情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
−ピェルヴィクラース・コンパートメント−
『斯くして女帝は壮麗なる莫斯科を背に
浦潮への長い旅路へ吾を誘い給ふ。
遙かなる東の凍土。吾の血潮は彼の地に遠く、また近くも繋がれり。
白き大地と花の色は離れてなお、魂の記憶に鮮やかなれば』
…おや。
[葡萄黒の万年筆が動きを止める。
窓の外に視線を向けると、爆竹の音は華やかに出発を謳った。
先程開けたピロシキの包みの中身は既に胃へと消えている。
書きものをしない手には、今はプリャーニクと呼ばれる菓子があった]
さて、と。
[列車の簡単な見取り図を思い浮かべる。前から、蒸気機関、一車両目には件の……、それから順に一等、二等、三等の客車、さらに後ろに貨物車が続く、はず。人差し指を顎に当て、思案しながら]
激しくうろ覚えだけれど、まあいいかな。
[行ってみればわかるし。と、前、後ろ、と交互に見てから、とりあえず前の車両を目指してみる]
[茶色い表面の上には粉砂糖がかかり、まるでそれは残った雪に似ている。
蜂蜜入りの生地、胡桃に干葡萄にジャムが入っている。
崩れやすいその菓子の最後の一口を丁寧に口に運んで、
それから書きものを止めた手は万年筆に蓋をした。
窓の外には遠くなっていく駅があった]
さて───旅は道連れ、と言うからには少し散策するのも悪くないな。
[分厚い手帳と万年筆を懐へと仕舞い込んでベッドから腰を上げた。
上質な生地で作られた長い外套の裾がひらりと揺れる。
コンパートメントの扉を開いて廊下へと出れば、向かうのは食堂車]
(己の旅の道連れと成り得る人々を見ておくのは悪くない)
確か食堂車があった、ような。
[無いわけ無い。それだけの長旅だ。
客車を移る、と、連結部分で受ける風は、きりりと引き締まりつつも心地よくて、目を細めた]
ん、いい音です。
[たぶん、機関車までいけば五月蠅いのだろうけれども。あるいは、トンネルにでも入れば。そんな事を考えながら、いくらかその場にとどまって。
寒さで指が冷えた頃には、食堂車へと向かうだろう。温かいお茶でも飲みに**]
さて、と、美人の隣室だと浮かれてばかりはおられんな。
一等車に部屋を取れなかったのは、わしとしたことがかなりの痛手だ。
むむ、一から計画を練り直す必要が…。
まあ、何とかなる、何とかなる。Que sera sera...
考えろ、ヴァルテリ、今までそうやって世の中渡って来ただろうて。
むう、しかし腹が減っては戦が出来ぬ。頭も回らん。
ナポレオンとて、兵糧失くして敗走の憂き目に遭ったのだ。
[...は何事かぶつぶつと呟くと、コンパートメントを出て、食堂車に向かい歩き出した。]**
−→サロンカー−
[列車の中は、この記念すべき初運転を楽しむ人々の往来が幾らかある。
ピェルヴィクラースの乗客達はと言えば他の車両よりも幾らか上品に
列車の旅を愉しむ乗客たちが多いらしいようであった。
そんな人々と簡単な挨拶を交わしながら眼鏡の主はサロンカーへと辿り着いた。
上質な食堂車でもあるその場所は上等な設えとなっている。
入口の近くに用意されているサモワールも凝った意匠が刻まれて、
その傍を通ればやはり温かく、また、その上の小さなポットに用意された
紅茶の馥郁とした香りが銀色の給湯設備のあたりに漂っていた]
(流石、女帝の名を関するだけはある。趣味のいい場所だ)
[薄い唇を持ち上げると笑みの形になった。
流れる風景を楽しむことができる窓の傍の席を確保して、
給仕が通りすがれば温かい紅茶を頼む。
花型の小鉢に用意された添え物は、花のジャムだった]
…おや。
[丁度紅茶が用意されたその頃、向こう側から人がやってくるのが見えた。
小さな人影と、その人物に挨拶を投げる坊主頭。
フランスは黄金の丘とも呼ばれる街で料理の腕をふるっていたという噂の
厨房の主が選んだ花のジャムには種類かあり、勃牙利の薔薇に
仏国の蒲公英に菫、どこから手に入れてきたのかは分からないが桜もあった。
その中から金色に輝く蜂蜜のような蒲公英のそれを金色の匙ですくい上げて
とろりとした柔らかい甘さを口に運びながらその二人に視線を向ける
幸いか、災いか、その二人と眼鏡の主が座る席はとても近かった。
挨拶を交わす様子を聞きながら、紅茶を口に運んだ*]
[指が冷える、というより]
痛いくらいです。
[薄い手袋では、シベリア鉄道の寒さには不十分で。手をこすりながら、食堂車へ]
動かしにくいですが、もう少し厚手のほうが……
[と、名前を呼ばれた気がした。否、可愛いとか、小さいとかの形容詞はおおむね自分に向けられる言葉だと、知っている、経験上。だから、声のした方に顔を向ける]
>>14
これはこれはご丁寧に、オラヴィ卿。
[明らかに自分が呼ばれた証拠に、相手と目がったので。にぱっと笑って、言葉を返す。剃髪にディナージャケット、相手の仕草はいくらか芝居がかって見えて……言葉遣いのせいかもしれない……なので、自分も帽子を取って大げさに会釈してみた]
ラウリ・スモーバーです。こちらこそ、よろしくお願いします。
[ざっと車内を見回す、大体が上品な様子の客ばかりだ、いずれも物見高い人たちなのだろうけれども。オラヴィの傍の席に座る、紅茶を嗜む眼鏡の人も視線を滑らせて、最後にまたオラヴィを見やり]
こちら、よろしいですか?
[混んでいる、というほどではないが、合い席を断るほど空いてもいないか、と。最初と同じ笑みを向けて、訪ねる。
給仕が通りかかれば、チャイを、頼む。香辛料を細やかに指定したりして]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了