして。
…………。
ごめん。冗談でもこんな事言っちゃいけないよね。
[今までどうしても気になって聞けなかった言葉を口から出してしまったことに後悔する。
普通ならありえない事もこの世界ならあり得る気がして。
死者の思いを天に返す。彼女が確かにそう言っていた気がしたから。
彼女の事を口にする彼の顔がとても悲しそうに見えた。]
時間が戻って…。
11月1日…を、何回も繰り返すの…?
そんなこと喜ぶのはポッキーぐらいのもんだわ。
[厳密には違うが。
袋からポッキーを取り出して食べている。]
さて…どうしたもんかしら…。
このまま、ずっとこのままっていうのも。
別に嫌ではないんだけれど。
[聞こえる音は特になく、ただ静かなだけ。
携帯電話を手にとると、ストラップのビー玉が小さく*音を立てた。*]
えへへ………案外、そうかもしれねぇよ?
[冗談のように、誤魔化してみたけれど。]
みんな……忘れていくんだよな………
死んだ人の名前も、顔も、声も。
俺は覚えてる。ずっと覚えてる。
引きずって生きていくって意味じゃない。
出会えて良かったよって、ありがとって。
ずっとずっと、覚えてるんだ。
[わざとらしく、空を見上げて。今顔を見られるのは、はずかしいから。見られるかもしれないけれど。]
美夏ちゃんは……代わりとかじゃねぇから。
それだけは、本当だから。
ずっとずっと覚えてるか…。
幸せだよね。そう思ってくれる人がいるって。
[彼と同じように雪がひらりと戻っていく天を仰げば、聞こえてくる言葉。]
代わり…。
代わりなんかにしたら許さないから。
[明るい声でそう言って、ぎゅっと手を握る。]
さてっと。コンビニに行こうか?
もう何が起きても驚かないよ。きっとね!
[彼の手を引いてコンビニへの道を歩いていった。**]
あはは、許されないのは嫌だからな。
代わりになんてできませーん。
[手をひかれて、コンビニまでやって来て。その間に、涙はおさまったと思うから。二人で中に入ったなら]
あれ、ズイハラさん………と、子供………
まさか、隠し子!?
[物陰に二人で隠れて、しばらく観察していたが]
……美夏ちゃん、行こうか?
親子水入らずを邪魔しちゃ悪いし……
[誤解したままこそこそと、その場を立ち去った。]
あー、腹減ったなぁ。美夏ちゃん、飯ー!
[彼女はどんな表情をしていただろうか。それでも、繋いだ手は離さなかったと思うから。たまに無言になりながらも、俺か美夏ちゃんの家に移動したと思う。]
―家―
[簡単な料理を作ってくれるらしい美夏ちゃんはキッチンへ。俺は出来上がるまでリビングで待機していた。テレビをつけても何もやっていないし、ラジオをつけても雑音が流れるだけ。だから、あったCDを適当にかけてみた。]
お、この曲なつかしー。
こーとーしーさーいしょのーゆーきーのーはーなをー…
[流れてくる曲をそのまま口ずさみ、昇る雪を眺める。思い出されるのは、去年の事。ない勇気を振り絞って誘った、対して見たくもない映画。待ち合わせの時間を過ぎても、彼女は来なかった。昼過ぎに待ち合わせる約束をして、気がついた時には既に夜。駅前のベンチで座っていたら、不意に彼女の声が聞こえた気がしたんだ。その時も確か、雪が降っていた。携帯の着メロがメールの到来を知らせて、俺はそれを見た。あいつからの、最後のメールは一言。『サヨナラ』次の日、事故の事を聞いた。彼女が病院で息を引き取ったのは、メールの着信時間だった。]
-自宅-
[女は一人、携帯の画面を見つめ押し黙っていた]
可笑しい…可笑しいよ…
[誰も、人が居なかった。
電話にでるものも、未だ居ない。
夢から覚めようと、もがくように何通も送ったメール。
それのうち、こちらも未だ一通たりとも返信は無い。]
――、なんなの、一体。
[自分以外、人は誰も居なくなってしまったのだろうか。]
…夢、じゃない、のかな
[ぽつり呟いて、膝を見遣る。
薄っすら、血が滲んで居た。体育座りで膝を抱え。
記憶の中の、誰も居ない街を掘り起こす。]
-回想・自宅-
[ふわぁと一つ、大きなアクビ。
時刻はもう、お昼になろうかという所だった。
自室の窓から見える景色は相変わらずにしんしんと。
降り続く白が世界をゆっくりと染めていた。]
…さむぅ
[景色に思わず、にやにやしながら身を竦めた。
寒いけれど、何故だか楽しく嬉しくなってしまう。
そんな気持ちになるのは何故だろうか。]
あー、寝すぎたなぁ
[携帯を開き、時間を見れば一人ごちた。]
[布団から出れば寝巻きのまま居間へ。
クセの様にテレビの電源を入れてみる、が]
……え?
[画面中に広がる砂嵐。
ぽちぽちとどの局に変えても、全て同じ。]
…なに、これ
[テレビが壊れてしまったのか、と近づいて。
思わず、ばんばんと上部を掌で軽く叩く。]
…んもー、壊れちゃったのかなあ
[あー、と苦い顔]
───────────
To:パパン
sub:おつかれさまー
───────────
今日は何時頃、帰る?
雪が降ってるから、
足元気をつけてね。
あと、テレビが可笑しい。
ずうっとじりじりしてる。
壊れちゃったかな?
帰ってきたらちょっと
見て欲しいんだけど。
───────────
[ぽちぽちと作成し、送信する]
[送信すれば、いそいそと自室へ。
寝巻きから適当に着替えを済ませ。
洗面所へ行けば、歯磨き、洗顔を済ませた。]
ふぅ
[タオルで顔を拭き、再度居間へ。
砂嵐しか映さないテレビを消し、携帯を見る。
…返信は、未だ無い。]
……。
[なんとなく、気持ちが悪くなり電話帳を開き。
…トモコ、と表記された相手へ電話をかけた。]
……。
[幾度もなり続けるコール。出る気配の無い、音。]
……忙しいのかな
[ぽつり呟いて、電話を切った。
次いで、電話帳に連ねられた名前へかけてみる。
イッチー、アカネ、ユカリ、ナオト。
ノンノン、ユッチ、エノちん、おっくん。]
……誰も、出ない。
[ア行はほとんどが、全滅した。]
…日曜日、なのに
[どうしたのだろう、と携帯を見つめ。
味わった事の無い孤独に息苦しさを感じ始める。]
……うーん。
[ア行の人々に、一斉メールでもしてみようかと。]
───────────
To:A-O Groups
sub:雪だ、雪だよ!
───────────
実はイマリ、皆にお知らせ。
悲しい悲しいお知らせです。
もうすぐ帰らなきゃいけない。
イマリ実は…
雪の精だったの。
雪が溶ける頃には皆とも
お別れになっちゃうけど。
…私の事、忘れないでね。
───────────
[バカな内容を作り送信してみる。]
[馬鹿な内容を打ち込んでいるというのに。
口許に笑みが浮かぶ事は、無かった。
それよりも心に浮かぶ焦燥感。
…誰かを感じたい。不安を、拭いたくなった。]
――。
[メールを送信すれば、居間のテーブルの前。
座り込み、膝を抱え、ぼんやりと携帯を見つめる。
時刻は其の頃、昼も半分を過ぎた頃合。]
-回想・了-
[ぶんぶん首を振って、嫌な思い出を払拭する。とんとん、キッチンからは小気味いい音がする。そうだ、俺は今それどころではないのだ。何もなくても緊張するシチュエーションに俺は今いるのだ。現実逃避してちゃダメだ!]
やべぇ、誰もいないってやべぇ………
無駄にあがる………
[時刻は11月1日。『-05:24』と表示されている。]
…ぐすっ
[瞳を拭い、電話帳を開き]
……
[電話帳からジュンタを探せば、コールする]
――。
[そのうちに、向こうでも着信音が鳴るだろうか。]
起きてる、かな
[この可笑しな世界。
何時間も前に会った『アン』を思い出し。
複雑な表情で、電話を鳴らし続けるか。]
[着メロが鳴る。ウィンターホールだ。]
まぁっしろなーとぉきぃーにぃー……ってね。
イマリの奴、寝てたのか?
[ぴこっと電話に出てみる。]
よーっす。お前、寝てたのか?
[幾度目かのコールで能天気な声が返る]
――、馬鹿。
[思わず、反射的に小さく罵った。
すん、と鼻を啜り]
…ほとんど寝てない
[先程、を思い出し身を震わせた]
変な女が家に入って来て、消えて…
怖くてずうっとおきてた。
[まぁ、そんな理由から。
膝を抱え自室に閉じ篭って居るのだが。]
こらこら、馬鹿はねぇべ?
本当は寂しかったんじゃねぇのぉー?
[けらけら、明るく笑ってみて]
変な女って………アンか?長い黒髪の?
そうか、あいつを覚えてるのは俺だけか。
[少し寂しかったけれど、すぐにもちなおした。]
別に、寂しく無い。
あんまり馬鹿いってると切るよ?
[むすっと怒った声で告げる。
実際切られたら、こっそり泣くだろうが。]
うん……アンっていってたけど。
[小さく頷いて]
ねぇ。
[覚えてるのは俺だけか、と言う声に]
本当にあれ、あんたの知ってる…
というか、アタシたちの知ってた、アンちゃん?
[……そういう事だった。]
……雰囲気があんまりに違いすぎてて…
良く似た、違う人なんじゃないの?
[少なくとも自分の前に現れた女はそういう人物で。]
ん、多分間違いない。俺の名前、知ってたし。
[はぁ、と深いため息をついて]
今日、学校にもいた。少し話したけど。
やっぱりあいつはアンだよ。
………お化けなんて、信じたくもねーけど。
……。
[電話越しの声に、耳を澄ませ。
知っている、というだけで間違いないと云う彼に。
喉元まで無粋な言葉がでかかるものの]
…そう。
[代わりに一言、ぽつりと相槌。
もしもこれが現実であるのなら、一つの希望。
居なくなったはずの誰かが、目の前に。
形は歪でも、戻ってきてくれているのだから。
そしてそれに言葉で触れれば、溶けて消えそうで。]
…なんか訳わかんない事いってたけど。
……聞いた?
[焦点を少しズラした。]
あぁ、聞いた。死者の願いがどーのだろ?
死者って誰だよ。アンじゃねぇ誰かか?
どうやって探すんだよ。わけわかんねぇっての。
[気を使わせているのがわかっているから、余計に悲しい。]
お前、今日誰かにあったか?
俺は今日、四人見たぜ。
マシロとズイハラさんと美夏ちゃん。
あと子供が一人。
[軽い言葉を紡いでみるものの、やはり少し寂しいから]
なぁ、もしお前の………いや、なんでもねぇ。
[言いたい言葉が言えない自分。成長してない。]
[ジュンタの声に小さな相槌]
そう…。
聞いてる内容はだいたい同じみたいだね。
[わけがわからない、には心の底から同意したかった。
アンの言葉のほとんどは、可笑しすぎて。
其の上、様相を思い出せば誰が信じるというのか。]
話は話として聞いたけど…
どうしていいかわかんない話だよね
[思わず苦笑い]
今日?
[ぴくり眉を顰め]
……誰とも会ってない。
アンちゃん……だけ。
[思い出させるなよ、という不機嫌色が篭るか]
でも、4人居るんだ…
[しかし、4人という事に少し安堵した]
…なぁに?
[彼が何かを言いかければ、問質す様に。]
あぁ、どうしようもない。
………でも、俺はあいつ信じてっけどな。
[それは、俺の未練。失った日々からでしかないが。]
あぁ、四人いる。俺等合わせて六人だな。
[ここにいる人間の話は、それだけにしておくつもりで。]
……もし、だ。
お前の大好きだった男がいきなりいなくなって。
やっと忘れかけた頃に、そいつが帰って来たら。
お前、どうする?
[信じてる、と言われればそれ以上は何も言えず。]
うん。
[ただ、頷きのみ返すに留まった。]
今の所、6人だね。
…まだ居るかもしれないから探した方がいいかも。
[自分と同じ様な境遇の人間も居るかも、と。]
うん?
[そして次いで彼に問われれば、暫しの間]
蹴り倒す。
[ぼそっと言い放った。
声は決して笑っては居ない。真剣、そのもの。]
散々な気持ちにさせておいて、
ふざけんなって、蹴り倒す。
[段々と怒気混じりに言葉を紡ぎ]
俺の携帯に入ってる奴にはメール一斉送信したけど。
誰も返信くれなかったな。
連絡とれたのは、お前と美夏ちゃんだけ。
明日、また少し探してみるさ。
[と軽く答えてみて]
自分の都合で居なくなって、
自分の都合で帰ってきて。
あんた、アタシがどういう気持ちだったか、
知ってたのかって、胸倉掴んで…
[其の後も言葉を紡ぐつもりだった、が]
――。
[何も言えず]
あはは!お前らしいや!蹴り倒すか!
いい女だねぇお前!あはは!
[爆笑……無理矢理してみた。]
いいなぁ。お前みたいな奴ばっかなら。
世の中もっと楽しいだろうな。
……わりぃ、変な事言ったよな。
[ひとしきり笑った後で、イマリにはそう謝って。]
俺さぁ、アンの事好きだったんだわ。
あいつが死んだ日、初デートだったんだ。
あいつが事故ったの、待ち合わせ場所に来る途中。
笑えるよな?俺が誘わなきゃ死ななかったんだぜあいつ。
好きだって言ってもなかった。
知らなかったから、病院にも行けなかった。
馬鹿だべ俺?忘れたつもりだったのに。
帰って来やがったんだよあいつ。
[自分でも、泣いているのか笑っているのかわからずに]
…でしょ?
いい女過ぎて引く手数多だから困っちゃうよ
[合わせる様にくすくすと、小さく笑い]
ダメ。
私みたいなやつは、蹴られる側が居ないと
成り立たない様に出来てるんだから。
だから今のままでいいの。
[冗談半分に、ふざけた調子で言った。
だが、後に続く言葉に]
別に。変な事言ってるのは何時もの事じゃないの?
[小さく笑い、彼の言葉を黙ってきけば]
言ってろ、誰が引く手あまただ。
お前引っ張ったら、逆に引きずられちまうよ。
[軽い冗談を言ってみて]
蹴られる側の人間はビクビクしてんだろうなぁ。
俺も蹴り倒されないように気をつけにゃー。
[クスクス、彼女の笑い声に合わせて]
ばーか。
ばーか、ばかばかばかばーか。
[馬鹿、馬鹿、と幾度かふざけて紡ぎ]
……馬鹿だね、ホントに。
[はぁ、と一息つくかのようにしみじみと云った]
馬鹿だけど、ジュンタらしいよ。
いいんじゃない?……それで、さ。
…本当に。
なんで今頃、なんだろうね…
[良いだとか悪いだとかではない。
ぽつり、自然と口から零れた呟き。]
[引き摺られちまう、などと言われれば。
電話越しにくすくすと小さく笑い。]
見境無く蹴らないよ。
愛の証だから。
[笑ったままに、冗談を紡ぎ続け。]
はいはい、どーせ馬鹿ですよぉー。
俺は、馬鹿な生き方しかできねぇしな。
……なんでだろーな。
もっと早かったら、俺全部捨ててでもアンと一緒にいた。
もっと遅かったら、きっと綺麗に忘れてた。
今、この瞬間だからこそ……俺は動けないんだよ。
誰かが引っ張ってくんなきゃ、もう動けないんだ。
[ぽつり、ぽつりイマリに答えた]
―コンビニ―
そうさな。
…けど、きっとみんなは大丈夫。
[頭痛は止まない。
こめかみを軽く揉んで、少年を見守る。]
もしあれなら、俺のトコ来るか?
[不安そうな少年を誘って。
壁の時計。針が逆回転をはじめたのにはまだ気づかない。]
[引っ張ってくれなきゃ動けない。
そう、零すジュンタに]
ふぅん
[何処かニヤついた声]
ふぅーーーん
ああやだ、やだ、この人、寒い事いっちゃって!
[ひゃー、とふざけて見せる]
でもさ、動けないっていう事を自覚してるんだよ。
動けない自分、をわかってる訳。
…そこまで来たらもう、答えってさ。
案外、近いトコにあるんだと思うな。
[ぽつり、ぽつり、ジュンタに応えた]
…アタシ、尽くすタイプだから蹴るなんて出来ない…
[ついでに、ぶりっこしてみたり]
[こぼれ落ちる砂のように、さらさらと世界は崩れていく。
記憶と思いが、薄れていくように。]
…サヨナラ、なんか…。
[空へと還る、雪。]
ちぇ、寒くて悪かったねぇー?
[電話越しに肩をすくめた]
ん……近いとこにね……あるといいんだけど。
これは、俺だけが頑張ればなんとかなるわけじゃ………
ねぇんだよなぁ、やっぱり。
[はぁ、と深いため息をついた。ついでに]
お前が尽くすタイプなら、世の女は皆尽くすタイプ。
[真顔で言ってみて]
[寒くて悪かったなと声がすれば、にやにやと。]
まぁ、いいんじゃない?
面白いし。
[そんな所に落ち着いたらしい]
あのね。
人、一人が頑張れる範囲なんて限界があるの。
ジュンタが幾ら頑張ったってダメな事がある。
アンタに今できんのは自分をしっかり理解して。
んで、選択すべき時に、後悔しない方選べばいいよ
[半ば投げやり気味に云うが]
アタシはだいたい、不味い方選んで、
うわぁーってなるけど
[あはは、とあっけらかんに笑う]
…おい。
もう一回、言ってみな。
[が。皆尽くすタイプなどと言われればドスを効かせ]
[ピンクマ携帯を確認。
スケジューラには【明日は大事な日☆】の旗印。]
…明日?
まだ、一日?
なんで、明日が来ないんだ?
[困惑。
視界が赤く染まるほどの頭痛。
よろけて座り込む。
少年が驚いたかどうかも、わからなかった。]
選択ねぇ……
[いくつか選択肢を思い浮かべてみる。]
選択肢1、アンと地獄まで駆け落ち。
選択肢2、美夏ちゃんたぶらかして大人の階段登る。
選択肢3、お前と今みたいにずっと笑いあってる。
選択肢4、優等生を拉致監禁して改造する。
選択肢5、女はやめてズイハラさんとラブラブ
さて、どれがいいと思う?
…消えたくない!
[黒髪の少女が告げた事実を認めたく無くて。]
…だって……
[いつか良いことあると、言ってくれた人がいて。
スノボ行きたいねと言ってくれた人がいて。
明日は、妹が…]
[どれがいい?と問われ]
クールなジュンタくんは何処に?
[思わず真顔で小首傾げ]
んー
[選択肢を前に、一応悩むらしい]
3も捨てがたいけど、5かな。
5が一番、アタシ的には面白い。
[真面目に言い放った。だが、堪えきれなくなったか]
っていうか、バカ!!!!
[大声で罵り]
……そんだけバカいえるなら大丈夫だね
[相手の空元気だろうそれに合わせ、
気付かない振りで、あははと笑った]
クールな俺は、選択肢1を選ぶと現れるぜ?
[本気で、そう言った。]
ズイハラさん、僕を受け入れてくれるかしらん?
不安だわぁ〜〜
[ぎゃはは!と笑って。]
………さんきゅ、イマリ。お前いい女だぜ、まじで。
[心から、礼を言った]
[ふざける彼の声にはふざけて同じく笑い]
お礼はいいから、現物支給で。
ケーキ食べ損ねたから其れで良いよ。
[うん、と真面目に云った]
ていうか、お陰で少し落ち着けたよ。
有難う。
アンちゃんとしか会ってなくて、
ずうっと一人だと思ってたんだ。
[ぽつり、ぽつり]
正直、ちょっと泣いた
[たはは、と情けなく笑い]
…悪い。頭痛い。
だれか呼んできて…って。
無理か。
[少年に頼みかけるも、ひと気の無さを思い出して。
飲み物をとるように頼み、アスピリンを二粒。]
あぁ、食べ損ねたケーキか。
仕方ねぇなぁ、もとに戻ったら連れてってやるよ。
[無事に帰れる保証はないけれど。]
……おう。落ち着いたなら良かったさ。
こんな事で泣いてんじゃねぇよ……元気でいなきゃ。
お前らしく、な?
[比較的真面目に。優しく言葉を紡いだつもりで]
そそそ。
何のケーキ食べたかは後でミナツちゃんに聞く。
其れと同じものを寄越しなさい。
[連れて行く、には強気にそう応えた]
あははは。
ありがと、そうだね、アタシらしく。
[うん、と語気強く]
笑ってなきゃ、ね!
[あはは、と高笑い]
ねぇ、ちょっとさ。
[会話を途中で遮る様に]
安心したら、御腹すいちゃった。
家の冷蔵庫、今は何もないんだよね。
[少し御腹を押さえ]
コンビニいってみるから。
[夕方にいったコンビニの様相を思い出すも]
一旦、電話きるね
[ジュンタにはそう、告げる]
あらら?美夏ちゃんと同じのが食いてぇの?
[なんだかおかしな感じだったが、とりあえず]
まぁ、同じのでもいいけどよ。
[彼女が笑ったから、俺も笑った。]
あはは、そうそう。笑ってろ。
イマリの死に方は笑い死に以外にねぇっ!
………うん、人間笑ってんのが一番いいんだ。
[本気でそう思う。]
おう、わかった。
寂しかったらいつでもいいなさい?
お兄さんがお友達連れて遊びに行ってあげるから。
[くすくす、笑いながら。]
じゃぁ、またな。
[サヨナラとは、絶対に言わない。]
[笑い死に、と言われれば苦笑い]
ばァか。
アタシの死に方はもう決まってんの。
愛しい旦那と息子一人に、娘一人。
そんでもってそれぞれに孫が居たりして。
おばあちゃん、しんじゃダメ!しっかり!
なんていわれる中で、
あぁ、あたしゃ幸せだったよ…
ってね。幸せの絶頂で死んでやるのだ。
[あはは、と矢張り高笑い]
ん。じゃ、また電話するね
また、ね。
[声を受け、微笑みながら電話を切る。]
[切れば携帯をポケットにしまい込み]
……っ
[ふっ、と頭を振り、自分を奮わせて]
――。
[のしのしと玄関へ。
靴を履き、勢い良く外へと出るが、]
…え
[地から天へ還る白に、勢いを奪われ立ち尽くす]
-上原家の前-
なに、これ…
[降り積もったはずの雪が、空へ。
まるでたんぽぽが舞うかの様にも見える其れは。
確かに冷たい温度を体に伝え、揺れている。]
……。
[アンの声が脳裏に過ぎる]
――。
[この街はもう、
自分の知っている場所ではないのだと。]
[電話を切れば、俺は一眠りしようかと思った。美夏ちゃんは、どうしたんだっけ?飯食った後家に帰ったんだっけ?今一緒の家にいるんだっけ?美夏ちゃんがいるなら俺は炬燵で、帰っていたならベッドで寝る。]
あぁ、今日もいい日かなぁ………*
[暫くの間、ぼんやりと雪を見上げていた。
事実に思考が追いつくまで、足に力を伝える事も。
言葉を発することも、忘れていた。]
――。
[ようやくに、はたりと気付けば。
辺りをきょろきょろ見回すも、矢張り人気は無く。]
…どうしよう
[少し考え込み、]
…そうだ、あっちに
[すたすたと目的地へ向かい歩き出す]
[一番近いコンビニであれば家の裏だ。
だが其処には行く気にはなれなかった。
夕方に行って、其処に踏み入るのが怖いからだ。
人気の無い暗闇に、煌々と光り存在する建物。
誰も居ない店内はとても、気持ちが悪く。
ただ、怖い、と感じる空間だった。]
……。
[だから、少し離れた位置のコンビニへ。
誰か人が、他にも居るかもしれない。
探してみようという望みを託し、足は向かう]
-→ズイハラ、デンゴがいるコンビニ-
-コンビニ-
[やがて進む先にコンビニが見えてくる]
あ…
[良く見れば人影を二つ、其処に視認するだろうか]
…誰だろう
[まだ人だ、と認識できる程度で。
どういう人が居るのかまでは特定できず。]
いってみよ
[駆け足気味に、コンビニの前へ]
[コンビニに辿り着けば]
ズイハラさん!
[なんだか調子の悪そうな彼を見つけ]
デンゴくんも!
[彼に飲み物を渡そうとしているか、
もしくは店内をうろついていたかもしれないが、
二人を見つけ、声をかける]
……どうしたんです?
大丈夫ですか?
[ズイハラに近寄り]
[俺のトコ来るか?と言われて頷きかけて戸惑う。
そのまま男性の足元を見て考えた後]
ううん、オレは…へーき。
だって。
[かーちゃんが、かえってくるかもしれねーから。
それは言葉にはならなかった]
お、おおお、おっさん、大丈夫か?
[携帯を見たかと思うとよろけて座り込む様子に
思いっきりおろおろする。飲み物と頼まれて]
わ、わかった!
[店の中の飲み物の棚へ走った]
な、何がいいんだ、こういう時って。
[ついつい手に取るのは自分の好きな炭酸飲料で。
コーラとグレープフルーツソーダを手にとって振り返ったとき]
あ、ダンゴ!
[イマリが店に入ってくるのを見て声を上げた。
二人目の、動く人。しゃべる、人]
おっさんが急に座り込んじまったんだ。
[手の中を見て。さすがにコーラはないだろうと戻して
スポーツドリンクに持ち替えた。
どっちがいい、と二人のところに戻ろうとして外を見て]
雪が、空に上ってくぞ…
[ありあえない光景に目を*ぱちくりとさせた*]
−回想:コンビニ前−
[きっと顔をみられたくないだろうと彼の手をひいて顔は見ずにコンビニへと。そこにズイハラさんと少年の姿。]
隠し子…。
あの子、イマリ先輩と会った日に公園にいた子だ。
[何か勘違いしている様子の彼が邪魔しちゃ悪いと手を引くのに後に続く。
お腹が空いたと言う彼にくすりと笑いながら]
どっちの家行こう?
[こてり首を傾げ、彼の家の方が近いからとジュンタの家へと向かっただろう。]
−回想:ジュンタの家−
[彼氏でもない人の家にいて、ご飯を作ってるなんて変なの。と思いながらも自然と笑みが浮かび、お台所を借りて適当に何かを作り始める。
好きな歌のフレーズが流れ始め鼻歌を歌いながら。
料理ができれば大したものではないのに彼は美味しいと言って食べてくれた。
家に帰るかどうするか、でも誰もいない家に帰るのは嫌で]
もう少しここにいてもいい?
[彼にそう尋ね彼がいいと言えば少し他愛のない話をしながら、時間を過ごし、気がつけば炬燵でうとうとし始めるかもしれない。
彼の携帯が鳴り、誰かと話始めたのにまどろみの中で気づいたが、話の内容は良く分からないまま夢の中へ。**]
[ふと、美夏ちゃんが心配になり目が覚めた。気がつけば一緒に炬燵で寝ているようで。絶対に風邪をひくと思ったから、彼女を抱き抱えて俺の部屋へ運んだ。触っちゃまずいとこに触らないよう気をつけながら、自分のベッドに寝かせて布団をかけた。なんとか理性を保っている自分が、誇らしくもあり情けなくもあり。そっと彼女の髪を撫でて、俺は自室の床で寝た。]
据え膳食わぬはなんとやら。俺、恥さらし*
[もぞもぞと動けば眠りについた時とは違う感覚。
ゆっくりと目を開ければそこはベッドの上で。]
あれ…?いつの間に?
[こてり首を傾げて部屋を見回せば床に寝ているジュンタの姿。]
ジュンタ…何で床で寝て…。
あ…そっか。私がベッド取っちゃったから。
っていうか運んでくれた?
―夢―
そこは真っ暗だった。音もなく、光もなく、俺は迷っていた。いや、光を失っていたんだと思う。目を閉じていたんだ。耳を塞いでいたんだ。自責と、後悔と、悲しみで。この闇は、永遠に続くような気がした。それでもいいんじゃないかと、諦めていた。動こうともせず、ただ漂っていた俺。そんな俺の閉じた耳に、声が聞こえた気がする。
「ジュンタ」
誰の声だろう?女の子の声のような気がする。だんだんと、瞳が開いていく。あぁ、世界は、こんなに明るかったっけ?
[眼をこすって彼を起こすか起こさないか迷っていれば]
あ…起こしちゃった…?
床で寝させちゃってごめんね。
運んでくれたの?重かったでしょ?
[にこりと微笑み、おはようと声をかけた。]
あ、美夏ちゃんおはよ。
ぜーんぜん軽かったって。寝心地悪いベッドでごめんな?
男のベッドって、嫌だよな普通。
[体を起こして、寝ぼけ眼で美夏ちゃんに声をかけた。]
俺は全然平気だから!よく間違えて床で寝たりするし!
[元気だと、頑張ってアピールしてみた]
[ふるふると首を振り]
ううん。ぐっすり眠っちゃった。
体とか痛くない?
寒いから風邪ひいたりしないでね?
[元気だと言うジュンタにくすりと笑いながらベッドから降り、はたと思いだしたように]
そういえば、昨晩誰かと話してた?
まだ他にも消えちゃってない人いたの?
そう、ぐっすり眠れたなら良かった。
体は平気だけど、肩が凝ったかな?
あと、朝飯食ってないから腹へった。
[あはは、とお腹を擦ってみて]
電話??あぁ、イマリと電話してたんだよ。
あいつ、泣きそうな声で電話してきやがってさ。
………ま、無理もねぇけど。
お腹減った?
何か作ろうか?
[お腹をさするジュンタを見てくすりと笑い]
イマリ先輩から連絡きたんだ。
泣きそうになるよね。私もジュンタがいなかったらきっと1人で泣いてるかもなぁ…。
イマリ先輩1人で大丈夫なのかな?
おー、作ってくれんの?
「僕のために、味噌汁を作ってくれ」
………なんちゃって。
[んー、と伸びをして。]
心配いらねぇよ。美夏ちゃんは一人になんねぇもん。
イマリだって、なんかあったらすぐ連絡するよう言ってる。
誰も一人になんかしねぇさ
―コンビニ―
[聞き覚えのある声に、かるく手を挙げる。
たはは…と情けない笑み]
キミも居たね。安心した。
…悪い、頭痛くてさ…
薬飲んだから、多分ひと寝入りすれば収まる…
[カウンターの腰壁に背中を預けて、少し目を閉じた。]
[ずきずきと、頭が痛む。目の前が赤く染まる。交差点のビジョンが走る。これは誰の記憶だ?]
アンの記憶……?
それとも、死者の……?
あはは。なんかのドラマで言いそうなセリフ。
あと何か食べたい物ある?
[伸びをする彼を見て、立ち上がり]
ジュンタがずっとそばにいてくれるの?
結局、わかってるだけで6人…アンちゃんもいれて7人なのかな?
あの男の子もズイハラさんといるみたいだったし大丈夫だよね?
[そう言って、台所を借りて何か作り始めるだろう。]
―藍住中央公園―
[眠ることもなく、ただ昇る雪を見送る。
吐く息が白くなることもなく。
ただ自分だけが世界から見捨てられたかのような。
いや、最初から存在していなかったような。
そう思うと何故か身震いがした。]
………………。
[寒い。
それだけは感じる。
1人がこんなに怖いものだなんて知らなかった。]
俺はクリームシチューが好きだなぁー。
食べたいなぁー?
[美夏とリビングへ移動して]
あぁ、俺はずっと側にいるよ。
多分、俺を必要としてくれる人がいるなら。
俺は必ず助けに行く。
一人に残したり、しないさ。
[ふと、今日の夢を思い出した]
クリームシチューね。
おっけーだよ!ちょっと待っててね。
[とんとんと包丁を使い、リクエスト通りシチューを作っていく。]
ジュンタは優しいね。
彼女にもきっと優しかったんだろうね。
[そんなことを彼に聞こえるか聞こえないかの声で呟き、何か考えている風なジュンタをそのままに、食事が出来上がれば]
もうすぐできるよー。
スプーンとか出してね。
[そう声をかけ、テーブルにできた料理を並べた。]
おー、すげークリームシチューだ!
[出来上がった料理を見て、子供のように喜んでみて。微かに聞こえた美夏の呟きには、小さな呟きで返した。]
俺は優しくないさ。
失うのが怖いだけだ。
臆病なだけだ。
弱い…だけだ……
[ふるふる、首をふって。食器などを並べて]
[彼が何か呟いた気がして]
ん?何か言った?
[こてり首を傾げ、喜ぶ彼にはくすりと笑い]
さてっと、食べようか?
シチューだから多分、失敗はしてないと思うよ。
[いたずらっぽくそう言ってスプーンを手に取って、いただきますと料理に口をつけ始める。]
ご飯食べたらどうしようか?
また外に出てみる?
ん?なーんでもなーい!いただきまぁーっす!
[美夏の言葉には、なんでもないと答えて。喜んでシチューを食べ始めて。懐かしい、そんな味がしたと思う。]
うまい………や………。
あはは………久しぶりにうまい………
[氷が溶けていく。心の氷が溶けていく。なんでもない日常の、暖かい一コマが、俺を溶かしていくんだ。]
ん………そうだな。
少し散歩しようか?他に人がいるかも知れないしさ。
[うまいと言われてにこりと笑い、自分も口をつける。]
こうしてると皆が消えちゃったなんて嘘みたいだよね。
あー。でも皆が消えてなかったら、ジュンタにご飯作ってあげることなんてなかったのかぁ。
[散歩という言葉には]
そうだね。他にも人がいるかもしれないし、また少し歩いてみようか?
イマリ先輩やマシロさんもどうしてるか気になるし。
歩いてたら会えるかもしれないもんね?
[食べ終われば、食器を片づけ、おまたせと彼へと声をかけるだろう。]
―コンビニ―
おっさん…。
飲み物、これでいいか?
[手にしたスポーツドリンクとグレープフルーツソーダを
見せながら声をかけて]
[気味も居たねとイマリに言う言葉を聞いて
やっぱり誰もいねーのかと外をまた見た]
雪、上にのぼってくって、なんでだ。
[ズイハラが手に取らなかった方の飲み物を持ったまま
コンビニの外に出て空を見上げた]
へんなのー!
どーなってんだ、よー!!
[不意の大声。しかしそれは雪に吸い込まれた]
-コンビニ-
[小さなデンゴが飲み物を探し。
元気にズイハラさんの側で飲み物を差し出すのを、
若干の微笑みで見守るだろう。
しかし、次ぐズイハラさんの声に]
…頭痛ですか。カゼ、ですか?
持病とかじゃないですよね?
[目を閉じる彼にそれだけ問うだろうか。
何が出来る訳でもないが、何か出来はしないかと。
彼の様子を見守り、側に座り込んだ。]
そうだな、消えたから今美夏ちゃんがここにいるんだよな。
女の子なんか連れてきた日には、親父に何言われるか……
あー、いなくて良かったぁー!
[食器を片付ける彼女を、微笑ましくみていて。お待たせ、と走りよって来たなら]
うし、散歩にいこーぜ。
はぐれないようにしなきゃな?
[適当な理由を言って、右手を差し出してみる]
あはは。いなくて良かったって!
でも、きっと元通りになるよね。そのうち。
[最後の言葉は自信なさげに呟くように言って]
いこうか?
そうだね。はぐれないようにしなくちゃね。
[差し出された右手を左手で握り、伝わってくる暖かさにほっとして一緒に外へと。]
いやー、うちの親父女性不信気味だからさー。
後でグチグチ言いそうで嫌なんだよ。
んー……俺は、別にこのままでもいいけど。
美夏ちゃん、独り占めできるしぃ?
[本音と冗談の入り交じった返事をして]
おーし、いこーいこー。昇る雪の中へー!
[手を繋いでいないと、消えちゃいそうで。誰かを失うのは、もう絶対に嫌だから。同じ思いをさせるのも嫌だから。繋いだ手を離さないように、優しくしっかり握っていて]
[外に居るデンゴの大声は。
人気の無いせいか、店内にもこだまする。
ズイハラさんに向けていた視線を剥がし、其方へ。
小さな彼は空へと還る空の下、空を見上げていた]
こら、デンゴくんー!
カゼひくよー!
[其れでも少し焦点のズレた言葉を投げる]
―とある交差点―
[ここは、私の終わった場所。そして、終わらぬ今日の始まった場所。私が、最後のメールを送った場所。私の終わりは近い。もう、体を止めてはいられなくなる。私は、もうすぐ帰らなきゃいけなくなる。私の最後の願いは、叶わぬままに。]
………ジュンタ………私はここにいる………
ずっと………貴方を見ていた………
[薄れていく、私の意識。あぁ、私の終わりは近い。最後にもう一度、あの人に会いたい。それはもう叶わぬ想いなのだろうか。私は、彼に伝えたい言葉があったのに。]
お父さん、女性不信なんだ?
じゃあ、びっくりしちゃうね。
[くすくす笑いながら、独り占めの言葉には少し顔を赤くして]
あはは。ほんとにそう思ってるー?
[照れ隠しのようにそう言う。]
ほんっとに雪が昇ってるね。
こんな体験してるの私達だけなんだろうねー。元に戻って、こんな話しても誰も信じてくれなさそう。
時間も戻ってるし。
[そう言って携帯の液晶を見せる。
優しく握られる手を嬉しく思いながら、隣にいる彼が消えてしまわない事を祈りながら、その手を離さないように自分もしっかり握った。]
[空へ上る雪を塞ぐように手をかざす。
掌に触れる雪は冷たくて]
…つめ、てー。
やっぱ雪だよな、これ。
[そう言ってダウンジャケットの前を閉じようとする。
しかし去年着ていたサイズのそれはすでに小さくて
半分までしかジッパーが上がらなかった]
さーみー。
[ふるっと身を震わせたところでイマリの声が届いて]
あーもどるー。
[肩をすくめて店の中へ]
[肩を竦め店内に入る彼を見つめ。
小さく、くすりと笑った。随分とぱつんぱつんに、
きつそうにしてきているジャケットだ、と。]
ねぇ、デンゴくん。
[彼に手招きをして]
こっち。
お姉ちゃんの側おいで。
色々聞きたい事があるの。
少しお話しよう?
[にこにこと笑顔で自分の側、
空いているほうのコンビニの床をぺしぺし叩く]
そそ、びっくりしちゃうぜぇー?
[手を繋いだまま、肩をすくめて]
んー?本当に思ってるってー!
可愛い女の子を独占してるって、結構幸せだよー?
[あはは、と笑ってみる。]
そうだな、俺達だけだろうなぁ。
こんな状況じゃなきゃ、神秘的なのにさー。
[それでも、携帯のムービーで世界をとっておく。隣のあの人と繋いだ、暖かい手も。明るい声も。全てを記録したいから。]
え?
[側に来いというイマリに一瞬身構えて
でもそのにこにこ顔に負けて横に体育座り]
聞きたいことって、なんだよ?
[恥ずかしいのかぶすっとした表情でイマリへ]
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