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『あなたが生き延びる方法。それは、誰かを手向けること』
[いつかのカナメの言葉]
生きたい?
[夢のような世界へ立つ人々に、囁くように問い掛ける]
……。
[このドーム内に生きている人間はルリとライデンの2人のみ]
[墓碑を見上げる]
そうね。
きっと、このままここに居れば、滅亡しか望めない。
逃がす?
──どうやって。
そうかもしれない。
君が喰らうのを求め、此処から出る術がないのなら。
逃れようもない事だ。
[ペケレには肩を竦めてみせ]
「カナメ」は最後に言ったよ。
このゲームはこれで終了だ、と。
[手のひらのうえで、
さらさら、さらさらと、
かたちをうしない 「かえって」ゆく
カギ ]
[カナメの声が微かに聞こえる
「 ルリ… 管制室… … 」
そしてその声は嘆きの、色を帯びてきて]
ああ。私のために怒る必要なんてないというのに。
一人ではなかった? どうだろうな。
以前はそう思っていたような気もするが。
今となってはわからない。
[ルリに緩く首を振りながら、写真を受け取って]
ただ、確かな事は。
「カナメ」は喰らう二人を助ける事を望んでいた。
先に何があるかを、知りながら。
「カナメ」
いえ、あなたは…
[昔のやり方で、呼びかけて止める]
思い出したんです、
あのときカナメは贈ってくれましたね。
ルリに、鍵を。
弔って、旅立ったと自分に言い聞かせて、それなのに……
[ペケレへ向ける瞳は、滲む涙に揺れている]
墓碑や写真を見て、孤独に苛まれるの?
それならいらない。
花も、言葉も、おやすみもいらない。
すぐに忘れてしまえばいいのに。
[>>+92ミナツのきっぱりした物言いに、笑い声がこぼれる]
ミナツのそういうところが好き。
[言いながら、視線は“鍵”へと向けられた]
ゲームオーバー
[平坦な口調で続ける]
[きっと唇を噛み締め]
……冗談じゃないわ。
でも、いまのままじゃ確かに、あなたのカナメの言う通りね。
[激していた感情が少しずつ冷やされていく]
[ルリの晴れやかな笑顔を見て]
鍵……。
とけた、鍵のことかしら。
初めてだわ、若いお嬢さんに「わたしを食べて」なんて誘惑されるなんて。
[冗談めかして軽く笑う]
いいわ。
美味しく頂くわ。
構わないかしら──ライデンさん?
ルリが、鍵?
[きょとんとした顔で瞬く。
>>+95レンをちらりと見て]
博士?
[人差し指で、ぬいぐるみの首元の鈴をはじく。
渇いた音が響いた]
空は、もっともっと広いよ。
そう、ゲームオーバーだ。
エンディングが良いものか悪いものかはわからないが。
[ペケレに頷き、ルリの方を見ると何か散っていくのが見えた。明るく笑い自分を食べろと言うルリを、言われたペケレを、順に見やり]
別に私は、止めもしない。
助け、見届ける事が、私の役目だった。
[構わないかというのには、短く答え。
空に写真をかざす。逆光で曖昧になる映った像]
[生きた証など要らない]
[生きる理由も要らない]
[ルリのてのひらの上 白く軽い骨片は" 鍵 "]
[DNAが開く" 扉 "はずっと見えて届かずに]
――――…
[何方も独り心地にならぬよう]
[何方もお風邪など召さぬよう]
…よい旅を。
[墨色に透ける亡霊は、開かずの扉へ片手を添える]
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