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……。
[どれくらいの時間が経ってからか。
庭園から戻ってくると、玄関には、鞄と、人形]
……ボタンさん?
[帰り支度だろうか?
見回しても、元幼稚園の先生の姿はない**]
[目撃した二人の片割れの、女の顔も見知ったもので。
やがて密談の雰囲気の男女は別れた模様。
その場を離れ、それから暫し後。女のほうをどこかで呼びとめた。]
……あの、弁護士さん。
ひょっとして何か、知ってるっすか?
[もしも先の彼女の行動がたんに逢引だったら、野暮なことこの上ないのだが。]
[ネギヤは死んでいないのではないか、そんな発言に老婆の表情はいくらか緩んだようにも見えた。
しかし、寿司桶を片付けに台所に姿を消したきり、ボタンは姿をくらました]
あら、無くなってる。
[グリタの宿泊していた部屋のドアノブに引っ掛けておいた腕時計も見当たらない。
胸ポケットから取り出したスマートフォンを操作して聞こえてきたのは、何か嫌な感じの音声だが、電波が悪くてそれ以上はわからない]
―― →玄関 ――
[玄関の扉を開こうとした手がぴたりと止まる。
中から聞こえるのは男女の声]
やだ、立ち聞きなんて品のない。
[と言いつつ、耳をぺたりとくっつけて盗み聞きの*体勢*]
[>>3:+28眼鏡を掛けていたのは誰だったか。
心当たりは警察も行方が分らないと言っている彼女の事だけ。]
ソラ、どこから持って来たんだい。
[窓際のソラに問いかけたが、首を傾げるだけ。
不安がちなボタンは空になった寿司桶を片付けたが、
一向に戻ってくる気配はない。]
[ボタンの長らくの不在に、警察に問うたが知らぬ存ぜぬの様子。]
はて…一体どこへ?
[手持ち無沙汰に呟くとソラが導くように動き出した。]
[向かうのは書斎。
その途中で、廊下に落ちている茶封筒を見つけた。
猫がてしてしと前足で叩く]
これこれ、悪戯しちゃあいけないよ。
[拾い上げて中を覗く。
文字がぎっしり書かれた紙の束だった。
何故ここに、と思いながら近くの警察に渡した。]
[猫は空いていた書斎に入りこむ。
幸か不幸か警察は不在を良い事に、猫は書棚に飛び上がり、次々と本を落としていた]
これ、やめんか!
[和綴じ本の奥に隠れた古い紙束に、猫の手が届く前にウミがソラを抱き留める。
猫は近くに来たウミの頬をペチと猫ぱんち]
[近くの鞄とその上の人形を一瞥すると眉を動かした。
老婆の抱えていた人形だと分かるが、持ち主の姿は近くに見えない。]
さっきそこで、警察のひとに聞いたんすよ、取り調べの時間になっても編集者さんが戻らないって。板前さんやオトハさんに同じく、行方知れずのようで…。
[言いにくそうに少し口ごもる。]
ええと、弁護士さん、二人きりで編集者さんと会ってましたよね。失礼すけど、庭で見ちゃったんです。
彼が如何なったか、知りません?
[あるいは――
彼の目的のために。
思いついた言葉に、こそりと苦笑を漏らす。
無関係なのですよね、と彼は聞いた。
ならばきっと、彼も無関係なのだろう。
それが自然な流れであるからこそ、謎は深まるばかりなのだが]
[『話は聞かせてもらったわよ』と、扉を開けるシーンの練習をして空を切っていると、書斎の方で何者かが暴れる気配がした]
危険人物はどっちなの!?
[玄関の内側と、右左上下下と目を回す]
話? ほとんど分かりませんでした。
ネギさんが見つかったらきっとそうする、とか言ったのは聞こえましたけど…。
何、話してたんです?
[おずおずとヒナに答え]
[? 扉のほうで、なんか人声がしたような……、と首を傾げ]
[ゆるりとため息を吐く]
おネギのこと見つけないと終われないっていう話と。
グリタさんはお人好し、っていう話かしら。
[思い出して、苦笑する。
首を傾げるギンスイから、視線を扉の方に向けると。
すぱああんと、「声は聞かせてもらった」とばかり開け放った]
きゃぁぁぁぁ!
[脱衣所の扉が開かれてしまったかのような格好で叫び声を上げる]
なんだ、弁護士さんだったのね。
あなたがおネギさんを細くした犯人なの!?
それ、ネギさんが事件の犯人ってこと?
――き、きゃあああっ、
[脱衣所の扉が開かれてしまったかのような悲鳴にびびって、反射的に悲鳴をあげる。]
な、なにやってんすか。
そっちだって怪しいっすよ!
あと多分、細くなったわけじゃないっすよ!
[つっこみきれない。]
盗み聞きとは悪よのうお主。
って、違うわよ!? あの黒ネギヤについては私が一番知りたいの!
[二人して乙女みたいな悲鳴上げないでよとつっこむ暇もない]
でも、……なにかのきっかけを作ったのは、私、なのかしらね。
[何か。ゆるりと首を振る。
おそろいで、と顔を見せたウミに、微笑んだ**]
よく聞こえなかったけど、たぶんそういう話だったみたい。
[ウミに大げさに頷いたところで、ハッと重大なことを思い出した]
そう、これを渡したかったの。
ギンスイさん、あなた営業職なんでしょう?
売り出して欲しいのよこれ。ねっ、ねっ!
[差し出したのはミニミニ砂時計]
[ウミに声をかける間もなく、足元を猫がすりぬけた。]
かりんとうネギヤについて知りたい、
じゃあ、弁護士さんは殺人や拉致はしてない…て主張ですよね。
…きっかけ。
[戸惑いを浮かべた時、ミニミニ砂時計が手の中に]
あなた若いのに、笑顔が寂しいわよ。
何か悩みがあるなら言ってみなさい。
書き取りしてあげるから。
[ヒナの表情がうつったかのような顔で、八の字眉になった]
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