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…は?
[喉に、生温い塊が引っかかった。
視界が暗くなり、脳味噌を後ろから掴まれて引っ張られるような浮遊感を感じたのが、つい、さっきだと思う。
が、足元に見えるのは 横たわった自分だ]
……なんだ…?
[理解が追いつかず、自分の手を見下ろした]
[不思議そうな表情のまま、見下ろした手の向こう
自身の死体をコハルが担ぎ、
8thが手伝って屋上へと運ばれていくのを眺める。
ようやっと、どうやら意識と肉体が離れたらしきを
じわじわと理解して。
のろのろとその後を着いて行った]
…こう、なんのか。
触れねェ。
当たり前か。
[ふわふわとした足元を踏みしめたいがそれも出来ず
自分が置いた死体の横に並べられるのを見遣った]
[それからゼンジとセイジ、デンゴを見る。
穏やかな空気らしきを感じたのに、
向こうに開いたエレベーターの中に
倒れた男がちらと見え、息を長く吐いた。
クルミとヨシアキの後を着いて下りる。
着替える、というクルミの後ろについていく。
彼女が時計の前に蹲って泣いている。
だが、見る事しか出来ない。]
…なんだよこれ。
負けた奴への、罰ゲームか?
[は、と、最早必要の無い息を吐いて。
更に肩に指をめりこませて、視線を剥がし。
顔を目いっぱい歪めて、その場からそっと離れた*]
無駄な、死?
[どこから聞こえたのかわからない
ただ、マシロの言葉を思い出しただけかもしれないが
痛い言葉、単語が 頭の中に引っかかる。
無駄な死。
意味ある死と、それの境は何処だろうと思う]
…どれもこれも、
望んじゃいねぇよ…誰も。
[舌打ち紛れに吐き捨てて ふわりと彷徨う]
[ゆらゆらと 自由に。
人と人の間をすり抜け、彷徨う。
誰も、気付かない。
じわりじわりと、紙に水が染み込むように
何かが自分の内に広がっていくのを、
まだ、遠くで、感じている]
…クルミ…と…キシ?
[同じような年齢に見えるふたりが
ベンチに座るのを見た。
感じない大気が、重い]
[穏やかに話す、ふたり。
遠い。
空気が、世界が違う。
軸の違いを、感じる。
広がる染みは、幾何学模様を描いていく]
[そして、ふと
視界に見えた姿に、動きを止めた]
……12th…か?
あれ、エレベーターで…
[死んでいた筈。
不思議そうな声で呟いて、目を眇めて見遣る]
えと、ネギャ、だっけ。
[人づてに聞く名前は覚え難い。
ゆらり揺れて、そのにこやかに見える
ふっくらとした顔を、じ、と見た]
そうか。
…謝らねぇぞ。
[襲い掛かった相手。
害意は感じないが、少しだけ顎を引いて
低い声で、言う]
ま、そうだよな。
謝って何か戻るなら謝るけど。
俺と、あんたの世界だって、
…―――――、
[眉を顰め、口元を抑えて暫し止まる。
息を吸って吐くようにして、背筋を伸ばした]
ネギヤな、ネギヤ。
んで、俺らはこれ…干渉は出来ねぇ、んだよな。
見てるだけ。
[自分の名前が聞こえた。
視線を向ける。
―――パーティの仲間と、
生きる意味を問うた少女と]
…、そうだな。
[苦笑のような声を、零した]
[ネギヤの大人モミジの手を見る。
重ねる振りをした、自分のゴツゴツとした
硬そうな手は岩のようで対照的だ。
すり抜ける。]
幽霊は争わない―――か。
「神」とやらの趣向にしては
随分と穏やかにさせたもんだぜ。
[何も触れられない自身の手を見下ろして
ぎゅ、と、握ってみる。]
…キシは、本当に。
自分の世界に価値があると思って、とか、
[自身の裡に広がり続ける仄暗い染みが
じわり じわりと
良い人 戦い
自分の世界 神になる
単語が聞こえるたびに、
意識と自覚が、やっと、繋がっていく]
そうだな、
暴れられた 方が
[ネギヤに返そうとして、また、口を片手で抑えた。
何かが、こみ上げる。
幽霊は、感覚は無い筈じゃないのか。
否、脳が、感覚を作る?
脳も、動いていないのに]
っ、
[コハルの告白にどこか痛い風に顔を歪めてから
両手で口元を抑え、目を閉じた**]
[自分に課せられていた責任の重さと
それを失った事の絶望感が
吐き気のようにソラを襲う。
足元揺らめく侭に 歩いた。
痛む神経等無いはずの頭が ガンガンと痛む気がする]
…――、
[顔を上げると近く
ヨシアキと8thが話しているのが見えた。
目を眇めて、耳に届く音を拾う]
…世界、なんて…
重てェモン以外にも、
背負いそうな奴ばっか集めた、か?
[なら自分なんかはいないか。
等と呟きながら、ふたりを見下ろす顔は
やはり、ひどく歪んだままで]
本当…胸糞悪ィ……
…―――、
[背後に聞こえた声に紅を見開いて振り返る。
てっきり自分には同じ時期に死んだらしき
ネギヤしか見えないのだろうと思っていたので
完全に不意打ちで顔が固まった]
…、れ、
[鳴るはずの無い喉が、鳴った気がする]
――そ、うか。
あんたも、死んだんだし、こう、か。
[上がった肩がゆっくり下りる。
共に、眉もまた 下がった]
…謝らねぇぞ?
[ネギヤにも言った事を、呟く]
生きてる時に殴りかかったし。
何より、俺、2nd刺したしな。
[お前の誰より大切な人なんだろ?
と、不思議そうに問う顔に
こちらも不思議そうな顔になった]
あぁ。
見てなかったか?
まぁそういう事だ。
謝らねェけど。
そうか。
[ふむ、と頷いて。
瞼を落す様子に 少しばかり怪訝に
眉を一文字にした]
…そうか。
[続く言葉には、呻くような声を返す。
そして、ゆっくり首を傾けた]
上?
…ん。そうだろうな。
とはいえ…諦める奴、いるかな?
[死の影が覆いかぶさるのを感じても
気持ちは抗う者が多いのではないかと思いつつ
ふと 気付くことひとつ]
マシロ…ってのは、2ndか。
それに…やっと俺の名前も覚えたか?
[にぃ と口の端を上げた]
最初…あの水んとこか。
そこで、あの丸い奴は殴れたりするのか?
[連れてく、という言葉には少し考えつつも
続く言葉に、半眼で男を見る]
…仲良くはねぇだろ。
あれは、死体だ。
[コハルが運んでくれた様子を思い出し
チリとどこか 音がした気がした]
相棒、か。
…名前。
覚えててわざと呼ばなかったのかよ。
性格悪いな、あんた。
[軽く睨むようにして、眉を顰める]
そうか。
…一番殴りたい奴てあいつじゃね?
[至極真面目な顔で言ってから、
口の端が上がるのに、ふいと顔を逸らす]
…………くそっ。
後でこうして会うって知ってれば
運ばなかったのに。
[呟いた言葉は自分でも嘘だな、と
解って居たけれど勿論そこまで言う心算は無く。
朝焼け、という言葉には、ん、と
顔を逸らしたままに 頷いた]
[続く言葉に、顔を向けて。
一度開きかけた口を閉じてから、
むすっとした顔のまま]
…あぁそうだぜ、女、だぜ?
棒を持つべきじゃない、とか言う
お前の世界の女からは
離れてるかもしれねぇけどな。
俺の世界の男と、
あんたが離れてるように。
[それにも随分慣れたけれど。
眼鏡の奥の細まった目を、
やっぱり睨むように、見る]
…照れてねぇよ。
[息を吐く様子に、眉をギリと立てる。
別に怒って居るわけではないのだが。
続く言葉には、言葉は返さず。
斜め下に落ちる視線を眺めて、
取られた「間」に眉を一文字へと戻した]
まぁ、種族の性別としてはそうだが。
…うん、
[ふ、と苦い物を食べたような顔をして。
逸らした視線は天井を向いた]
誤解って何がだ。
[聞こえた言葉に視線を向け瞬く。
ん、と 頷いてからまた半眼で見て]
…挨拶のように口説くとか言うなよ。
本当にあんたは…
[腕を組みながら、ん、と視線を巡らせる。
そこに太った男が見えれば視線で差し、
いなければ 首を傾けて]
ネギヤにも聞いていいか?
ひとりずっと置いていかれるわけじゃないよな?
[問う]
あんたの強さには惚れるぜ?
これでも俺は村一番のパーティにいたんだ。
[誤解の内容には上手く打ち返せたと思ったものの
続く言葉にはまた、調子を狂わされる。
そもそも、自分の世界で言う「いい女」とは
より逞しく、より強く、より強靭であるから]
…あんたの言う「いい女」ってのが
どーも、慣れねェんだよ。
まぁあんたにとっちゃ息みたいなモン
なんかもしれないが…
って、こなくても?
わざわざ来てくれたってことか?
[あの、梯子の女と三等身の女か、等と思いながら]
[グリタの動作を、目を細めて見る。
にぃ、と、紅い唇の端を上げて、見せる]
ここは、強いつもりだ。
そうか、なら、褒められていたんだな。
ありがとう。
[にこり と 破顔 ひとつ。]
口説く、とか、表現がアレだからだろ。
誤解したらどうするんだ。
[先ほどのグリタの言葉をそのままなぞって。
それから、上へと云うのに頷いて、
そのまま 連れて行って貰うことにする。
―――神の座と言われる場所へ。]
[繰り広げられる戦いが、見えた。
傷つく者たちの姿に、ゆっくりと手を上げて
口元を抑える。
―――また、吐き気がこみ上げる気がした]
…とう、なってんだ。
[ダレと誰が仲間で
誰か誰を殺そうとしているのか判らない。
ぐ、と、下唇を噛んだ]
[立った柱は、変わらず水が流れつづける。
まるで、誰かの涙のようだ、
なんて思いながら顔を上げる。
いい匂いがする気がした。]
…楽しい、のか?
[静かに佇む球体へと ぽつり 呟いた]
…神だっていうなら。
いっそ、勝手に決めてもいいもんじや、
ねえのか?
[聴こえた声に低く返す声。
彼女の言葉の半分くらいしか
理解は出来ないが。
憮然とした表情で。]
11th ソラは、ここまで読んだ。[栞]
[ルリの言葉は難しい。
眉を顰めたままに聞きながら、
腕を組んで、唸った。
口元を軽く、片手で、抑える]
…つまり。
すげー昔にもこう言う事があって…
それを継承しているって訳か。
[重なり合う幾重もの運命は
その紡ぐ糸の先は見えぬ程遠すぎて]
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