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……っし。
頑張れ、俺……!
[ぐ、と拳を握り締めると、山の中を駆け出した。嵐の後で、悪い足場に時々転びかけ、というか転びながらも。体調は先程以上には悪くならず、むしろ回復していっていた。その理由を男は知らなかったが]
……よ、しゃー!!
[<19>分程いった頃か、届いている携帯の電波に、泥と水で汚れた姿でガッツポーズをとった]
じゃあ、とにかく、早く電話を……
[と、携帯のボタンを指で押しかけて]
……
[木々の間から見える崖に、ふと、思い出したように胸ポケットに触れ、その中にあるそれを取り出した。
くすんだ真珠の付いた、銀の指輪]
……もう十年、なんだもんな。
[呟いては、崖の縁に歩み寄り]
[その手の内の指輪を崖の向こう、開けた空中に向かって投げた。指輪は超豪速球のように飛んでいき、すぐに消えて見えなくなる。それを確認してから、溜息を吐き、小さく笑った。どこか寂しげに、だが清々しげに]
じゃ、電話するか。
[そして、男は目的を果たした。……通話する途中で何かが背後を通った気がしたが、気にしない事にした。例のハリセンも山荘の部屋に忘れてきてたし。]
[男が山荘に戻ってきた時、レンの姿はそこにあったか。どこかに消えてしまっていたのかもしれない。
嵐の中で起きた嵐のような事件は、静かに終わっていく。静かとは程遠い性格の男を*残して*]
―数刻前 / プレーチェの部屋―
[兄に見守られて部屋の中へ入り。
疲れた体が倒れこむのは飛び出してきたその時のままではあるが、それでもふかふかの柔らかなベッド]
……くらくら、する。
いろんなこといっぱいありすぎたから…かな……
こういうときこそ、落ち着くのしなくちゃダメ。
ひつじくん。
[ひつじくんをぎゅっと抱きしめる。
視線の先には机と、その上に置いてある小さなアニマルフィギュアの小さなひつじ。]
そうだ、小さなひつじくん。
ねえ、ひつじくん。小さなひつじくんはね、ひつじくんのきょうだい。
妹だよ。日本語きちんとなおす、小さなひつじちゃん?
ひつじくんの妹は、お兄ちゃんの傍にいてもらうの。
おそろいで、一緒。
お名前つけて、お兄ちゃんにあげる。元気になるといいな。
よいしょ……
足のかんじ、変……どうしたんだろう。痛いのは、ない……ですけど。
そうだ、べたべたはあとで洗わなくちゃいけないです。約束。
[ベッドから起き上がり机に向かうふらつく足取りはひどい疲れ故のものか。それとも……]
[椅子に腰掛けて。
ひつじくんは小さなひつじと並んで机の上に。]
ねえ、ひつじくん。
変なこと。
お兄ちゃんに聞かれた。変なことはなかったか。
心当たり。
プレーチェはね。何かわからないけど、「知らないということ」を「知っている」です。
パパとママ、プレーチェに隠し事。昔からずっと。プレーチェだけが何か知らないってわかる。
何を隠してるかはどうやってもわかりませんです。なぜを、教えてもらおうとしてもいつの間にか話、そらされる。
プレーチェはプレーチェなりにがんばる、勉強頑張って日本来た。
やっと会える思ったのに、日本に来ても見つけることができなかったは、ちょっと変。それはわかる。
[瞳の中の幽かな揺らぎは疎外感からくる感情か。ひつじくんの頭を優しくなでる。]
……おまもり。
[小さなひつじの頭にふれて。優しくなでて]
お兄ちゃんと一緒にいられますように。
離れ離れはいやです。やっと会えた。
プレーチェがお兄ちゃんの傍にいれない時は、
小さなひつじちゃんが、お兄ちゃんを守るです。
守ってください。
そうです、お名前を分けてあげるです。
そしたら大学とお仕事で会えない時だって、いつだっていっしょ。プレーチェといつもいっしょ。
[小さなひつじの名前を綴った、兄に宛てるメッセージカードには想いを込めて。]
……ここでの事は、「わからないこと」と関係があるですか?
お兄ちゃんがどく…さつ…されちゃうのは嫌です。
お兄ちゃんだけじゃない。レンくんもズイハラさんもポルテさんも、みんな無事がいい。誰も狙われないで、誰も犯人じゃないがいい。
みんな元気ない。プレーチェが元気にする。お兄ちゃんだけじゃなくてみんなを元気にする。大変なときだからこそ。明日になったらお歌を歌ってはげますです。
最初は、お兄ちゃんにプレゼント。
プレゼント。リボン。
バックにいいのがあるといい。
――――きゃ!
[ひつじくんを抱いて椅子から立上がり、歩こうとするがその足は思うように動かない。
辛うじて床との衝突を避けてベットに倒れ込めたようだ。
しかし、白い何かが付いたその足は既に何の感覚も―――先刻のガラス傷の痛みすらも、何もない]
あれ、あれ?言うこと、きかないです……?いたくも……何も、痛いのが、ない……?
おかしいです、なんですか、これは?
ひっ……!
[動き、足に纏わりつく白い何か。足が沢山ある何か。]
たす、けて……たすけてお兄ちゃん!
変なの、動いてる、で、す……
[ひつじくんを強く強く抱きしめる。兄に縋る様に。
感覚のない足は蜘蛛が噛み付く痛みすら伝えない。
足に纏わりつくその白い蜘蛛を、蜘蛛とは知覚できない程に既に意識は朦朧としていて]
『お兄ちゃん』
[声に出したはずの言葉が、空気を震わせなかった事だけを辛うじて知覚して―――]
………
あ。お仕事の、かおり―――
[時が経ったのかも、経っていないのかもわからない。
意識は既に体から離れているのか。それともまだそこにあるのか。自分は何処に在るのか。
蜘蛛が持つ蜘蛛の主の香りであるのかも、ほんとうにそこにその主が「いる」のかもわからない。けれど。]
―――お兄ちゃん、たすけに来てくれたですか?
プレーチェのこと、守ってくれるですか。
[手を、ぎゅっと握る]
嬉しい――……
[――確かに甘く優しい香りがしたような*気がした*]
ケホケフグ“ョ”“ォ”……ッ
[焼けた喉は異物の侵入を拒む。靄のかかった視界にぼんやりと人の影]
行……って……やっ、置い……かな……で。……りは、もう……
[蝕む毒に舌は痺れ、掠れた言葉は山荘へと吸い込まれていく。
その人物の影が小さくなっていく様子を、ただ見つめていることしかできなかった。
彼に対して抱いた感情の名は……
やがて山荘に来た者は気づくだろうか。そこから外へ向かって点々と地面に残る赤い沁みに]
死亡者、6名。生存者、1名。
そう報じられた事件は一時マスコミの興味を引いたけれど、
左程時もたたぬうち、日々の雑踏の中に埋もれ、人々の記憶から消えていくのだろう。
静まりかえった山荘。人気のないダイニングの机の上。
無造作に残された一通の手紙。
そこには―――
[* Fin *]
[手にした狼のカプセルトイに齧りついた]
犯人がわかっちゃった、なんて――
[カケラは、ぽろぽろ足元に散って]
ウソですよー。
[星になる**]
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