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おはよう。さては君も起きたばかりかね?
名前はレン、というのだね。
改めて私はライデンという、宜しく頼もう。
[レンに挨拶を返したところで、響く鐘の音に]
ん……?
鐘、か。何処かにあるのだろうか?
[不思議そうに呟く。
また、と、去るプレーチェを見送って]
ふむ。
どうにも、此処にいる者は皆して色々な事を忘れてしまっているらしい。
かくいう私もそうなのだが……何だか奇妙な感覚だ。
[口元に手をあて、ううむ、と大げさに悩む仕草を。
名乗る相手に]
ユウキ、か。
宜しく頼もう。眠い、というのは……
起きてすぐだというなら、気持ちはわかる。
[頷いてみせ。起こした椅子に座り直し、改めてカレーを食べ始める。そのうちに眠ったらしいペケレに気付くと]
む。此処で寝ていては……
風邪を引いてしまうかもしれないな。
とはいえ運ぶわけにもいかないから、……
[少し考えてから立ち上がり、ペケレの傍に歩み寄った。隣に畳まれていた上着を広げ、相手の肩にかけて]
どうやらそうらしい。
[レンの確認に頷き。眠ってもいいかというのに]
ああ、考えてみるに、もう遅い時間のようだし……
……私もそろそろ眠いようだ。
お先に失礼するよ。
[応えた時には相手は既に眠っていただろうか。食べ終えたカレーの皿を片付けてから、室内の面々に向けひらと手を振り。お休みと言い残してキッチンを後にする。
廊下に出ると、暗くなった周囲を一望し]
……
Night time sharpens,heightens each sensation.
Darkness stirs and wakes imagination...
[ふと、口から零れる歌声。低くも高らかに、静かながらはっきりと、歌劇か何かのように。声はキッチンや、近い場所には響いて聞こえたかもしれない。
歌を口ずさみつつ「声」に導かれ、己の目覚めた部屋へと*戻り*]
……ああ。
何という歌だったか忘れてしまったが……
少しだけ、思い出したような気がする。
歌というのは、確か……よく歌っていた。
[部屋の中、「声」にぼんやりと話しかけつつ]
……だから何だという事でも、ないのだろうがね。
お休み。子守唄は君が歌ってはくれないかね?
……、寝物語でもいいが、その話は難しいね。
[徐々に眠りへと*落ちていった*]
[部屋の片隅。椅子に腰掛け、ぼうっとした顔付きで、向かいの壁を見つめるでもなく見つめていた。んん、と伸びをしたところで]
「やあ、おはようございます」
おはよう。
……昨日も思ったが、君は少々タイミングをずらすね。
[カナメの挨拶に挨拶と、たわいもない感想とを零す。洗面の場所を聞くと其方に向かい、顔を洗うなどしてから戻ってきた。
コートを纏いつつ、室外へと出]
そういえば……
今の季節はいつかね? 寒い気もするが、それ程ではないような気もする。
[何処を目指すともなく歩き、ビオトープの脇を通り過ぎた際に、ぽつりと]
さあ、はないだろう。……
君はどうにも秘密主義が過ぎるのではないかね。
[変わらない返答にぼやく声がふと、足と共に止まる。気付けば前方に見慣れない光景があった。ポストのように並ぶ、白い扉]
此処は……
[多くにプレートがかけられたそれらを遠目に見て呟く。どこか他とは違う雰囲気を持つ場所に、そのまま少時動きを止めていたが]
……と、やあ、おはよう。
[プレーチェの姿を見つけると、はっとしたように小さく首を振り、ひらと手を振って声をかけた]
ああ、また会ったね。
祈り、かね?
[プレーチェの問いには、ふむ、と]
祈りという言葉には二つの意味、使い方がある。
一つは……神や仏に思いを捧げる事をいう。
もう一つは、強く願う事を祈るという。
例えば死者への祈り、という場合は……
それは死者の成仏を願うという意味だ。
[少し、考え]
成仏は……安らかに眠る、という事かな。
そう、安らかに眠れ……
Rest In Peace.
[頷いてから、プレーチェが視線と指を向ける先を見やる。最初に目に入ったのは青い花]
テンマ……?
テンマさんが、どうかしたのかね。
[聞こえた名に不思議そうな表情をしつつも其方へと歩み寄り。傍にしゃがみ、低い位置にあるその扉を見る。
かけられたプレートに刻まれた文字を読み]
これは……?
[まず漏らした声は、ただ疑問の響きを含んでいた。すぐ理解に行き着かない思考。
この文字が、何を表すのか――]
いや、この名前は……
いや。
[言いかけてやめる。
「此処は墓ですよ」と教えるカナメに]
やめたまえ、縁起でもない。
[独りごちるように呟いた。肩先のプレーチェの顔を振り向き、また前を向いて]
この扉が何か、知っているかね?
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