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[大事なモノ、今身につけているモノは、ほとんど「形見」だ。仲間内からでさえ、喪服の男と揶揄されるほど。自分にモノを与えた人たちは死んでいった。
そして自分は、その与えられたわずかなモノで生きて、生き延びている]
ふふ、大丈夫です。
これが形見になることはあっても、ワタシが先に逝くことはありません。
[これ、とポケットから取り出し見せたのは、オラヴィ卿がメッセージを託された黒い兎]
そうそう、ワタシがこうして無駄にあがけるのも、ケガ一つさせず拾ってくれたあなたのおかげです。お礼にひとつ、教えてあげます。
彼女は『トゥーランドット』が好きでした。特に『誰も寝てはならぬ』、なんてね。
[言ってから、にぱ、と笑って両手を広げる]
信じますか? 「友」よ。
[形見、との言葉に顎を撫で]
我輩が先に死ぬと申されるか!あっはっはっは、まぁ年齢的にはそれが世の常だな!
そうであるな、友と言う言葉に敬意を表して信じても構わんよ。
まぁ、我輩の感想をいえばオペラの内容を考えると、ちょっと信じがたいがね。
[無意識に誰も寝てはならぬ、をひとくさりハミングした]
[友という言葉に。その男の言い回しに、思わずくすりと笑いを漏らす]
……あれには解釈がいろいろあるのですよ。彼女は……おっと、まあこの辺りはお礼の内では多すぎるかな。
[占い師の女性にも、帽子を取り、会釈をして]
それでは、卿。
[また、とは言わない。ただ、会釈して、特別室を後にする]
そろそろ終わりなのかしら?
私も次の勤め先を見つけないといけないわ。
[困ったような口ぶりだが、表情は新しい獲物を探す獣の様な表情を浮かべて、]
今度は面白い書物に出会えたらいいんだけど、上手く行くかしら。
[荷物は殆どない。
でも女な身一つさえあれば、どうにでもなる。]
じゃ、御元気で。
[その姿は貨物車から消えた**]
[部屋を後にして「誰も寝てはならぬ」を口ずさむ。希代の歌い手が口ずさむより遙かに劣る、歌]
まあ……そうでしょうね。彼女、変わり者でしたから。
[くすりと笑う。
あとは、真っ直ぐにエカテリーナ号に向かうだろう。ウルスラは、失えない。約束がある。それに――]
また喪服呼ばわりされるのも癪ですから。
[何が出来るかなど、知るわけがない。先は見えない、占い師でさえ見通せないのだから当たり前かと思う。けれど足掻くのは自由のはずだ**]
でしょう。ヤナーチェク?
[みな出ていった貨物車の中で細巻きの煙草に火を付けゆっくり吸いながらチャイを飲み干す。しばし後煙草を吸い終えると無線機を取出し]
本部こちらジャック7、リトルラビットは籠から飛び出した。檻から完全に逃げ出す前に捕まえたほうがよいのではないかな?あ、何をする!やめ
[途中で言い止め銃で無線機を撃ち壊した]
なーんてね。
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